ウグイス
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ウグイス | ||||||||||||||||
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Cettia diphone cantans |
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分類 | ||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||
Cettia diphone Kittlitz, 1830 |
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英名 | ||||||||||||||||
Japanese Bush Warbler | ||||||||||||||||
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ウグイス(鶯、鴬、学名 Cettia diphone)はスズメ目ウグイス科ウグイス属に分類される鳥。
「ホーホケキョ」と大きな声でさえずる。日本三鳴鳥の一つ。山梨県の県鳥。
目次 |
[編集] 形態
体長15cm程度で、スズメ同大。 体色は、背中がオリーブ褐色で、腹面は白色、全体的に地味である。雌雄同色。
[編集] 分布
東アジア(中国北東部、ロシア沿海地方・サハリン、朝鮮半島、日本など)に分布する。
日本ではほぼ全国に分布する留鳥。ただし寒冷地では冬季は暖地へ移動する。 平地から高山帯のハイマツに至るまで生息するように、環境適応能力は広い。 警戒心が高く、笹の多い林下や藪を好むが、囀りの最中に開けた場所に姿を現すこともある。
[編集] 生態
食性は雑食だが、夏場は主に虫を捕食し、冬場は植物の種子なども食べる。 警戒心が強く、声は聞こえど姿は見せず、薮の中からなかなか出てこない。英名 "Japanese Bush Warbler"(日本の、茂みでさえずる鳥)はその生態から来ている。
[編集] 鳴き声
さえずりは「ホーホケキョ、ケキョケキョケキョ……」、地鳴きは「チャッチャッ」。 平地にて鳴き始める季節が早春であることから
- 前鳴きから、ケキョ、ケキョ、ホーホケキョ、まで(背景にカラスの声入り)。! ? : 再生時間: 00:01:34、ファイルサイズ: 380KB
- ホーホケキョ、ホーホケキョ(2匹分の鳴き声を1ファイルに合成)。! ? : 再生時間: 00:00:03、ファイルサイズ: 60KB
- ホーホケキョ! ? : 再生時間: 00:00:01、ファイルサイズ: 8KB
- ホーホケキョ! ? : 再生時間: 00:00:01、ファイルサイズ: 8KB
- ホーホケキョ! ? : 再生時間: 00:00:02、ファイルサイズ: 10KB
[編集] Sibley分類体系上の位置
Sibley-Ahlquist鳥類分類 |
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ウグイス上科 Sylvioidea
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[編集] Status
- LEAST CONCERN(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
[編集] 日本の亜種
- Cettia diphone cantans, ウグイス, 普通種
- Cettia diphone sakhalinensis, カラフトウグイス
- Cettia diphone diphone, ハシナガウグイス
- Cettia diphone restrictus, ダイトウウグイス - 南大東島で 1922年に 2羽が発見・採集されたが、その後に記録がなく、大東諸島固有亜種として存在したが以降絶滅(EX)したものと考えられている。ダイトウウグイスを参照。[2]
- Cettia diphone riukiuensis, リュウキュウウグイス
[編集] 人との関わり
[編集] 和歌で詠われたウグイス
詠み人知らず(古今集)
うぐいすのなく野辺ごとにきてみれば うつろふ花に風ぞ吹きける
[編集] 音楽
- 『春鶯囀 (しゅんのうでん) 』雅楽 (唐楽) 舞楽、管絃で演じられる大曲。
- 『千代の鶯』 地歌・箏曲 (光崎検校作曲) 地歌手事ものの大曲。
- 『宮の鶯』 箏曲 (組歌)
- 『初鶯』 箏曲 (宮城道雄作曲)
- 『春の曲』 箏曲 (吉沢検校作曲) 鶯を詠んだ和歌二首を含む。
- その他一部分に鶯を詠んだ邦楽作品はきわめて多い。
[編集] 鳴き合わせと密猟
ウグイスはさえずりが見事なことから、捕獲したウグイスに声を競わせる「鳴き合わせ」という行為が行わることがある。現在日本では鳥獣保護法により捕獲・飼育が禁止されているが、しかし今なお密猟が絶えない実態があり、密猟者の存在が時折報じられることもある。
詳しくはメジロ#鳴き合わせと密猟も参照。
[編集] ウグイスのフン
その糞には豊富に酵素が含まれ、顔面に塗布する事で角質層が柔らかくなって、小皺が取れたり肌のキメが細かくなる・肌のくすみが取れて色白になる事から、古くから美顔洗顔料として人気がある。「うぐいすの粉」として市販されているものがそれで、これらはウグイスそのものの粉末ではなく、ウグイスの排泄物の粉末では在るが、この酵素には脱色作用もあるため、着物の染み抜きにも利用される。
なおウグイスは大量飼育が難しく、得られる糞も少量であることから、市販の「ウグイスの糞」と称する商品は、ほとんどがソウシチョウを飼育し得られた糞を原料に使用している。
[編集] メジロとの混同
日本では、ウグイスとメジロは混同されることがよくある。いわゆる梅にウグイスという取り合わせが花札をはじめ、よく見かけられるが、実際には梅の枝によく来るのはメジロであり、ウグイスがそのような姿で見かけられることはまずない。「ウグイス色」というとメジロの体色のような鮮やかな色を連想する人も多いが、JIS慣用色名に定められているウグイス色は茶と黒のまざったような緑色をしている。この色を鶯茶(うぐいすちゃ)ともいう。実際のウグイスの体色は茶褐色であり、JISのウグイス色は、ウグイスの羽を忠実に取材した色である。メジロ#ウグイスとの混同も参照。
鶯色はこのような色である。
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鶯茶はこのような色である。
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なお、ここにあげた色の見本は JIS で規定したマンセル値に基づくものであり、近似色である。RGB 値は一例にすぎないことに留意されたし。
[編集] 「鶯」
日本では、鶯という漢字をウグイスのこととするが、古来中国の漢詩等ではコウライウグイスのことである。二者とも美声を愛でられる鳥だが、声も外見も非常に異なり、分類的な類縁もない。
[編集] その他
- 二条城のウグイス張り
- 上を歩くと音を出す仕掛けを持った床。かつて忍者の侵入対策として作られた。
- 鶯谷
- ウグイスの多い谷から付けられた地名。
- 鶯餡(うぐいすあん)
- エンドウを使った餡。色がうぐいす色。これを使って作られたパンをウグイスパンという。
- ウグイス嬢
- 野球場で場内アナウンスを担当する女性のこと。
- ウグイスを「自治体の鳥」とする日本の地方公共団体
- 平成の大合併で誕生した新しい自治体の多くが市の鳥に採用している。また茨城県は県内自治体の約三分の一が採用している。以下は一部。
- 北海道歌志内市,宮城県白石市,福島県白河市
- 群馬県高崎市,富岡市,茨城県牛久市,神栖市,水海道市,坂東市,常陸大宮市,埼玉県飯能市,千葉県市川市,市原市,匝瑳市,東京都大田区,青梅市,山梨県,山梨県山梨市
- 静岡県裾野市,浜松市,藤枝市,石川県珠洲市,福井県大野市,岐阜県本巣市
- 三重県熊野市,名張市,滋賀県湖南市,京都府福知山市,奈良県奈良市,兵庫県宝塚市
- 岡山県新見市,愛媛県西予市
- 福岡県,大分県竹田市,熊本県人吉市,宮崎県西都市
[編集] References
- ^ BirdLife International(2004). Cettia diphone. 2006 IUCN Red List of Threatened Species. IUCN 2006. Retrieved on 05 May 2006. Database entry includes justification for why this species is of least concern
- ^ 絶滅危惧種情報 ダイトウウグイス(環境省生物多様性センター)
カテゴリ: Least concern | 日本の留鳥 | ウグイス科