コシロ・バジリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

ホセイン・ホスロー・ヴァズィーリー（ペルシア語: حسین خسرو علی وزیری ; Ḥoseyn Khosrow ʿAlī Vazīrī、1943年3月15日 -）は、元プロレスラーである。イランのテヘラン出身。そのレスラーとしてのキャリアにおいて、リングネーム・アイアン・シーク(The Iron Sheik)として知られた。

[編集] 経歴

イランでは実際にクシュティの強豪、レスリング選手として知られた存在であったらしい。メキシコシティオリンピックのアマレスイラン代表であるとされるが、これは虚構である。1970年にイランからアメリカ合衆国に亡命。翌年のAAU選手権に優勝し、1972年ミュンヘンオリンピック、1976年モントリオールオリンピックには米国アマレス代表チームのアシスタント・コーチとして参加（つまり、選手としての五輪出場経験は無し）。

1972年にAWAの社長兼プロモーターであったバーン・ガニアに見出されてプロレスデビューを飾る。同じ時期に合宿に参加していた中に、リック・フレアー、ケン・パテラなどがいる。コーチは主にビル・ロビンソンが務めたが、この時の様子はフレアーの自伝に詳しい。デビュー後しばらくは本名で活動し、またそのレスリングの実力からガニア道場のコーチも務めた。

1976年にアイアン・シークと改名して各エリアをサーキット後、1979年WWE（当時WWF）デビュー。しかし、当時はまだ現在のようなアメリカと中東の間での政治的衝突は無かったために観客の反応は鈍かった。だが同年11月にテヘランのアメリカ大使館でアメリカ大使館占拠・人質事件が発生し、皮肉にもこれが彼をトップヒールの地位に押し上げた。1983年12月26日、マディソン・スクエア・ガーデンでボブ・バックランドとの王座戦に勝利し、WWF王座を獲得。この時、キャメルクラッチでバックランドのセコンド、アーノルド・スコーランからタオル投入を引き出し勝利した。

ベルト獲得後はハルク・ホーガンと抗争を繰り広げ、ベルト獲得から約4週間後の1984年1月23日に、ハルク・ホーガンに敗れてベルトを失う。WWFがその過酷さから伝説化している「3グループ全米同時サーキット」を始めると、Cチームのメインとしてサージェント・スローターとの熾烈な抗争を演じた。1985年のレッスルマニア1では、ロシア系のニコライ・ヴォルコフと反米タッグにてWWFタッグ王座を獲得している。しかし1987年薬物検査でコカインの陽性反応が出たため、WWFを解雇されている。以後はAWA、NWA、WCCW（フリッツ・フォン・エリック派）などに出場。

WWFには、湾岸戦争が勃発していた頃にスローターのマネージャーとしてカーネル・ムスタファ（ムスタファ大佐）の名で復帰し、再度ハルク・ホーガンと抗争を繰り広げる。1992年に現役を引退したが、インディー団体などで活動を続ける。1997年にはサルタンのマネージャーとして再度WWFに登場。

2001年のレッスル・マニア17にて行われた、過去のレスラーを会したバトルロイヤルにおいて優勝を飾っている。この優勝の際、それまで一貫してヒールでブーイングを浴び続けたアイアン・シークに対して、観客が大きな喝采を送った。

2005年にWWE殿堂入りする。レッスルマニア21の前日に行われたWWE殿堂の表彰では、長年のライバルであったサージェント・スローターが殿堂入りのプレゼンターを務めた。

日本にて試合をしたことも度々ある。1974年4月に新日本プロレスに来日。また1976年5月には全日本プロレスに来日している。また1992年にもUWFインターナショナルに来日し、安生洋二と試合を行っている。

[編集] 得意技

• キャメルクラッチ
• 各種スープレックス

[編集] タイトル履歴

WWF

WWF王座 : 1回

WWFタッグ王座 : 1回（＆ニコライ・ヴォルコフ）

NWA

NWATV王座 : 1回

NWA中部大西洋王座 : 1回

NWA2000アメリカ伝承(American Heritage)王座 : 1回

その他

ニュージーランド英連邦王座 : 1回

北西太平洋タッグ王座 : 1回（＆Bull Ramos）

カナダヘビー級王座 : 2回

WWSタッグ王座 : 1回（＆ザ・シーク）

Can-Amヘビー級王座 : 1回

IAWタッグ王座 : 3回（＆Brian Costello）

IAWヘビー級王座 : 1回