ダテハクタカ事件
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ダテハクタカ事件(だてはくたかじけん)とは、1972年に中山競馬場内のパドックにおいて、中山大障害(春)に出走する予定であった競走馬ダテハクタカが負傷した事件である。
[編集] 概要
1972年6月4日、中山大障害(春)に出走するため中山競馬場のパドックを周回中であったダテハクタカが突如暴れだし、右後脚の蹄鉄が外れるアクシデントが発生した。蹄鉄は打ち替えられたもののダテハクタカは平静さを欠く行動をとり続け、検査の結果右目に異常が認められたため競走除外となった。
獣医の診察により硫酸とみられる化学物質による負傷と判断され、何者かが故意にダテハクタカを負傷させた疑いがあるとして警察が捜査に乗り出した。6月9日には中山競馬場内で濃硫酸が残留した容器が発見され、さらに6月3日に同競馬場内パドックにおいて周回中の厩務員が負傷(火傷)していたことも明らかになり、何者かが競走馬を狙って故意に濃硫酸を浴びせようとした疑いが濃厚となった。しかしダテハクタカが負傷した当時は天候が悪かったために有力な目撃証言が得られず、また濃硫酸が残留した容器から指紋が検出されないなど物証が乏しかったため捜査は難航し、結局犯人は検挙されなかった。
ダテハクタカは負傷から回復しレースに復帰したものの競走成績は振るわず、事件以後勝利を挙げることのないまま競走馬を引退した。
ちなみにこのレースはダテハクタカが1番人気だったが、変わって1番人気になった馬が最下位の6着、2番人気馬も落馬した上に1着馬と2着馬が兄弟という、荒れ模様のレースとなった。