ドライ戦争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドライ戦争(-せんそう)とは、1987年にアサヒビールが発売した『アサヒスーパードライ』が大ヒットしたことを受け、他のビール会社がつぎつぎとドライビール市場に参戦し、販売合戦したことをいう。
アサヒビールの攻勢により、1989年に国内シェア50%を割ってしまった最大手のキリンビールは、主力商品の『キリンラガービール』のパッケージデザインを更新するとともに、『キリンドライビール』を発売(CMに俳優のジーン・ハックマンとミュージシャンの鈴木雅之を起用)したが、アサヒビールの勢いを止めることはできなかった。1990年に発売した『一番搾り』は、『アサヒスーパードライ』の独走にブレーキをかけるヒット商品となったが、同社の『キリンラガービール』の売り上げも食ってしまい、シェア50%を回復することはできなかった。
サッポロビールは主力商品の『黒ラベル』を『サッポロドラフト』としてリニューアル発売(CMに坂本龍一を起用)し、『サッポロドライ』を発売(CMに吉田拓郎、広岡達朗を起用)したが惨敗。『サッポロドラフト』は『黒ラベル』に戻り、『サッポロドライ』は生産を中止した。
サントリーは『モルツ』のCMで「私はドライではありません」と謳う一方、『ドライ5.5』(CMにボクサーのマイク・タイソンを起用)を発売し、そこそこの成績を上げた。
結果は『アサヒスーパードライ』の一人勝ちというべきものであり、他社はその後、発泡酒や第三のビールにチャンスを見いだしていくことになる。
[編集] トリビア
- 『キリンドライビール』のCMに曲を提供した鈴木雅之、『サッポロドライ』のCMに出演した吉田拓郎はその後、アサヒビールの『DUNK』(鈴木雅之)、『アサヒ黒生』(吉田拓郎)のCMに出演した。