パール・ハーバー (映画)

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パール・ハーバー Pearl Harbor
監督	マイケル・ベイ
製作総指揮	マイク・ステンソンバリー・ウォルドマンランダル・ウォレスチャド・オーマンブルース・ヘンドリックス
製作	ジェリー・ブラッカイマーマイケル・ベイ
脚本	ランダル・ウォレス
出演者	ベン・アフレックジョシュ・ハートネットケイト・ベッキンセイル
音楽	ハンス・ジマー
撮影	ジョン・シュワルツマン
編集	クリス・レベンゾンスティーヴン・ローゼンブラムマーク・ゴールドブラット
配給	ブエナビスタインターナショナル
公開	2001年
上映時間	183分
製作国	アメリカ
言語	英語
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『パール・ハーバー』 (Pearl Harbor) は、2001年に公開された第二次世界大戦を舞台とするアメリカの戦争映画である。巨額を投じてつくられた大作映画。2001年5月21日アメリカにてプレミア公開。183分。製作費1億3225万ドル。製作ディズニー。

第二次世界大戦開戦前後の主人公の入隊から、アメリカ初の日本本土に対する攻撃「ドーリットル空襲」までを描いた。

それまでの戦争映画と比べ、戦闘シーンに当時最先端のCGを使用し、そのリアルさが話題になった。ただしあくまで視覚効果上の話であって、設定考証面では後述のように多くの誤りが存在する。2001年のアカデミー賞では音響効果賞を受賞した。なお、同年のゴールデンラズベリー賞（最低映画賞）にもノミネートされたものの受賞はしなかった。

映画史的にみると1997年の『タイタニック』が「人物が回想するかたちで過去の事件を描く大作映画」のヒットを生み、『パール・ハーバー』がその流行をつくったと考えることができる。この流れは日本映画の『ローレライ』（2005年）、『男たちの大和』（2005年）に続いた。

注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。

[編集] ストーリー

米陸軍の戦闘機パイロット、レイフとダニーは深い絆で結ばれた親友である。幼いころから兄弟同然に育ち、いつも一緒だった。やがてレイフは美しい看護婦のイヴリンと出会い、恋に落ちる。しかし、レイフは理想を求めてヨーロッパ戦線に参加。イギリスのイーグル飛行中隊の一員としてドイツ空軍と激しい戦闘を繰り広げる。

そのころダニーとイヴリンはハワイのパール・ハーバーに転属となる。だが、そんな二人に届けられたのはレイフの戦死の知らせだった……。

そして、1941年 12月7日。大日本帝国海軍の航空隊は真珠湾目指して出撃した……。

[編集] エピソード

娯楽作品であることを象徴するかのようなエピソードとして、米国での公開時には日本軍を攻撃するシーン、逆に日本と欧米以外の反米的な国で公開された時は日本が真珠湾を攻撃しているシーンで、それぞれ観客席から大歓声が上がったともいわれる。

日曜洋画劇場（テレビ朝日系列）でテレビ放送された際には、おかしな日本描写がなされているシーンはカットして放送された。

本作品の公開により1970年に発表された真珠湾攻撃を題材とする映画『トラ・トラ・トラ!』の価値が再評価されるきっかけとなった。

[編集] 評価

公開当初から「史実のねじ曲げが見られる」「偏見に基づいた日本描写がなされている」「そもそも、空襲シーンがなくてもストーリーが成立してしまう」「日本軍を悪者にするために演出の明らかな行き過ぎが見られる」「爆弾の爆発するプロセスなど兵器考証も間違っている」などの理由から、国を問わず多くの映画評論家から酷評された。アメリカの有名な映画評論家、ロジャー・エバート（[1]英語版）は「この作品は真珠湾を知らないか、第二次世界大戦さえも知らない観客を対象に作ったのだろう」と、この作品の荒唐無稽さを酷評している。痛烈な風刺人形劇映画「チーム・アメリカ」では、挿入歌のラブソング中で唐突に「パールハーバー」への悪口が入れられているほどである。

主な批判点としては、

日本の命運を左右するための作戦会議が行われている場所が屋外である。艦船模型を用いての屋外作戦会議シーンは、映画「ハワイ・マレー沖海戦」の特撮中の宣伝用スチル写真を見て、作戦会議の写真だと勘違いしたものと推測されている。
日本軍の空母内で異常な数の蝋燭が燃やされている。そして蝋燭の配置の仕方がおかしい。ああいう状況は火災の原因ともなりうるので絶対に起こりえなかったはずである。
日本にいたはずの山本五十六長官が真珠湾攻撃艦隊を率いて同行している
日本軍は真珠湾に於いて軍事施設以外は攻撃していなかったにもかかわらず民間病院を攻撃している。そして意図的に民間人を機銃掃射して殺そうとしている。当時各パイロットには細かく攻撃目標が割り当てられ、民間人の犠牲は最小限に抑えるよう厳命されていた。よって意図的に民間人を殺す目的で機銃掃射、民間の病院を爆撃するなどということはなかった。流れ弾が一般の民間車両に当たったという報告はあるが、米軍の無統制な対空射撃の流れ弾の被害も多数報告されているため真相は不明である。
日本軍の攻撃によりBettyという看護婦が死ぬ場面があるが、アメリカの看護婦が第二次世界大戦中、敵に殺されたことはない。
劇中に登場する零戦が史実通りの一号二型（二一型）ではなく、すべて大戦後期の二二型および五二型。実写シーンはプレーンズ・オブ・フェイムで動態保存されている五二型実機と、ロシアで復元された二二型レプリカを使用しているから仕方ないとしても、塗色が展示状態の濃緑色のままであること、そしてCGのシーンでもすべてそれに倣ってることは明らかに考証ミス。そして、実際の作戦では零戦隊には9機しか損害が確認されてないにもかかわらず11機以上の撃墜、墜落が確認されること、運動性が劣るP-40に易々と追い詰められ撃墜されていることはアメリカ寄りの観客の受けを狙った史実無視の過剰演出であるといえる。
ドゥリットル隊が配備された米機動部隊を発見した第二十三日東丸は、実際は漁船を改造しただけの特設監視艇であるにもかかわらず巡洋艦として描かれている
実際のドゥリットル隊の東京空襲では、機銃掃射にて小学生が死亡しているにもかかわらず「軍事施設以外は攻撃しなかった」と説明している。
アメリカ軍から爆撃を受ける工場には兵器名の工場の看板が立てられていた。軍事機密を考えれば具体的な兵器名を表示することは有り得ない。
当時の日本の描写が明治時代のものと混同している。
当時存在してないバーコードがある。
パールハーバー軍港にニューポート級LST（戦車揚陸艦）やスプルーアンス級駆逐艦が係留されている。これらの艦船は1970年代以降に建造された艦船であり、太平洋戦争当時には存在しない。また、1942年5月当時の機動艦隊に当時まだ就役していないはずのエセックス級空母が編入されている。劇中では「エンタープライズ」「ホーネット」とされていたが、上空から見たカットをよく見ると艦橋付近や飛行甲板の形状、舷側エレベーターの配置など明らかにエセックス級である。
戦闘機パイロットである主人公が、操縦資格の無いはずの爆撃機を操縦して、ドーリットル空襲に参加する。

細かいところでは

赤城の甲板が冷戦時の米空母になっている。
ドゥーリットル隊の空母甲板搭載時の艦橋縮尺が間違っている。
松型駆逐艦がすでに存在する。
日本軍パイロットが着けているハチマキの「必勝」の字が左から書かれている。

などがあり、本作品に対する批判の矛先は文化、文芸、史実、軍事など広範囲にわたっている。

当時の真珠湾攻撃に対するアメリカ人の心理的な影響の大きさを理解するのに役立つ作品と評価する意見もあるが、これらの誤った描写を正当化する理由にはならない。結局はドキュメンタリーではなく史実をモチーフに作られたフィクションであり、単にアメリカ合衆国の国民性や歴史観を反映した娯楽作品でしかない本作に、史実の忠実な反映を期待するのがおかしいといった意見もある。

日本での配給においては戦史的・思想的側面は一切黙殺され、あくまで「戦場恋愛映画」として宣伝が行われたため劇場は若いカップルで溢れかえることとなり、興業的には好成績を上げた。この点においては正しい戦略だったとも言える。