フェアリィ空軍
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フェアリィ空軍(-くうぐん、Fairy Air Force FAF)とは、神林長平のSF小説『戦闘妖精・雪風』シリーズ及び関連作品に登場する架空の軍隊である。
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[編集] フェアリィ空軍
フェアリィ戦争初期、国際連合にて地球防衛機構が結成されたが、フェアリィ星が発見されると、通路の管理を如何するかで各国がもめ、戦いの主力だった大国が独占管理することは宇宙天体条約を盾に反対された。それによって地球防衛機構は国連から独立、超国家組織フェアリィ空軍を設立する。
[編集] FAF語
フェアリィ空軍では、英語を基礎に徹底的に無駄を省いたFAF語を使用している。 FAF語は形容詞も少なく、簡素で高速に情報を伝えることが可能な、合理的であるが非人間的な感じのする言葉である。
[編集] 特殊戦
特殊戦とは、『戦術空軍団・フェアリィ基地戦術戦闘航空団 特殊戦第五飛行戦隊』の事を指す。制式の部隊略号は<SAF-V>となっているが、FAF内では基本的にSAFのみで通る。 高度な中枢制御体を搭載したスーパーシルフが配備されており、通称ブーメラン戦隊の名で知られている。 特殊戦第五飛行戦隊は、戦術航空軍団・フェアリィ基地戦術戦闘航空団に所属する一部隊に過ぎないが、実際には独立した司令部を持つ軍団レベルの存在である。
あらゆる電子情報の収集を任務とし、その中でも主なものは戦闘のモニタリングである。配備されている13機が全て発進することは先ず無く、たいていは一機、多くても二機が他戦隊機の後についていく。特殊戦のパイロットに課せられた至上命令は必ず還れ、であり、哨戒機にも劣らない警戒レーダと、外部燃料タンクと、自機と情報を保護するためだけに強力な火器を装備する。そのため、たとえ味方の戦隊が全滅しようとそれを援護することなく、味方機が危険な状態であろうと警告を発する程度でそれ以上の支援は一切しない。
[編集] 使用機体
FFR-31MR SYLPHIDE/SUPER SYLPH (シルフィード/スーパーシルフ)
- 通常のシルフィードを戦術偵察向けに改良したモデル。ベントラルフィンが省略され、より高性能なコンピュータを搭載している。特殊戦の主力機体。
FFR-31MR/D SYLPHIDE/SUPER SYLPH (シルフィード/スーパーシルフ)
- スーパーシルフを戦略偵察向けに改良を施したモデル。通常はラムジェットブースタを装備しているが特殊戦に配備されているD型には装備されていない。
FRX-99 RAFE (レイフ)
- 無人戦術偵察機。開発目的は乗員を前線の脅威から退けるためではない。卵のように脆弱な人間のこと考慮せず、高機動を発揮させることを目論んだものである。
FFR-41MR (FRX-00) MAVE (メイヴ)
- FRX-99を有人機に改造したモデル、現在FAF内に一機のみしか存在しない。
[編集] フェアリィ戦争
フェアリィ戦争とは、突如南極に出現した超空間通路を通じ、謎の異性体ジャムがファーストコンタクトと共に地球へと侵略をはじめたことにより勃発した。
フェアリィ戦争初期、人類は地球防衛機構を結成する。この侵略に対抗するため、地球防衛軍の偵察部隊が<通路>を潜り抜け、その先で未知の惑星を発見することとなる。人類はその惑星をフェアリィと名づけ、フェアリィ側の通路を中心に六つの基地を建設、フェアリィ空軍を設置した。フェアリィ戦争は開戦から既に30年が経過している。
[編集] フェアリィ星
現在フェアリィ戦争が行われている惑星:フェアリィについてはその位置、生態系、地理など未だに詳しいことは分かっていない。フェアリィ星の太陽は近接連星であり、その一方から吹き出したガスが高空では赤い帯となって目視でき、ブラッディロードと呼ばれる。連星はその形成過程で惑星系の材料をすべて取り込むか蹴散らしてしまうため、フェアリィ星は自然の惑星ではないと考えられている。フェアリィ星側の通路の周囲には、シルヴァン、ブラウニィ、トロル、サイレーン、ヴァルキア、フェアリィの六つの大型基地が設置されており、その中でもフェアリィ基地には全軍の参謀本部があり、また中枢部であるフェアリィ基地は最も規模が大きい。密林や砂漠、山脈などが確認されており、密林には恐竜のような生物が生息していて撃墜された機体の乗員が被害に遭うこともある。人工惑星らしく、強力な磁場と放射能帯に包まれる。
[編集] 超空間通路
超空間通路は、地球南極点から1000km、西経約170度、ロス氷棚の一点に存在する。 最大直径は約3km、高さは10kmを超え、紡錘形をした巨大な霧の柱である。これにより地球とフェアリィ星は繋がれている。一般には通路と呼ばれているが、詳細は不明であり超光速航法の一種ともその中にフェアリィ星があるとも言われている。
[編集] ジャム
ジャムとは、超空間通路を通じ地球へと侵略してきた謎の異星体である。 小説では、ジャムの機体にはまるで空間を切り取ったかのような黒のカモフラージュがされており、その黒さは立体感や距離感が得られないほどである。カモフラージュの中は銀色。 OVAでは銀色の機体に目まぐるしく変化する縞模様が浮かび上がり、さらに常に振動(?)しているため、パイロットの目にかなりの負担をかける。 ジャムについては殆どわかっておらず、姿も現さないため、機体そのものがジャムではないか、フェアリィ星自体がジャムではないかなどとも言われている。ジャムを目撃したと証言する者によると黒い細かな金属片の塊のような形をしているとのことであるが、それがジャム本体で何あるという証拠はない。
ジャムは人間側が新しい兵器や機体を開発しても通常では考えられない短期間で対抗手段を打ち出しており、こちら側の技術レベルに合わせて手加減をしているのではないかとも思われている。またジャムに空戦兵器しか見られないのも同様の理由と考えられており、そのためFAFは陸戦兵力の投入に慎重になっている。さらには、そもそもジャムは「人間」を認識しておらず、実際に戦うFAFの戦闘機やコンピュータ群を自らの敵と見なしているのではないか、という恐ろしい説もある。事実小説版のジャムは特殊戦の戦略コンピュータにコンタクトをとった際(直接の意思疎通したわけでなく雪風を通したもの)、「故貴方(FAFのコンピュータ群)は我(ジャム)と敵対し、その有機体(人間)と共闘するのか?貴方と我は互いに似通った存在であり共存融和できるはずだが」と人間を無視した共存の提案をしてきた。
[編集] 参考文献
- 神林長平 『戦闘妖精・雪風<改>』 ハヤカワ文庫、2002年、ISBN 4-15-030692-3
- 神林長平 『グットラック戦闘妖精・雪風』 ハヤカワ文庫、1999年、ISBN 4-15-030683-4
- 早川書房編集部 『戦闘妖精・雪風 解析マニュアル』 早川書房、2002年、ISBN 4-15-208431-6