フランス国立工芸院
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フランス国立工芸院(Conservatoire national des Arts et Métiers:コンセルバトワール・ナシオナル・デ・アール・エ・メティエ)は、フランス政府の高等教育省が管轄する科学と産業の振興のための教育研究機関。フランスの"grand établissement"という区分に属する。
[編集] 概要
神父アンリ・グレゴワール(Henri Grégoire)により「工芸(Arts et Métiers:術と職、技能、技術)に関わるあらゆる機械、道具、設計図、記述物、書物を保存しよう」と提唱され、使われなくなっていたサンマルタンデシャン教会(l'abbaye St-Martin-des-Champs)の小修道院の建物を用いてフランス革命中の1794年10月10日に創設された。公式には1802年に開館した。
当初は、発明品の収集の目的であったが、のち教育の場となった。現在は、「社会人のキャリアアップ」として、「技術者資格取得」を目指す「継続的学習の場」として、「夜間講座」を提供するのが主な役割となっている。
3大役割
- 継続的学習の提供
- テクノロジーとイノベーションに関する基礎研究
- 科学とテクノロジーの文化の保全
フランス国内(本土および海外の部門や諸領土)に28の地域センターと150のトレーニングセンターをネットワークしている。草の根レベルでの個々人および企業の要求に答えるようにされている。Cnamの約8万人の学生のうち、約半数の4万人は地方の生徒である。また、フランスのみでなく、広く欧州、北アフリカ、サハラアフリカ、中東、アジア、ラテンアメリカにも拠点を持つ。外国人学生は1万以上おりフランス外が半数である。年間8万5千以上の成年が入学しトレーニングがおこなわれている。7割以上は職業人である。
Cnamの提供するトレーニングとはBaccalaureat(バカロレア)レベルのエンジニアリング学士と、企業内で必要とされる諸活動分野の修士、博士である。トレーニング・プログラムはすべての人に対して開放されており、職業人、フリーランスワーカー、職を求めている人など、その要件を問わずに可能となっている。
インターネット、電話トレーニング(テレ・トレーニング)でディスタンスラーニングプログラムが提供されており、10人に1人はディスタンスラーニングプログラムで参加している。
文書のデジタルアーカイブのネットワークでの公開もすすめており、フランスの古い文献がウェブ公開され検索閲覧が可能となってきている。
[編集] 名称表記
フランスの国状によりその名称はConservatoire royal des Arts et Métiers(1818年にその表記がある)やConservatoire impérial des Arts et Métiers(1855年にその表記がある)となったりもした。
Conservatoire national des Arts et Métiers(コンセルバトワール・ナシオナル・デ・アール・エ・メティエ)はCnamと略される。
日本では、国立工芸院のほか、技術工芸学院、工芸技術院、工芸学校、工芸コンセルバトワール、工芸技術院、工科大学に、国立がついたりつかなかったり、さらにパリ、フランス、仏が補われたりして表記されている。
[編集] 外部リンク
- http://www.cnam.fr/ 公式サイト
- http://cnum.cnam.fr/ デジタルアーカイブ