ボール箱
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ボール箱 (The Adventure of the Cardboard Box)は、アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズ作品の1つ。初出は「ストランド・マガジン」1893年1月号、『シャーロック・ホームズの思い出』(1894年)に収録。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
クッシングという女性のところに、切り取られた人間の耳がボール箱に入れられて小包で送りつけられる。いたずらか事件か不明であったが、ホームズはレストレード警部の依頼を受け、調査に乗り出す。
小包で送られた耳は2人の人間から切り取られたもので、荒塩につけられ、たばこの箱に入れて紐で堅く縛られて送られてきていた。ホームズはその小包を調べたあと、クッシングに妹が2人いること、下の妹は船乗りと結婚していること、そして送りつけられた耳の1つがクッシングの耳と似ていることに気づく。そのあとホームズはクッシングの上の妹のところに出かけるが、ショックで脳炎となって会えなかった。
ホームズは事件の真相を解明し、殺人事件として犯人逮捕をレストレード警部に依頼する。翌日、レストレード警部はホームズが指摘した犯人を逮捕する。
[編集] 「ボール箱」が収録されている短編集
英国版では『シャーロック・ホームズの思い出』に収録されたものの、内容が不倫を取り扱ったものであるため、当時の倫理観とは相容れず、米国版からは削除されてしまった作品である。米国版では『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』(1917年)に収録されている。日本語版にもこの混乱が影響を与え、翻訳の出版社によって別々の短編集に収録されている作品である。
また冒頭、ホームズがワトスンの些細な動作からその心中を解析してみせるくだりは、版によっては「入院患者」に転載されている。この二つの作品が同じ始まり方をしている版もある。