ミレニアム・ファルコン
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ミレニアム・ファルコン(Millennium Falcon, 通称ファルコン号)は『スター・ウォーズ』シリーズに登場するハン・ソロを船長とした宇宙船である。原型のコレリアン・エンジニアリング社製YT-1300貨物船に多くの改造が施してあり、「銀河系最速のガラクタ」の異名を持つ。クルーはハン・ソロ以下、機関士兼副パイロットでソロの親友のチューバッカらの2名。強力なイオンエンジンを持つ、この無茶とも云える化け物じみた高速艇は、元々はギャンブラーのランド・カルリシアンの所有する宇宙艇であったが、ハン・ソロがサバックに勝って巻き上げた物である。
ソロは只でさえ高速なこの船を更に改造し、「超高速で航続距離も非常に長い」という、ソロ曰く「銀河最速」の理想的な密輸船に仕立て上げた。結果、ハイパードライブは光速を0.5超えることができるまでになった。もっともこの改造によって修理に手間かかるようになったり、古いテレビのように叩くと調子が良くなるという個性をも身につけてしまった。
艇内には幾つもの抗探査装置を配した密輸用貨物室を持ち、ソロはこの宇宙船を駆って、上得意であったジャバ・ザ・ハットに莫大な利益をもたらしたようだ。 もっとも、ソロはその報酬に上乗せしてジャバに高額な借金をし、この船の改造に明け暮れたようである。
作中(スピンオフ作品を含む)でルーク・スカイウォーカーらから「ガラクタのかたまり」「廃船」「この船に航行許可が下りていることに驚いた」「ゴミ捨て場から拾った部品を寄せ集めたような船」などと酷評される外見だが、ソロ自身が「中身で勝負」と言う通り、コックピットとは別に砲撃手席のある4連レーザー砲(上面と下面に1基ずつ)と機体前部にあるコンカッション(震盪)・ミサイル、着陸時に使う隠し武器のブラスター・キャノンなど軍用船並みの武装を持ち、さらに強力な偏向シールドも備えるなど様々な強化が施されている。
また非常に頑丈で、「少々ぶつけたぐらい」では壊れない。もっとも、ランド・カルリシアンによるデス・スター破壊作戦の際、操縦を誤ったランドがデス・スターの内壁に衝突させ、レーダー部分を破損してしまった。
乗員の人数に関して、通常操縦は一人でも可能であるが、エピソード6『ジェダイの復讐(帰還)』で、第2デス・スター攻略時にランド・カルリシアン以下数名のクルーが乗り込んでいた事でも判る様に、実際問題として戦闘時には基本的に4~5名のクルーが必要なようだ。 これは、操縦席からレーザー・キャノンを操作すると、精度が大幅に落ちるためである。 しかし、『レイアへの求婚』(デイヴ・ウルヴァートン著・竹書房刊)では、ルーク・スカイウォーカーが「操縦士」「副操縦士」「砲手」の役目を、フォースを使って同時にこなしている。
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[編集] 設定裏話
ピザか空飛ぶ円盤を思わせる独特なスタイルのこの宇宙船は、原案段階ではスリムな棒状の物でありプロップも製作されたが、監督のルーカスが納得せず(『スペース1999』のイーグル号に似ていたのが最大の不満だったらしい)幾度もの再デザインを繰り返した後、ILMスタッフらとのランチで食べたピザに閃いたルーカスのスケッチを元に決定された。またこの際、離陸後にコクピット以外が90度回転し、マンボウの様なスタイルで飛行する案が考えられていた
なお、この時ボツになった「スリムなファルコン号」のプロップは、エピソード4冒頭でスター・デストロイヤーに拿捕される高速連絡艇ブロッケード・ランナーに流用された。
[編集] 模型
『エピソード4』では1.8メートルの撮影用プロップが製作されたが、大きすぎて撮影に不便だった為、次作では半分のサイズのモデルが新たに製作された(両者は一部プロポーションやディテール、脚の数などが異なる)。どちらも表面のディテールは他の機体と同様、多くのプラモデルの部品を用いて製作された。その他必要に応じて各種サイズが製作され、モズ・アイズリー発着場やデス・スター内部でのシーンの撮影の為に木製の原寸大プロップも製作された。また旧3部作特別篇の追加シーンの機体及び『エピソード3』に登場したYT-1300は全てCGである。
その独特のスタイルと精密なディテール、劇中での爽快な活躍から模型ファンの人気も高い機体だが、唯一のプラモデルであった米mpc社の製品はプロポーション、ディテール共に不十分な出来で、元プロップのイメージに近づけるには大幅な改造が必要であった。その後各種トイやガレージキットを経て、2005年末に日本のファインモールドから発売されたプラモデルは撮影用プロップを徹底的にリサーチして発売された決定版だと思われた。表面ディテールも本体に別部品を貼り付けていくプロップ同様の構造になっているなどのコダワリがなされ高い評価を得ている反面、プロポーションがプロップと違うものになってしまった。具体的には船体円盤部分が薄すぎ、船体前部のくちばし部分が平行である点(実物はちょっと閉じている)。この部位は船体の根幹をなす部分であるが、修正は困難であるため決定版を望んでいたファンを嘆かせた。
[編集] 関連作品
三浦建太郎の漫画『ベルセルク』の第四部には、「千年帝国の鷹編(ミレニアム・ファルコン)」の題がつけられている。『ベルセルク』は、作中に登場する超越的存在「ゴッドハンド」の名前に、海外SF作品のタイトルから引用するなどSFの影響が大きいが、これも明らかにスター・ウォーズを意識した命名である。