メイショウサムソン
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![]() 2006年5月28日 東京競馬場 |
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性別 | 牡 |
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毛色 | 鹿毛 |
品種 | サラブレッド |
生誕 | 2003年3月7日 |
死没 | 現役競走馬 |
父 | オペラハウス |
母 | マイヴィヴィアン |
生産 | 林孝輝 |
生国 | 日本(北海道浦河町) |
馬主 | 松本好雄 |
調教師 | 瀬戸口勉→高橋成忠(栗東) |
競走成績 | 16戦7勝 |
獲得賞金 | 5億6865万9000円 |
メイショウサムソン(英語表記Meisho Samson、香港表記名將森遜)は日本の競走馬。2006年の皐月賞・東京優駿(日本ダービー)の優勝馬。
目次 |
[編集] デビュー前
生まれたのが家族経営の零細牧場で、血統も父がオペラハウス、母は未勝利馬という事から地味なイメージで、なおかつ母の父もダンシングブレーヴと、最近のスピード重視の競馬の中にあっては、スタミナ型の重厚と言える血統のためかあまり注目されず、目立たない馬であった。
とある調教師がこの仔馬に素質を感じ、馬主に購入するよう推薦するも、地味な血統ゆえに断られたというエピソードもある。なかなか買い手がつかなかったが、調教師である瀬戸口勉の勧めにより「メイショウ」の冠名で有名な松本好雄が700万円で購入した。松本は後にこの仔馬に「メイショウサムソン」という馬名をつけた。「メイショウ」は明石市生まれである馬主の「明石の松本」に由来する冠名で、「名将」ともかけている。また、「サムソン」は旧約聖書に登場する怪力の持ち主として知られる士師に由来する。直木賞作家の新橋遊吉が「こんな名前どうか」と、オーナーの松本に書き送った中の一つにこの名前が含まれていた。
2歳となり瀬戸口勉厩舎に入厩。瀬戸口はメイショウサムソンのデビュー時に武豊と福永祐一に騎乗を依頼したが、それぞれ先約があったため断られた。代わりにベテラン格の騎手である石橋守にその手綱を委ねることになる。
[編集] 戦績
[編集] 2歳・3歳時(2005年・2006年)
2歳夏の小倉競馬場でデビューするが、新馬戦はアタマ差2着に惜敗。次の未勝利戦も3着で、3戦目で初勝利を挙げる。続く阪神競馬場で行われた野路菊ステークスでも、出走馬中最速の上がり3ハロン(35秒0)で勝利する。その後萩ステークスにも出走するが、2歳王者になるフサイチリシャールの4着に敗れる。さらに東京スポーツ杯2歳ステークスでも、フサイチリシャールの2着に敗れる。その後、中京2歳ステークスを1分47秒5のレコードで快勝して2歳時を終えた。2歳時の通算成績は7戦3勝。この時点では翌2006年のクラシック路線の一翼を担うことは期待されるも、決してその中心的な存在とは言えなかった。
年が明けて3歳になり、きさらぎ賞から始動するが、ドリームパスポートの2着に敗れる。続いて出走したのはスプリングステークス。ここでは既に後塵を拝していたフサイチリシャール、ドリームパスポートが1、2番人気に支持され、メイショウサムソンは4番人気にとどまる。しかし、直線では一足早く抜け出すと、相次いで追い込んできた2頭をぐっと頭を伸ばして抑えこみ、重賞初制覇を飾った。スプリングステークスの後にフサイチリシャールに騎乗していた福永祐一が「メイショウサムソンが思った以上に強くなっていた」と雑誌のコラムに書いている。
これで皐月賞の優先出走権を獲得して勇躍本番に挑むが、多くの競馬ファンや予想家は前走の勝利をレース展開に恵まれたフロックと考えており、単勝馬券は6番人気の穴馬扱いであった。しかし、そのレースでは、落ち着きを見せて5番手で折り合いをつけると、第4コーナーでは3番手に上がり、他の人気馬よりも再び早く抜け出す。今度は直線で前走ほどの接戦にはならず、内ラチ沿いを猛追してきたドリームパスポートを抑えこみ、クラシックの栄冠を手に入れた。石橋にとっては騎手生活22年目での悲願のGI初制覇であり、瀬戸口にとってもネオユニヴァースに続く2回目の皐月賞制覇、そして定年を翌年に控えてのクラシック制覇となった。
更に1番人気で迎えた東京優駿(日本ダービー)は、稍重の馬場の中、道中は先行集団につけ、直線において逃げ粘るアドマイヤメインをクビ差で差しきり2分27秒9のタイムで優勝した。前年のディープインパクトに続き、この時点における二冠馬となった。なお、小倉競馬場デビュー馬の東京優駿(日本ダービー)制覇は、これが史上初のことである。
秋は菊花賞に向けての緒戦に神戸新聞杯を選択した。最後の直線では類稀なる勝負根性を見せ、並んでいた2頭を交わし先頭に立ったものの、最後には大外から一気に追い込んできたドリームパスポートに交わされ2着となった。菊花賞では三冠を期待され1番人気に推されたが、逃げるアドマイヤメインを猛追するも届かず、ドリームパスポート、伏兵ソングオブウインドにも差され4着となり、三冠制覇はならなかった。レコードタイムが連発する速い馬場に対応できなかったという見方もあった。続いてのジャパンカップでは小雨が降る中、瞬発力が必要となる競馬となり6着に敗れた。次の有馬記念では接触する不利もあり、5着に敗れた。
[編集] 4歳時(2007年)
2007年2月をもって瀬戸口調教師が定年退職となり、高橋成忠調教師のもとへ転厩した。転厩初戦となった産経大阪杯では相手にも恵まれ、単勝1.9倍に推される。レースは人気に応え、粘るシャドウゲイトをねじ伏せダービー以来の勝利を挙げた。
[編集] 競走成績
年月日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 頭数 | 枠番 | 馬番 | オッズ (人気) |
着順 | 騎手 | 斤量 | 距離(馬場) | タイム (上り3F) |
タイム 差 |
勝ち馬/(2着馬) | ||
2005 | 7. | 31 | 小倉 | 2歳新馬 | 12 | 4 | 4 | 14.0(4人) | 2着 | 石橋守 | 54 | 芝1800m(稍) | 1:53.5(35.3) | 0.0 | グロリアスウィーク | |
8. | 20 | 小倉 | 2歳未勝利 | 9 | 8 | 8 | 4.3(2人) | 3着 | 石橋守 | 54 | 芝1800m(良) | 1:48.3(35.7) | 0.4 | エイシンチャンドラ | ||
9. | 4 | 小倉 | 2歳未勝利 | 14 | 6 | 10 | 2.2(1人) | 1着 | 石橋守 | 54 | 芝1800m(良) | 1:50.5(35.5) | -0.4 | (キングエンペラー) | ||
9. | 18 | 阪神 | 野路菊S | OP | 11 | 8 | 11 | 3.1(1人) | 1着 | 石橋守 | 54 | 芝1600m(良) | 1:36.0(35.0) | -0.1 | (タガノマーシャル) | |
10. | 29 | 京都 | 萩S | OP | 8 | 7 | 7 | 3.4(2人) | 4着 | 石橋守 | 56 | 芝1800m(重) | 1:50.0(34.8) | 0.9 | フサイチリシャール | |
11. | 19 | 東京 | 東京スポーツ杯2歳S | GIII | 11 | 6 | 6 | 18.7(5人) | 2着 | 石橋守 | 55 | 芝1800m(良) | 1:47.3(33.8) | 0.4 | フサイチリシャール | |
12. | 17 | 中京 | 中京2歳S | OP | 10 | 7 | 8 | 3.0(2人) | 1着 | 石橋守 | 57 | 芝1800m(良) | 1:47.5(34.9) | -0.3 | (トップオブツヨシ) | |
2006 | 2. | 12 | 京都 | きさらぎ賞 | GIII | 12 | 6 | 7 | 3.4(1人) | 2着 | 石橋守 | 57 | 芝1800m(良) | 1:47.5(35.0) | 0.1 | ドリームパスポート |
3. | 19 | 中山 | スプリングS | GII | 16 | 8 | 16 | 14.5(4人) | 1着 | 石橋守 | 56 | 芝1800m(良) | 1:48.9(36.2) | 0.0 | (フサイチリシャール) | |
4. | 16 | 中山 | 皐月賞 | GI | 18 | 3 | 5 | 14.5(6人) | 1着 | 石橋守 | 57 | 芝2000m(良) | 1:59.9(35.1) | -0.1 | (ドリームパスポート) | |
5. | 28 | 東京 | 東京優駿 | GI | 18 | 1 | 2 | 3.8(1人) | 1着 | 石橋守 | 57 | 芝2400m(稍) | 2:27.9(35.1) | -0.1 | (アドマイヤメイン) | |
9. | 24 | 中京 | 神戸新聞杯 | GII | 16 | 1 | 2 | 1.6(1人) | 2着 | 石橋守 | 56 | 芝2000m(良) | 1:58.1(35.0) | 0.0 | ドリームパスポート | |
10. | 22 | 京都 | 菊花賞 | GI | 18 | 6 | 12 | 2.0(1人) | 4着 | 石橋守 | 57 | 芝3000m(良) | 3:03.4(34.9) | 0.7 | ソングオブウインド | |
11. | 26 | 東京 | ジャパンC | GI | 11 | 8 | 11 | 16.0(4人) | 6着 | 石橋守 | 55 | 芝2400m(良) | 2:25.9(34.5) | 0.8 | ディープインパクト | |
12. | 24 | 中山 | 有馬記念 | GI | 14 | 5 | 8 | 21.4(4人) | 5着 | 石橋守 | 55 | 芝2500m(良) | 2:32.7(35.4) | 0.8 | ディープインパクト | |
2007 | 4. | 1 | 阪神 | 大阪杯 | GII | 11 | 3 | 3 | 1.9(1人) | 1着 | 石橋守 | 59 | 芝2000m(良) | 2:01.4(34.4) | ‐0.1 | (シャドウゲイト) |
[編集] 特徴
戦績が示すように持続力勝負や接戦になれば類いなる強さを見せる一方で、高速馬場や瞬発力勝負になると脆さを見せる。また叩き良化型の傾向があり、2006年まで休み明けのレースはいずれも敗退していたが、2007年産経大阪杯で初めて休み明けのレースでの勝利を飾った。また、大型の馬体のためか59kの斤量も苦にしなかった。
[編集] 血統表
メイショウサムソンの血統 (Sadler's Wells系(ノーザンダンサー系)、Northern Dancer 3×4=18.75%) | |||
父
*オペラハウス Opera House 1988 鹿毛 イギリス |
Sadler's Wells 1981 鹿毛 アメリカ |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Fairy Bridge | Bold Reason | ||
Special | |||
Colorspin 1983 鹿毛 イギリス |
High Top | Derring-Do | |
Camenae | |||
Reprocolor | Jimmy Reppin | ||
Blue Queen | |||
母
マイヴィヴィアン 1997 鹿毛 北海道静内町 |
*ダンシングブレーヴ Dancing Brave 1983 鹿毛 アメリカ |
Lyphard | Northern Dancer |
Goofed | |||
Navajo Princess | Drone | ||
Olmac | |||
ウイルプリンセス 1983 鹿毛 北海道静内町 |
*サンプリンス Sun Prince |
Princely Gift | |
Costa Sola | |||
エール | *フォルティノ Fortino | ||
ガーネツトF-No.3-l |
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