ルクレール
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ルクレール | |
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性能諸元 | |
全長 | 9.87 m |
車体長 | 6.88 m |
全幅 | 3.71 m |
全高 | 2.92 m |
重量 | 56.5 t |
懸架方式 | ハイドロニューマチック |
速度 | 72 km/h (整地) 55 km/h (不整地) 38 km/h (後進) |
行動距離 | 550 km (増槽装着時 650 km) |
主砲 | 52口径120mm滑腔砲 CN120-26 |
副武装 | 12.7mm重機関銃(同軸) 7.62mm機関銃ANF1(対空) Galix戦闘車両防護システム |
装甲 | |
エンジン | V型8気筒 ディーゼル + ガスタービン 1,500 hp |
乗員 | 3 名(車長、操縦手、砲手) |
ルクレール(Leclerc)はフランス陸軍の第三世代MBT。第二次世界大戦時に、ノルマンディー上陸後パリへ進撃した自由フランス軍の先鋒としてパリへ入城したルクレール将軍の名に因んで命名された。1990年からフランスの国営企業GIAT社で量産され、フランスが400両強、アラブ首長国連邦が400両弱を配備する。調達価格は740万ユーロ。
目次 |
[編集] 技術的特長
ルクレールは最も新しい部類に属するMBTであり、多くの技術的特長を有する。
[編集] 火砲
ルクレールに搭載される火砲は、主砲にF1と呼ばれる52口径比長120mm滑腔砲1門、12.7mm同軸機銃1門、砲塔上にはフランス陸軍用では7.62mm対空機銃1門、UAE軍用のトロピック・ルクレールでは車長が操作する7.62mmリモコン機銃1門である。
主砲で使われる砲弾は、OFL120F1と呼ばれるタングステン弾芯のAPFSDS、OECC120F1と呼ばれる多目的HEAT、OE120F1と呼ばれる榴弾など。主砲への砲弾装填は自動化されていて、砲塔後部の仕切られた区画にベルト式の自動装填装置があり、砲手が装填スイッチを押すと指定された砲弾を装置が選別して主砲に装填する。装置への給弾は砲塔後部の給弾用扉を開けて行い、給弾時に装置のどの部分にどの砲弾を給弾したかを端末で入力。入力された情報は制御用のコンピューターに記録され、装填時に装置が砲弾を選別するのに使われる。主砲弾は自動装填装置内に即応弾22発、操縦手席右側にある予備弾薬入れに18発納められており計40発を搭載している。また主砲同軸12.7mm重機関銃の弾薬は計950発搭載しているという。
砲は安定化されていて、レーザー測距儀や暗視装置を使って正確な射撃ができるようになっており、行進間射撃時の命中精度も高い。車長は通常、車長用視察装置を使った策敵と次目標の指定などを行うが、砲手に優先して直接射撃操作を行うことも可能。その為、視察装置を動かすコントローラーは砲手と共通のデザインで、直接射撃する時の砲操作の方法も共通である。時速40kmで動きながら距離3000mの移動する目標に対しての行進間射撃において初弾命中率95%の精度であった。また、一分以内に6目標を同時に追尾し攻撃することが可能である。そのためM1A1エイブラムスを越える攻撃能力を持つと言われ、世界最高水準の性能を実現している。
[編集] モジュラー装甲
ルクレールの車体前面及び砲塔前面には、モジュール化した複合装甲が使われている。車体及び砲塔自体は防弾鋼板を組み合わせて作り、外壁と内壁の間の空間に複合装甲を納める、陸上自衛隊の90式戦車などとほぼ同様の内装式である。砲手用照準器の直下にある装甲だけは、ボルトによって外側から装着されている方式となっている。複合装甲はセラミックスを使ったもので、重量に対する防御の効率が良い。装甲をモジュール化する目的は、装甲機能と骨格となる構造が別になることで、装甲の性能を向上させたときに容易に交換できること。また被弾し装甲にダメージを受けた時に容易に交換することができる、などである。第10ロット生産型(T10)以降からは砲手用照準器直下の装甲の形状が変わっており、何らかの防御力向上が行われたと見られている。
日本では一時期、ルクレールのモジュール化された主たる装甲は砲塔外部に金具で取り付けられる箱型の物がそうであり、メルカバのような外装式であるという認識が広まっていた。しかしフランスやUAEのルクレールに見られるあの箱型の物は、砲塔外部に取り付けられた用具収納箱であり、成型炸薬弾に対して中空装甲のような働きをする可能性はあるが主たる装甲ではない。UAEで使用しているトロピック・ルクレールでは、砲塔側面後部の箱がバスケットになっていることからも、現状では外装の箱には装甲としての能力が考えられていないのがわかる。
ただし製造元のGIAT社では、用具収納箱の部分を補助装甲に変更するプランもあるようだ。
[編集] ヴェトロニクス
ルクレールは高度なデータリンクシステムを装備しており、改修によりヴェトロニクスが強化されたM1A2エイブラムスと同等の能力を登場時から有している。この事から、ルクレールは第3世代から更に進んだ第3.5世代MBTに分類されることがある。データリンク等のヴェトロニクスの充実により、戦車部隊の効率的な運用(GPS導入以前は道に迷うなどの運用上のロスがかなりあった)や同士討ちのリスクの低減が期待される。
ちなみにヴェトロニクスとはVehicle Electronics(車輌電子工学)の簡略化された造語である。同様にアヴィオニクスはAviation Electronics(航空電子工学)の簡略化された造語である。
[編集] 動力
ルクレールは極めて独創的な動力システムを採用している。エンジンはディーゼルとガスタービンの複合機関であるUNI Diesel社製のV8Xを搭載しており、コンパクトながら1500馬力という高出力を発生、0-32km/h加速は6秒以下である。また、ガスタービンは補助動力装置(APU)として独立して作動させることが出来、9kWの電力を発生させる。近年の戦闘車輌はベトロニクスの充実により消費電力が増大する傾向にあり、待機時にAPUのみを作動させることは燃料節約のために有効である(湾岸戦争当初M1エイブラムスにはAPUが装備されていなかったため待機時にも燃費の悪い高出力ガスタービンの運転を強いられ、のちに急遽車体最後部にAPUが追加された)。また、パワーユニットが非常にコンパクトにまとめられているためルクレールは車体を小さくまとめることが出来、軽量化にも役立った。
一方、コンパクト・高出力な動力である一方で複合機関であるV8Xは複雑なシステムであり、前線デポでの修繕は困難と伝えられている。修理の際はパワーユニットごと交換(エンジン・ミッション・冷却システム一体のユニットの交換は30分程度で可能と伝えられている)するか、或いは設備の整った施設へ後退する必要があり、フランス等後方支援機能が充実した先進国以外での運用は極めて困難である。このため、アラブ首長国連邦への輸出に際しては動力を通常のディーゼルエンジンに換装し、これを収めるために車体後部が延長された。
[編集] 車両防護
ルクレールに搭載されているGalix戦闘車両防護システム(Galix combat vehicle protection system)は、1種類の発射装置から様々な弾種の弾体を発射し車両を防御するというものである。砲塔上面後部の左右に少しずつ角度を変えて取り付けられて(埋め込まれて)いる発射装置には、左右9発ずつ計18発の80mmの弾を装填できる。使用できる弾種は発煙弾(空中で破裂し赤外線遮断効果のある土色の煙幕を張る)、近接防御弾(空中で爆発し車両の周囲に迫った歩兵を撃退する擲弾)、赤外線囮弾(赤外線誘導ミサイルを欺瞞する為のフレア)がある。
[編集] ルクレール・アジュール
GIAT社は2006年6月にルクレール・アジュール(Leclerc Azur)と呼ばれる都市部での運用を考慮した仕様の車両を公開した(「Azur」は「action en zone urbaine」の略であり、フランス語で「紺碧」という意味でもある。)。車体側面前半部には複合素材で作られた増加装甲が付加され、車体側面後半部と車体後部には対HEAT用のスラット装甲のような柵状の装甲が付加されており、車体後部には更に箱状の物体が固定されている。また、砲塔後部にも柵状の装甲が付加され、それには火炎瓶による攻撃からエンジンを保護する為の板状の薄い装甲が固定されている。砲塔上面にも一部に薄い装甲が付加されている。前照灯及び方向指示器部は格子状のカバーで保護している。砲塔上面の機関銃は遠隔操作式の物と見られている。フランス陸軍は2006年末からルクレール・アジュールの評価を開始するという。
[編集] 派生車両
本車を土台に開発された派生車両として、以下のようなものがある。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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