ルパン三世 PartIII
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『ルパン三世 PartIII』(るぱんさんせいぱーとすりー)は、漫画家モンキー・パンチ原作のアニメ『ルパン三世』のTV第3シリーズである。1984年3月3日~1985年12月25日の期間に毎週土曜日19:00~19:30に放送された。
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[編集] 概要
本シリーズは、過去のTV第1シリーズ、TV第2シリーズとにおいて作品世界が確立され、また劇場映画第二作『ルパン三世 カリオストロの城』の大ヒット(映画自体の興行成績は思わしくなかった)により国民的アニメとなったルパン三世だったが、今作ではそのイメージに敢えて従わず、原作からの抜粋を中心にハード&アダルト路線を軸とした作品が目立つようになっており、全く違った一面を出したシリーズとなっている。
それを象徴するものとして、総作画監督を置かないという大胆な手法が執られていることが挙げられる。正確には歴代シリーズに通して参加しているベテランスタッフ、青木悠三が基本デザインを起こしている(ルパンのジャケット色がピンクになったのは彼の提案だと言われている)ものの、それに合わせずとも良く(通常は基本画に合わせて仕上げねばならず、かつ総作画監督は各スタジオから上がってきた原画を、基本画に沿うように修正を入れる)、各話を担当した下請けスタジオが自由な画で作品を制作するという手法で制作された。長期に及んだ第2シリーズでは制作プロダクション毎に作画の精度やスタイルに落差が生じていたが、PartIIIではそれが更に顕著になり、話のたびにキャラクターの顔を始めデザインが大きく違うことで有名なシリーズでもある。
当初全26話の予定で作られたが、好評であったため50話まで延長が決定。それまでに青木が興した基本デザインは、モンキー・パンチの原作画(漫画「新ルパン三世」時)にそっくりなリアルタッチの絵柄であったが、次第に各下請けスタジオによる独自作画が始まり、終盤に至っては(青木による基本デザインが変更されたこともあり)ポップでギャグタッチの強い画が多くなっており、キャラクターデザインも一新された。
ルパンのジャケットはピンク、次元が明るい青のスーツにオレンジのシャツ、銭形がグレーのスーツにピンクのシャツになるなど、全体的にカラーリングが明るく派手目に変更されている。本来ルパンのジャケットは白の予定だったが、前作のイメージを保つという名目で白+赤でピンクになった。また放送初期は次元が帽子を上げ、普通に目を見せる作画となっている。
なお、制作局は第1シリーズと同じ讀賣テレビ放送に戻っている。
しかし、まんが日本昔ばなし等の強力な裏番組に加えプロ野球・巨人戦の中継などの影響で、放映が多数延期されるなど放送機会に恵まれず(最大2ヶ月以上放送されなかった時期もある)、大ヒット作だったTV第2シリーズほどの人気を得られず、1年半で打ち切られた。もっとも全50話は約1年で放送する数量であるが、これを放送するのに半年間余計に掛かっている状況であり、当時の日本テレビ系列が如何に巨人戦偏重の態度を取っていたかが伺われる。また最終話である第50話「原潜イワノフの抹殺指令」は49話放送から約3ヶ月後の、本来の放送枠とは異なる時間帯に放送されるという散々な始末で終了している。なお最終回は前2シリーズと異なり、特に最終話らしい物語ではない。
シナリオ的には第2シリーズと大差ないにもかかわらず、このように不遇とも言える本放送を消化したPartIIIは、結果的に一部のファン以外の話題に上ることは希なマイナー作品となった。それに輪をかけているのが再放送等の極端な少なさや各メディアへの露出の少なさである。度重なる再放送等によって幅広い世代に受け入れられた前2シリーズと異なり、再放送回数も全国的に見て僅少であり(関東圏での地上波再放送はほとんどない)、かつ本作を特集した本や雑誌等も僅かである。比較的早い時期に全話収録ビデオソフトが発売されたにも関わらず、こうした認知度の低さによって正当な評価が下されていない作品だが、個々の作品レベルは決して低くは無い。次元が『戦争の英雄』と言われる旧友と再会したことで悲劇を生む第6話「ルパンが戦車でやってきた」、弾丸を目視で避けてしまう殺し屋との戦いを描いた第7話「死神ガーブと呼ばれた男」、五ェ門の兄弟子との決闘とその復讐劇を描く第24話「友よ深く眠れ」などは評価が高い。また、カリオストロの城のオマージュである第12話「バルタン館のとりこ」、奇才・鈴木清順が脚本を担当した怪作とも言える第13話「悪のり変装曲」、次元を主役に描いた前後編である第27話「暗号名はアラスカの星」、第28話「アラスカの星は地獄への報酬」も見逃せない作品だ。また、第34話「マンハッタン・クライシス」や、第44話「ボクたちのパパは泥棒」など、柏原寛司が脚本を担当したコメディ作品も、ギャグの切れやテンポの良さから人気が高い。
ただ、シリーズを通して銭形の扱いが極端に悪く、それが話の面白さを削いでいるという指摘もある。この為銭形ファンからは黙殺に近い扱いを受けている。
劇伴は前作と同じく、大野雄二が起用されたが、日本テレビ放送網に権利がある前作のテーマ曲は使用できなかったことから、オリジナルの曲が使用されている。エンディングテーマには、大野がかつてプロデュースしたボサノヴァ歌手、ソニア・ローザを起用している。
なお、本作放送中の1985年7月には、劇場映画第三作『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』が公開された。
[編集] スタッフ
- 原作:モンキー・パンチ
- 音楽:大野雄二
- 作画監修:青木悠三
- 撮影監督:長谷川肇
- 美術監督:石垣努
- 音楽監督:鈴木清司
- 録音監督:前田正信
- 編集:鶴渕允寿、高橋和子
- プロデューサー:松元理人
- 製作担当:早乙女弘
- シリーズ構成:飯岡順一、小野田博之
- 選曲:合田豊
- タイトルデザイン:具秀夫、田上淑子
- 製作進行:篠原俊哉、柳内一彦、水沼健二、長井圭次、山口願房、横溝隆久、榎本昌彦、森重男、吉岡昌仁、佐藤育郎、姫野利允
- 録音:東北新社
- 現像:東京現像所
- 音響:宮田音響
- 連載誌:パワァ・コミックス、100てんランドコミックス、アクションコミックス(双葉社刊)
- 放送局:よみうりテレビ・日本テレビ系全国ネット
- 制作:よみうりテレビ・東京ムービー新社
[編集] 声の出演
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ:「セクシー・アドベンチャー」
- エンディングテーマ:「フェアリー・ナイト」
- 作詞:宮原芽映
- 作曲・編曲:大野雄二
- 唄:ソニア・ローザ
[編集] サブタイトル一覧
回 | サブタイトル | 放送日 | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 金塊はルパンを呼ぶ | 1984年3月3日 | 大和屋竺 | 青木悠三 | 青木悠三 | 荒木伸吾 |
2 | 大いなる罠を暴け | 1984年3月10日 | 高階航 | こだま兼嗣 | こだま兼嗣 | 小川博司 |
3 | こんにちは 地獄の天使 | 1984年3月17日 | 金子裕 | 青木悠三 | 橋本三郎 | 田中平八郎 |
4 | テレパシーは愛のシグナル | 1984年3月24日 | 高階航 | 鍋島修 | 鍋島修 | 松原京子 |
5 | 五右ェ門無双 | 1984年4月7日 | 金子裕 | 中村亮之助 | 板倉則子 | 高田三郎、柳野龍男 |
6 | ルパンが戦車でやってきた | 1984年5月19日 | 高屋敷英夫 | こだま兼嗣 | こだま兼嗣 | 神村幸子 |
7 | 死神ガーブと呼ばれた男 | 1984年5月26日 | 金子裕 | 吉田しげつぐ | 吉田しげつぐ | 荒木伸吾 |
8 | 聖母マリアの脱出作戦 | 1984年6月9日 | 萩田寛子 | 奥脇雅晴 | 奥脇雅晴 | 高田三郎 |
9 | コピー人間は高くつく | 1984年6月16日 | 高屋敷英夫 | 橋本三郎 | 橋本三郎 | 小川博司 |
10 | 秘宝は陰謀の匂い | 1984年6月23日 | 佐野寿人 | こだま兼嗣 | こだま兼嗣 | 神村幸子 |
11 | ルビーは血の汗を流す | 1984年7月7日 | 平野靖士 | 板倉則子 | 板倉則子 | 柳野龍男、尾鷲英俊 |
12 | バルタン館のとりこ | 1984年7月28日 | 金春智子 | 鍋島修 | 鍋島修 | 松原京子 |
13 | 悪のり変装曲 | 1984年10月20日 | 鈴木清順 | 吉田しげつぐ | 吉田しげつぐ | 田中平八郎、高田三郎 |
14 | 誘拐ゲームはお好き | 1984年10月27日 | 平野靖士 | 橋本三郎 | 橋本三郎 | 小川博司、尾鷲英俊 |
15 | 殺しが静かにやってくる | 1984年11月3日 | 大川俊道 | 亀垣一 | 亀垣一 | 亀垣一 |
16 | 黄金のリンゴには毒がある | 1984年11月10日 | 園田英樹 | こだま兼嗣 | こだま兼嗣 | 神村幸子 |
17 | 結婚するって本当ですか | 1984年11月17日 | 高階航 | 曽我部孝 | 曽我部孝 | 田中平八郎、高田三郎 |
18 | ショータイムは死の香り | 1984年11月24日 | 桜井正明 | 青木悠三 | 青木悠三 | 柳野龍男、尾鷲英俊 |
19 | 裏切りの荒野を走れ | 1984年12月1日 | 大川俊道 | こだま兼嗣 | こだま兼嗣 | 神村幸子 |
20 | 過去を消した男 | 1984年12月8日 | 菅孝行 | 鍋島修 | 飯島正勝 | 松原京子、本橋秀之 |
21 | さらば黄金伝説 | 1984年12月15日 | 大久保昌一良 | 甲賀電 | 荻原露光 | 尾鷲英俊 |
22 | ダイヤに炎は似合わない | 1984年12月22日 | 平野靖士 | 曽我部孝 | 曽我部孝 | 柳野龍男 |
23 | ベイルート移動銀行強奪作戦 | 1984年12月29日 | 金子裕 | 小川博司 | 小川博司 | 小川博司 |
24 | 友よ深く眠れ | 1985年1月12日 | 大久保昌一良 | 亀垣一 | 亀垣一 | 本橋秀之 |
25 | 俺たちは天使じゃない | 1985年1月19日 | 高階航 | 甲賀電 | 荻原露光 | 尾鷲英俊 |
26 | ニューヨークの幽霊 | 1985年1月26日 | 浦沢義雄 | 青木悠三 | 青木悠三 | 青木悠三、柳野龍男 |
27 | 暗号名はアラスカの星 | 1985年2月2日 | 金子裕 | ケン・タロウ | 荻原露光 | 青木悠三 |
28 | アラスカの星は地獄への報酬 | 1985年2月9日 | 金子裕 | 荻原露光 | 荻原露光 | 浪花京子 |
29 | 月へハネムーンに行こう | 1985年2月16日 | 大和屋竺 | 荻原露光 | 荻原露光 | 森中正晴 |
30 | カクテルの名は復讐 | 1985年2月23日 | 平野靖士 | 曽我部孝 | 曽我部孝 | 青木悠三、柳野龍男 |
31 | 逆転 逆転 また逆転 | 1985年3月2日 | 田口成光 | 甲賀電 | 飯田つとむ | 尾鷲英俊 |
32 | 1000万ドルの鍵 | 1985年3月9日 | 柏原寛司 | 鍋島修 | 荻原露光 | 松原京子 |
33 | 天才少年の危険な遊び | 1985年3月16日 | 宮下隼一 | 荻原露光 | 荻原露光 | 柳野龍男、曽我部孝 |
34 | マンハッタン・クライシス | 1985年3月23日 | 柏原寛司 | 甲賀電 | 飯田つとむ | 尾鷲英俊 |
35 | ターゲットは白銀の果てに | 1985年3月30日 | 宮下隼一 | 曽我部孝 | 曽我部孝 | 青木悠三、森中正晴 |
36 | 鷲の舞い降りる時 | 1985年4月6日 | 橋本以蔵 | 柏原寛司 | 荻原露光 | 北原匠、柳野龍男 |
37 | 父っつぁん大いに怒る | 1985年4月20日 | 金子裕 | 荻原露光 | 荻原露光 | 小林勝利、曽我部孝 |
38 | 俺を愛したレティシア | 1985年4月27日 | 宮下隼一 | 鍋島修 | 飯島正勝 | 北原匠、青木悠三 |
39 | ライバルに黄金を | 1985年5月11日 | 高階航 | 甲賀電 | 飯田つとむ | 尾鷲英俊 |
40 | 一枚のお宝で大混戦 | 1985年5月25日 | 平野靖士 | 曽我部孝 | 曽我部孝 | 柳野龍男 |
41 | 戒厳令の夜 | 1985年6月8日 | 金子裕 | 荻原露光 | 荻原露光 | 尾鷲英俊 |
42 | ピラミッドの保険金を奪え | 1985年6月22日 | 大久保昌一良 | 飯島正勝 | 戯家六夫 | 関町北三 |
43 | さらばシンデレラ | 1985年6月29日 | 高階航 | 甲賀電 | 飯田つとむ | 尾鷲英俊 |
44 | ボクたちのパパは泥棒 | 1985年7月6日 | 柏原寛司 | 亀垣一 | 飯島正勝 | 井上昭子 |
45 | コンゲームに乾杯 | 1985年7月20日 | 新井光 | 飯島正勝 | 飯島正勝 | 井上昭子 |
46 | 俺の翼はスクラップ | 1985年7月27日 | 宮下隼一 | 高本宣弘 | 高本宣弘 | 辻初樹 |
47 | 一枚の迷画 | 1985年8月17日 | 佐川久人 | 川島三郎 | 川島三郎 | 柳野龍男 |
48 | ハディスの涙 | 1985年8月31日 | 中村勝行 | 奥脇雅晴 | 奥脇雅晴 | 青木悠三 |
49 | とっつぁんが養子になった日 | 1985年9月28日 | 浦沢義雄 | 甲賀電 | 飯田つとむ | 尾鷲英俊 |
50 | 原潜イワノフの抹殺指令 | 1985年12月25日 | 柏原寛司 | 青木悠三 | 荻原露光 | 青木悠三 |
[編集] 補足事項
- 第43話『さらばシンデレラ』
- 最初の方でルパンが遊んでいたゲームは「ゼビウス」である。
- 王妃の葬式のシーンでルパンが読んでいた雑誌「SCREEN」の背表紙に、「ルパン三世 バビロンの黄金伝説」の広告が載っている。
[編集] ネット局
- よみうりテレビ(製作局)
- 日本テレビ
- 札幌テレビ
- 青森放送
- 秋田放送
- テレビ岩手
- 山形放送
- 宮城テレビ放送
- 福島中央テレビ
- テレビ新潟放送網
- テレビ信州
- 山梨放送
- 静岡第一テレビ
- 中京テレビ放送
- 北日本放送
- 石川テレビ
- 福井放送
- 日本海テレビ
- 西日本放送
- 四国放送
- 高知放送
- 南海放送
- 広島テレビ放送:プロ野球広島東洋カープ戦中継の関係で(巨人戦差し替え以外)後日遅れネットの場合もあった。数少ない再放送実施局の一つ(第1・第2シリーズに続けて放送)
- 山口放送
- 福岡放送
- テレビ長崎
- くまもと県民テレビ
- テレビ大分
- テレビ宮崎
- 鹿児島テレビ
- 沖縄テレビ放送
[編集] 関連項目
日テレ系(ここまではytv制作) 土曜19時台前半 | ||
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