ロスト・ユニバース
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ロスト・ユニバース | |
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ジャンル | スペースオペラ |
小説 | |
著者 | 神坂一 |
イラスト | 義仲翔子 |
出版社 | 富士見書房 |
レーベル | 富士見ファンタジア文庫 |
巻数 | 全5巻 |
漫画 | |
原作・原案など | 神坂一 |
作画 | 義仲翔子 |
出版社 | 角川書店 |
巻数 | 全4巻 |
テレビアニメ | |
原作 | 神坂一 |
監督 | 渡部高志 |
企画 | 今西和人 |
シリーズ構成 | 神坂一 関島眞頼 山田靖智 |
脚本 | 山田靖智 高山治郎 植竹須美男 佐藤勝一 玉井豪 |
キャラクターデザイン | 義仲翔子、宮田奈保美 |
メカニックデザイン | 鈴木勤 |
アニメーション制作 | イージー・フイルム |
製作 | テレビ東京 テレビ東京メディアネット |
放送局 | テレビ東京系列 |
放送期間 | 1998年4月3日 - 1998年9月25日 |
話数 | 全26話 |
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『ロスト・ユニバース』(LOST UNIVERSE)は、富士見ファンタジア文庫から刊行されている神坂一のライトノベル。また、これを原作とするアニメ、漫画作品である。
原作のイラストは義仲翔子。
目次 |
[編集] 概要
ロストシップ・ソードブレイカーに乗るトラブル・コントラクター(厄介ごと請負人)のケインとミリィが巨大企業ゲイザー・コンツェルンを隠れ蓑にした巨大犯罪組織ナイトメアと戦うスペースオペラ。挿絵及び漫画版は義仲翔子。
この原作については、ライトノベルの制約下に於けるアクションタイプのスペースオペラとしては1990年代後半の作品の内でも佳作的存在として挙げられる事が多く、現在でも比較的評価が高い。
1998年には同タイトルでテレビアニメ化されている。スポンサーに角川書店とキングレコード、制作会社がイージー・フイルム、監督に渡部高志、キャラクターデザインが宮田奈保美、声優に林原めぐみと、1995年より放映されて好評を得たテレビアニメ『スレイヤーズ』シリーズと同様の布陣であり、その成功の延長線上にある企画であった。セルアニメーションとCGアニメーションを場面に応じて使い分ける方法をとった。『スレイヤーズNEXT』『スレイヤーズTRY』など、オープニング・エンディングのみにCGを使っていたというテレビアニメの例は本作以前にもあるが、作品本編内で使用した例としては最も初期のものでもあり、画期的なものであった。CGパートはDoGAが手がけた。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
- ケイン・ブルーリバー (声:保志総一朗)
- 祖母から譲り受けたロスト・シップ「ソードブレイカー」を駆る腕利きのトラブルコントラクター。茶髪の美形。何事にも前向き(?)で、計画よりまず行動、というタイプ。口より先に手が出る。自らのポリシーから常に黒いマントを着ており、目立つ事この上ない。本人はこれをかっこいいと思っているらしく、馬鹿にされると怒り、たいていの場合殴り合いに発展する。これまた自らの美学から、精神力をエネルギーにする剣「サイ・ブレード」を好んで使用する。刃物マニアで切り裂きジャックが心の師匠らしい。
- ミレニアム・フェリア・ノクターン (声:柊美冬(現・石村知子))
- 通称ミリィ。金髪をショートカットにしている女性。元は探偵社に勤めていたが仕事に失敗したためクビになり、ひょんなことからソード・ブレイカーの乗組員となる。射撃の名手。また料理の腕はプロ級だが、何故か料理をする度キッチンを壊滅状態にしてしまう。但しアニメと原作では微妙に違い、アニメはキッチンを爆破しながら料理をするのに対し、原作では意味不明の物を壊しながら料理する(圧力鍋を爆発させたピザ、計量カップを溶かしたハンバーグステーキ、フライパンに穴を開けたグラタン等)。趣味は釣りで、「海と言えば磯釣り」というほど。本名はミレニアム=フェリア=スターゲイザー。スターゲイザーの実の孫である。
- キャナル・ヴォルフィード (声:林原めぐみ)
- 銀色(アニメでは緑色)の髪をもつ美少女の姿をしているがそれは立体映像(原作ではただの映像で船外活動も不可、アニメでは物を触る事ができ船外活動も可能)であり、本体は、ケインの宇宙船ソード・ブレイカーの中枢制御システム。大昔に失われた技術で造られた遺失宇宙船(ロスト・シップ)であり、その性能は現行の宇宙船をはるかに凌ぐ。だが、「おしゃれのため」に役に立たない武装を買ったり、ネットに流れるトンデモ系の情報収集が趣味だったりと、性格はかなり人間的(ケインの祖母アリシアの影響ではないかと思われる)でやたらと凝り性。酸素系などのライフラインを含むソード・ブレイカーの操作の全てを握っている為、こと自船内にいる限りその立場は一番強かったりする。
- 原作小説ではキャナルという名前は、魔王自身の武器「烈光の剣」を用いて魔王を倒した天使の名前から取ったとされ、立体映像のモデルは開発関係者の映像記録データを元にしている。
- また、当時人気絶頂で主題歌も担当した林原めぐみが声を当てていた事もあり、アニメでは原作以上に目立っているという声も少なくない。
- 原作小説のイラストにおいて、初期は「巫女風」のデザインであったが、アニメとマンガでは「メイド風」に変更された(船体のデザインも初期は双頭ではなかった)。
- レイル・フレイマー (声:緑川光)
- ユニバーサルガーディアン(宇宙警察)の若きエリート。黒髪の美形。階級は警部。専用の宇宙船「青い聖騎士(ブルー・パラディン)」を指揮する。ケインとは腐れ縁である。女性に弱い。実は「ナイトメア」と通じており、裏で捜査の情報を流したりもしている。アニメ、マンガ、原作小説ではそれぞれ人物描写や物語の中で果たした役割について大きな差異がある。
- ニーナ・メルキオーレ (声:鈴木真仁)
- アニメとマンガのみに登場する。金髪をポニーテールにしたそばかすがかわいい女の子。ユニバーサルガーディアンに勤める警官。レイルの助手(秘書)をしている。アニメではケイン達と共にナイトメアと闘った。触った機械はショートを起こす(アニメのみの設定)。
- カーリー (声:根谷美智子)
- アニメオリジナルキャラクター。黒髪の美人でナイトメア所属の電磁鞭(電流を流した金属製の鞭)を使う凄腕の暗殺者。ケインと一度戦いそれ以来彼を倒す事を目的としている。
- 紅蓮翁 (声:茶風林)
- アニメオリジナルキャラクター。白髪の老人。ケインとソードブレイカーを何度も葬ろうとするがその度に失敗。
- アルバート=ヴァン=スターゲイザー (声:中田譲治)
- 犯罪結社「ナイトメア」の総帥。人間離れした存在であり、配下の者から畏敬されている。その正体と目的は…。
- 闇を撒く者 (声:松本保典)
- 謎の男。サイ・ブレードの名手。
- アリシア・ブルーリバー (声:さとうあい)
- ケインの祖母で、ソードブレイカーの先代の所有者。故人。ケイン以外には「マリア」という偽名を名乗る。本名はアリシア=ツォン=スターゲイザー。スターゲイザーの実の妹である(つまりケインとミリィは再従兄妹という事になる)。その人となりは作中では語られていないが、彼女こそはキャナルが最初に接触した人類であり、キャナルの「人格」のかなりの部分は彼女の影響によるものではないかと推測される。
[編集] 主な登場兵器
- 195m級宇宙船ソードブレイカー(戦闘封印艦ヴォルフィード)
- 先史文明によって製造された遺失宇宙船(ロスト・シップ)。伝説の魔王“闇を撒くもの”(ダークスター)と対立する神である、漆黒の竜神(ナイト・ドラゴン)ヴォルフィードにちなんで命名された。人間の「希望」をエネルギー源とするシステムを有し、デュグラディグドゥらのエネルギーを相殺して機能停止に追い込み「封印」する事ができる(引き替えに自らも機能停止するが)。暴走したデュグラディグドゥに差し向ける為に建造されたが、発進直前に対立陣営の攻撃で基地を破壊され、瓦礫の下敷きとなる。自己進化による試行錯誤を重ねてようやく脱出した時には、既に人類は滅亡した後だったが、デュグラディグドゥの封印に成功、その後に発生し進化した現在の人類によって発掘されるまで、共に眠りについていた。
- キャナルが趣味で購入したバルカン砲などの現代技術による通常武装も装備されているが、本来の武装はリープ・レールガン(弾丸が転移装置になっており、命中した箇所の周囲、半径50mをえぐり取って虚空へ放逐する)、サイ・ブラスター、サイ・バリアを利用した高出力プラズマ・ブラスト。リープ・レールガンの弾丸は現在の技術では製造不可能で、ソードブレイカー内の自動修復システムを使用して生産する(1発の生産にフル稼働で約1時間かかる)。
- 300m級攻撃艦ガルヴェイラ
- デュグラディグドゥの護衛無人艦の一隻。魔王の武器“颶風弓”にちなんで命名された。特に特徴を与えられていない機体であるが、それゆえ恐らく火力、防御力、機動性の全てが5機の平均として設定されたバランスの良い機体と推測される。
- 300m級機動殲滅艦ネザード (声:梁田清之)
- デュグラディグドゥの護衛無人艦の一隻。魔王の武器“毒牙爪”にちなんで命名された。主な武装はニードルレーザー。機動性(巡航能力)が高いと推測される。
- 410m級重砲撃艦ゴルンノヴァ (声:曽我部和恭)
- デュグラディグドゥの護衛無人艦の一隻。魔王の武器“烈光の剣”(これが「スレイヤーズ」の「光の剣」と同じものだとされている)にちなんで命名された。多数のビーム砲を装備し、空間を歪めての「空間レンズ」で収束して威力を高めたり、拡散させて広範囲を攻撃したりする事が可能。また、弾道が歪曲されてしまう為、リープ・レールガン以外の攻撃手段では有効打を与える事は困難。ただし、艦首の「目」付近だけは外部の様子を「見る」為に歪曲の対象外であり、ここが弱点となっている。
- 170m級機動駆逐艦ラグド・メゼギス (声:掛川裕彦)
- デュグラディグドゥの護衛無人艦の一隻。魔王の武器“瞬撃槍”にちなんで命名された。慣性中和システムの働きでロストシップの常識でもありえないほどの急激な機動が可能。その替わり武装は貧弱。ケインいわく「二等辺三角形」。アニメでは、プラズマ・ブラスト顔負けの超兵器・グラビトン砲を搭載したことにより火力が大幅に強化され、更にカーリーの命令に対して「かしこまりました、女王様」と復唱するなど、性格が非常に人間臭いものになっている。
- 550m級超長距離砲撃艦ボーディガー
- デュグラディグドゥの護衛無人艦の一隻。魔王の武器“破神槌”にちなんで命名された。照準チップによる補正によって、超長距離での精密砲撃が可能。本来は一度発射するとエネルギーチャージに時間がかかり、連続発射はできないが、ヘカトンケイルと接続してエネルギー供給を受ける事で連射が可能となっている。
- 20km級巨大戦艦ヘカトンケイル
- 犯罪結社「ナイトメア」の本拠地としてスターゲイザーが建造させた軌道ステーション。6隻のロスト・シップの基地でもあり、ヘカトンケイル自体もロスト・シップの技術を使用して建造されている為(ゴルンノヴァの空間レンズによる攻撃と防御、ラグド・メゼギスの慣性中和による移動、強靭な外壁など)、絶大な戦闘力を誇る。また、デュグラディグドゥらと接続してエネルギーを供給する事で、ヴォルフィードの相殺・封印システムを無効化できる(デュグラディグドゥらとはエネルギーが違う為相殺できない)。
- 生体殲滅艦(ダークスター)デュグラディグドゥ
- 古の魔王にちなんで命名された。あらゆる生命体の活動を停止させる「システム・ダークスター」を搭載している。これが発動すると乗組員であっても無差別に抹殺してしまう為、無人艦とされた。長期の戦闘行動を可能とする為、人間の意識、それも戦場で収集しやすい怒り、憎しみ、そして何より「恐怖」をエネルギーとするシステムも搭載された。本体の「システム・ダークスター」以外の戦闘力は無きに等しく、その為5隻の護衛艦が合わせて建造された。実験航海に出た直後に異常が生じ、発進してきた基地を壊滅させたのを手始めに、自らを創造した先史文明の人類を絶滅に追い込んだ。
- アントリュ
- コミックス版「ロスト・ユニバースすぺしゃる」に登場。
[編集] 既刊一覧
ロスト・ユニバース(全5巻)
- 幻夢目覚める ISBN 4829124784
- 妖夢蠢く ISBN 4829125160
- 凶夢ざわめく ISBN 4829125632
- 悪夢生まれる ISBN 4829128097
- 闇 終わるとき ISBN 482912881X
[編集] 漫画
著:義仲翔子、作:神坂一。
- ロスト・ユニバース 1 : 1998年4月6日初版発行 ISBN 4-04-712157-6
- ロスト・ユニバース 2 : 1999年1月29日初版発行 ISBN 4-04-712185-1
- ロスト・ユニバース 3 : 1999年11月30日初版発行 ISBN 4-04-712206-8
- ロスト・ユニバースすぺしゃる : 2002年11月28日初版発行 ISBN 4-04-712311-0
[編集] アニメ
1998年4月3日から9月25日までテレビ東京系列で放送された。全26話。
当時は原作小説が未完結だった事もあり、敵のボス級艦船が全滅していないなど、シリーズ化への意識を多分に残しながら終了しているが、続編が製作されていない。後述するが、品質面で問題を抱えた作品である。
[編集] スタッフ
- エクゼクティブプロデューサー:角川歴彦
- 企画:今西和人
- シリーズ構成:神坂一、関島眞頼、山田靖智
- 脚本:山田靖智、高山治郎、植竹須美男、佐藤勝一、玉井豪
- キャラクターデザイン:義仲翔子、宮田奈保美
- メカニックデザイン:鈴木勤
- サブニックメカデザイン:大澤政典
- 美術監督:中原英統
- 色彩設定:金野広幸
- 撮影監督:神山茂男
- 編集:田熊純
- 音楽:手塚理
- 音響監督:藤野貞義
- オリジナルサウンドトラック:スターチャイルドレコード
- アニメーションプロデューサー:岡田修一
- プロデューサー:小林教子→森村祥子(テレビ東京)、矢崎裕美子→山川正樹(テレビ東京メディアネット)
- 監督:渡部高志
- 助監督:加藤洋人
- アニメーション制作:イージー・フイルム
- 製作:テレビ東京、テレビ東京メディアネット
[編集] 主題歌
- オープニング「-Infinity-∞」
- 歌:林原めぐみ/作詞:Megumi/作曲:佐藤英敏/編曲:添田啓二
- エンディング「Extrication」
- 歌:林原めぐみ/作詞:有森聡美/作曲・編曲:大森俊之
[編集] サブタイトル
- 光刃(ひかりのやいば)輝く
- 女神翔ぶ
- 厨房踊る
- ヤシガニ屠る(LD版では、「涙雨果てる」の次の話となる)
- 光炎轟く
- 駄天使疾る
- 棋士まみえる
- ニーナ窮す
- 厠消ゆ
- 流浪決する
- 朋友散る
- 涙雨果てる
- 追憶巡る
- 恐怖ささやく
- 悪夢現る
- ミリィ欲する
- 警部ブッ飛ぶ
- 無頼流れる
- 闇誘う
- 想い届かず
- 氷原燃える
- 宿命紡ぐ
- 阿修羅来たる
- 乙女還る
- 聖魔相撃つ
- そして…光刃輝く
[編集] ヤシガニ問題
1998年4月より放送された本作品のアニメについては、放送開始当初から様々な品質的な問題を指摘されてきたが、その中でも第4話「ヤシガニ屠る」の回で発生した作画の問題にまつわる出来事である。いわゆる「三文字作画」にまつわる問題の代表格として『ヤシガニ事件』などとも呼ばれる。
この回の作画は全般的にデッサンが崩れ、動きが抑制されており、固まったキャラクターが瞬間移動しているように見える。例をいくつか挙げると、座ったキャラクターが立ち上がる動きが「座った絵」と「立った絵」の2枚だけで構成され動作の中間や予備動作の絵が存在しない場面、走る動きが「右足を前に出した絵」と「左足を前に出した絵」の2枚のみで構成された場面、人が集まった中でヒロインが「押さないでよ」と言うが周りの人間は完全に静止しており「押している」者は誰もいないという場面などがあった。他にも飛び散った破片が空中で静止していたり、直前のカットで持っていた物が視点が変わった途端、消えるなどした。
1980年代前半のテレビアニメ『超時空要塞マクロス』、1980年代末の『天空戦記シュラト』でも似たような事態が発生したものの、リアルタイムに視聴した者以外はほとんど知る事は無かった。インターネットの普及期に放送された本作は、視聴していない者が後になってインターネット上に公開された画像で事態を再確認できたこと、監督の渡部高志が自ら開設していたウェブサイト「アニメの骨壺」内で事情を詳らかにしたことなどから、未完成のまま上映された1999年のアニメ映画『ガンドレス』と共に放送終了後も語り継がれている。
この作品は時期的に、従来のセルアニメから、CGによるデジタルアニメへの過渡期の始まりに位置する作品で、両者をカット・場面によって使い分ける手法を採用していた。CG部分については日本国内の専門のプロダクション、セル画部分の作画については1話単位で韓国のアニメスタジオに外注していたが、その第4話放送分のセル画アニメーションの部分において完成度の低い作画、演出の破綻・手抜きが多数発生した。しかも、韓国からのセル画の納品の大幅な遅れと、日本での放映期日までの期間的な問題から手直しを行うことができず、そのままの状態で放送せざるを得なくなり、その作画水準の低さが問題となった。また、放送局のテレビ東京も批判を浴び、これ以降のアニメ番組の品質管理にも影響を与えた。
この品質破綻については、韓国の下請業者の技術の低さが問題の最大の原因ではあるが、その他にも、企画の立ち上げから放送までの期間の短さによる制作スタッフの準備不足と、それによるキャラクター・メカニックの設定やコンテなどの指定の大幅な遅れ、製作管理体制の混乱、さらに最初から低予算での制作を予定されていたとはいえ、甘い見通しとミスによる大幅な予算不足なども、この事態を引き起こした背景として挙げられている。また、本作に於けるキングレコード(スターチャイルド)を始めとする当時のメディアミックスの中核にあった企業の多くにおいて、メディアミックス展開として作品の旬を逃さない為に、アニメ企画の立案から放映までの日程をかなり厳しく組む事が常態化しており、そのしわ寄せがアニメーション実製作を担う企業に来ていたと言われており、当時のメディアミックスに関するアニメ業界の構造的な問題が、最も顕著な形で現れたのが本作であった、という見方も少なくない。
全話の制作終了後、CS放送のアニメ専門チャンネルでの再放送やDVD版収録のために、この第4話のセル画アニメーション部分の映像については、総作り直しに等しい修正作業が行われた。しかし、時間的に余裕の無かったCS放送のAT-Xでの初回放送時には、第12話の次に順番を入れ換えられて放送されるという異例の事態となった。この修正作業は日本国内で行われたが、事実上は日本側スタッフ有志のボランティア作業であったと言われる。ちなみに、第4話についてはあまりの出来の悪さから再放送などでは欠番にされるのではないかと、当時のインターネット上では多くの者が予想しており、修正作業が行われた事は、当時は驚きをもって受け止められていた。
テレビ地上波での作画問題は衝撃的で、アニメファンの間では本作を語る場合、ストーリーなど内容そっちのけでまずこのヤシガニ問題が語られる事が多い。これが影響してDVDの売上が低調だったとも言われる。また、この問題がアニメ放送当時にまだ未完だった原作小説の評価にまで悪影響を及ぼした可能性もある。同じ作者の小説『スレイヤーズ』のアニメが高評価で、原作も長期シリーズ化できたのとは対照的な末路であると、原作ファンは少なからず感じていた様で、原作完結当時のインターネット上では、「アニメの低評価が、原作を全5巻で終わらせる原因になった」という見方も多く存在していた(実際にはアニメ企画が上がる前から「敵の数を明言した為全5巻」とあとがきに記されていた。だが、アニメ企画化が報じられた当時は、少なからぬ原作ファンがアニメの成功で、『スレイヤーズ』の様に長期シリーズ化される事を期待していた)。
多くの原作ファンから、アニメ版は存在自体を否定され、無かった事にされている。この問題を起こした事で、本作のアニメーションを制作したイージー・フイルムは信用を大きく失墜し、後に倒産。その遠因に本作の問題もあるとされている。
アニメ放映終了後間もない頃、原作者の神坂一が、この一件でアニメ業界に対して強烈な不信感を抱いているという噂がインターネット上などで囁かれた事もある。噂の真偽の程は定かではないが、本作以後、神坂一の作品についてはテレビアニメ化されたものはない。
[編集] スレイヤーズとの関連
原作者が同じ『スレイヤーズ』作品中で言及されている、異世界の神や魔王やその腹心と同名の船が本作品中には登場している。それらは伝説にちなんだ命名に過ぎないと作中にて説明されており、原作の両作はあくまで無関係であるということになっている。
一方、アニメ版はスタッフ・キャスト共に、テレビアニメ版『スレイヤーズ』シリーズから事実上続投(同作の主要キャラであるリナ、ガウリイ、アメリア、ゼルガディスの声優は4人とも本作にも出演している)しており、そのため作中で「SLAYERS」という名の、リナ=インバースと思しき、人物の絵のラベルが張られた酒が登場(第12話)したりもしている。設定も、原作とは異なり、同一の世界観の延長線上にあるものとされている(ちなみに、『スレイヤーズTRY』にはこれをにおわす描写が見られる)。
ちなみに、原作ではケインが「『悪党に人権は無い』と二十世紀の文献に書かれている」と発言しているが、これは「スレイヤーズ」シリーズの主人公リナの代表的な決めゼリフの一つである。
[編集] 放送局
[編集] 同時ネット
テレビ東京-テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TXN九州
[編集] 時差ネット
テレビ東京系 金曜18:30枠 | ||
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前番組 | ロスト・ユニバース | 次番組 |
バトルアスリーテス 大運動会 | 彼氏彼女の事情 | |
キッズステーション 水曜24:30 すたちゃまにあ後半枠 | ||
まほらば Heartful days | ロスト・ユニバース | アニぱら音楽館 (すたちゃまにあ枠外) |
[編集] 外部リンク
- スタジオ猫南蛮@original(アニメーション制作スタッフのサイト)
- DoGAサイト内のロスト・ユニバースのページ
[編集] ヤシガニ問題関連
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