ロータス88
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ロータス88とは、ロータスがデザイン・製造したF1カーである。ツインシャーシとして知られるが、レースには出走することが叶わなかった。
[編集] 概要
ロータス88が構想されていた時代、F1におけるデザイン上の中心的問題はグランド・エフェクトであった。グランド・エフェクトの先鞭をつけたロータスは、ロータス78、ロータス79の成功のあと、より完成したグランド・エフェクトの追及という課題において、風洞実験における理論的なグランド・エフェクトと実践におけるポーパシングといった問題をはらんだ現実の間において失敗を重ねていた。又、当時のグランド・エフェクトカーがサスペンションという基本的な構成部分における硬直化という部分においてもコーリン・チャップマンは腐心していた。グランド・エフェクト化によってスカート部分以外、セッティングすべき部分が失われていったからである。
グランド・エフェクトを獲得する部分としてのサイドポンツーンを含むアッパーカウルをシャーシから分離し、ドライバーの乗るモノコックとはスプリングを介してフローティングマウントされていた。有効な速度域に達するとアッパーカウルは沈み、グランド・エフェクト効果を発揮するが、ノーマルなレートのサスペンションによるドライバーの乗り心地及び安全性の確保と性能を両立するというのがロータス88の狙いであったが”空力装置は可動不可”(ロータスはシャシーそのものが上下動するのであるから合法であるとの主張)のルールで葬り去られた。