ローハン
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ローハン(Rohan古くはロハンド(Rochand))は、J・R・R・トールキンの『指輪物語』などに登場し、騎馬と騎兵で名高いゴンドールの最も重要な同盟国である架空の国。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 歴史
第三紀(T.A.)1200年代、ゴンドールの王たちはロヴァニオンに住む北国人と親密な同盟を結んだ。かれらは第一紀のエダイン三家(後のドゥーネダイン)に近い人々であった。
2000年代に、自身をエオセオドと呼ぶ北国人の残りの部族は、アンドゥインの谷から闇の森の北西へ移住し、霧ふり山脈の東の破られて間もないアングマール魔王国の残滓を一掃した。そこで、龍スカサの蓄えた宝についてドワーフとの間に諍いが生じた。
その後、2509年に、中つ国の北東からの人間とモルドールからのオークの侵入に対処するための援助を求め、ゴンドールの執政キリオンがエオセオドを召集した。
後の青年王エオル、エオセオドの君主が召集に応じ、ケレブラントの野の決戦で予期しない時に到着した。
報酬として、エオルはカレナルゾンの平原を得た。また、かれは移住しそこに王国を創った。この土地は以前は本来ゴンドールの一部だったが、1636年の疫病で荒廃し、さらに上記の侵入で生存者が減少していた。
第一王家は第九代の槌手王ヘルムが死ぬまで249年間続いた。かれの息子は以前に死んでいた。そして、かれの甥フレアラーフ・ヒルデソンは、第二王家を開き、第三紀の終了まで続いた。
2758年に、ローハンにウルフに率いられた褐色人(びと)が侵入した、かれは褐色人(びと)とローハンの混血のフレカの息子である。槌手王ヘルムは角笛城に避難し、ゴンドールと馬鍬砦(ロヒアリムの避難所)からの救援が1年後に到着し、侵入者を破った。
この後にすぐ、サルマンがやってきて、アイゼンガルドを引き継ぎ、強い同盟者として歓迎された。侵入の後にローハンがその強さを回復するのに200年近くかかると思われたからである。
3014年にサルマンは、王国に侵入し国土を奪うため、王セオデンを衰弱させる影響力を行使し始めた。3019年にかれはローハンへの全面的な侵入を始めた。角笛城ではフオルンがロヒアリムの救援にやって来た。
セオデンは、この勝利のすぐ後ミナス・ティリスへの軍を進め、ペレンノール野の合戦でのその包囲を破ることを助けたが、既に殺されていたかれの息子セオドレドに続き、殺害された。王の妹の息子(甥)のエオメルが王位を継ぎは第三王家を始めた。エオメルは、モルドールの門へのゴンドールの軍を進め、サウロン軍との最終決戦に参加した。支配する指輪が破壊された時、サウロンは滅びた。
ゴンドールの執政の統治はついに終わった。エオメル王およびゴンドールの新しい王エレッサールは、同盟の誓いを新たにし、キリオンのロヒアリムへのカレナルゾンの譲渡を再確認した。
アルダの年表も参照。
[編集] 詳細
[編集] ローハンの主要な地名と国境線
ローハンの都は白の山脈の斜面に横たわるエドラスの山城である。別の大都市はアルドブルグで西の谷の首都で、もともと青年王エオルが定めた都である。他の都市は存在したに違いないが名前が上げられていない。
よく知られた避難所は、白の山脈のさらに奥の馬鍬砦である。ローハンで最も印象的な場所のうちの一つは角笛城で、ヘルム峡谷の一続きの要塞の一部をなす大きな要塞である。
ローハンの境界は次のとおりである。アイゼン川(サルマンのアイゼンガルドに接する西境界)。アドーン川(非友好的な褐色人(びと)とのこれも西の境界をなすアイゼン川の支流)。白の山脈(南境界)。メリング川(ローハンとゴンドールの間の南東の境界)。エント川の河口(東境界)。また白光川(アンドゥインの支流、北境界)。
指輪戦争の時ローハンの国土はゴンドールのおよそ三分の一で、ゴンドールの国境は数十年間後退しつづけていた。
[編集] 気候と地方
ローハンの地方は、牧場および豊富な高い草地の土地と評された。それは、中央アジアの大草原あるいは北アメリカの大平原とよく似ていて、したがって、その気候もそうである。ローハンの国は「草の海」のようであると頻繁にいわれる。
[編集] ロヒアリムと馬
ロヒアリム、第一紀のエダインの子孫である。かれらは、ヴァラールによってヌーメノールの島でその後報いられたエダインのようにベレリアンドに行かなかった。ロヒアリムの先祖はエオセオドとして知られており、上記のケレブラントの野の戦いの後にゴンドールからカレナルゾンの地を与えられた。
ロヒアリムは、熟練した騎手および飼育者として有名である。ロヒアリムの馬の中には、有名なメアラスがある。かつてアルダを歩き回った中で最も高貴で足の速い馬である。飛蔭はすべてのメアラスの中で最も大きかった。メアラスは、この時点で中つ国にほとんど残っていなかった。ローハンの軍隊はもっぱらエオレドと呼ばれた不規則な単位に分かれる騎兵である。ローハンの軍隊は比較的小さな実際の常備軍と、戦争の時に召集される非常によく訓練された市民軍よりなりたっていた。ローハンの職業軍人はエドラスの王の親衛隊だけだっただろう。
[編集] ローハン語
ローハン語は、エダインの言語であるアドゥーナイクに近いすべての人間の言語と似ている。ロヒアリムは、かれらの母国を「リデンナ=メアルク」Ridenna-mearc、「騎士国」Riddermarkあるいは「エオ=マルク」Éo-marc、馬マークHorse-mark、さらに単にマークMarkと呼び、またかれら自身は「エオルの家の子」Eorlingas(エオルの子)と呼ぶ。本当のローハン語では、かれらの国の名前は「ローグラド」Lôgradで、アングロサクソン語の「éo」馬にあたる"lô-"/"loh-"という要素を含む。
ローハン語と中つ国の共通語との関係は、古英語と現代英語の関係に似ている。したがって、まさに共通語を英語に翻訳したように、トルキーンはローハン語の名前や句を古英語(アングロサクソン語)に翻訳した。たとえば、「メアラス」Mearas(「馬」の古英語の単語)や「エオレド」éoredのような言葉がある。
ホビット庄の住民の先祖がアンドゥインの上流の、ロヒアリムの先祖の近くに住んでおり、明らかに言語を相互に豊かにしあったので、多くの古いホビット名にローハン語との類似が見られる。「ホビット」Hobbitの名前自体、ローハン語のHolbytlan(穴を掘る者)に由来すると考えられる。もちろん、これらの名前は本当の西方語Kuduk(ホビット)およびローハン語のkûd-dûkan(穴に住む者)の翻訳である。
注:トルキーンは言語、特に古英語に長じていた。
[編集] 政治
[編集] ゴンドールとの同盟
ローハンとゴンドールの間の同盟は、第三紀の2510年に成立した。その年東夷は、ゴンドールへの大規模な侵入を始めた。ゴンドールの軍隊は白光川とケレブラントの間でわなに掛けられ破れた。ゴンドールは常に北国人のいろいろな部族と親しい間柄だったが、最も近くにいた部族、エオセオドに使者を送った。救援を求める知らせが届くとは思えなかったがそれは届き、青年王エオルおよびかれの勇猛なエオセオドの乗手が思いがけずケレブラントの野の戦いに現れ、ゴンドールを助け流れを変えた。ゴンドールが強い同盟国を必要としたので、ゴンドールの執政のキリオンは、報酬としてエオルに、カレナルゾンの人口の減った地域を与えた。エオルの誓いはキリオンおよびエオルの両方が誓った。どちらの国家もその後ずっと同盟を破っていない。ゴンドールが2885年にハラドリムの脅威があった時、条約の義務を果たすために、ローハンは長大な距離を駆けつけ、ふたりの世継を犠牲にしている。そのとき、フォルクウィネ王の双子の息子ファストレドとフォルクレドはポロスの渡しの戦いで死んだのだ。セオデン王は、ふたたびペレンノール野の戦いでの同盟に殉じた。
[編集] 褐色人との戦争
ローハンの西に褐色人(びと)が住んでいた。自由な民に対して長く敵対していた、未開の民である。褐色人のウルフは長い冬のとき暫くローハンの王座を簒奪していた。
[編集] サウロンへの貢納の噂
指輪戦争の初期に、ロヒアリムが馬をサウロンの軍隊を供給した噂が広がった。これらの噂は明白に誤りである。ロヒアリムはなにものにも代えがたくかれらの馬を尊重し、貢物としてさえ、それらを渡すことはなかった。まだ、これらの噂のために、ローハンではなくサルマンが堕落したという事実を不明瞭にする効果があった。噂のもとは、サウロンのローハンへの襲撃中のオークがモルドールの軍隊で使うために馬を盗んだということであったが、これはサウロンに対してロヒアリムを怒らせたまったくの窃盗であった。
[編集] 蛇の舌
王セオデンが老境にさしかかった時、かれは後に「蛇の舌」と呼ばれることになる助言者グリマを置いた。グリマはすぐさまセオデンの主な助言者になったが、しかしサルマンのために秘密に働いていたことは誰にも知られていなかった。さらに攻撃が必要だった場合に退却に常に助言して、王およびローハンすべての強さを弱めるために、グリマは、セオデンの恐れを利用した。さらに、かれは王をこの時期に毒殺し始めてたかもしれない。これは、ローハンには悲惨なことで、さらにゴンドールの北方の最も強い同盟国を奪うことで破滅的なことになるところだった。ガンダルフが指輪戦争の時にエドラスに来るまで、蛇の舌グリマの計画は明るみに出ることはなかった。