仙台弁
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仙台弁(せんだいべん)とは、江戸時代の仙台藩領内で(とくに在郷の)庶民が使用した言葉を元にした方言。仙台城下の藩士が使用した「御家中言葉」(いわゆる武家言葉)は、ほとんど伝承されておらず、伊達政宗がおそらく話していたであろう米沢弁の影響も見られない。
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[編集] 定義
江戸時代以前の交流圏や方言の分布と仙台藩の版図とが元々一致していないため、言語学的には複数の方言に区分される場合がある。すなわち、「仙台弁」の定義は、言語学的な分類に基づかず、帰属意識に基づいている。
[編集] 帰属意識による分類
仙台藩領がそのまま仙台県となって現在に至らなかったが、「仙台」という言葉は、仙台市のみならず、仙台藩領内を指す漠然とした広域地名として今も使われている。しかし、公定のものではないため、帰属意識の変化や場合によって、「仙台」という言葉は広義・狭義として以下の5つの範囲に分類される(→「仙台」参照)。
「仙台弁」「仙台出身」「仙台名産」「仙台工場」など、おおよそ「仙台」と付くものは、上記の5つの分類のいずれかの範囲を念頭に命名されている。
「仙台弁」においては、昭和後期まで、岩手県南部と宮城県の住民の帰属意識が仙台藩であったために、(1)旧仙台藩の範囲で仙台弁と定義されていたが、平成になるにつれ、岩手県南部の住民に「岩手県民」という意識が強くなり、(1)旧仙台藩の範囲で定義されることはまれになった。また、宮城県内においても、他県出身者の増加で帰属意識が仙台藩から「宮城県民」になってきたことと、広域地名としての「仙台」を知らない他の地方の人によって、(2)宮城県の範囲で新たに宮城弁という単語が作られた。しかし、成立過程からも「宮城弁」は他称であって自身で言うことはまれであり、一般には(2)宮城県の範囲で仙台弁と自称される。ただし、宮城県内の方言の地域差を取り立てて言う場合に限り、(3)仙台都市圏および(4)仙台市の範囲で仙台弁の定義域とする場合がある。
なお、仙台都市圏は、支店経済の影響もあって人口の流入・流出共に激しいため、標準語・共通語を使用する者が多いが、この記事では、後述する高齢者が主な話者となっている「旧仙台弁」と、若年層の男性が主な話者となっている「新仙台弁」について記載する。また、(5)城下町・仙台の範囲である「御家中言葉」は、受け継がれていないので記載しない。
[編集] 方言の特徴による分類
前述の通り、「仙台弁」には言語学的にみると複数の方言が含まれる。(2)宮城県の範囲の仙台弁は、松島丘陵を境に北側(北部)と南側(中南部)に大きく分けられ、南側は福島弁との共通の特徴を多く含む。また、南側に含まれる仙台市には転勤族が多く住み、標準語・共通語の影響が強いことから、「新仙台弁」と言えるような傾向が若者(男性)を中心に見られる。
北部の内、石巻と石巻に河口が開いている水運の発達した北上川沿いなどでは、東廻り航路で江戸と繋がっていたために、江戸言葉と共通する特徴もよく見られる。これは、東北地方の日本海側の港町が、西廻り航路 (北前船) で関西と繋がっていたために、京言葉や大阪弁の影響を受けているのと対照をなしている。また、気仙沼や、岩手県大船渡などの三陸海岸(旧気仙郡)地域では、漁場を共有しているために同一地域圏が形成されており、内陸部の方言との差異が認められる。
このような地域的な差異や方言の特徴を言う場合には、それぞれの地域名を付けて「石巻弁」「気仙弁(若しくはケセン語)」などと言い、仙台市で用いられる仙台弁と区別することも多い。
[編集] 仙台弁の特徴
仙台弁の単語のアクセントは、松島丘陵辺りを境に、北部で外輪型東京式、南部は崩壊型である。また、東北地方の他の方言(東北方言)に広く見られるような次の特徴がある。
- 有声音に挟まれた無声破裂音の有声化。すなわち、語頭以外の [k]、[t]がそれぞれ[g]、[d]となる。
- /s/、/z/の後ろの/i/が中舌音化する。
- 「…だろう」「…しよう」を意味する「べ」が用言の後ろに付けられる。
- 格助詞の「さ」(方向や授受の対象を表す)。
ただし、仙台市を中心とした地域では、上の二つ目の「/i/の中舌化」は、近年の若年層ではあまり聞かれなくなっている。
この他、他の東北方言にはない仙台弁の特徴としては以下のものがある。
- いわゆる文節の後ろに「やー」が付せられる。これは概ね標準語の「さー」に似た意味を持つ。
- 例 「今日やー、朝からやー、すげー暑かったやー。」(今日さあ、朝からさあ、すごい暑かったよ)
- 疑問詞のある疑問文の文末に付けられる「や」。
- 例 「どうや?」(どうなの?) 「誰や?」(誰だ?)
- 標準語の「~んだよ」が「~のや」になる。
- 例 「つまんねーのや」(つまらないんだよ) 「さみぃのや」(寒いんだよ)
- 用言の後ろの「っちゃ」、「だっちゃ」、「ださ」(「…だよね」「…だよな」を意味する。英語の付加疑問文と同じように用いられる)。
- 「しなければならない」を意味する「しなきゃない」 (同義 : 「しねげね」)。
- 例 「行かなきゃない」(行かなければならない) 「食べなきゃない」(食べなければならない)
- 動詞の未然形+「い」(五段活用)または「らい」(上一段活用と下一段活用) で命令の意味を表す。命令形による命令よりぞんざいでないニュアンスがある。また、同様に連用形に「さい」を付けてつくるさらに柔らかな命令の表現がある。
- 例 「行がい」「行きさい」(行きなさい) 「食べらい」「食べさい」(食べなさい)
上記のうち最後の命令の表現は、若年層ではあまり使われなくなっている。一方「しなきゃない」は、仙台出身の者も方言だと気づきにくい表現の一つである。
[編集] 仙台都市圏における「新仙台弁」の形成
高度経済成長時代に、内需の拡大に応じて仙台市は支店経済都市として人口が激増した。東北地方の外からの転勤族や東北地方内からの移住者などの新住民が旧住民の人口を越えるにつれ、全国的なビジネス言語としての共通語・標準語が浸透して、仙台都市圏では、団塊の世代(核家族一世)において急激に仙台弁が廃れた。
すると、核家族化した家庭では、親が方言を話さないことになり、若者世代(第二次ベビーブームによる核家族二世を指す。団塊ジュニアとも)の方言習得の機会が減った。しかし、学校教育の場では、核家族一世より上の世代の教師や、団塊の世代であっても大家族出身の教師、または仙台都市圏外の仙台弁地域出身の教師がいたため、核家族二世であっても仙台弁に触れることが出来た。すなわち、核家族二世は主に学校生活で、先生が上から話す常体の仙台弁のシャワーを浴びる一方、先生や先輩に対して同級生が仙台弁の敬体で話す場面に遭遇しないことになり、以下の特徴が見られるようになる。
- 家庭では共通語・標準語が用いられるため、イントネーションは東京式アクセントになる
- 先生が話す常体の仙台弁を習得することにより、友人との間(常体)では、共通語・標準語のイントネーションの上に仙台弁の語彙が並ぶ
- 仙台弁の敬体の習得の場面がないため、目上の人に対しては共通語・標準語の敬語を用いる
このような過程を経て「核家族二世型仙台弁」(新仙台弁)が生まれた。但しこの新仙台弁は、その発生過程の限定的環境のせいもあり、旧仙台弁特有の語彙の全てを受け継ぐことが出来ず、また、それぞれの家庭環境によって旧仙台弁のどのくらいの語彙を受け継ぐかに差異があり、定まった方言の体を成しているとまでは言えない。極論すれば、旧仙台弁特有の語彙や言い回しが俚言化し、その俚言を取り入れた標準語・共通語の一形態が「新仙台弁」だ、とまで言える。
なお、この新仙台弁の話者は若い男性を中心としており、若い女性は共通語・標準語を話すことが多い。若い女性が核家族二世型仙台弁を話さないということは、核家族三世での仙台弁がまた新たに変容することが考えられている。
核家族二世型仙台弁を話す若者の内、就職先の公用語が旧仙台弁である場合は、旧仙台弁に昇華していく傾向も見られる。 第一次産業と第二次産業の他、高齢者が主な顧客(患者)である医療業界でこの傾向が顕著である。
[編集] 仙台弁とラムちゃん
漫画・アニメの「うる星やつら」の登場人物であるラムちゃんが、語尾に 「~だっちゃ」 とつけるため、ラムちゃんは仙台弁を話していると思われがちであるが、仙台弁では自分のことを「うち」とは言わないし、疑問文における「~け?」の使い方も微妙に違う。また、アニメ版におけるイントネーションに到っては、全く以って仙台弁(旧仙台弁)ではない。作者が新潟県出身のため佐渡方言ではとの誤解も流布しているが間違いである。
しかし、「うる星やつら」の作者である高橋留美子 (新潟市出身) によると、「ラムちゃん語」の語尾になっている「~だっちゃ」「~っちゃ」は、井上ひさしの小説の登場人物の言葉からヒントを得たとのこと(漫画家・山本貴嗣のウェブサイトより)。井上ひさしは山形県で生まれたが、高校時代を宮城県仙台市の仙台一高で過ごし、自身の小説の中で仙台弁(旧仙台弁)を多用している。
つまり、「ラムちゃん語」は、『作者の高橋留美子による「人工言語」であるが、有名になった語尾の「~だっちゃ」は旧仙台弁由来』 ということになる。但し、旧仙台弁の語尾の「~だっちゃ」が、前述の核家族二世型仙台弁にも受け継がれて多用されている上、イントネーションが共通語・標準語化してしまった現在の新仙台弁は、人工言語であるラムちゃんの言葉と結果として非常に似てしまった。そのため、男性が新仙台弁を他の地方で話すと、「ラムちゃんと同じ言葉を使っている」とか「女言葉みたい」と言われることがあり、東北地方の核家族一世世代が感じた蔑視と同じような気持ちになる人もいるようだ。しかし、近年の方言再評価の流れや男性の「中性化」傾向のためか、男性の核家族二世型仙台弁は東京の女性には「カワイイ」といわれ、とてもウケがいい。
因みに、語尾に「~だっちゃ」・「~っちゃ」をつけるのは、仙台弁の他に新潟県の佐渡弁、鳥取県の因州弁でもみられる。また、語尾に 「~ちゃ」("だ" が入らず促音化しない)を付ける方言には、富山弁、山口弁、北九州弁および九州東部の豊日方言(宮崎弁など)がある。山口弁では自分を指して「うち」という。
[編集] よく用いられる仙台弁の語彙
※「旧仙台弁」、仙台都市圏の「新仙台弁」の別なく記載。
[編集] あ行
- あぺとぺ (1.でたらめ 2.正反対)
- 例「あんだあぺとぺなことばりかだってんな。」(あなたいつもでたらめなことをいってますよね。)
- あるく (移動の行為を表す。標準語の「歩く」とはニュアンスが異なる。)
- 例「車であるく」(車で出かける)
- あんだほ (あなたたち) 対 おらほ
- いきなり、いきなし (1.急に、突然(この場合は「イキナシ」とは言わない) 2.とても、超[1](この場合は「イキナリ」「イギナリ」「イキナシ」いずれでもよい)→イキナリ!)
- 例1 「いきなり殴らったのやー」(突然殴られたよ) 「先生さいきなり怒らった」(先生に突然怒られた)
- 例2 「イキナリ殴らったのやー」(沢山殴られたよ) 「先生さイキナシ怒らった」(先生にすごく怒られた) 「イキナリうめぇ」(とてもおいしい) 「イキナリすげぇ」(とてもすごい)
- いしけん、ぎっ (じゃんけん、ぽんっ)
- いずい、いづい(不快感があり、その場に居続けられない様子をソフトに表す言葉。具体的には「散髪の後でシャツの襟首に刺さった髪の毛で時々チクチクする違和感」、「初めての場所に通されてどうにも落ち着かない雰囲気」等、はっきり拒絶できない割りに鬱屈する東北人の感性を代表する言葉。uncomfortableとirritableを混ぜた感じ。語源は「身の毛がよだつほど恐ろしい」という意味の古語「えずい」と考えられ、「恐ろしい」という意味が無くなって、「肌や身体の表面で感じる違和感」のみが意味として残り、その感覚が精神的な居心地の悪さにまで適用を広げたと考えられる[2]。)
- いづぬさんすごぅろぐ すづはづくぅづ (1,2,3,4,5,6,7,8,9,10。6と7の間で息をつぐ。"n"を入れて「すんづはんづくぅづ」という場合もある)
- 居娘 (「いむすめ」。婿養子をとった娘)
- うるかす (水に浸す)
- 例 「飯食った茶碗、後で洗うから、うるかしといて。」
- おしょすい (恥ずかしい)
- おだつ、おだづ (調子に乗る、いきがる。「おだづな」と否定形で使用される場合が多い)
- 例 「おだつなよっ! この!!」(ふざけんな! てめぇ!!) 「おなごにモテっからって、おだってんのや、だーれ」(女性にモテるから調子にのってるんだよ、奴は)
- おだづもっこ (いたずら小僧、悪ガキ)
- おどけでない (1.ふざけない。2.ものすごい)
- 例1 「おどけでねぇで、はよやれ」(ふざけてないで、早くやりなさい)
- 例2 「昨日や~、釣りッコしたらや~、おどけでねぇ数釣れたのや」(昨日、釣りをしたらものすごい数釣れたんだよ)
- おはよござりす (おはようございます.近隣に「おはいでがす」を使う地域もある)
- おばんです、おばんでがす (夕方以降の挨拶「今晩は」の意味で使う.OH!バンデスというTV番組も存在する)
- おみょうにち【お明日】(またあした、さようなら、の意。わりとフォーマルな席で用いられる。)
- おらい (うちの家)
- 例 「お茶っこでも出すがら、おらいさ来てけろ」(お茶でも出すから、うちの家に来て下さい)
- 対義語「あんだい」(あなたの家)
- おらほ (俺たち、私たち) 対 あんだほ
- 例 「おらほの学校」(私たちの学校)
- おれ (私。男性のみならず、女性も使う)
- おれさま (雷様)
[編集] か行
- がおる (気分が滅入る。(肉体的・精神的に)疲れる。精根尽きる)→英語の "exhausted" や "weary" にあたる。類語の「こわい」は "tired" や "fatigued" の意味。物がダメになる様子を示す「くたびれる」も疲れたときに使う。
- 例 「ま~だ先生さごしゃかったや~。いぎなりがおった。」(また先生に怒られた。とても気が滅入った) 「今日はいきなりがおったや~」(今日はとても疲れたよ...) 「この薔薇がおってるよわ」(この薔薇しおれているよ)
- かす (食わす)
- がす (です)(丁寧の意味の助詞)
- がした (でした)(丁寧の意味の助詞)
- かせる (食わせる、食べさせる)
- かっちゃく(引っかく)
- 例 「おらいのねこさかっちゃかったのっしゃ」(うちの猫に引っかかれたのですよ)
- かっちゃき(鎌、草刈、三角鍬。かっちゃくの名詞形)
- かばねやみ (本当はできるにもかかわらず、なんのかんのと理由をこじつけてなにもしないこと、またそういう人)
- 例 「あだらかばねやみさかだったって、なにもしないがらほっとがいんでば」
- ~っから (~よ)(本来、「私が~するから、あなたはしなくていいよ」というものの後ろの部分が省略された形だが、後ろの意味が関係ない使い方もある)
- 例 「おれすっから」(私がやるからしなくていい) 「これ、けっから」(これ、あげるよ)
- かます (かき混ぜる、時にかき混ぜることで室温~体温程度にする意味も含めて使う)
- きゃっぽりくう (溝にはまる)
- きしゃず (おから)
- くたびれる (ダメになる; 疲れる)
- け! (食べなさい、食べろ。どちらかというと命令形で使われる)
- ~けらい(ん)、~してけらい(ん)または、~けさい(ん)、~してけさい(ん) (~下さい、~して下さい)(お願い事や、頼み事をする場合に、丁寧に(またはやさしく)物を頼む場合に動詞につける。)
- 例 「このお菓子ば、そごのやろこさ、けでけらい(ん)。」(このお菓子を、そこの子供に、あげて下さい)
- ける (物をあげる)
- 例 「これ、けっから」(これ、あげるよ) 「こだの、けでやれ」(こんなもの、くれてやれ)
- けろ (物をくれ)
- 例 「お金けろ」(お金をくれ) 「いらねんだごっで、俺さけろ」(いらないんだったら、俺にくれ)
- ~けろ、~してけろ (~くれ、~してくれ)(お願い事や、頼み事をする場合に動詞につける。)
- 例 「このお菓子ば、そごのやろこさ、けでけろ。」(このお菓子を、そこの子供に、あげてくれ)
- ごしゃぐ (怒る。「ごしゃがれる」と受身形で用いられることが多い。類語 ごしゃっぱらたでる)
- 例 「まだ先生さごしゃがれだんだべ? 」
- ごみょうにち (それではまた明日。 黄昏時にわかれるときに言う)
- 例 「んではまんず、ごみょうにち」(おみょうにち、とも言う。)
- こっちゃ (こちら)
- 例 「こっちゃ来さいん」 (こちらへ来なさいな)
- こわい (疲れる。→「がおる」参照)
- 例 「はぁ、こえぇ、こえぇ」(あぁ、疲れた、疲れた)
[編集] さ行
- ~さ (格助詞。ほとんどの場合は『~に』)
- 例 「俺さ任せろ」(俺に任せろ) 「べごさ餌かせでくる」(牛に餌を食べさせてくる)
- さくず (米ぬか)
- ~さる (~できるの意味。書く+さる=書かさる)
- 例 「何だべ、このペン書かさらねっけよ!違うやつけらいん。」
- 昭和30年代、仙台市北部近辺を起源とする説が有力。体操着が一般的に普及したことに伴うものか。俗に名古屋のケッタマシン、鹿児島のラーフル、福井のジャミジャミと共に昭和四大方言とも言われる。
- 例 「イキナリいづいジャスだごだ、ほいなのしゃね」(まったく身体にフィットしていないジャージだ、こんな服着ていられない)
- しずね (1.落ち着きのない様子 2.うるさい 主に他人に対して使う。意味的には「うざい」に近い)
- 例「そこのやろこしずねごだー」(そこのこどもは落ちつきがないなー)
- ~(の)しゃ? (「~(の)ですか?」 丁寧の意味の疑問終助詞。「~だっちゃ?」 には丁寧の意味はない)
- 例 「行がねのしゃ?」(行かないのですか?)
- ~(っ)しゃ (丁寧な文章で使う)
- 例 「三丁目のっしゃ、愛ちゃん、大学さ入ったんでがす」(三丁目の愛ちゃんが大学に入ったんです)
- しゃっこい (冷たい)
- しゃね (知らない。やってられないという意味が含まれることもある)
- 例 「ほいなごどしゃねっちゃ」(そんなことは知らない)
- じる、じられる (盗む、盗まれる)
- 例 「俺のジャスじらったんだけっともしゃねが?」(俺のジャージ盗まれたんだけど知らないかい?)
- すっぱね (泥はね)
- ~すぺ? (「でしょう?」 丁寧な意味の助詞「す」と同意の意味の助詞「ぺ」←「べし」)
- 例 「うめすぺ?」(美味しいでしょう?) 「やるすぺ?」(やりますよね?)
- ~すか? (丁寧な意味の助詞「す」と疑問の助詞「か」)
- 例 「弁当あっためるすか?」(弁当温めますか?) 「ダメすか?」(ダメですか?) 「やったすか?」(やりましたか?) 「夕べ、いるすか?」(夕方いますか?)
[編集] た行
- 例 「おめだづ、どこの高校や?」「一高(ィエテコー)や! だ~れ」。「なんだかでっけぇやろっこだと思ってたら、だ~れ、太郎でねぇか」
- たがぐ (担ぐ)
- 例 「その荷物たがいでけさいん」(その荷物担いでください)
- たごまる (布地などが寄り集まる。特に着用中の衣服について。)
- ~だっちゃ、~っちゃ (#仙台弁の特徴参照)
- ちゃかす (壊す)
- ちゃける (壊れる ちゃかすの自動詞)
- ちゃっこい (小さい。又はちゃち)
- ちゃる (盗む)
- ちょす (さわる。いじる)
- 例 「あんまチョすな~。ちゃけっぺ~」(そんなにいじるなよ。壊れちゃうだろ)
- ちょんちょこ (男性器。ちんちん)
- っこ (接尾辞。フランス語の "-ette"、スペイン語の "-ito" と同類)
- ですぅ (「です」。標準語教育の影響で使うようになった。女性が「です」と言う場合、語尾の「す」だけイントネーションが上がる。)
- どいなく (どのように)
- 例 「オレ帰った後、どいなくなったのや?」(私が帰った後、どうなったの?)
- とみぎ (トウモロコシのこと。唐麦「とうむぎ」)
- トーホグズン (「東北人」を仙台弁で発音したもの)
- どんぶく (布団生地で作られた冬用寝巻きの上着。どてら、半纏)
[編集] な行
- なまだら (だらだらとなまけていること、またそのさま)
- 例 「あのなまだら野郎め、ちっとも仕事をしない」
- なげる (捨てる)
- 例 「そごのゴミ、なげでけろ。」(そこのゴミを捨ててちょうだい)
- ねばす、ねっぱす (ものを貼り付けること)
- 例 「その紙を糊でねばしてけね」
- ねばない (ねばならない)
- のっつぉこぐ (特に用があるわけでもないのに意味もなくぶらぶらし、体をもてあましていること。しかも当人は自分がのっつぉこいでいることを自覚している場合が多い。命令形はとらない) 名 のっつぉこぎ
- 例 「おんめ、のっつぉばりこがねでゴミでもなげてきてけさいん」
[編集] は行
- 例 「朝おぎたら、なんだかほれ、ハカハカすんだっちゃ」(朝起きたら心臓が不整脈を発生したのです)
- ばっこ、びゃっこ、ぺっこ (少し)
- はっぱり (さっぱり、全く)
- 例 「陽子、ハッパリ帰って来ねな」(陽子遅いね。or 陽子は全然帰省して来ないね)
- ばり (ばかり)
- 例 「肉ばり食ってねで、ほれ、野菜もケ」(肉ばかり食べていないで、ほら、野菜も食べなさい)
- べこ、べご (牛)
- ぺろ (うどん)
- べっちょ、べっちょこ (女性器)
- ほいな (そんな)
- ほでなす (放題無し。本地無しとも ろくでなしに近い)
- 例 「いっそWikiばりやって、このほでなすが」
- ほれ (ほら。間投詞)
[編集] ま行
- まける (こぼす)
- まなぐ (目)
- むぐす (漏らす)
- めんこい (可愛い、愛らしい)
- めんめ (水)
- もぞこい (可哀そう)
[編集] や行
- やろっこ、やろこ (男の子)
[編集] ら行
- ~ら (名詞を複数形にする際の接尾語。標準語とは違うニュアンスで用いられることがある)
- 例 「おめら、食べらい、食べらい」 (あなたたち、食べなさい)
- らずもね (とんでもない、物凄い)
[編集] ん
- んだ (そうだ。肯定の意味)
- んだいっちゃ~ (そうだよね~ 肯定の同意を求めるとき)
- んだすぺ? (そうでしょう? 丁寧語)
- んだっちゃ、だれ~ (そうに決まってるじゃん。「当然である」ことをいう時)
- んだっけんども (そうだけれども)
- んだべ? (そうだろ?)
- んで (じゃあね。バイバイ「んでね」とも)
- んでねぐ (そうではない。否定の意味)
- んでねくてや~ (そうじゃなくてさ~)