包摂アーキテクチャ
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包摂アーキテクチャ(ほうせつ-、Subsumption Architecture)とは、振る舞いに基づくロボット工学を起源とする人工知能の概念である。この用語は1980年代後半にロドニー・ブルックスらが作った。
包摂アーキテクチャは、複雑な知的振る舞いを多数の「単純」な振る舞いモジュールに分割し、振る舞いのモジュールの階層構造を構築する。各層は何らかの目的に沿った実装であり、上位層に行くに従ってより抽象的になる。各層の目的は下位層の目的を包含している。例えば、食物-食事層による前進行動という決定は、最も低レベルな障害-逃避層の決定でもある。
例えば、ロボットが持つ最下位層として「物体を避ける」という振る舞いがあり、その上位層として「うろつきまわる」という振る舞いがあり、そのさらに上位に「世界を探索する」という振る舞いがある。このような階層の最上位にあるのはそのロボットの究極の目的である「地図を作成する」という振る舞いかもしれない。各層は全センサーのデータを参照でき、アクチュエータを操作できる。ただし、他のタスクが入力を横取りしたり、出力を上書きしたりすることもある。この場合、下位層は高速な適応機構(反射)に相当し、上位層は本来の目的に沿って行動を導く制御を行う。フィードバックは主に環境を通して与えられる。
このモデルの欠点は第一に、あまりに多くの階層を構築すると、各層の目的がかち合ってしまう点である。第二は実行時の柔軟性が低い点である。
包摂アーキテクチャに触れた最初の論文は1986年のブルックスのものである。この論文は Google Scholar によると3500以上も引用されている(2006年10月時点)。
[編集] 参考文献
- R. A. Brooks (1986) "A Robust Layered Control System For A Mobile Robot", IEEE Journal Of Robotics And Automation, RA-2, April. pp. 14-23.
- R. A. Brooks (1987). "Planning is just a way of avoiding figuring out what to do next", Technical report, MIT Artificial Intelligence Laboratory.
- R. Brooks and A. Flynn (1989), "Fast, cheap, and out of control: A robot invasion of the solar system," J. Brit. Interplanetary Soc., vol. 42, no. 10, pp. 478-485, 1989. (この論文のタイトルは映画Fast, Cheap and Out of Controlで使われ、この論文で描かれた概念は2003年のマーズ・エクスプロレーション・ローバー計画で実装された)
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Subsumption Behaviors used for a Variety of Real World Tasks
- SB-MASE 包摂アーキテクチャに基づくマルチエージェント・シミュレータ