収率
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収率(しゅうりつ、yield)はある物質を得るためのプロセスにおいて、理論上得ることが可能なその物質の最大量(理論収量)に対する実際に得られた物質の量(収量)の比率である。 収率はそのプロセスがすぐれているかどうかの指標の一つとされる。
例えば水素と窒素からアンモニアを合成する反応
において窒素1molと水素3molからは理論上2molのアンモニアが得られる。 実際に窒素1molと水素3molからアンモニア合成を行なった場合に1molのアンモニアの得られたならば、収率は
- アンモニアの収量(1mol)/アンモニアの理論収量(2mol)=50%
となる。 またこのように反応物が反応の化学量論比と同じ割合で供給されている場合には、
- 理論収量(2mol)=ある反応物の供給量(H2では3mol)×生成物の化学反応式での係数(化学量論係数,2)/ある反応物の化学量論係数(H2では3)
が成り立つので、これを使って反応物の供給量と化学反応式から収率を計算することができる。
この反応で窒素2molと水素3molで反応を行なったとすると理論上は窒素が1mol余り、やはり2molのアンモニアが得られる。 このように反応物が反応の化学量論比と異なる割合で供給されている場合は、反応物の供給量/反応式での反応物の係数が最も小さい反応物(限定反応物質と呼ばれる)のみが理論上完全に消費される。この例では理論上水素が完全に消費されるので水素が限定反応物質である。このような場合は限定反応物質のみに対して
- 理論収量=限定反応物質の供給量×生成物の化学量論係数/限定反応物質の化学量論係数
が成り立ち、これを使って収率を計算することができる。
また反応に限らず分離、精製プロセスにおいても収率は用いられる。この場合、理論収量は分離や精製プロセスに供給しようとしている混合物中に含まれている目的物の含有量になる。例えば、100gの金が含まれている混合物から60gの金を取り出せたなら収率は60%である。
工業的なプロセスにおいては未反応の反応物を生成物と分離して再度回収して反応させることがしばしばある。 この場合、収率には回収を考慮していない1回のプロセスあたりの収率と回収を考慮した収率の2種類が存在する。 前者は単通収率(single pass yield)と呼ばれ、後者は総括収率(overall yield)と呼ばれる。
原料に化学組成が明らかでないものを用いて反応などを行なう場合、その化学反応式も定まらないため上記の意味での収率を求めることは不可能である。このような場合は、ある化学組成を持つものと仮定して化学反応式を定めて収率を計算したり、単に用いた原料と得られた生成物の重量比を収率(重量収率)としたりする。これらの収率は100%を超える場合もある。