地形輪廻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
地形輪廻(ちけいりんね)とは、河川の浸食により地形が変化して行く過程のこと。浸食輪廻(しんしょくりんね)とも言う。アメリカのW.M.デイビスが提唱した。
原地形(げんちけい)が浸食を受けて幼年期地形(ようねんきちけい)となり、壮年期地形(そうねんきちけい)、老年期地形(ろうねんきちけい)を経て平坦な準平原(じゅんへいげん)となる。
目次 |
[編集] 原地形
地形輪廻の最初の段階で、地表面が侵食を受けていない状態。火山活動により形成されたばかりの山体や、海底から隆起したばかりの海岸平野、隆起準平原がこれに当たる。
[編集] 幼年期地形
侵食作用が始まった最初の段階。 河川は下刻作用が盛んでV字谷となり、急流や滝を伴う。それ以外の箇所は原地形の地表を保存し高原状を呈する。
[編集] 壮年期地形
侵食が進み、地形の起伏が最大となった段階。原地形の地表はほとんど保存されていない。尾根は鋭く尖り、谷はV字谷をなす。谷底平野はほとんど発達していない。
アルプス山脈、ヒマラヤ山脈、日本アルプスなどが壮年期地形の典形である。
[編集] 老年期地形
侵食がさらに進み、地形の起伏が緩やかになった段階。谷の幅が増大して谷底と谷壁の境界が不明瞭となり、尾根や山頂は低く丘陵となる。河川は比高が少なくなり、谷底が侵食基準面に近付くにつれて侵食作用は弱まる。
[編集] 準平原
地形輪廻の最後の段階。侵食作用によって地形面の高さが侵食基準面近くまで下がり、全体的に起伏の緩やかな平原が広がる。所々に侵食に取り残された残丘が見られる。
準平原が隆起したものを隆起準平原(りゅうきじゅんへいげん)という。侵食基準面が地形面より低下することにより侵食作用が復活して、新たな地形輪廻の原地形となる。隆起準平原の例としては大台ヶ原がある。