大冒険 セントエルモスの奇跡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジャンル | シミュレーションRPG |
対応機種 | セガサターン(SS) |
開発元 | ソフトオフィス・FAB |
発売元 | パイ |
人数 | 1 |
メディア | CD-ROM1枚 |
発売日 | 1996年4月19日 |
価格 | 6,800円 |
対象年齢 | 全年齢 |
『大冒険 セントエルモスの奇跡』(だいぼうけん セントエルモスのきせき)は、1996年4月19日に有限会社パイより発売されたセガサターン向けのシミュレーションRPGである。
セガサターンを代表するクソゲーのひとつとして名高く、『デスクリムゾン』が登場するまでセガサターンマガジンの読者評価ランキングでは最下位を独走していた。その後も度々最下位を争い、「超魔海王」との通称が付けられた。
1997年4月18日にはソフトオフィスよりプレイステーション版として『大冒険デラックス 遥かなる海』が発売された。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 概要
世界各地の港を船で巡る基本的なシステムはコーエーの大航海時代シリーズと似たものになっているが、女王の命を受けてリオンが旅立った時点で、世界のすべての港がモンスターに占領され機能しなくなっている。モンスターとの戦闘は海戦とは異なりRPGの方式で行われる。 モンスターを倒すことで港を解放し、補給や特産品の取り引きができるようにすることができる。
港ごとに特産品は異なり、また特産品のジャンルごとに設定されている取り引きレートも港ごとに異なる。 取り引きレートの差を利用して貿易することで所持金を稼ぐことが可能である。 こうして得た資金を使って、傭兵を雇ったり、武器・防具を整えたり、船や船の装備をグレードアップし、より強力な敵に立ち向かうことができるのだ。
60以上もあるすべての港を開放すると、物語の黒幕と対峙することになる。
[編集] 海戦
リオンが手にする船は武装されていて、海戦を行うことができる。 沿岸海上にはリオンの船以外に多くの船が行き交っているが、その中に海賊船が混じっている。 海賊船と接触すると海戦モードに切り替わる。
海戦モードでは、リオンは最大8隻から成る艦隊の提督として、各船に移動や攻撃の命令を出すことができる。 攻撃には、砲撃、白兵戦、一騎打ちの三種類がある。 砲撃戦は、船の耐久力や積める砲の門数の差が左右するため、一般に船のサイズが大きい方が有利になる一方で、白兵戦は(船を接触させなければならないが)船に乗せている水兵の人数が勝敗を決める。 海賊船はしばしば大型の戦闘艦にさえ水兵をわずかしか乗せていないので、巧みな操船で白兵戦に持ち込むことにより、一見不利な戦闘を逆転させることも可能だ。 また、旗艦同士を接触させれば、リオンと敵の提督との一騎打ちを選ぶことができる。
雇った傭兵を各船の船長に指名することが可能である。 傭兵にも海戦・操船の技量に長けた者もいて、船長に指名すると海戦時の攻撃力や移動力が高くなる。
海賊を倒すと、海賊艦隊が積んでいた積み荷を奪うことができる。 海賊はしばしば高価な積み荷を持っているので、収入源の一つとして利用できる。
[編集] 三大海賊との戦い
ゲームも後半になると、海賊の中でも特に強い三大海賊(アンジェリカ、シルバー、ウールジ)が現れる。 どれも強力な艦隊を率いている上に一騎打ちでも強いが、アンジェリカとシルバーは倒せば改心して、それ以降は賃金ゼロの強力な傭兵として味方にすることができる。 二人とも倒すと、最強の海賊であるウールジが大艦隊を率いてリオンに挑戦してくる。ウールジとの戦闘突入時には普段の海戦とは違ったオリジナルムービーが流れる。
三大海賊を倒さなくてもゲームの結末を見ることはできるが、傭兵として大変強力なのでアンジェリカとシルバーを倒せば事を有利に運ぶことができる。また、ウールジを倒すと最も強いトーチカ級の船をバルセロナで購入出来る様になる。
[編集] ストーリー
舞台は中世のヨーロッパ。 主人公・リオンが暮らす港町バルセロナに大破した船が流れ着く。それはリオンの父・ファルの船であったが、そこにはファルの姿は無かった。その後リオンは王宮へと呼び出され、女王から「あなたの一族は代々モンスターを倒すための特殊な能力を持っている」と告げられる。そして行方不明のファルに代わり、世界中に進出しているモンスターの発生の根源を壊滅するよう命じられる。魔物退治の命を果たすため、兼ねて行方不明の父を捜す為に、リオンは大海原へと旅立つのであった。
[編集] 主な登場人物
- リオン・アベンチューラ
- 主人公。モンスターハンターの家系であり、訓練次第で超人的な必殺技を放つことができる。この特殊な能力を買われてモンスター退治の旅に出ることに。父・ファルもモンスターハンターだったが、今回の事件で行方不明になっている。
- トレビール・エステバ
- リオンの親友。リオンの冒険に無理矢理ついて来た。剣の腕は凡人並だが、戦いの経験を積めば強くなる(リオンとトレビール以外の全員には経験値が存在せず、戦闘を重ねても強さは一定である)。
- ロフィーナ・フェロ
- パッケージの表紙を飾っている、本作のヒロインらしき少女。特にこれと言った出番はなくゲーム序盤から一切セリフが変わらない。
- アンジェリカ・ルーラ
- 三大海賊の一人。何ものにも囚われない自由な人生を求めていたところを、ウールジに騙されて海賊稼業に足を踏み入れた女。
- シルバー・レイス
- 三大海賊の一人。幼い頃ウールジに拾われて育てられたため、ウールジの教える海賊の掟、より強いものだけが生き残ることができるという考えを信奉している。
- ウールジ・バルバロッサ
- 大艦隊を率いる三大海賊のボス。羽振りのいいリオンの財産を奪うべくリオンをつけ狙ってくる。
[編集] 評価
クソゲーとしての認知が一般的である通り、このゲームに対する評価は総じて低い。一例として、プレイヤーからは以下のような意見がよく挙げられている。
- 唐突な始まり方で物語が開始。「上陸して魔物を倒す」を繰り返すだけで、これといったイベントも少ないまま結末を迎える。さらに、結末は夢オチ。
- 主人公はただ言われるがままに行動を起こすだけで感情をあらわさない(→en:Silent protagonist)。
- 非常にアンバランスな難易度(この主張は正しくない。正しい順番で港を解放すればモンスターの強さは適正である。しかし、あらゆる港が海でつながっておりどこでも自由に入港できる中で、どの港に弱いモンスターがいるかは明示的には示されない)。
- 町の人の会話はストーリー上関係のない無駄な情報が多い。
- 町はどれも同じ構造をしている。容量削減の為か、あるいは手抜きと思われる。
- 武器・防具といったアイテムの値段は異常に高い。これに対し人を雇うのに掛かる金額は全く必要としない。価値観のおかしさ及びバランスの悪さが窺える(この主張は正しくない。傭兵や水兵には自動的に賃金が支払われている。武器や防具のための資金は、さまざまな方法で稼ぐことができる)。
- 「汚い」としか言いようのないモンスターデザイン。CG以外のグラフィックはファミコン並。CGムービーのレベルもそれほど高いわけではない。
- 常人が製作したとは思えない、狂乱したモンスターの台詞。
- 誤字・脱字が目立つ。
このゲームは、名も知れぬ村人の「これは ひどい」の第一声から物語が始まる。これは大破して漂着した船の事を言っているのだが、あまりのクソゲーぶりから「このゲームの事では?」と一部のプレイヤーから揶揄されている。
[編集] プレイステーション版の評価
一年後に発売されたプレイステーション版である『大冒険デラックス 遥かなる海』は、グラフィックが描き直されたり、シナリオが追加・訂正されたりと、評判の悪かったサターン版からかなりの修正が加えられている。ただし、サターン版のインパクトある内容をカルト的に支持していたプレイヤーからは「突き抜けたおかしさがなくなった」としてあまり評価はされていない。
[編集] 外部リンク
- 株式会社パイ - 本作品の販売会社