大分臨海工業地帯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大分臨海工業地帯(おおいたりんかいこうぎょうちたい)は、大分県大分市にある工業地帯。製鉄業と石油化学工業を中心とし、日本国内有数の製鉄所と石油化学コンビナートの両者を備える複合的な工業地帯である。
目次 |
[編集] 沿革
[編集] 第1期計画
1959年に、大分川左岸から大野川右岸に至る海岸線に埋め立て地(1~5号地)を造成する第1期計画に着工。九州石油(1964年操業)、九州電力(1969年営業運転開始)、昭和電工(1969年操業)、新日本製鐵(1972年第1高炉火入れ)等の進出が進み、新産業都市の指定を受けたこの地域は新産都の優等生と呼ばれた。昭和電工の石油化学コンビナートや、新日本製鐵の製鉄所は、それぞれの企業の中核施設であり、日本有数の大規模な施設でもある。また、昭和電工の石油化学コンビナートは高杉良の小説で後にドラマ化もされた『生命燃ゆ』のモデルとなったことでも知られる。
[編集] 第2期計画
1973年には、大野川左岸に埋め立て地(6~8号地)を造成する第2期計画がスタートしたが、石油ショックの影響や、環境問題への関心の高まりを受けた住民の反対などにより、埋め立て工事は進まず、企業の選定も難航した。そのような中にあっても、三井造船をはじめとする企業の進出が徐々に実現したが、一方で、日産自動車が業績の低迷等の原因で進出を断念する等のさらなる曲折もあった。
[編集] 現況
近年では、大分市においてもキヤノンや東芝といった電子・精密機器メーカーの内陸部への進出が目立つが、その一方で、中国等における鉄鋼需要の増加を背景に、新日本製鐵大分製鐵所の生産設備の増強が行われ、2004年に改修を終えた第2高炉が世界最大となるなど、大分臨海工業地帯は日本国内における重工業の重要拠点としての地位を保っている。
[編集] 主要企業
- 九州石油 大分製油所 - 九州唯一の製油所
- 九州電力 大分発電所、新大分発電所 - 新大分発電所(出力229.5万kW)は九州電力で最大の火力発電所
- 昭和電工 大分事業所 - 石油化学コンビナート
- 新日本製鐵 大分製鐵所 - 第2高炉(5,775m³)は世界最大
- 三井造船 大分事業所 - 建設用金属製品、一般機械器具