大阪府立高津高等学校
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大阪府立高津高等学校(おおさかふりつこうづこうとうがっこう)は、大阪府大阪市天王寺区餌差町にある公立高等学校。
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[編集] 概要
- 明治時代のナンバー中学校は10中で終り、大正デモクラシーの中、新しい第11中学校として大正7年発足。
- 校内にある「高津宮址碑」は現在の大阪市市歌「高津の宮の昔より よよの栄えを重ねきて 民のかまどに立つ煙 にぎはひまさる大阪市」の起源と伝えられ、旧制府立高津中学校の校名もこれに由来する。
- 大阪市の中心で交通の便もよく、文教高台に位置し、環境が良い。
- 校章は、旧制中学の北野、天王寺などと同じく「中」をかたちどった六陵のなかに、山桜があしらわれている。
- 高津校歌はOBの赤井文夫が作詞、大塚善章が作曲したものである(いずれも在校時に)。
- 校是は「自由と創造」「日新日進」で、高津の在校生、卒業生、教職員の間でゆるぎない誇りとなっている。
- 昔から個性が尊重され、服装も自由で制服はないが、高校生らしい秩序は保たれている。旧制の清水谷高女と交流した後しばらくはジャケット姿に混じってセーラー服姿の生徒も多くいた。
- 学年定員は320名
- 2007年度より大阪府の新第3学区(大阪市南部と中・南河内地域)となるが、旧第5学区ではトップ校であり、毎年、有名大学への進学率も高い府下有数の進学校である。近年、京都大学、大阪大学、神戸大学、大阪市立大学など国公立への進学数が増えており、平成18年度では国公立へ計182名(同志社大学など私立大学へは計483名)の合格者を出している。
- 同窓会の母校への支援は強力で、90周年記念事業では化学、物理、地学、社会科、家庭科の特別教室にエアコンが設置された。
- 同窓会生は30,534名(旧制高津中学卒を含む、2006年6月現在生存者)。
[編集] 構成
- 全日制普通科
- 定時制普通科(廃止)
[編集] 学生生活
- 伝統的に生徒の人格と創造性を重んじ、自由で進歩的な学校であることで定評がある。授業や試験はハードでありながら、受験勉強一辺倒ではなく、大切な青春を謳歌できる校風がある。進学校にありがちな大学予備校化現象で無味乾燥な高校ライフに落ち込んでしまうということはない。
- 生徒会は「自治会」と称し、部活動への参加率も高く、文科系、体育系共、元気で活発である。
- 部員数では吹奏楽部70人、硬式テニス部64人、水泳部57人、陸上競技部50人などが盛況(2006年度)。生物研究部では大阪大学の高校生ワークショップなどにも参加。ワンダーフォーゲル部では平成17年度大阪府高等学校秋季登山大会において男子2チーム、女子2チームが出場し、男女共優勝した。女子ハンドボール部では大阪府ベスト12に入りし、次はベスト4を目指す。サッカー部では2006年度大阪高校新人サッカー大会で府ベスト16入りした。美術部は伝統的に全国コンクール等に入賞回数も多く、額田晃作(医師)など輩出しているが、現在は以前に比べるとやや低調。
- 「記念祭」は大学の学園祭に負けず劣らず面白い。初日に体育祭、2・3日目に文化祭を実施し、高校としてはユニークなファイヤーストームでしめくくる。実施は秋(9月下旬)であるが、生徒実行委員会が5月から組織され、以後クラブ・クラス毎に全校を挙げて準備活動に入り、生徒達が自主性・自律性を発揮する絶好の機会となっている。また同時に高津卒業生のよき思い出となっている。
- 通常の期末試験、中間試験のほかに、「実力考査」が、1・2年生は年1回、3年生は年3回実施され、ランキングが発表される。生徒各自がこの結果と卒業生の過去データを参照して、志望大学選択の目安にしている。
- 修学旅行は、研修旅行という名称で夏休みに催行する。全員が同じ所へ行くとは限らない。何コースかの中から、各生徒が行きたいところを選択し、希望者数が最低催行人員を下回ったコースを撰んだ者のみ再選択となる(60期生から変更)。
- 「高津エンヤラ節」斉唱!
"エンヤラヤのエンヤラヤの、エンヤラヤのエンヤラヤ、高津の声聞きゃ気が勇む” "高津の校長は米搗きバッタ、いつでも誰にも腰曲げる” "高津の蕃山、三尺野郎、いつまでたっても背が伸びぬ” "高津の佐野さん小さいお方、校長が生徒とまちがえた” "高津のショッタン飲んべでござる、鶴橋のホームで寝てよった” "高津のお栃はジェントルマンでござる、満員電車にゃ乗りはせぬ” "高津の田中は平家蟹でござる、怒ったときには泡を吹く” "高津の山森、おませでござる、中学4年でラブレター” "高津の小西はゲジゲジ野郎、坊ちゃん嬢ちゃん飯の種” "高津の河野は海坊主、ハイハイ、ヘイヘイ、ハイどうぞ” "高津の渡辺、首振り大根、頭を振り振り講義する” "高津の社会科は動物園でござる、白馬、黒馬、白い豚” 歴代の先輩や生徒が教師に対する親近感から創作したもので、記念祭のファイアーストームやサークルのコンパなどで、時には先生も一緒に、大合唱した。風刺がきいていて「言い得て妙」であり、いかにも高津生らしい。
[編集] 歴史
- 1918年4月 府立第11中学校として創立。
- 1919年3月 府立高津中学校に改称。
- 1919年4月 大阪市東区高津北の町に移転。
- 1948年4月 学制改革により、府立高津高等学校となる。共学制実施にあたり、清水谷高校(旧制清水谷高等女学校)と生徒・教員を半分ずつ交換。
- 1949年8月 高校野球に大阪府代表として出場。
- 1992年 新校舎完成。
- 1998年 創立80周年記念式典を挙行。
- 2002年 大阪府教育委員会からエルハイスクールの指定を受ける。
- 2006年 高津OB校長・田中保和氏が就任。
[編集] 出身著名人
- 武田長兵衛(1923年卒) 武田薬品工業元会長
- 安井郁(1925年卒)元原水協(原水爆禁止日本協議会)の理事長
- 森三樹三郎(1928年卒)大阪大学名誉教授
- 織田作之助(1931年卒) 小説家
- 高川格(1933年卒) 囲碁棋士、名誉本因坊
- 鞠谷宏士(1939年卒)元東京商船大学(現東京海洋大学)学長
- 飯干晃一(1942年卒) 作家
- 山本勝一(1943年卒) 観世流能楽師
- 石井威望(1949年卒) 東京大学名誉教授
- 黒田清(1949年卒) ジャーナリスト
- 肥田晧三(1949年卒) 元関西大学教授(上方文化)
- 大塚善章(1952年卒) ジャズ ピアニスト 関西JAZZ協会会長
- 金原正周(マルセ太郎)(1953年卒)演芸家 ボードビリアン
- 早川徹(1953年卒)元大阪大学付属病院院長
- 正田文男(1954年卒) 元ニッセイ基礎研究所代表取締役社長
- 高村直助(1955年卒)東京大学名誉教授
- 出馬迪男(1956年卒)関西テレビ放送会長
- 前田武志(1956年卒) 民主党参議院議員
- 石黒武彦(1957年卒)同志社大学教授
- 西田修 (1957年卒) 元立教大学教授
- 森本清一(1958年卒) 弁護士、人権擁護活動の功績で異例の66歳にて平成18年度藍綬褒章を授章
- 池野忠央(1958年卒) NHKを経て大阪芸術大学教授
- 熊本昌弘(1960年卒) 神戸製鋼元会長
- 西田吾郎(1962年卒) 京都大学副学長
- 二瓶文博(1962年卒) 大阪大学 常勤監事
- 宮原秀夫(1963年卒) 大阪大学総長
- 増田清(1965年卒) 元オムロンIT研究所 所長
- 早田平 (1965年卒) 東京建築検査機構取締役 元清水建設㈱設計本部長
- 平井正夫 (1966年卒) 財団法人 日本データ通信協会 理事長
- 藤原伊織(1966年卒) 小説家
- 村岡三郎(1967年卒) 彫刻家。旧校舎中庭の裸婦像制作。
- 小川 裕充 (1967年卒) 東京大学教授 東洋学研究情報センター長
- 鳥居宏次 (1967年卒)元奈良先端科学技術大学院大学学長
- 野田和正(1967年卒) 神奈川県立がんセンター呼吸器科部長
- 森村泰昌(1970年卒) 現代芸術家
- 審良静男(あきらしずお)(1971年卒)大阪大学医学部教授・免疫学の世界的権威
- 池尾和人(1971年卒) 慶應義塾大学経済学部教授
- 中川潤子(1974年卒) シャープ 通信融合端末事業部第1商品企画部長 Wooman of the year 2007入賞
- 二宮由美子 川島由美子(1974年卒) 京都大学文学部卒、童話作家
- 花柳旭夓(きょくそう)(1975年卒)舞踏家
- 吉田育代(1981年卒) IT分野をカバーするフリーライター 著書「日本オラクル伝」ほか
- 波岡一喜(1997年卒) 俳優
- 牧美也子 漫画家
- 寺平博次 DJ
- 梁石日(定時制) 小説家
- 青山吉伸 (元弁護士)
[編集] 教職員
- 三沢糾(ただす) 高津中学初代校長。第一期卒業式訓辞にて「自由の善用」「人格の尊重」を説いた。当時の中学にはめずらしく女性教師を採用した。台北高等学校校長に転出。
- 羽生隆 イートン校をモデルとした愛知八中初代校長、愛知一中校長を経て、高津中学第二代校長に。「日新日進」を説いた。軍事教練が中学校にも取り入れられる精神主義時代に「冬に寒いと思っては勉強の能率が上がらぬ」と教室にスチームを入れ、世間から注目された(旧校舎の中庭にその名残の煙突が立っていた)。
のち東京府立一中(現日比谷高校)校長、宮城女子専門学校(のち東北大学に統合)校長。 - 久保川平三郎 第一神戸高女校長を経て高津中学第三代校長。実力考査を成績順にして貼り出した。
- 田中保和 2006年就任・現校長、1969年高津高校卒(通算46期生)。「強靭な知性」・「みずみずしい感性」・「品格ある人間性」を説くが、やや盛り沢山で印象に残りにくい。