太陽の黙示録
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『太陽の黙示録』(たいようのもくしろく)はかわぐちかいじの漫画作品。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 概要
「ビッグコミック」(小学館)にて2002年16号から連載中であり、2006年10月現在でコミックスが12巻まで発刊されている。2005年(平成17年)度の第51回小学館漫画賞を、2006年(平成18年)度の第10回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞した。 2006年秋、WOWOWにてアニメ化が決定した。中国の歴史小説「三国志演義」をモチーフとしており、主要キャラクターの名前は、それぞれ三国志演義の登場人物から取られていると推測される。
[編集] あらすじ
舞台は大震災で富士山噴火や首都・東京及び関西水没により国土の五分の一を失い、地割れによる日本海峡誕生で本州が東西に分割されてしまった近未来の日本。南(サウスエリア)をアメリカ、北(ノースエリア)を中国に管理され、福岡と札幌にそれぞれ首都を構えて互いに自らの正当性を主張する南北両政府、分断された国民、台湾へ流れた難民、全世界に散った『棄国者』などを描く。
[編集] 用語
- 日本分断
- 2002年に発生した大震災によって本州が近畿地方~北陸地方に位置する日本列島大断層(モデルは中央構造線と思われる)を境に分裂した。南関東、東海地方、近畿は水没、九州地方、四国地方も二分された。その後、震災復興支援においてそれぞれ軍を派兵させていた米中両国による「分割復興決議案」が国連で採択され、日本は南日本地域(サウスエリア:アメリカ合衆国管理下)と北日本地域(ノースエリア:中華人民共和国管理下)に分割され、その後の日本政府分裂に伴い日本は事実上の分断国家となった。日米中三国による復興委員会も北日本は中国主導、南日本はアメリカ主導で再編され、それぞれ本国の意向を反映させた復興政策を行い南北日本政府は米中の傀儡政権と化してゆく。自衛隊の場合は陸上自衛隊が南北に分割された反面、米軍とつながりの深い海上自衛隊、航空自衛隊は全部隊が南日本に帰属。また在日米軍は三沢飛行場・横田飛行場・横須賀海軍施設・厚木飛行場・キャンプ座間など北日本領内の基地からは撤退している。南北間の往来は当初は自由に行われたものの米中の対立や治安の悪化などを理由に次第に規制され(渡航許可証→ビザ・パスポート)、両政府により相互承認された分離独立の動きが進むにつれ統一を求める声が強まってゆく。
- 日本海峡
- 大震災による地割れで琵琶湖を中心に大阪湾から富山湾にかけて出来た海峡。海底には大阪府や京都府の街が水没している。分断復興計画で米中の管理地域の境界線とされ、ひいては南北日本の国境線となっている。そこではアメリカの調査でM資源が発見され、南北首脳会談では両者の外交の切り札として利用されている。
- M資源
- 日本海峡の海底で発見され、アメリカ政府によって秘密にされた次世代エネルギー資源。その正体はメタンハイドレートで(ただし、普通メタンハイドレートは海底に沈殿するもので、元は陸地や地底だった日本海峡に存在するのはやや不自然)、発見者森村秀一郎博士と共通の頭文字をとってこの名称で呼ばれる。
- 棄国者
- 大震災で行き場を失い、国籍を捨てて海外に亡命した日本人のことを指す。主に難民で受入れ国に帰化したものたち。
- 復興委員会
- 分断復興統治下の日本の復興政策、ひいては国家の方針を事実上決める機関。総理大臣を委員長とし米中両国の代表も参加する。南北政府分裂後はそれぞれに復興委員会が発足(南側は後に復興省)。
- グレイ・シティ
- 国連管理下におかれた旧首都圏・東京都の、南北どちらでもない「灰色の街」という通称。
[編集] サウスエリア(南日本)
- 日本海峡から西に位置する九州、四国と本州の中国地方と兵庫県、京都府、福井県、石川県の一部。中国軍に出遅れた形のアメリカ軍が復興支援部隊として展開し(ただし政府分裂以前は鹿島港に米太平洋艦隊が入港するなど北日本にも部隊が展開していた)ためアメリカ復興保護下となる。大震災から1年後に米中両国のどちらが日本の復興支援を主導するかをめぐって政府内部で分裂した石倉総理中心のアメリカ組が札幌市から福岡市に移動し、そこに首都を設置。海ノ中道や志賀島、能古島を含めた博多湾岸全域が都市化され、復興省(行政府)がおかれた博多区を中心にソーラーパネルが随所に設置された未来型都市となるが、復興景気時に流入したアジア系労働者対策の不徹底により中洲周辺はスラム化。「日米の両方でもない新しい国家」を目標に公務員の国籍条項廃止や道州制導入などがなされたが、当初の都市計画や経済政策はアメリカの模倣であったため貧富の差が進み、特に地方は山陽道海峡区へのノースエリア難民流入など治安が悪化していた。また、北(ノースエリア)政府が国連代表権を持ち、南(サウスエリア)政府も最終的には再統一を目標としていたため主権国家としての対外的な承認もされていなかった。しかし、2015年に旧来の「日本」とは異なる「日本人とあらゆる人種、民族が共存する史上最も新しい独立国家」の設立という新方針を(宗方操が)打ち出し、独立の国際的な承認と国連加盟を目標とする。2017年時点での政治体制は行政長官制で、アメリカ主導の復興委員会→「特別官庁・復興省」を前身とした行政府の長官が疑似大統領制といわれるほどの権限を持つ。また、SCIAという名の情報機関が設立され、自衛隊も国防軍に再編されるなどかつての日本の体制とは名実とも大きく異なっている模様。山陽道海峡区は震災で水没した神戸の跡地に設立された都市で、福岡市・広島市に次ぐ規模の主要都市として独立国家路線の象徴となり、M資源の開発が行われようとしている。
- ロックウェル・プラン
- 正式名称・日本人材復興計画。教育制度が崩壊した日本の優秀な学生をアメリカに国費留学させるもので、政府分断後にアメリカ保護下のサウスエリアで導入された。その背後には、日本人の民族性を自分たちの都合よく改造しようとするアメリカ政府、サウスエリアを自分の理想とする新国家にしようともくろむロックウェルの思惑が見え隠れしていた。しかし、第一期生の一人宗方操がサウスエリアを思わぬ方向に導くことになる。
- 復興省
- 南(サウスエリア)の震災復興・経済政策・対北(ノースエリア)交渉を担当する、北(ノースエリア)の復興委員会に相当するアメリカ主導の特別官庁。ロックウェル・プランの国費留学生たちが高いポストについている。アメリカ本国の意向を踏まえてか難民支援や治安対策よりも経済発展を優先していた。行政長官制施行と同時に発展解消し行政府に。
- 行政府
- 復興省を前進とする、南(サウスエリア)の国家運営全般を取り仕切る機関。外国の出先機関が国政を担うのは一見植民地を思わせるが、その方針はすでにアメリカの意思を離れており、形式上政府は機能しているが中国の意向に沿っている北(ノースエリア)よりも主権はある。しかし、それゆえにアメリカ政府からは危険視されている。
- 道州制
- サウスエリアの行政区分。玄海首都圏(福岡県と下関近辺)のほか、山陽道(山陽地方と旧兵庫県南部)、山陰道(山陰地方と旧兵庫県北部)、南海道(四国)、北陸道(旧京都府、福井県、石川県地域)、九州の計6つの広域行政区画で成り立つ。しかし各道州庁の方針は「バランスが重要」という理由で復興省の管理下におかれていた。
- 海峡区
- 初登場時の正式名称は「山陽道西湖岸市海峡区」。かつての神戸市の廃墟に難民や不法入国の外国人が住み着き、治安が極度に悪化したスラムとなっていたが、自身の福岡返り咲きとサウスエリア主導での南北統一を目指す夏木惇史知事により新道都とするための再開発が計画され、さらに副知事の宗方が自身の目指す独立国家路線の第一歩ならびにM資源開発の拠点と位置づけため、わずか2年でサウスエリア第三の大都市に成長した。
- 南日本(サウスエリア)国防軍
- 自衛隊が再編された南(サウスエリア)の軍隊。正式にはサウスエリア独立の国際的承認・国連加盟と同時に移行されることになっているが、隊員ならびに政府高官の間ではすでにこの名称が用いられ、意識の上では名実ともに自衛隊とは差別化されている。階級や小銃等の装備が米軍と同じものに改められ、また隊員の3割が日本人ではない。
[編集] ノースエリア(北日本)
- 日本海峡から東に位置する北海道と、本州の東北地方、関東地方、富山県や岐阜県以東の中部地方。札幌市に脱出した日本政府が真っ先に中国に援助を(柳拓磨が)要請したため、千歳市に一個師団が新潟港にも北海艦隊が派兵されるなど人民解放軍が復興支援部隊として展開、中国復興保護下となる。その後政府内部で分裂したアメリカ組の福岡移動(亡命)により柳拓磨中心の中国組がそのまま札幌市に残り、首都となる。東京都・永田町のそれを模した国会議事堂や首相官邸など官庁街が大通公園周辺に設置され、さっぽろテレビ塔も上海タワー風に建て替えられた。中国軍駐留や中国系企業の進出により、中国語が普及。一方で国民一人一人にICチップを埋め込み行動を監視するほどの完全な管理社会で、言論統制のもと政府の意に沿わない情報は排除されている。また美唄市の「入国管理所」など強制収容所も複数存在している。食糧生産に関しては復興政策の名残で人民公社に似た国家による農作物などの買い上げと再分配が制度化されているが実態は中国に横流しされ、実際に流通する食料品は安い中国産のもの。政治体制は前と同じく議院内閣制(しかし実権は中国主導の復興委員会と統治グループの七星会が握っている)で従来の県も存続している。旧政府を引き継いだ正当な日本政府を名乗り、国連代表権を持つ(71年以前の台湾やカンボジア内戦の三派連合政府のような立場)。軍事は長く中国軍の手に握られていたが董藤の起こしたクーデターにより欧米の最新兵器を密かに仕入れた北日本軍(自衛隊)が事実上掌握。中国支配下からの独立と南北再統一を願う世論に付け込んだ七星会の暗躍で急速に独裁政治・軍国主義化したが、日本海峡紛争での停戦合意の失敗や七星会の存在の暴露、その主要メンバー暗殺などによって情勢が一変しその後は人民解放軍の増員など中国は属国化を進めようと画策。東京は国連により中立地帯とされ、新宿の旧都庁ビルが南北間協議用の会議場となっているが、津波により大半が水没しライフラインは復旧不能で半ゴーストタウン化している。
- 海峡同盟
- ノースエリアに潜伏するパルチザングループ。ノースエリア領で政府が放棄した旧紀伊半島の島々を拠点とする。もとは日本海峡で闇物資を運搬する組織。リーダーは元ノースエリア陸上自衛官の公文讃。主な目的はノースエリアを掌握している統治グループ「七星会」の壊滅。彼らを影で支援している黒幕は孫市権作マゴイチ・ホールディングスCEOで、ノースエリアでの彼らの表の顔はマゴイチ・ホールディングス警備部門所属の警備員。
- 既望の会
- 新興宗教団体。十六夜(いざよい)と呼ばれる教祖は宗方の元恋人・夏木恵理で教祖理事は星川宿海。札幌に本部を置き、集会場に札幌ドームを用いるほど巨大な教団。ノースエリア政府の支援を受けながら布教活動を行っている。治安の悪化した南北の海峡沿岸でもかなり普及し、その影で武器・麻薬の密輸やサウスエリア側海峡開発の妨害を行っていた。教祖である恵理の脱会後も偽者を使って活動を継続、董藤支持まで企てたが、七星会失脚後は董藤政権に加担した罪で追われる身となる。「既望」とは教祖名でもある十六夜の月のこと。
- 七星会
- 北(ノースエリア)統治グループ。ノースエリア政財界の人々や中国共産党及び中国軍関係者の一部で構成されており、北(ノースエリア)政府を支配下に置いている。海峡同盟の雲井竜児にはノースエリアの実情を満州国(出先機関が実権を握って現地政府を操り、本国政府も手を出せない状態)になぞらえた。人道支援物資の横流しや世論操作等を行っており、これを暴き出そうとするものはすぐに粛清される。董藤政権においては「総理大臣の私的な諮問機関」、神林政権においては全権を掌握した最高評議会という表の顔を持った。その名のとおり七人の主要メンバーの全会一致でその政策・方針を決定しており、朝食会の場でそれらが話し合われていた(その会場のホテルは孫市の傘下で情報は筒抜けだった)。また札幌クーデターなど極秘事項は札幌郊外の別荘で計画を立てる。主なメンバーは董藤卓也衆議院議長・神林曜蔵財務大臣・境玄吾陸上幕僚長・咲村庸三情報庁長官・原西次郎警察局長官・白朱喜(ペイ チューシー)北海道計算机公司社長、三田村栄一北日本大学総長。そして裏で糸を引いている黒幕が連(リャン)中国軍総参謀本部副総長である(第9巻)。
- リーダーの董藤が腹心の勝呂の裏切りにより死亡すると、後継の座をめぐり内紛を起こし更に反体制派に組織の実体を暴露されてしまう。その隙に捕らえられていた勝呂が脱走して咲村、白、境を暗殺し組織の排除を狙うが自身も毒殺されて失敗。その直後に組織を影で支援していた連将軍が失脚し、現在その勢力は弱体化しつつある。
- 北日本(ノースエリア)復興委員会
- 旧復興委員会を前身とする北(ノースエリア)の実質的な最高機関(性質は元老院的)。当初は中国人委員長と日中各二名の委員からなる五人体制で、初代委員長華永烈の死亡後は日本人が委員長職につくと改められるが、情勢悪化を理由に再び中国人の周真瑜が委員長に。またその際委員も大半が日本人の9人体制に移行したが、北(ノースエリア)を衛星国とする中国の方針に沿っていることは変わらない。
- 人民証明証
- 北(ノースエリア)の国民全員に植えつけられているICチップ(左腕)。これにより公共交通の利用など国民一人一人の行動が監視されている。また、北(ノースエリア)に滞在する外国人にも同様の機能があるIDの携帯が義務付けられる。
- なお、アニメ版でも千歳空港での地道のシーンでこれの存在を匂わせる描写がある。
- 黒衣隊
- 董藤卓也のボディーガードを務める私兵部隊。作戦中は平服、軍服全て黒一色なのでこの名前が付いた。中国名は「ヘイイドウイ」。札幌クーデター後より表舞台に現れる。隊員はソルジャー訓練を積んだ戦闘のプロだが、勝呂いわく「警察局や自衛隊の人間ではない」ということから、董藤が密かに手配したものと思われる。ボディーガードのみならず、暗殺や拉致をも任務としていたが、董藤死後は姿を消した。
- マゴイチ・ホールディングス
- 北(ノースエリア)仙台市に本社を構える投資会社(名称からして実質的には持株会社)で、海峡同盟のスポンサー。大震災時は他企業のように資産を持ち出して海外へ亡命せず、多くの被災者達に海外に手配済みのタンカーで食料や石油などの物資を送り出し、破産寸前の企業をM&Aで取り組んで自社を大きくしていった。札幌市内の拠点など海峡同盟が隠れ蓑に利用する「マゴイチコーポレーション」や勝呂が療養していた支笏湖畔の病院などのグループ企業のほか、公式な傘下ではないが実質的には影響下にある企業も複数存在し、孫市は海峡同盟への資金援助を迂回させることでスポンサーが複数いるように装ったり、七星会に対する傍聴やゲリラ放送に利用するなどそのネットワークを反体制に活用してきた。
[編集] 登場人物
[編集] 主人公
- 柳舷一郎(りゅう げんいちろう 声:松田洋治 (少年時代)大久保祥太郎)
- 本編の主人公。実直・誠実な人柄と、人をひきつけるカリスマ性の持ち主。
- 日本政界の名門・柳家の跡取りであったが、箱根で遭遇した大地震で家族と離れ離れになり、その後西に向かうも日本海峡で遭難し、記憶喪失になる。そこを神戸の料理人だった台湾人夫婦に拾われ、彼らの養子となり台湾人「柳舷(リュウ シャン)」として暮らす。記憶を取り戻しても祖国や実の家族への思いとは別に「台湾人」としての誇りを失わなかった。また、台湾に移り住む以前に闇市で宗方と一度会っており、その際彼らは占い師の老女に「二人の王」と予言される。その後は日本人難民の台湾社会受け入れを訴えたり、北日本(ノースエリア)で夏木恵理や海峡同盟、孫市との出会いを通じて南北日本の再統一や全世界に離散した日本人たちを取り戻すことを強く誓う。幼少期は動植物が好きで優れた観察力を持った子供で、変わり者と思われていたがすでにその能力や人間性の片鱗を見せており、震災後の行動でそれが発揮される。
- 名前の由来は劉備(字は玄徳)で、張、羽田との関係は『三国志演義』のはじめのあたりを髣髴とさせる。
- 張(チャン 声:小山力也)
- 台湾マフィア「六海幇(リュウハイパン)」の乱暴者だが仁義に篤く、涙もろい一面もある。
- 密入国に使用した中国の偽造パスポートには「張宗元」とフルネームが記されているが本名かは不明。幼い頃に台北の孤児院で育てられ、その後「六海幇」に入るが組織が孤児院時代の弟分・京明に日本人母子の殺害をそそのかしたことを知るや否や組織に反逆する。やがて舷一郎と出会い、彼と行動を共に起こすようになる。北日本(ノースエリア)にはいってからは主に恵理のボディーガードを務め、更には勝呂の私兵部隊から羽田を助けたりする。
- 名前の由来は張飛(字は翼徳)。
- 羽田遼太郎(はた りょうたろう 声:森川智之)
- 台北警察局刑事。台湾人名「羽遼明(ユイ リャンミン)」。
- 大震災の影響で棄国者にならなければならなくなり、その道に進んだ父を恨んでいる。日本人母子殺人事件と日本人避難民迫害の実態を暴き出そうとする。その後は刑事を辞めて舷一郎や張と共に行動に出る。北日本(ノースエリア)入国の際は董藤の素性を探る知人に会うもその知人が殺され(舷一郎に董藤の素性を知らせたのは彼)、後に彼自身も北海道警察局に逮捕される。やがて入国管理センターの政治犯強制収容所に収監された後、立花によって(舷一郎をおびきだすため)護送されるが舷一郎と海峡同盟に救助される。日本海峡紛争後は勝呂の私兵らに暗殺寸前だった神林を助ける途中、自らも殺されそうになったところを張に助けられる。その後、周と弦一郎の交渉により、弦一郎共々日本国籍を取り戻した。三人の中での役割は情報収集と冷静な判断&張のブレーキ役。
- 名前の由来は関羽(字は雲長)。
- 宗方操(むなかた みさお)
- 南日本(サウスエリア)行政長官首席補佐官兼山陽道副知事。
- 大震災時、東京・渋谷で恋人の夏木恵理と共に遭遇。壊滅した東京の街を見て日本社会の崩壊を悟り、父の町工場が倒産し夜逃げ寸前だった自分の「未来が拓けた」と感じる。しかしその後家族が行方不明と知ったときはそう思った自分を責めており、それは同じく震災を黙示と捉えた七星会の董藤と比較して舷一郎が「似ているが根本的に違う」と評したような両者の対比(どちらも野心家で手段を選ばないが国家と国民を自らの私物扱いする董藤と、究極的には国家と国民の未来のために行動する宗方)の中で大きく現れている。既存の秩序の破壊と新秩序の創造への野心を持ち、恵理は彼をチェ・ゲバラになぞらえ、ロックウェルは彼の内面をマグマに例えた。父や妹の生死が判らぬまま恵理と共に南(サウスエリア)へ渡り、急速にアメリカ化する社会を疑問視していたところに淳史の計らいで日本の人材復興計画(ロックウェル・プラン)に参加し渡米、ハーバード大学に留学。単独で日本海峡にあるM資源の開発方法を模索し、帰国後にロックウェルの補佐(復興省長官官房室長、本人希望で山陽道副知事兼任)となる。やがて南(サウスエリア)の目指すべき形はアメリカ化でもかつての日本の再現(南北統一)でもないと唱え、M資源を利用した新国家創立計画を目指す。勝呂に董藤への反逆をたきつけたり、孫市と裏取引をしたりして舷一郎や羽田の反感を買う。
- なお、アニメ版冒頭の大震災の場面に彼と恵理が一瞬だけ出てくる。
-
- 名前の由来は曹操(字は孟徳)。
[編集] 台湾
[編集] 反日派グループ
- 羽永貴(ユイ ヨングイ)
- 山形県出身。日南電機台北支社長で遼太郎の父。日本人名「羽田遼一郎(はた りょういちろう)」
- 大震災時に台北で何とか会社を生き長らえようとしたが、反日運動に押されて家族や社員全員と共に棄国者となった為、息子の遼太郎との溝を作ってしまう。やがて、反日派グループと手を組み、談合・賄賂等の闇取引に関わったことから他のメンバーと共に逮捕される。
- 劉洪文(リュー ホンウェン)
- 中華民国国防部参謀総長。
- 国防部のNo.2に当たる人物で日本人避難民キャンプから脱け出してきた黒藤ら過激派グループにテロを引き起こさせ、国防部特殊部隊を使って過激派グループを全滅に追い込み、日本人避難民らの追放を試みるも、舷一郎が黒藤から入手した彼との裏取引の場面を国民の目の前で明らかにされ、他のメンバーと同様に国家反逆罪等で逮捕される。
- 葉国鋒(イェ グォヨン)
- 中国国民党議員。
- 反日派グループの急先鋒でマフィア「六海幇(リュウハイパン)」を利用して日本人母子殺害を引き起こしたり、黒藤ら日本人過激派グループによるテロで台湾国民たちの排日感情を煽らせる等の画策を引き起こすも、舷一郎らの手で過激派グループとの接点を公にされ、蔡総統により国家反逆罪等で逮捕される。
[編集] 六海幇(リュウハイパン)
- 京明(チンミン 声:竹田雅則)
- 張の幼い頃からの弟分。
- マフィア「六海幇(リュウハイパン)」にそそのかされ、報酬目当てに日本人の母子を殺害した実行犯。
- 楊(ヤン 声:大塚明夫)
- 台湾マフィア「六海幇(リュウハイパン)」幹部。通称「人切り楊」。
- 政府の反日地下組織の支援により日本人避難民排斥を企て、京明に日本人の母子殺しをそそのかしたことを知って怒り狂った張と死闘を繰り広げた末に止めを刺されそうになるが、最後は止めを刺されることなく見逃され、彼の感情に押されて降参する。
- 黄(ファン 声:島香裕)
- 台湾マフィア「六海幇(リュウハイパン)」会長。
- 台北を中心に組織を牛耳り、また政府の反日組織の支援を受けて日本人母子の殺人教唆や日本人避難民排斥を引き起こしている。
[編集] 日本人避難民キャンプ
- 尾津(おづ 声:佐々木梅治)
- 在台湾日本人キャンプの避難民グループのリーダー。
- 来年度からアメリカ及び国連からの支援が停止され、生活苦に喘いでいる日本人避難民たちを台湾人社会に適応出来るよう舷一郎たちと共に中華民国総統府に働きかけるが、対立していた黒藤のテロを止めようとした際に彼の凶弾に倒れる。
- 黒藤(くろふじ 声:咲野俊介)
- 在台湾日本人過激派グループのリーダー。
- 台湾人社会での日本人適応化に融和路線で解決しようとする尾津に反発し、仲間達と共に避難民キャンプを脱走して自らテロによる祖国復帰及び南北合一を果たそうとする。南日本(サウスエリア)で起きた暴動事件の際の密輸で手に入れた武器を使って台北の3つの各地を同時に襲撃するが、うち2つは阻止され、結局はテレビ局の台北中央電視台を占拠する。テレビを通じて世界各国の日本人避難民たちに暴動を呼び掛けるも、国防部の特殊部隊との戦闘で部下もろとも死亡。死の直前に舷一郎に反日派グループに関する証拠を渡す。
[編集] その他
- 淑琴(スーチン 声:久保田民絵)
- 舷一郎の養母。
- 大震災時、兵庫県で夫と共に避難している途中で気絶していた舷一郎を発見し、やがて祖国に帰国して15年間彼を我が子のように育てる。現在夫とは死別。旅立とうとする舷一郎を優しく見守っている。
- 地道行男(じみち いくお 声:原康義)
- 柳拓磨の秘書。
- 大震災時に行方不明となった舷一郎を捜すが見つけられなかった。そして台湾に渡ってやっと彼と再会、日本人避難民たちを支援する活動に出る。その後は祖国が出入国禁止令を出したためか、帰国出来ずそのまま多くの日本人達と共に台湾に留まる。
- 周(チョウ 声:後藤敦)
- 台北警察局刑事。
- 遼明(遼太郎)の同僚で、彼と共に日本人母子殺人事件の真相を追っている。
- 陳麗君(チェン リージュン 声:小島幸子)
- テレビ局・台北中央電視台報道部レポーター。
- 多くの日本人避難民を連れてデモ行進する舷一郎らの取材を得て彼らの心情を知り、また舷一郎に台北中央電視台を占拠した黒藤の所へ案内させる。
- 夏太太(シャ タイタイ 声:野沢由香里)
- 市場の女店主。
- 初めは他の台湾人と同様に排日感情を抱いていたが、舷一郎と出会ってから彼の行動に賛同する。
- 蔡慶鈴(ツァイ チンリン 声:一柳みる)
- 中華民国(台湾)総統。
- 親日派で避難民キャンプで貧困な生活を強いられている日本人たちをあの手この手で救済を練り、黒藤ら日本人テログループが反日派グループとの繋がりを持っていることを知るや否や彼らを生け捕りにするよう命じるも失敗。やがてその証拠を手にしている舷一郎の協力により、反日派グループを失脚させる。その後は日本本土へ旅立つ舷一郎らを温かく見守る。
[編集] サウスエリア
[編集] サウスエリア政府・国防軍
- エドワード・ロックウェル
- 南日本(サウスエリア)政府行政長官。
- アメリカ「日本復興支援機構」の副長官を経て復興省(後の行政府)長官に。南(サウスエリア)の将来を担う人材を育成する「ロックウェル・プラン」の面接で宗方と出会い、彼に「黒いマグマ」と呼ぶ既存の秩序への憎しみとそれを変える力を見出し、留学期限の延長許可や官房室長就任など重用する。当初は道州制や公務員国籍条項撤廃など政経面を基本的にアメリカ型に手掛け、更にはM資源を利用してアメリカ国益を最優先することで南(サウスエリア)の傀儡政権化を謀る。だが、海峡区の自治とM資源開発計画という宗方の反乱にあい、彼自身かつてM資源の存在がアメリカを含む世界中の石油資本破滅による世界恐慌を招くことを政府から猛反対されたこともあって宗方がアメリカ政府の意思から離れたもう一人の自分の姿と気づく。その後は宗方と共にM資源を利用したアメリカに頼らない新国家づくりに賛同し、行動する。
- 夏木惇史(なつき あつし)
- 恵理の兄。
- 総理政務担当秘書官で震災後の復興政策をめぐって石倉率いるアメリカ組に付く。妹・恵理が宗方に同行したことに反対したがボランティア活動で成長した彼女を見て二人の関係を認め、宗方を留学の候補者に推薦する。南日本(サウスエリア)樹立後はロックウェルと対立し山陽道知事に左遷されて首都復帰を目指していたが、宗方に影響されて彼と独自路線をとる。ロックウェルと宗方の和解以降は共に新国家創立に出る。宗方の公私にわたる良き理解者。
- 名前の由来は夏侯惇(字は元譲)。
- 賀来嘉孝(かく よしたか)
- 南日本(サウスエリア)国防海軍第2艦隊司令官。階級は少将。
- 宗方の下で勝呂と接触し、南北自衛隊の統一を試みるも裏では宗方と共に董藤暗殺を目論む。日本海峡紛争では海峡で北日本(ノースエリア)自衛隊の輸送機及び地対艦ミサイルの撃墜の指揮を執る。
- 名前の由来は郭嘉(字は奉孝)。
- 石倉慎介(いしくら しんすけ 声:池田勝)
- 旧日本政府内閣総理大臣。親米保守。
- 拓磨の親友であったが、大震災後の日本の復興支援をめぐって彼と対立。中国と組むと基本的人権が失われるという危惧は北日本(ノースエリア)の現状を予言する形となるが、拓磨が彼に言ったアメリカの奴隷という言葉もまた南日本(サウスエリア)の現状の予言となった。アメリカの支援による福岡を首都とした政府を樹立して国の復興をロックウェルに託すものの、日本の南北分断独立に遂に心を痛め、これまでのことを後悔する。彼自身も大震災によって、娘夫婦を失っている。
- モデルは石原慎太郎。
[編集] その他
- 坂巻五郎(さかまき ごろう 声:内田直哉)
- 南日本(サウスエリア)国民。
- 大震災時は被災者達の復興支援活動に当たり、その途中で舷一郎に出会った。舷一郎とはぐれた後、彼の拾った犬を同じ「ゲンイチロウ」と名づけ、共に南(サウスエリア)に渡って暮らす。妻と娘が亡くなった後、自殺を幾度となく考えたが、舷一郎にまた会いたいために自殺を思い留まる。「ゲンイチロウ」が倒れていた地道を発見したことがきっかけで、弦一郎の境遇を知り、彼に弦一郎が日本海峡で生死不明になったと伝えた。南北日本の分離独立承認には猛反発し、北日本(ノースエリア)大使館の前で抗議する。そして警備に出ていた警官隊と乱闘し、逮捕されるも釈放される。
- ケン
- ストリートチルドレン。
- 山陽道の海峡区にあるスラムに住んでいたが宗方と出会い、彼と意気投合し彼の設立した学校に通う。その後は友達と共に坂巻の家に同居する。分断後生まれのため「日本人」という概念を持っていないことや国籍の違う友達と共に生きる様子が宗方に「新しい国」の姿を見せた。
- ドク
- ストリートチルドレン。ベトナム人。
- ケンとは親友で同じく海峡区のスラムに住んでいたが、宗方との出会いで彼の「新しい国」の姿を見つめ、その後は他の友達と共に宗方の学校に通いながら坂巻の家に同居してもらっている。
- キム
- ストリートチルドレン。韓国人。
- 海峡区のスラムに住んでいたが、宗方との出会いを通じて親友であるケンやドクと共に坂巻の家から宗方の建てた学校に通うなどの生活態度を変える。
- 梶原(かじわら)
- 南日本(サウスエリア)NGO管理人。
- 福岡を中心に坂巻と共にスラムに居住する貧困者達の救済活動に当たる。やがて坂巻と同じく南北日本の分離独立承認や日本海峡紛争などが次々に起きることで、これからの将来に不安を抱く。
[編集] ノースエリア
[編集] 海峡同盟
- 公文讃(くもん たすく)
- 北日本(ノースエリア)反政府ゲリラ「海峡同盟」リーダー。
- 大震災時は陸上自衛隊員として勝呂と共に東京で災害派遣の任務で被災者達の救助活動に当たり、その後は北(ノースエリア)政府指揮下に所属していた。だが、北(ノースエリア)統治グループ「七星会」の存在や彼らの不正(武器輸出三原則,ワッセナー・アレンジメント違反)の暴露と活動阻止を部下と共に試みるも失敗し、脱走。その後は雲隠れし、海峡同盟を結成して密かに舷一郎らと共に「七星会」壊滅の機会を狙う。
- 途中で舷一郎,羽田,張,恵理に仲間になるよう強要するも、舷一郎から分断か統一かを確かめる為に北海道に行きたいという彼の願いを聞き入れる。勝呂の七星会メンバー暗殺には孫市の命令で苦渋でありながらも毒を盛った酒を勝呂に飲ませ、殺害する。
- 名前の由来は公孫瓚(字は伯珪)。
- 雲井竜児(くもい りゅうじ)
- 北日本(ノースエリア)反政府「海峡同盟」関東支部責任者。北海道旭川市出身。
- 大震災時には医師の父と共に多くの被災者らの治療に当たっていたがいつまでたっても救援物資が入手出来ず、多くの人々の命を救えなかった。やがて北(ノースエリア)を支配している統治グループ「七星会」の存在と彼らの救援物資の横流しの実態を知り、非合法を承知の上で救援物資入手のため、闇物資の密輸に関わる。そのことを父から咎められるが、後に彼の心情を理解して七星会の国家犯罪を国連に告発しようとした父が抹殺され、それ以降は闇物資の運び屋を経て海峡同盟に加わった。
- 宗方の暗殺計画を試みるも舷一郎の活躍により阻止され、彼の説得もあって中止する。また、公文の命令で北海道へ向かう舷一郎・羽田・張・恵理を尾行し舷一郎が祖父の拓磨と共に董藤らに捕らえられたところを助け出すも拓磨の救出には敢え無く失敗する。現在は舷一郎の護衛として行動を共にすることも多く、また公文に逆らって周による「既望の会」摘発を恵理に知らせるなど、海峡同盟から舷一郎サイドに心は移りつつある。
- 名前の由来は趙雲(字は子龍)。ちなみに趙雲は劉備に仕える前は公孫瓚の家臣だった。
- 孫市権作(まごいち けんさく)
- 北日本(ノースエリア)投資企業ホールディングスCEO。海峡同盟の黒幕。
- 本社のある仙台市を中心に北(ノースエリア)財界を牛耳り、海峡同盟を影で動かしている。北(ノースエリア)統治グループ「七星会」壊滅及び北(ノースエリア)平定のため、宗方にM資源開発の投資確約と引き換えに舷一郎・羽田・勝呂・海峡同盟メンバーの身柄引き渡しをさせた。その後南北停戦交渉の立会人となり身の安全を確保して七星会を告発するゲリラ放送など行動に出るが、勝呂による「七星会」メンバー暗殺に手を焼き公文に阻止するよう命じる。
- その最終的な目的は北(ノースエリア)と中国を無数の流通ネットワークで結び巨大経済圏を形成するという亡き父と兄の夢を実現すること。そのためならば民主化や主権回復を先送りしてもかまわないと考えており、表向き協力関係にあった舷一郎とは実質的には袂を分かっている。また、かつて二人の同志だった周復興委員長と出会い、共同歩調をとる。
- 名前の由来は孫権(字は仲謀)で、亡き父と兄の遺志を継いでいるらしい描写も一致している。
[編集] ノースエリア統治グループ「七星会」
- 董藤卓也(とうどう たくや)
- 「七星会」会長。初登場時は北日本(ノースエリア)国会衆議院議長。
- かつては柳拓磨派の若手議員で金庫番の役割、幼少時の舷一郎と面識があった。その強引さから遠ざけらていれたが分断後に呼び戻される。出自への劣等感の裏返しか古代エジプト王家の犬といわれるサルーキ[1]を飼ったり、馬渕首相を”謁見”させたり、皇帝を理想と語ったりするなどの絶対的権力への憧れと日本や日本人に対する深い憎悪をもつ。防衛庁長官時代に当時北(ノースエリア)軍区司令官の連とともに統治グループ「七星会」を結成し、一方で勝呂ら再統一を望む自衛官とも接触し、深いパイプを築いていた。
- 七星会による北(ノースエリア)完全支配のために手始めに華復興委員長を暗殺し、第2代委員長となる。その後は陸上自衛隊の札幌狂言クーデターをデッチあげ、その調停役となり国民の支持を得て第3代首相に就く。更にはM資源獲得のため南(サウスエリア)の海峡区を侵攻ないし占領するが、その危険性故反逆した勝呂に殺される。
- 名前の由来は董卓(字は仲穎)。メインの対立軸の両者に共通の敵役、懐刀に裏切られる末路など、おそらくモデルに一番似ている登場人物。
- 立花(たちばな)
- 董藤の秘書。
- 復興委員長など北日本(ノースエリア)政府で董藤が新しい役職に就任する度に前任の秘書官を解任してそのポストに就任させてきた側近。首相秘書官就任後は董藤の私兵部隊「黒衣隊」も指揮し、舷一郎暗殺を命じられるも逆に捕らえられる。その後彼の人柄に触れ改心するも口封じのため黒衣隊に襲撃され死亡。妻と2人の娘がいた。
- 神林曜蔵(かんばやし ようぞう)
- 「七星会」のメンバー。初登場時は財務大臣。
- 董藤殺害で生じた北(ノースエリア)の政情不安定化をきっかけに「七星会」メンバーの密会による全会一致で第4代首相に就任し、それを隠蔽するため「七星会」を最高評議会と称して全権委任や国会無期閉会を行う。しかし、孫市のバックアップで動いた舷一郎にそのことを暴露されて更には勝呂の粛清部隊に拉致監禁された。羽田と張に救助されて舷一郎から最高評議会の全権委任中止と解散総選挙の実行して「七星会」のこれまでの悪行の告白を具申され、生き残ったメンバーと共に実行を試みるが、新たに復興委員長に就いた周にそのことを告発されて失脚する。
- 境玄吾(さかい げんご)
- 北日本(ノースエリア)陸上幕僚長(海自・空自が事実上存在しないので武官のトップ)。
- 「七星会」のメンバーで董藤の死後、神林の首相就任に反対であったが北(ノースエリア)の政情を早く安定させるため、止むを得ず容認。その後はクーデターから身を守るべくなりを潜めていたが勝呂の私兵部隊に襲われ、娘もろとも殺される。
- 原西次郎(はらにし じろう)
- 北日本(ノースエリア)警察局長官。
- 「七星会」のメンバー。南(サウスエリア)との戦時下において境幕僚長とともに七星会を掌握する密約を交わしていたらしいが、懐柔されて神林を支持。勝呂による暗殺テロ後、北(ノースエリア)の再建に出るが、神林と同じく周復興委員長の手で「七星会」の悪行を告発され、失脚する。
- 咲村庸三(さきむら ようぞう)
- 北日本(ノースエリア)情報庁長官。
- 「七星会」のメンバーで、札幌クーデターや南日本(サウスエリア)との交渉における情報収集やスケジュール管理などを担当。自宅で勝呂の暗殺部隊に襲われ、董藤に脅されてただけと泣き落としを図るも、容赦なく殺される。
- 白朱喜(ペイ チューシー)
- 中国系企業「北海道計算机公司」社長。
- 「七星会」のメンバーで彼も勝呂の暗殺部隊によって殺される。
- 三田村栄一(みたむら えいいち)
- 北日本(ノースエリア)大学総長。
- 「七星会」のメンバー。勝呂による暗殺テロから生き残り、政情不安定になった北(ノースエリア)の再建に出るが、こちらも周復興委員長に「七星会」の悪行を告発され、失脚する。
[編集] 政府
- 柳拓磨(りゅう たくま 声:稲垣隆史)
- 北日本(ノースエリア)初代首相。旧日本政府与党民自党幹事長。舷一郎の祖父。親中派。
- 大地震で息子夫婦を亡くし、孫の舷一郎とも生別。その後復興支援をめぐって石倉率いるアメリカ組と対立。政治家としては己の利害や面子よりも国民を第一に考える誠実さと信念を持つ反面政争においては手段を選ばず「爆弾」の異名を持つやり手でもある。何よりもアメリカ支配を恐れ、震災直後の軍による復興支援にはアメリカ政府への派遣要請ではなく中国政府への派遣要請を主張したことが結果的には後の日本分裂を招き、市民の恨みを買う(ただし彼自身は国連主導での復興政策をめざしていた)。その一方で、戦後続いた対米従属政治脱却の立役者や、中国に対して互角に渡り合える政治家として、官民問わず彼を慕う者も多い。石倉の南日本(サウスエリア)政府樹立以降、中国の支援による札幌を首都とした北(ノースエリア)政府を樹立して首相に就任。その後は病に倒れながらも舷一郎と15年振りに再会するのだが、董藤に謀殺される。孫の舷一郎に「道を切り開く」政治家としての強い資質を見出しており、死の間際にそれを伝えた。
- 馬渕啓太郎(まぶち けいたろう)
- 北日本(ノースエリア)第2代首相。
- 北(ノースエリア)復興委員会を中国影響下から脱却させようとするが、董藤の本心を見抜けず彼の委員長就任を手助けしてしまう。その後内閣改造で七星会関係者の排除を目論むも、首都・札幌で起きた董藤による自衛隊の狂言クーデターにはまり、失脚させられた挙句董藤の手で自殺に見せかけて殺される。
- モデルは小渕恵三と思われる。
[編集] 復興委員会
- 華永烈(ホア ヨンリェ)
- 初代北日本(ノースエリア)復興委員会委員長。
- 復興委員会を北(ノースエリア)の最高機関と自負し、震災後の北(ノースエリア)の軍事面及び政経面を中国型の政策を手がけて支配してきた。南北連絡協議の北(ノースエリア)側代表でもあり、南(サウスエリア)代表の宗方と駆け引きを繰り広げたが、七星会の勢力を拡大しようとする董藤の策略を察知し、失脚させようと試みるも逆に董藤に殺される。
- 周真瑜(ヂョウ ジェンユイ)
- 第3代北日本(ノースエリア)復興委員会委員長。
- かつて人民解放軍中佐時代に中国本土から北(ノースエリア)に渡る経済物資の横流しによる連北(ノースエリア)軍区司令官の陰謀を孫市賢一郎&策太郎と共に突き止めたが、二人は謀殺され、自らも大陸の地方軍区に左遷された。そして札幌クーデター/日本海峡紛争/北(ノースエリア)政府要人暗殺で政情不安定化した北(ノースエリア)の再建を名目に総参謀副総長となった連の計らいで復興委員長に就任し、その直後自分の立場を利用して連を失脚させる。それから札幌全土に大量の中国軍を増派又は進駐させ、孫市と連携して統治グループ「七星会」メンバーの物資横流し・世論操作・暗殺等の告発やそれに伴う最高評議会の解散や全権委任法の撤廃、政治犯釈放を推し進め、宗教団体「既望の会」の摘発まで行った。舷一郎を復興委員に指名し、協力するよう呼び掛ける。また、形の上での民主化と、その背後での実質的な属国化をもくろんでいる。
- 名前の由来は周瑜(字は公瑾)。
- 服部博之(はっとり ひろゆき)
- 北日本(ノースエリア)復興委員。元北(ノースエリア)最高裁判事。
- 周委員長の下で選出された一人で舷一郎の提案したICチップによる管理社会の撤廃には反対したが、やがて彼の提案(反中思想の政治犯釈放・公職選挙法改正・総選挙後の復興委員会解散)に賛同するようになったことで周の謀略により、高校教諭である息子の淫行事件を理由に委員会を追放される。
- 瀬川昇一(せがわ しょういち)
- 北日本(ノースエリア)復興委員。前駐中国北日本(ノースエリア)大使。
- 周委員長の下で選出された一人で彼もまた舷一郎の提案に賛同するようになり、周の謀略で交通事故を起こし、罷免される。
- 石橋守直(いしばし もりなお)
- 北日本(ノースエリア)復興委員。北(ノースエリア)経団連会長。
- 真鍋智彦(まなべ ともひこ)
- 北日本(ノースエリア)復興委員。北(ノースエリア)毎読新聞社社長。
- 周委員長の下で選出された一人で舷一郎の提案に賛成し、周の謀略に気付きつつも、彼もまた董藤政権下に犯した贈賄・背任・横領の罪で逮捕され、委員会から追放される。だが、その直前に会社のホームページに周と孫市による北(ノースエリア)復興の陰謀を告発する内容を書き込み、その情報は羽田を経由して舷一郎の元へ届くことに。
- 松崎将一(まつざき しょういち)
- 北日本(ノースエリア)復興委員。ノンフィクション作家。
- 周委員長の下で選出された一人で舷一郎の提案に賛成の意を示したところ、周の謀略によって委員を自己都合退職する。
- 向谷雄一郎(むこうたに ゆういちろう)
- 北日本(ノースエリア)復興委員。仙台市長。
- 周委員長の下で選出された一人。
- 林商隠(リン シャンイン)
- 北日本(ノースエリア)復興委員。全球投資公司北日本(ノースエリア)経理担当。
- 周委員長の下で選出された一人。
[編集] その他
- 夏木恵理(なつき えり)
- 宗方のかつての恋人。
- 宗方と共に東京で大地震に遭い、兄・惇史の止めも聞かず南日本(サウスエリア)に向かう。福岡のNPOで宗方と共に貧困者たちの生活支援のボランティアをするも、ボランティアの限界を感じて国費留学生となる道を選んだ宗方と被災者一人一人の心の救済が必要と考える自分との間の溝に悩み、結果彼からの渡米の誘いを断って北日本(ノースエリア)に渡りその後行方不明になっていたが、北(ノースエリア)政府が影で支援する新興宗教団体「既望の会」の教祖・十六夜となり海峡区で宗方と再会。その後、董藤に操られている教団の実態に気づき脱会して舷一郎らと出会い共に行動する。
- 星川宿海(ほしかわ すくみ)
- 新興宗教団体「既望の会」教祖理事。
- 教祖・十六夜こと恵理と共に北日本(ノースエリア)の支援を受けて布教活動を行っている。恵理の脱会後も偽の十六夜を立てて布教活動を行い、董藤支持の方針を打ち出すも彼の死後は行方をくらます(その後周真瑜により指名手配されたと見られる)。
- 勝呂奉一(すぐろ ぶいち)
- 北日本(ノースエリア)陸上自衛隊北部方面隊第11師団第10普通科連隊長。一等陸佐。
- 公文とは同期で彼の脱走後は中国の属国と化している北(ノースエリア)の現状打破の目的達成のため、董藤に賛同。自衛隊による札幌でのマッチポンプのクーデターの指揮を執り(自身は表向き鎮圧部隊を装った)一躍成功を収めるものの、後に武力で強行に日本再統一を目論む彼を理解できず、宗方の勧めもあって彼を殺害する。それがもとで一時期精神を病む。療養してそれを克服したかに見えたが、自分に賛同する部下たちと共に北(ノースエリア)統治グループ「七星会」メンバーの暗殺クーデターを行うが、公文により毒を盛られ、死亡。死に際に舷一郎に北(ノースエリア)の未来を託した。
- 名前の由来は呂布(字は奉先)。
- 董藤純也(とうどう じゅんや)
- 卓也の父。
- 昔は旧日本政府・民自党のNo.3で柳拓磨を窮地に追込む程の政治家であったが、現在は北日本(ノースエリア)の入国管理センターの政治犯収容所に収監されている。卓也の父であるが実は彼とは血の繋がりが無く、卓也は中国残留孤児で離れ離れになった純也の腹違いの妹の子で養子にしたことから、後に自らの出生の秘密を知った彼を残忍化させるきっかけを創ってしまう。
- 孫市堅一郎(まごいち けんいちろう)
- 孫市権作の父。
- マゴイチ・ホールディングス創業者。
- 震災後の北日本(ノースエリア)復興を周と共に全力を挙げ、その途中で連による支援物資等の横流しの事実を知る。それを暴きだそうとするが、裏を書かれて拷問を受けた末に交通事故死に見せかけて謀殺された。
- 名前の由来は孫堅(字は文台)。
- 孫市策太郎(まごいち さくたろう)
- 孫市権作の兄。
- 父の堅一郎や周と共に北日本(ノースエリア)の復興を手掛け、連の物資横流しの事実を暴き出そうとするも、同じく父と共に拷問の末に謀殺された。
- マゴイチ・ホールディングス二代目CEO。
- 名前の由来は孫策(字は伯符)。
[編集] アメリカ合衆国
- 大統領(名称不明・2002年当時)(声:ロバート・ボールドウィン)
- 大震災直後、在日米軍と同盟国日本の安全確保のための救援を表明したが、在日米軍に人命救助よりも文化財保護を優先させる命令を出したことが柳拓磨に不信感を覚えさせる。その結果、日本政府からの支援部隊派遣要請で中国に出遅れる形となる。
- 国防長官(名称不明・2015年当時)
- ロックウェルに大統領選への出馬を勧めたが、彼がかつて自身も考えていた「M資源」開発を軸にした南日本(サウスエリア)復興計画を含むアメリカ支配からの独立国家路線を宗方に示され迷いが生じていた時期のため断られた。ちなみにかつてロックウェルの計画を認めなかった一人。
- ジェームズ・G・スタントン
- アメリカ合衆国国務次官補。
- 日本海峡紛争での停戦交渉に仲介役として出るが、裏では董藤とのパイプを持っており、親米路線の復活及び維持を条件にM資源確保を目的とした海峡区占領と宗方ら南日本(サウスエリア)政府要人の失脚を共に目論んでいた。
- 森村秀一郎(もりむら しゅういちろう 声:石塚堅)
- 大震災において「日本分断」を予想した日本人地質学者。
- アメリカによる日本海峡の海底調査に同行し、その海域が世界に類を見ないほどのメタンハイドレートの鉱床であることを発見、アメリカ政府に「森村文書」を提出。しかし、世界のエネルギー事情が一変し支持基盤のオイルメジャーが損害を受けることを恐れたアメリカ政府に「M資源」として隠匿され、彼自身はカリフォルニア大学サンディエゴ校の海洋地質学教授に招聘されるが事実上アメリカ政府による軟禁下に置かれている。
[編集] 中華人民共和国
- 連(リャン)
- 中国人民解放軍総参謀本部副総長。
- 人民解放軍北日本(ノースエリア)軍区司令官時代に組織した「七星会」の活躍により出世してきた黒幕。董藤の北(ノースエリア)完全支配のため手を貸し、彼の亡き後は「七星会」の北(ノースエリア)支配に不安感を抱いて周真瑜を北(ノースエリア)復興委員長のポストに就かせる。しかし、過去に周と親交のあった孫市の父・堅一郎や兄・策太郎が彼と共に物資の横流しの事実を掴んだことで口封じに二人を謀殺して周を地方に左遷したために、その復讐による彼の手で中央軍事委員会の隔離審査に懸けられ、失脚する。
- 周陽明(チョウ ヤンミン)
- 中国共産党中央軍事委員会主席。
- 元中国国家主席、中国共産党総書記で、北京の老帝とよばれる中国指導部の実力者。柳拓磨とは深い親交があり、中国の対日復興支援も両者のパイプによって継続していたようなもの。また、そのパイプを互いの後継者が継承することになっていたため董藤は自分を後継者として周に紹介するよう拓磨を脅迫していた。北(ノースエリア)へ赴く周真瑜に舷一郎の人物を見定めるよう命じる。
[編集] 国際連合
- シャルル・ゾラ
- 国連事務総長日本問題担当特使。フランス人。
- 国連南北日本視察団の団長をつとめたリベラル派の官僚。親日家で米中による分断統治と南北日本の分離独立には反対する立場だったが、宗方に「M資源」の存在とそれを利用した彼の外交戦略を明かされて興味を示し、彼の視察団同行を認める。
[編集] TVアニメ
WOWOWの開局15周年記念番組の一つとして前編『海峡』が2006年9月17日に、後編『国境』が9月18日に放送された。原作第1~4巻の地震発生から台湾編までの内容となっている。
[編集] STAFF
- 原作:かわぐちかいじ
- 設定協力:南敦資
- 脚本:浦畑達彦
- キャラクターデザイン/総作画監督:西城隆詞
- 音楽:本多俊之
- 音響監督:清水洋史
- 監督:小島正幸
- アニメーション制作:マッドハウス
- 製作:「太陽の黙示録」製作委員会
[編集] その他
この作品では、日本国統合の象徴である天皇が一度も出ていないことをコメントした批評家もいる(日下公人)。
[編集] 関連項目
- 日本の分割統治計画
- 日本民主主義人民共和国(架空国家)
- 分断国家
- メタンハイドレート
- 三国志
[編集] 外部リンク
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