審議官
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審議官(しんぎかん)は、中央官庁における官職の一つ。身分は国家公務員。
審議官には次官級、局長級、局次長級のものがあるが、共通することはラインから離れたスタッフ的な立場で政策を調整、取りまとめをする役目を持っていることである。国家行政組織法に所掌事務の一部を統括整理する職(総括整理職)と書かれているが、これが審議官に相当する。いずれも指定職で民間企業では役員クラスである。 地方では審議監という役職を置いている自治体も存在する。
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[編集] 主な審議官
日本語では意味が分かりにくいため英訳を示す。ただし省庁によって若干の違いがある。
[編集] 次官級
- ○○審議官 - Vice-Minister for ~ Affairs または Deputy Minister of (省名英訳)
省名のついた審議官(省名審議官)は次官級であり、事務次官に次ぐ各省官僚ナンバー2のポストである。Vice Ministerと訳す場合、事務次官との混同を避けるため、英訳の際に「国際担当次官」などのように「担当分野を限定された事務次官」とされることが多い。各府省設置法で定められている「特別な職」である。
[編集] 局長級
- 総括審議官 - Deputy Vice-Minister for Policy Coordination
「政策調整担当次官補」などと訳されている各省庁の官房に置かれている局長級の審議官。各省組織令で規定される職。以前は総務審議官と呼ばれていたが、中央省庁再編時に総務省に新たに置かれた次官級の総務審議官との混同を避けるため、総括審議官に改称された。英訳は変化していない。
総括審議官は各省庁に置かれているが、内局の局長よりは下の役職として設置されることが殆どである。そうでない場合でも局長と同級とされるのが普通で局長よりも上位のポストではない。 役職的にはあくまで審議官の中の首席であり、局を統括する局長よりは権限もポストも低い。
- ○○審議官
外務省中東アフリカ局のアフリカ審議官、国土交通省大臣官房の技術総括審議官のように局長クラスが就任し、局長級とみなすことができる審議官が存在する(「名付き審議官」という)。更に、「審議官」という名前を用いていなくても、局長級審議官と同格の職もある(外務省大臣官房の監察査察官、外務報道官、儀典長など)。
[編集] 局次長級
- 大臣(長官)官房審議官 - Deputy Director-General of~
英訳では局次長と同じように訳されている。最もメジャーなものはこちらであり、そのまま審議官級と呼ぶこともある。各省組織令で規定される職。課長と局長の間に位置する役職であるため中二階ポストとも言われる。 なお、これに類似したものに局次長級の参事官がある。
一般的に審議官は大臣官房や長官官房に属しているので大臣や長官といった省庁トップに近い位置にいると見られる為、審議官は内局の局長よりも上の役職と認識されることも多いが、実のところ審議官は局長よりも下の役職である。これは霞ヶ関では常識だが世間一般ではあまり知られていないようで、審議官から局長へ異動することを降格と見ている国民も少なくない。しかし実際には紛れも無く昇進である。