庄司薫
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庄司 薫(しょうじ かおる、1937年4月19日 - )は小説家。本名福田章二。
[編集] 経歴
三省堂の専務の息子として東京に生まれ育つ。幼い頃から文学書に親しむ。東京都立日比谷高等学校卒業後、1年間の浪人生活を経て、1957年に東京大学文科二類(現在の文科三類に相当)に入学。1958年、本名で発表した『喪失』で中央公論新人賞を受賞。選考委員の伊藤整と武田泰淳からは絶賛されたが、三島由紀夫から疑念を表明され、江藤淳から酷評された。
教養課程在学中に400人中1番の成績を取って法学部に傍系進学し、政治学科を卒業。法学部時代の恩師に丸山眞男がいる。
大学卒業後に10年間近く筆を絶ち、謎の多い空白期間を過ごす。エジプト学に沈潜していたとも、株で生活していたとも言われている。
東大闘争のあった1969年、長年の沈黙を破り、庄司薫名義で『赤頭巾ちゃん気をつけて』を発表。三島由紀夫たちに才能を認められ、芥川賞を受賞した。以後、『さよなら怪傑黒頭巾』・『白鳥の歌なんか聞こえない』・『狼なんかこわくない』を発表。『赤』『黒』『白』とのちの『ぼくの大好きな青髭』を加えた四作は、現役あるいは卒後の都立日比谷高生である「薫クン」を主人公にしたいわゆる「四部作」とされる。これらのうち東宝青春路線として1970年代以降、『赤』(岡田裕介・森和代・中尾彬・山岡久乃など出演)と『白』(岡田裕介・加賀まり子など出演)が映画化され、また本名の福田章二原作『軽やかに開幕』の映画版で、『童貞』(1976年、五十嵐淳子・夏木陽介・大滝秀治など出演)がある。
『赤頭巾ちゃん気をつけて』以降の作品に野崎孝訳サリンジャーの影響を見る人は多い。サリンジャーの影響が特に濃厚なのは『アレクサンダー大王はいいな』(1969年)である。
小説家としては1978年の『ぼくの大好きな青髭』を最後に沈黙している。
ピアニスト中村紘子とは1974年9月に結婚。演奏ツアーなどにより中村が長期不在となったさい中村の愛猫(後年逝去)を庄司がたびたび預かり面倒を見るなどしていたことから交際を深め結婚に至った。子はないが結婚以降変わらぬよい夫婦仲とのこと。
- 一説には後年中村がエッセイ・小説を上梓の際、庄司による代筆を疑惑する声もあったが憶測の域を出ない。
株式投資に関してプロ級の腕前を持ち、1980年代以降は東京都港区三田の自宅マンションを抵当に銀行から13億円以上の資金を借り入れて投資をおこない、バブル崩壊の危機を潜り抜けて利益を上げ、借金を完済したことを『週刊現代』2007年新年号に報じられた。