彩雲国物語の登場人物
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彩雲国物語の登場人物(さいうんこくものがたりのとうじょうじんぶつ)では、ライトノベル・アニメ・漫画『彩雲国物語』に登場する人物について説明する。
キャラクター名の後ろのカッコ書きはキャストを指す。表記は(声: アニメ版 / ドラマCD版)である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 紫州組
[編集] 主要人物
- 紅 秀麗(こう しゅうれい) (声:桑島法子)
- (~16才まで)
- 本作の主人公。彩雲国の中で最も力のある貴族(彩七家)の中でも名門中の名門、紅家のお嬢様だが、紅家を出た父のおかげで貧乏暮らし。その為、必死に賃仕事をして生活していた。賃仕事の内容としては、侍女や妓楼での帳簿付けなど、貴族では絶対に足を踏み入れないような裏仕事まで経験済み。秀麗が幼いときに死んでしまった母親からは、礼儀作法や二胡を教わっており、礼儀作法においては「針より重いものを持った事がない」程の深窓のお嬢様に成りすます事も可能。二胡の腕は王宮の楽師にも引けをとらない。8歳の時に起こった王位争いの際の悲惨な体験から、官吏になるために父に勉強を習っていたが、女性が国試(官吏登用試験)を受けられないことを知った後は無償で塾を開き、子供達を教えていた。明るく面倒見が良く努力家であると同時に、母の死後、家事に関しては役立たずの父の代わりに一家の家事をしてきた為、かなりの倹約家でもある。紅州で生まれたが、茶州経由で家族と共に貴陽に移る。その際に静蘭と出会い、以来一緒に暮らしている。
- (16才~「始まりの風は紅く」「黄金の約束」)
- 霄太師に昏君の(ふりをしていた)劉輝の教育係を金500両の報酬で頼まれ、貴妃として後宮に入る。劉輝が政事を真面目にするようになった後、「もう私のすることは何もない」と後宮を辞す。夏が来て、絳攸の提案で、門前に行き倒れていた燕青と一緒に、黄尚書のもとで働く事になる。その頃、劉輝達は女性官吏登用制度を採用しようとしていた。が、黄尚書がその意見に反対。だが、秀麗の仕事ぶりを見て思い直し、女性登用制度に賛成。秀麗は国試を受けられるようになる。
- (17才~「花は紫宮に咲く」「思いは遙かなる茶都へ」「漆黒の月の宴」「欠けゆく白銀の砂時計(前半)」
- 十七歳の年に国試を受けて探花(第三位)及第し、彩雲国初の女性官吏となる。が、その年は配属に困る人物が多かった為「新進士は朝廷に留め置き」という処置がとられた。秀麗は午前中は厠(トイレ)掃除、午後は影月と一緒に府庫(図書室)で書簡の整理という仕事を割り振られてしまうのだった。この仕事以外にも、女だから、という理由で秀麗いじめをする官吏達に雑用を任されてしまう。だが、秀麗はめげずに頑張り見事に進士を卒業する。その後、杜影月とともに茶州州牧に任命され、劉輝から花(王からの花を受け取る事は、忠誠を誓うことを表す)を下賜される。下賜された花は蕾(意味は無限の可能性と希望)。茶州に赴く途中で、殺刃賊が秀麗以外の4人を捕らえる。その直後に麗人の商人「琳千夜」と出会う。
- 秀麗は捉えられた4人と合流し、州牧に就任する為の手段として彼の侍女として全商連に雇われ、茶州州都の一歩手前、金華を目指し、無事に到着するが、彼の本名は「茶朔洵」。…秀麗との縁談の相手だった。あと数日で茶州州牧に着任しなければ官位剥奪という時に、「茶朔洵」は現れる。
- (18歳~「心は藍よりも深く」「光降る碧の大地」「紅梅は夜に香る」「緑風は刃のごとく」「青嵐にゆれる月草」)
- 茶州州牧を務め疫病に苦しむ人々を救ったが、奇病対策のためにとった数々の無茶が原因で冗官(金で官位を買った者や、国試には及第したものの、配属先を決める吏部試に通らなかった者が与えられる官位)になる。その後、甘さを捨てきれないため、「そのままでは使えないが、藍家を動かせる人脈を持つことと、蘇芳と一緒なら」という条件で、御史台に拾われる。十三姫の影武者をやりながら牢獄の仕事をやった。茶州着任後に「紅家直系長姫」であることが知られてから大量の縁談(絳攸や龍蓮も含む)が舞い込むが、本人だけが縁談の件を知らされていない。冗官たちによく胸が小さいと言われる。藍龍蓮の「心の友・其の一」。
- 紫 劉輝(し りゅうき)(声:関智一 / 幼少:岡村明美)
- 彩雲国国王。先王の第六公子として生まれ、実母や異母兄達に邪険にされて育った。異母兄の中で唯一優しかった第二公子・清苑は流罪になり、それ以外の兄達は先王の跡目争いで全員死亡した為、仕方無く王位に就く。清苑が戻って来ることを望み、兄に王位を受け渡す為に昏君のふりをしていたが、秀麗に出会い改心してからは本来の能力を発揮し、賢君となった。剣の腕も立つが、天然ボケで世間知らず。秀麗を愛し、妃にと望んでいるが決して無理強いはせず、秀麗の志を尊重して、「待つ」ことを決意する。そして彼女の為、国試への女性の参加を閣僚たちに認めさせた。秀麗以外の妃を娶る意志はなく、縁談から逃げ回っていたが、宮に一人入れると羽令尹に約束する。リオウから、藍家の姫を後宮に入れると、藍家の官吏が戻ってくるかもしれないと予言される。離別の相が出ているとも言われる。珠翠、楸瑛共にいなくなったため寂しい思いをしている。後世、劉輝治世は「最上治」と讃えられる。絳攸曰く、天然ボケのお子様。
- 茈 静蘭(し せいらん)(声:緑川光)
- 紅家の家人。秀麗の両親である邵可と薔薇姫に拾われて育てられた。茈 静蘭と名付けたのも邵可と薔薇姫で、「茈」には紫の意味がある。右羽林軍所属。実は昔流罪になった第二公子・清苑で、劉輝の異母兄。公子の中で一番優秀だったと言われ、彼の穏やかな笑顔と言葉の裏の裏の表が読めるかどうかが一流と二流の分かれ目といわれていた。幼い劉輝にとっての清苑がそうであったように、清苑にとっても劉輝は唯一の心の拠り所であった。紅家での貧乏生活の為、今では野菜の値切りから山菜取り、大工仕事まで何でもこなす。いつも微笑を浮かべる優しげな青年だが、正体がばれてからは、秀麗の前以外では時々本来の裏がある性格を見せる(昔の経緯からか、楸瑛がいろいろ犠牲になることが多い)。燕青とは以前殺刃賊を滅ぼした旧知の仲で、彼の前では口調も態度も荒々しくなる。過去を秀麗に知られることが一番嫌らしく、特に朔洵に拾われ殺刃賊に連れて行かれ殺刃賊に所属していた間に関してはそれが顕著である。茶州州牧専属武官任命の日に、劉輝から国宝級の双剣の片割れ“干將(かんしょう)”(先王から清苑に下賜されたものだったが流罪になった際に手放した)を贈られる。流罪になってから邵可一家に拾われるまでの間を知る人には、殺刃賊時代の呼び名である「小旋風」と呼ばれる。(ちなみに「小旋風」の名のモチーフは、水滸伝の登場人物柴進の渾名「小旋風」から。)正体を隠す為に実年齢より若く見えることを利用し、蘇芳などには年齢不詳を自称する(基本的に5歳サバを読んでいる。)蘇芳と二人きりだと本性を出す。蘇芳には、以前諸々の事情からタケノコを投げつけたことから「タケノコ家人」と呼ばれている。大変な酒豪であった亡き秀麗の母・薔薇姫(薔君)の晩酌に付き合っていた為、酒には非常に強い。いくつもの修羅場をくぐってきた所為か、時に陰りのある表情を見せる。
- 李 絳攸(り こうゆう)(声:檜山修之 / 幼少:金田晶代)
- 文官、朝廷の人事を司る吏部の副長官である吏部侍郎で、主上付き(劉輝の側近)。秀麗の叔父である紅黎深の部下で養い子。名付け親は黎深で、紅家内の争いに巻き込まないようにという黎深の配慮から、紅姓ではなく李姓を与えられた。「李」は黎深の好きな植物であり、「絳」は紅より深い真紅、「攸」は水の流れる様の意味があり、絳攸が自分の子であるという誇りと、紅家に囚われずに望む道を生きて欲しいという意味が込められている。武術は護身術程度だが、これも兄である邵可と同じ道を歩かせないための、黎深の気遣いからである。当時最年少の16歳という破格の若さで国試に状元(一位)及第し、朝廷に入った。生真面目で頑固。公では感情を見せない凄腕の能吏で、「朝廷随一の才人」「次期宰相候補」「鉄壁の理性」と有名だが、実はかなりの短気で感情豊か、そして超絶方向音痴(30歩の距離の場所でも迷うが、府庫には何とか辿り着けている)。その事実を知るのは、親しいごくわずかな人々に限られている。邵可を先人として(それ以上に養父を制御できる数少ない人として)尊敬している。拾ってくれた黎深を心から敬愛しているが、私生活では全く敵わず、少年期に女装大会に出場させられたこともある。状元及第時の縁談攻勢が原因で女嫌いだが、秀麗とは貴妃として後宮にいた頃から親しく、楸瑛と共によく邸を訪れ、国試の勉強も教えており、黎深にはそのことで「抜け駆けだ」と嫌味を言われたりする。秀麗と結婚して、次期紅家当主になることを紅家当主名代であり黎深の弟である玖狼から望まれている。劉輝から紫の花菖蒲を贈られる。花菖蒲の花言葉は「あなたを信頼します」。紫の花菖蒲にはもう一つの「王の花(秀麗)を守れ」という意味がある。物語が始まる半月前、秀麗の母である薔薇姫(の幽霊)に会ったことがある。
- 藍 楸瑛(らん しゅうえい)(声:森川智之)
- 武官、静蘭の所属する右羽林軍と対を成す左羽林軍の将軍で、主上付き(劉輝の側近)。筆頭名門・藍家出身。絳攸とは国試受験以来の付き合いで親友(絳攸は腐れ縁と主張)。絳攸と同じ年に18歳で国試に榜眼(二位)及第するが、数年で文官を辞め、武官に転向した。女好きで絳攸とは正反対の性格。女性関係は華々しく、後宮から度々朝帰りをするという、とんでもない男でもある(そのせいで劉輝はいつも珠翠に文句を言われている)。しかし誰とも「本気」になったことはなく、心に想いを秘めている人がいるらしい。次兄・三兄によれば雪那と玉華の仲が良すぎるから帰ってこれないらしい。よく絳攸をからかっている。絳攸と共に、劉輝から紫の花菖蒲を贈られる。藍家の前当主と正妻の間に生まれた直系で龍蓮の兄で藍家三つ子当主達の弟。龍蓮からは『愚兄其の四』と呼ばれる。また異母兄弟・姉妹が多くいる。かつては清苑公子に仕えることを望んでいて、王位争いの時に一人で流刑地の茶州まで捜索に出され、熱心に捜した。物語が始まる半月前、絳攸と一緒に秀麗の母である薔薇姫(幽霊)に会ったことがある。王と藍家との狭間で、王に本当に忠誠を誓っているのか悩んだ末、最終的には藍家を取ることを決め、王に花を返して藍州に帰ることにした。囲碁が強い。絳攸曰く常春頭。司馬迅とは親友。珠翠と自分の片恋模様が良く似ているため、珠翠が本当にその相手に一途であり続けているかを確認するため、珠翠をからかっている。
- 紅 邵可(こう しょうか)(声:池田秀一)
- 秀麗の父。朝廷の文官で、黎深の手回しで府庫(図書室)に勤める。おっとりとした性格で、紅家長子ながら末弟・玖琅によって、次弟・黎深を当主にたてられた際に、妻子と共に王都・貴陽に移り住む。貴陽の邸は邵可が本家を出る際、一族が建てた広すぎるほどの邸だが、妻の急死後、使用人に全ての金品を持ち逃げされ、貧乏になった。幼い劉輝に勉強を教え、静蘭を保護する。普段は非常に不器用で、彼の淹れる「父茶」は実の娘すらも裸足で逃げ出す苦さ。笑顔で父茶を飲めるのは劉輝・珠翠・黎深だけである。実は、先王に仕えた暗殺集団“風の狼”の首領、黒狼(こくろう)の二代目。先代黒狼からは、「魁斗」と呼ばれていた。幼いころから能力の高さをきれいに隠している、かなりの切れ者。楸瑛曰く、邵可が政事に参画すれば、藍姓官吏の復帰も早まるとのこと。また、愛娘と国を天秤にかけられるほどの「氷の理性」を持ち、先王に見い出され霄太師に認められたほどの凄腕の政治家だが、非常時のための「切り札」という存在のため、現在の閑職にいる。凶手・司馬 迅に、「私は迷わなかったが、君は迷っている。」と言い、「迷うくらいならやめておけ」と諭している。劉輝曰く、細君(薔君)よりは弱いが、酒には強いらしい。
[編集] 朝廷
[編集] 王家
- 紫 劉輝(し りゅうき)
- 詳細は紫 劉輝の項目を参照。
- 清苑公子(せいえんこうし)
- 詳細は茈 静蘭の項目を参照。
- 紫 戩華(し せんか)(声:前田剛)
- 先王で劉輝および清苑(静蘭)の父で、名君と誉れ高い。故人。結ばれることはなかったが、先代黒狼に想いを寄せていた。世継ぎを残すため、自分に愛されないことを姫が承知ならという条件で後宮に妃を入れたが、それが災いとなる。妃たちが王に愛して貰おうと愛憎を生み、王位争いにまで発展してしまう。子は男6人で、それぞれ母が違う。
- 蒼玄王(そうげんおう)
- 彩雲国初代王。劉輝の先祖。
[編集] 尚書省
- 鄭 悠舜(てい ゆうしゅん)(声:神奈延年)
- 尚書令。前茶州州牧補佐(州尹)。紅黎深と黄奇人を抑えて状元及第した伝説の人。優しく穏やかな人柄だが、かなりの無茶もする。過去に、怒って黎深を殴ったことがある。それ以来、彼が怒ると黎深と奇人はいつも二人で先に謝りに来るらしい。十年間、浪燕青の右腕を務めた。足が悪いが、これは生来のものではなく以前に何者かに傷つけられたため。歩くことはかろうじてできるが走ったりすることはできなく、いずれ全く動かなくなるらしい。自ら志願して茶州の官吏となったが、茶州の問題が片付き宰相(尚書令)に就任した。先王と霄太師の行った一時凌ぎの人事配置に不満を募らせている。宰相として暗殺される覚悟もある。妻は柴凛。専従護衛官は茈 静蘭。仕事に関しては鬼である。黎深に大人しく仕事をさせた事で朝廷を震撼させる。静蘭より碁が強い。
[編集] 吏部
- 李 絳攸(り こうゆう)
- 詳細は李 絳攸の項目を参照。
- 紅 黎深(こう れいしん)(声:真殿光昭 / 井上和彦)
- 吏部尚書。紅家当主だが、兄を追い出した一族を嫌っている。扇を常に持ち、トレードマークとなっている。兄一家を追って、当主でありながら国試を受け、朝廷に入った。「怜悧冷徹冷酷非情な氷の長官」と恐れられているものの、国事に関心はなく、仕事を真面目にやることは少ない。だが、兄一家の事となると人格が変わり、彼らの一言でやる気が増減することも多い。「本気」を出せば、一年分の仕事も三日で終わる天才。ただし、さぼった時とは別の形で支障が出る事もある(特に被害が大きいのは、吏部の官吏がそろって失神してしまうこと)。秀麗の男装時に自分のことを「おじさん」と呼ばせているが、「邵可を追い出して紅家当主におさまった鬼畜叔父」と秀麗に嫌われることを恐れ「叔父さん」であることを告白出来ない。叔父と名乗れないことを、黄奇人にからかわれている。秀麗が国試を受ける際、後見人になったが、「叔父さん」である事実と同様、教えていない。妻は百合姫。敬愛する邵可が静蘭を拾ったのを真似して絳攸を養子にするが、それ以前から実子を持つ気はなかった。絳攸の姓でもある李(スモモ)が花でも実でも一番好き。大切な人達への接し方や愛情表現は、非常に不器用。"風の狼"の解散後も邵可を兇手として使う王家および霄太師を憎んでいる。邵可に可愛がられた上に秀麗を諦めず、更には親友の鄭悠舜を宰相にした劉輝を「洟垂れ小僧」と呼んで忌々しく思い、絳攸に(側近である事を)後悔させたら即刻首をすげかえると脅しをかけている(劉輝も了承済み)。劉輝に不幸の手紙を送ったり、腐った生卵を投げつけたりしているらしい。奇人を本名の「鳳珠」と呼ぶ数少ない人物。悪夢の国試組の一人で、悠舜・奇人・管尚書と同期である。秀麗の為に蜜柑を品種改良までさせた。
- 碧 珀明(へき はくめい)(声:私市淳)
- 秀麗の同期で、第四位及第。絳攸に憧れ、16歳状元の彼に敬意を表して1年遅らせて受けたが(実際には劉輝が仕事をサボり国試は行われなかったので、絳攸の件がなくても16歳で受けること自体不可能だった)、影月・龍蓮・秀麗に越され、17歳状元の野望は潰えた。一本気で曲がったことの嫌いな性格。照れ隠しらしき文句も同時に出るが、同期官吏の中で唯一、影月と秀麗を助ける。現在は希望通り吏部でこき使われ中。当初は貴族らしい純粋さがあったものの、”悪鬼巣窟”と呼ばれる吏部での激務により、彼の罵詈雑言の語彙は日々増加している。官吏になった理由は、碧家の芸術を守るため。芸能の一族の碧家の子息で、鑑定眼は碧家でも屈指。歌梨の弟。姉想いで贋金の件では官位剥奪も覚悟していた。龍蓮の「心の友・其の三」。秀麗には「珀」と呼ばれている。
- 楊 修(よう しゅう)
- 吏部の覆面官吏。国試は及第したのに吏部試に及第できない冗官のふりをして紛れ込み、密かにそれぞれの人物の査定をしていた。吏部官で黎深に楯突ける「精鋭中の精鋭の一割」の一人。秀麗に最低の評価(吏部的には正当な評価)をしたので黎深に睨まれる。名前の由来は三国志や三国志演義の登場人物楊修より。
[編集] 戸部
- 黄 奇人(こう きじん)(声:中多和宏 / 速水奨)
- 戸部尚書。いつも仮面を着けており、周りに奇人変人と言われ続けたため、それならと自分から奇人と改名してしまった。本名は黄 鳳珠。仮面の下には黎深曰く、「飛んでる鴉も気絶してバラバラ落ちてくるような顔」が隠れている。髪がさらさらすぎて結えない。微妙に毎日仮面が違い、それによって一部の人には機嫌が分かるらしい。仮面は雅旬の作品など(柴凛より)。口の部分が開閉式で、着用時でも食事が出来る。折畳み式の仮面もある。黎深が新作の仮面を渡すことから、仮面は黎深が雅旬らの職人に作らせたものと見られている。実はこの世のものとは思えないほどの美顔・美声の持ち主なのだが、素顔を知らない人(楸瑛や絳攸など)は、逆だと思っていることが多い。彼が国試を受ける時、彼の顔に見惚れて筆記試験で彼と同じ宿舎になった者は黎深以外の全員が落第し、毎年殆ど落第者の出ない殿試においては他舎の受験者も彼の顔に見惚れて多くがろくな答えを返せず、落第者が続出した。ゆえに彼が受験した年は国試及第者が異常に少なく、この年に及第した者たちは「悪夢の国試組」と呼ばれている(悪夢が国試にかかるか、国試組にかかるかは、人によって違う)。紅黎深・鄭悠舜を始めとし、「悪夢の国試組」のほとんどは現在重要な地位に就いている。「その顔の隣で奥さんなんかやってられません」という理由で百合姫に振られる(その後百合姫は黎深と結婚した。それが仮面をつけた原因)。当初は女人受験制に反対していたが、猛暑の影響で人手不足の折、絳攸が男装させて送り込んだ秀麗の働きぶりと政事への視野の広さを見て、考えを変える。仕事を能力によってその人の限界ぎりぎりまで振り分けるため、高官になるほどこき使われて辞めていく。気功の達人。秀麗とは季節の便りを交わす仲。
- 景 柚梨(けい ゆうり)(声:西村仁 / 宮本充)
- 戸部侍郎。奇人の仮面の下の表情を読める稀有な人。奇人が仮面を付ける前から傍にいる。穏やかな人柄。秀麗を気に入り、絳攸に養子にしたいと望んだほど。秀麗が少女と知ってからも、男装時の偽名である「秀くん」と呼んで可愛がっている。奇人と二人の時は、奇人を本名の「鳳珠」と呼ぶ数少ない人物。
- 碧 遜史(へき そんし)
- 戸部施政官。高齢。猛暑で倒れる。燕青が代理をする。
- 高 天凱(こう てんがい)
- 戸部施政官。高齢。猛暑で倒れる。燕青が代理をする。
[編集] 礼部
- 魯尚書(ろしょうしょ)(声:家中宏)
- 礼部尚書。身分に関係なく、上位及第した優秀な者にのみ雑用ととてつもない仕事量を割り振る。ついて来られなかったり、賄賂を渡したりする者は見限り、仕事量を減らす。雑用は朝廷内の内情を良く知るため、とてつもない仕事量は周りに舐められて潰されないようにするためにやらせている。こっそり夜食を人数分持ってきて置いていくいい人。上官がことごとく捕まり、急遽繰り上がって礼部尚書になる。珍しくも紅 黎深のお気に入り。
- 蔡前礼部尚書(さいぜんれいぶしょうしょ)(声:藤本譲)
- 秀麗が国試において不正を働いて及第したという噂を流し、その後見人であった黎深を拘束した。一度は「捨て子」と馬鹿にした絳攸に、官位が上がると娘を娶らせようとして縁談を持ってくる、面の皮が厚い小物。茶州に偽の当主の指輪を届けて出世しようとしていた。他にも悪事を色々と働いていた。黎深を二度も怒らせたので財産は没収。家族、親族、友人と縁を切られ、紅家に全国指名手配される。鬘着用。
- 和官吏(わかんり)(声:小伏伸之)
- 礼部の官吏。通称・マロ。秀麗と影月に嫌がらせをしてくる。
[編集] 工部
- 管 飛翔(かん ひしょう)
- 工部尚書。「悪夢の国試組」の一人で、悠舜・黎深・奇人と同期である。仕事は出来るが、無類の酒好きでかなりの飲兵衛。彼の執政室には大小の酒瓶酒樽がごろごろ転がっている。国試の女人受験制に最後まで反対していたが、秀麗との飲み比べで負けたことと、官吏になった理由が自分と同じ「官吏になりたかったからなった」だったため、秀麗を認める。飛翔が尚書になって以来、工部に配属になった官吏は尚書と飲み比べをすることになっており、下戸官吏に恐れられている。
- 欧陽 玉(おうよう ぎょく)
- 工部侍郎。飛翔とは「六部一、仲の悪い尚書と侍郎」として有名。いつも「陽玉」と呼ばれ苛立っている。奇人の美貌に心酔しており、「管尚書より黄尚書の下で働きたい」という旨の発言もしている。実は飛翔以上に酒に強いが、酒の匂いが服につくことを嫌って飛翔に付き合わない。欧陽家は、碧家の門家筋、「碧門四家」のひとつであり、相当な目利きでもある。珀明の義兄で歌梨の旦那である純は欧陽姓なのでもともと親戚と思われる。
- 陶老師(とうろうし)(声:澤田将考)
- 王の筆頭侍医。工部管轄の太常寺大医署の長官も兼務。王宮で最高の医師。本名未詳。老師は先生、というような意味であり、名ではない。弟子の医師には、陶師匠と呼ばれる。秀麗が貴妃であったことを知る数少ない人物で今も貴妃に戻ってほしいと思っている。
- 若い医師たち(わかいいしたち)
- 陶老師の弟子たち。奇病事件のときに茶州に借り出された。葉老師の弟子になり、人体切開の手術を教わった。その際、食材で練習し王宮の食事が3食肉食になって苦情が出たため、町の料理屋で練習した。その結果もあってか本番では手術ミスで患者を死なせることはなかった。茶州では血が体に付いたまま街を移動してたため、血みどろの人食い鬼集団と間違われていた。奇病事件後、貴陽に帰った者もいれば、茶州に残り医療技術を伝える者もいた。
[編集] 兵部
- 孟侍郎(もうじろう)
- 兵部侍郎。自分の娘を後宮に入れるために十三姫と秀麗を兇手を使って殺そうとした。自作自演で襲われた際、兇手によって殺される。故人。別件で地方官吏を兇手を使って殺し、後任に自分にゆかりのある官吏を赴任させていた。
[編集] 羽林軍
- 茈 静蘭(し せいらん)
- 詳細は茈 静蘭の項目を参照。
- 藍 楸瑛(らん しゅうえい)
- 詳細は藍 楸瑛の項目を参照。
- 白 雷炎(はく らいえん)(声:大橋佳野人)
- 右羽林軍大将軍。豪快な性格で、工部の管尚書並に酒が強い。黒家と並んで武勲で有名な白家の出身で、黒燿世とは喧嘩友達(好敵手)。静蘭の上官。静蘭を清苑公子と見破ってしつこく勧誘していた。髭を生やして隠しているが、静蘭曰く、実は童顔らしい。
- 黒 燿世(こく ようせい)
- 左羽林軍大将軍。無口でほとんどしゃべらず、工部の管尚書並に酒が強い。楸瑛の上官。白家と並んで武勲で有名な黒家の出身で、白雷炎とは喧嘩友達(好敵手)。楸瑛が彼の存在ゆえに左羽林軍を選んだとまでいう人。雷炎と同じく静蘭の正体を見破り、勧誘していた。
- 皇将軍(こうしょうぐん)
- 右羽林軍将軍。
- 皐 韓升(こう かんしょう)
- 左羽林軍に所属し楸瑛を慕う部下。弓術に優れる。
- 朱全(しゅぜん)
- 羽林軍に所属の武人。酔うと人の顔に落書きをする癖があり、静蘭にも落書きをした。
[編集] 朝廷三師
- 霄 瑤璇(しょう ようせん)(声:石井康嗣 / 柴田秀勝 / 青年:高木渉)
- 朝廷三師(実務には携わらないが、王の教育係や相談役といった役割を務める名誉職)の一人で、大師。前尚書令。王の教育係に秀麗を雇った。王のためなら何でも犠牲にする、食えない爺さん。先王時代は長年宰相(朝廷の長)を務めた。よく劉輝に嘘を教えてからかっている。奇人の素顔には免疫がある。本物の茶州の指輪を持っていた。英姫には頭が上がらない。実は彩八仙(太古の昔、蒼玄王と共に彩雲国を作った、色の名を持つ八人の仙人)の一人で紫霄と呼ばれる。
- 宋 隼凱(そう しゅんがい)(声:小形満 / 塚田正昭)
- 朝廷三師(太傅)。剣の太刀筋で静蘭の正体を見破る。劉輝の剣の師匠。あまりにも厳しすぎて誰もついていけないので、引退後は指南役にも抜擢されなかった。奇人の素顔には免疫がある。先王の時代から国一番の猛将。先王から"沈丁花"を下賜された。恋愛に関しては晩熟であり、妻と出合って結婚するまでに丸五年、初めて逢引に誘った言葉が「悪徳剣道場へ道場破りに行くから一緒に来るか」、ハネムーンが「全国戦場跡巡り」であった。
- 茶 鴛洵(さ えんじゅん)(声:坂東尚樹 / 丸山詠二)
- 前茶家当主で朝廷三師(太保)。傍流ではあったが、茶家直系の男子がすべて死んだ為(一般には鴛洵が暗殺したと認識されている)に、茶家当主に就任。しかし自らは朝廷に伺候し、貴陽から舵取りをした。10年前、準試にも受かっていない燕青を茶州州牧に推し、後見する。霄太師の上に立つため静蘭を王にしようとするが、計画は失敗し、霄太師に殺された。しかし、その真意は腐敗した茶家を糾弾する口実を与え、茶家の更生を願うものだった。克洵が次期茶家の当主になることを予想していた。妻は縹英姫。先王から"菊花"を下賜された。
[編集] 後宮
- 珠翠(しゅすい)(声:岡村明美 / 湯屋敦子)
- 後宮筆頭女官。才色兼備で、かつては連日回廊に溢れるほど求婚者が列をなしたという。作法・家事類は何でも出来るが、裁縫だけは大の苦手。縹家出身。邵可に拾われ、暗殺集団“風の狼”の一員となる。当時から邵可とその周囲全てを愛しつづけている。以前は貴妃付きであったが、秀麗が後宮を辞した後に、劉輝付きの女官となる。女官に手を出しては振り、自分のことも口説き続ける楸瑛をボウフラ扱いして嫌っているが、楸瑛に本命がいることを気付いている数少ない一人でもある。楸瑛と初めて会った時に「優しかった」らしく、本命ではない(?)ものの他の女官より特別に見られている節がある。楸瑛が16ぐらいのときに会っているが珠翠本人は忘れている。生まれたときに暗示を掛けられている。体調不良になりながらも必死に耐えていたが最終的には操られ十三姫を襲った。暗示は一度発動したら死ぬまで操られるのだが、なぜか秀麗の声を聞くと暗示が解けた。リオウを警戒している。
- 香鈴(こうりん)(声:仙台エリ / 釘宮理恵)
- 王位争いの際、茶太保の邸の門前で倒れていたところを拾われた。後宮に勤められるほどの教育を受け、後宮入りした後も交流を持ち、心から慕っていた。貴妃となった秀麗に仕え、好意を抱いていたが、茶太保の野望を知って秀麗に毒を盛り、茶太保の妻である縹英姫がいる茶州に送られる。立ち直った後は罪の償いとして秀麗に尽くす。影月とは相思相愛で、秀麗が貴陽に帰ってからも茶州の影月の元に残った。
[編集] 仙洞省
- 羽 羽(う う)
- 仙洞省仙洞令尹。背が低く、可愛らしいフカフカの外見で「うーさま」とこっそり呼ばれて、女官などに大人気。劉輝に縁談を持って追い掛け回している。王家や大貴族の婚姻を取り持つ長。リオウを仙洞令君にした。
- リオウ
- 詳細はリオウの項目を参照。
[編集] 門下省
- 旺 季(おう き)
- 門下省長官。資蔭制で朝廷に入った。冗官のリストラ案と塩、茶、鉄に関する独立した官位を作る案を出した張本人だが、悠舜にまんまとやられる。旺家は紫門四家で、貴族としてのプライドが高い。七家と縹家が優遇されていることに不満を持つ。彼が長官を務める門下省は、御史台と並んで「貴族の牙城」と呼ばれている。
- 凌 晏樹(りょう あんじゅ)
- 門下省次官。皇毅とは幼なじみ。資蔭制で朝廷に入った。秀麗には好意的で、たまにちょっかいを出す。果物(特に桃)が好き。悠舜達より年上の三十代後半で、官吏経験も長い。秀麗が幼い頃「姮娥楼」で賃仕事をしているときに会ったことがある。秀麗は覚えていたが本人は忘れていた。皇毅から「トドの背後霊」と呼ばれている。
[編集] 御史台
- 葵 皇毅(き こうき)
- 御史台長官(大夫)。晏樹とは幼なじみ。無表情でめったに顔を動かさない。資蔭制で朝廷に入った。酷で他を蹴落とす性格。秀麗に冷たいことを言っている割には目をかけている。葵家は音楽に秀でているらしく、龍笛が得意。悠舜達より年上の三十代後半で、官吏経験も長い。お茶は濃い方が好みらしい?
- 陸 清雅(りく せいが)
- 監察御史。御史台長官の秘蔵っ子と呼ばれている。14歳のときに資蔭制で入朝。上司の命で謹慎代わりに冗官になったフリをしていた。御史監察は基本的に覆面が原則だが、やりようが派手で御史台内部でも噂になっている。他を蹴落とすためならどんなことでもする。贋作・贋金事件や塩事件で秀麗の手柄を奪い、秀麗が邪魔で殺そうとしていた。彼の出身である陸家は旧紫門四家で、一度没落した。清雅は陸家の直系で、跡取りが嵌める銀の腕輪をしている。蘇芳から「セーガ」と呼ばれる。妹に関して何かしら秘密があるらしい。女性一般に不信感を抱いている。よく秀麗に気があるとも見えなくもないちょっかいを出しに来る。
- 紅 秀麗(こう しゅうれい)
- 詳細は紅 秀麗の項目を参照。
- 榛 蘇芳(しん すおう)
- 下級貴族の家のお坊ちゃん。あだ名はタンタン。身に付けていた狸(→たんたん狸)から静蘭が命名。父親の命令で、秀麗と結婚する気はないが、求婚する。最初は中書省にいたが、口を開くたびに官位を下ろされた挙句、地方に飛ばされたので、何事にもやる気のない性格になった。父親が贋作・贋金事件の犯人として一緒に捕まるが、秀麗によって釈放される。御史台に籍を置いていたが、事件後冗官になる。事件後、獄にいる父親のところに毎日通って差し入れをしていた。静蘭曰く、「貴族なのに人として正常な感性を持っている」。実は贋作・贋金事件の黒幕は実の母親の現夫だった。何も取り得がないが、勘の良さと分析力がある(レッドゾーンとのギリギリの線を見極められる)と言う理由でまた御史台に戻る。黎深・絳攸からは「補佐の才」があると認められる。
[編集] 風の狼
- 鬼姫(おにひめ)
- 先代黒狼。先王 紫 戩華(し せんか)が唯一愛した女性と言われている。
- 紅 邵可(こう しょうか)
- 詳細は紅 邵可の項目を参照。
- 珠翠(しゅすい)
- 詳細は珠翠の項目を参照。
- 北斗(ほくと)
- 詳細は茶州の禿鷹の項目を参照。
[編集] その他
- 柳官吏(りゅうかんり)
- 所属は不明だか、宰相会議に参加出来る高官。奇人の声を聞いて気絶した。
- 華 娜(か だ)
- 詳細は華 娜の項目を参照。
- 冗官たち(じょうかん)
- 冗官室でふらふら遊んでいた貴族たち。秀麗の説得で全員リストラされず各部署に配属された。春本や冗官たちのおかげで今まで男に無防備だった秀麗は男に免疫が出来た。リストラの期限が来たときにお礼として冗官一人が秀麗のことを胸が小さいと言ってグラビア雑誌みたいなものをプレゼントした。
[編集] 貴陽の人々
- 柳 晋(りゅう しん)(声:曽田光星)
- 秀麗の塾の生徒で、秀麗を慕っている。王位争いの時に死にかけた。秀麗を川に落として風邪をひかせた責任を感じて雪の中、龍山まで薬草を取りに行き、遭難してしまう。秀麗が官吏になるためではなく、結婚するために塾をやめると思っていた。秀麗がピンチのときに助けてくれた。
- 桃華(とうか)(声:江里夏)
- 秀麗の教え子。原作ではお団子頭の少女と書かれているだけで、名前がない。柳晋とよく一緒にいる。
- 琴恋(きんれん)(声:浅倉杏美)
- 秀麗の教え子。アニメオリジナルのキャラクター。母親が病気で、代わりに髪飾りや簪を売る店の店番をしていた少女。柄の悪い男に絡まれたところを秀麗たちに助けられた。
- 胡蝶(こちょう)(声:山像かおり)
- 花街一の妓楼「姮娥楼」の妓女で、貴陽の花街一の妓女。下町を牛耳る組連の親分衆の一人。絶世の美女で、彼女の微笑みのためだけに財産を投げ打つ者も多い。秀麗とは10年以上の付き合いで、母親兼姉的存在である。楸瑛は仕事がてらよく通っていて、彼女の座敷を途中で抜け出した唯一の客でもある。秀麗は母親の死後、ここで帳簿付けなどの賃仕事をする。歌梨と古なじみ。歌梨ほどではないが相当な目利き。
- 大旦那(おおだんな)
- 「姮娥楼」の大旦那で、本名未詳。美術品・骨董品集めが好きで、何日か一人で楽しんだ後は姮娥楼に飾る。その趣味の良さが姮娥楼が長年貴陽一の妓楼と讃えられる所以でもある。中でも一階の中央は名誉ある場所で、趣味人達にも注目される。
- 雪玉(せつぎょく)(声:雪乃紗衣)
- アニメオリジナルのキャラクター。「姮娥楼」の受け付けと思われる。
- 羅干(らかん)
- 組連の親分衆の一人。胡蝶より位は上。秀麗はここでも帳簿付けなどの賃仕事をする。贋作の管理をしていたが、御史台の官吏に持っていかれる。
- 葉 棕庚(よう しゅこう)(声:ドラマCD:藤本譲)
- 下町の医者。実は伝説の医仙。華娜を弟子にした。秀麗のかかりつけの医師(主治医)である。猛暑で倒れた曜春を診た。陶老師は伝説の医仙が貴陽にいるとは思わなかった。茶州の奇病事件の際、医師団の長となり、王宮の若い医師たちに人体切開を教えた(血みどろの人食い鬼集団に間違えられることもあった)。秀麗の体の秘密を知っている。実は彩八仙の一人で、黄葉と呼ばれる。霄大師と親しい。
- 榛 蘇芳(しん すおう)
- 詳細は榛 蘇芳の項目を参照。
- 榛 淵西(しん えんさい)
- 元翰林院図画局の官吏。位の高い人から蘇芳と秀麗の結婚と引き換えに金と爵位をやると言われ、それに目が眩んで蘇芳に「秀麗に求婚してこい」と命令した。蘇芳に金で官位を買ってやっていた。別れた妻に見直ししてもらいたいが為に、まんまと騙され、贋作・偽金の事件に知らぬ間に利用されていたが、最後はトカゲの尻尾状態で見捨てられた。その事件後、牢獄で暗殺されかける。気が弱く、小さな悪事は「まあいいか」で行っていたが、牢獄に入れられてもなお息子は関係ないと訴え続ける息子思いの人。別れた妻を未だに想い続ける。短いくるんとした髭が自慢。
- 王 慶張(おう けいちょう)(声:杉山紀彰)
- 秀麗と幼馴染。秀麗からは「三太」という幼名で呼ばれている。全商連認定酒問屋の三男。典型的な金持ちのボンボンだったが、秀麗が官吏になった後は働くようになった。恋敵の静蘭を見返すために、青巾党の子分になったことがある。叔父が贋作・贋金の被害にあった。茶州に行く前、秀麗に求婚した。現在は秀麗と影月が設立した、茶州の研究機関に行っている。
- 公孫(こうそん)
- 貴陽全商連で交渉に応じた男。
- 加來(かく)(声:大橋佳野人)
- 全商連紫州支部砂恭区区長。秀麗に紅家の秘密や、木簡の効果などを教えた。
- 林おばさん(りんおばさん)
- 蘇芳が皇毅の命を受けて日雇いで働いていた塩屋のおばさん。
- 張おばさん(ちょうおばさん)
- 下町の豆腐屋のおばさん。秀麗に「秀麗ちゃんもお年頃だね」と言った。
[編集] 茶州組
[編集] 州官
- 紅 秀麗(こう しゅうれい)
- 詳細は紅 秀麗の項目を参照。
- 杜 影月(と えいげつ)(声:浪川大輔)
- 至上最年少十三歳で状元及第した、秀麗の同期。秀麗と共に茶州州牧に任命され、奮闘する。が、奇病事件での行動からその任をとかれ、現在は茶州州牧補佐(州尹)。櫂 瑜の元で研鑽を積んでいる。黒州の出身。努力家でのんびり屋だが、意外に頑固。酒を飲むと陽月というもう一人の人格が現れるが、陽月が出る度に影月の寿命は磨り減っていく。秀麗に拾われる前は玖琅に助けられ、その恩として(邵可の許可を得たうえで)秀麗の情報を流していた。昔、実父に鉈で殺されかけ、死にかけていたところを水鏡道寺の堂主・華眞に拾われ、そのままそこで成長する。ただし、いつ死ぬかわからない状態だった。邪仙教の事件の時に再び死ぬが、陽月が助ける。その時陽月が眠りについたため、今後は酒を飲んでも陽月は出てこない。本当の名前は月(げつ)。影月は「陽月の影で生きる」という意味で、陽月がつけた名前。珀明からは小動物と呼ばれる。龍蓮の「心の友・其の二」。香鈴とは相思相愛。翔琳と同い年。
- 陽月(ようげつ)(声:浪川大輔)
- 影月とは性格正反対で、喧嘩に強い。影月曰く、酒好き。気まぐれの割におせっかい。影月を3度助ける。秀麗のことを悪く言う割には危ないところを助けたり、接吻をしようとしたりする。香鈴には影月の秘密を喋る。実は彩八仙の一人で白夜と呼ばれる。縹家がこの世で2番目に嫌い。春姫にかけられた暗示を解く。現在は影月を生かすため、深い眠りについている。アニメでは龍連から「心の友其の2.5」と呼ばれている。
- 浪 燕青(ろう えんせい)(声:伊藤健太郎 / 藤原啓治)
- 元茶州州牧。十七歳から二十六歳まで十年間、これまでにないほど良く茶州を治めるが、実は国試はおろか準試すら受けずして州牧となった、例外的な存在。いつもは無精髭を生やした怪しい容貌の人物だが、剃れば好青年。静蘭の過去を知る人物。秀麗が国試を受けた年に茶州の準試を受け、下から二番目というぎりぎりの順位で及第、州牧補佐(州尹)に任命される。現在の官位は不明。準試を受ける前、黄奇人の下で、戸部臨時施政官を務めた事もある。幼い時に両親と兄弟姉妹を、自宅に押し入った殺刃賊に惨殺されるという過去を持つ。武術の腕は静蘭よりも上で、棍を武器にしているが、それは自分の力を制御するため。昔は「小棍王」と呼ばれていた。静蘭からは「こめつきバッタ」と呼ばれる。茶州の事件後、秀麗に人生を賭けてもいいと思い、現在は国試を受けるために勉強中だったが制試を受けに貴陽に来た。左頬に十字傷があるが、長い方は殺人賊の晁蓋に、短い方は静蘭によって付けられた。師匠である南老師の借金を肩代わりさせられている。名前の由来は水滸伝の登場人物燕青より。
- 鄭 悠舜(てい ゆうしゅん)
- 詳細は鄭 悠舜の項目を参照。
- 由 准(ゆ じゅん)(声:神奈延年)
- 悠舜の命令で州府から金華郡府に派遣された官吏を名乗るが、正体は悠舜本人。
- 香鈴(こうりん)
- 詳細は香鈴の項目を参照。
- 茗才(めいさい)
- 国試にも合格している有能な茶州官。秀麗や影月は彼を慕い、頼りにしていたが、他の人には恐れられている謎の人物。州牧着任式の前に秀麗に萩の花を贈った。秀麗が貴陽に帰る時に引きこもっていた。
- 柴 進(さい しん)(声:西村仁)
- 金華の太守。柴彰と柴凛の父。長い間、茶家から妨害を受けていた。その間に妻は栄養失調で死亡。名前の由来は水滸伝の登場人物柴進より。
- 丙太守(へいたいしゅ)
- 虎林郡の太守。本名未詳。冷静さを買われて太守になった。秀麗達の州僕着任式の際には、『置物』の扮装をして荷に紛れて琥璉入りした。秀麗・影月曰く、魯尚書に似ている。現在は朱鸞に国試の勉強を教えたり、資金集めをしている。毎日「青汁」を飲んでいる。
- 櫂 瑜(かい ゆ)
- 現茶州州牧。元黒州州牧で、年老いてもなお一線にいる名官吏。影月の国試受験の後見代理となる。年は八十を超え、朝廷三師より年上で現役最高齢。紳士で、老若男女の尊敬を集めている。華眞の医学書を秀麗に渡す。羽令尹と友人。先王の時代から華眞や邵可とも交流があり黒狼の正体を知る人物。名誉官位を辞退し続けている。
[編集] 全商連
- 柴 彰(さい しょう)(声:千葉進歩)
- 全商連金華特区長兼茶州副支部長。柴凛は双子の姉兼上司。商人気質で、金が絡む仕事になると鬼になる。茶州の事件後、官吏になるため燕青と共に勉強中。
- 遊佐(ゆさ)(声:井上文彦)
- 全商連金華特区に勤める壮年の男。
- 柴 凛(さい りん)(声:佐々木瑶子)
- 全商連茶州支部長。柴彰は双子の弟。茶州の事件後、十年越しの想いを実らせて悠舜と結婚。任期切れ後は発明家になる。奇病事件のときに黔鉱石を発見し、医療道具を発明した。新婚旅行と称して貴陽に行った際、奇人に挨拶をした。その時に奇人の素顔を見ても何の反応もなく、仮面の方に興味を示したというなかなかの人物。秀麗が冗官になってからも色々と手を貸し、「カッコイイ女性」として大いに慕われている。
[編集] 茶家の人間
- 茶 鴛洵(さ えんじゅん)
- 詳細は茶 鴛洵の項目を参照。
- 茶 克洵(さ こくじゅん)(声:鳥海浩輔)
- 現在の茶家当主。藍龍蓮と同い年(十八歳)。茶仲障の末の孫で、鴛洵は大伯父にあたる。鴛洵によく似ている。性格はやや気弱なところがあるが、人が良く真面目で悩むことが多い。妻は春姫。龍蓮の笛を褒め称え、彼の奇抜な服装に感動するなど、大物な面も持つ。当主襲名後最初の朝賀の時に、先王ですらかなわなかった黎深と龍蓮の祝辞を受けたことで、紅藍両家の後ろ盾を得る。玖琅からも祝辞と励ましの言葉を受けた。七家当主で唯一、現王に忠誠を誓う。龍蓮は彼に「親しき友其の一」の称号を与えるかどうか検討中。
- 茶 春姫(さ しゅんき)(声:宍戸留美)
- 茶鴛洵と縹英姫の孫娘。克洵の妻であり、従妹でもある。(本文中では従妹とのみの表記、はっきりしないながらも母親についての描写がないため、おそらく克洵達兄弟とは母親同士が直系の姉妹と思われる)英姫仕込みの才媛で可憐な美少女。縹家の血を引いていて声に関する異能の力があったため、利用されないように口を閉ざすよう、英姫と約束していた。口が利けないフリをしていたために茶家では無視される存在であると同時に、それ故動きやすい立場であった。長く筆談生活を送っていたために、「言葉の選び方」がよく分からない。匿われた時に山の中で自給自足をしていたため、家事は得意。縹家から狙われる。
- 縹 英姫(ひょう えいき)(声:堀越真己)
- 夫の茶鴛洵が生きている時は、茶家の当主代行をこなしていた。死んだと分かると放棄し、自ら囚われの身になる。鴛洵が自分より霄太師の方が仲がよかったため嫉妬していた(霄太師が鴛洵を殺したのも知っていた)。英姫自身は未来を予知する力がある。別名「先見の巫女」。異能の力は生娘だけが持つ為、春姫を縹家から護るために茶州当主に就いたばかりの克洵に、婚儀の前に初夜を迎えろと迫る。力は衰えたが、それでも普通の縹家の術者では勝てない。秋祭りの事件後、春姫を守るために力を使い果たし、少しの間寝込む。
- 茶 仲障(さ ちゅうしょう)(声:岩崎征実)
- 茶鴛洵の弟。才ある兄に嫉妬の念を抱き、茶家の当主の証である指輪、茶州州牧印と佩玉、紅家の血筋を狙っていた。当主になるためなら実の息子(克洵たちの父)や孫の克洵さえ捕らえる。だが、茶家の事件で克洵を庇った息子に刺殺される。故人。妻は茶家の直系。
- 茶 草洵(さ そうじゅん)(声:諏訪部順一)
- 克洵の兄。仲障に当主になるように命令された。何でも暴力で解決する単細胞な性格。茶州に就任する秀麗一行の足止めをするが失敗し、瞑祥に殺される。故人。
- 茶 朔洵(さ さくじゅん)(声:子安武人)
- 克洵の兄で草洵の弟。かつて流罪になった清苑公子(静蘭)を拾い、殺刃賊に連れて行った。仲障の命令で秀麗と婚約するように言われる。朔洵が殺刃賊に命令して琳家は全滅。琳家の子息(琳千夜)と偽り、秀麗を金華まで送る。性格は正反対だが、劉輝にどこか似ている。毒を飲んで失踪。極端に飽きっぽい性格で、その退屈を癒す為になら人の人生すらも玩具にする男だが、最後まで秀麗には飽きなかった。最後まで秀麗に自分の名前を呼んでもらえないことと甘露茶を淹れてもらえないことを気にしていた(秀麗は以前「大切な人達のために甘露茶を淹れる」と発言)。後に人参が嫌いなのと勉強を教えることが得意ということが判明。現在は行方・生死共に不明。
- 茶 冒(さ ぼう)
- 茶家の老人で、今までしていた悪事から逃げようとしていた。
[編集] 邪仙教
- 朱温 (しゅおん)
- 元茶州の武官。女性官吏嫌いで丙太守より除名されたのを逆恨みする。邪仙教に寝返り、秀麗を殺そうとして逆に燕青に殺され、故人。名前の由来は唐から後梁の朱全忠(幼名: 朱温)より
- 千夜(せんや)
- 邪仙教の教祖。秀麗のせいで奇病にかかったと噂を流した張本人。正体は漣。実家に捨て駒にされ、憑依 (?) 中に本体を朱温に殺され、故人。
[編集] 殺刃賊
- 晁蓋(ちょうがい)
- かつての殺刃賊の頭目。燕青が幼い頃、一家を惨殺した張本人。その際の傷(十字傷のうち、縦傷)が燕青の頬に残る。燕青に復讐され、故人。名前の由来は水滸伝の登場人物晁蓋より。
- 瞑祥(めいしょう)(声:永野広一)
- かつての殺刃賊(副頭目)の生き残り。現殺刃賊の頭目。草洵に知恵を授ける。静蘭に異常な執着を持っているが、燕青のことは疎ましく思っていた。静蘭に殺され、故人。
- 小旋風(しょうせんぷう)
- 詳細は茈 静蘭の項目を参照。
- 小棍王(しょうこんおう)
- 詳細は浪 燕青の項目を参照。
[編集] その他の人々
- 朱鸞(シュウラン)
- 虎林郡石榮村の少女。漢字表記では朱鸞。両親が奇病にかかり、父は死亡したが、母は秀麗達のお陰で助かる。将来は秀麗のように官吏になることを夢見ている。
- リオウ
- 詳細はリオウの項目を参照。
- 南老師(なんろうし)
- 燕青の師匠。恥ずかしがり屋で表に出てこない。料理の代金代わりに食材を落としていくので、妖怪と間違えられる。喋るときはメモを落としていく。燕青の師匠で、彼よりも強い。悠舜が自ら閉じこもってたときは護衛をしていた。
- 北斗(ほくと)
- 故人。「茶州の禿鷹」前頭領。風の狼解散後茶州に移り住み、妻の連れ子であった翔琳・曜春を妻が亡くなったあとも育てる。春になったら邵可達に会いに行こうと子供たちに誘われていたが、病を患い、こんな姿を見せるのは恥ずかしいという理由で出立を先送りにしてるうちに亡くなる。子供たちには獣を捕らえるための技が人間にも使えるという事を教えなかった。また、危険になったら『逃げる』ということで勝つのではなく負けない強さを教え、かつて自分が国中を旅した昔話を聞かせることにより正確で無駄のない知識と情報を与えた。
- 翔琳(しょうりん)(声:杉山紀彰 / 浅野まゆみ )
- 茶州、峯盧山に住む「茶州の禿鷹」現頭領。先代・北斗の養子(妻の連れ子)。影月と同じ年。素晴らしい逃げ足を持つ。燕青に頼まれ、茶春姫を匿っていた。龍蓮の衣装に感激し、正式な「茶州の禿鷹」の衣装にしようとしている。猿の化け物と間違えられることがある。
- 曜春(ようしゅん)(声:笹島かほる / 小林由美子)
- 茶州、峯盧山に住む義賊「茶州の禿鷹」の唯一の手下。先代・北斗の養子(妻の連れ子)で翔琳の一つ違いの弟。素晴らしい逃げ足を持つ。猛暑で熱射病に倒れた際に、秀麗に助けられる。燕青に頼まれ、茶春姫を匿っていた。龍蓮の衣装に感激し、正式な「茶州の禿鷹」の衣装にしようとしている。猿の化け物と間違えられることがある。葉っぱ日記帳をつけている。
[編集] 紅州組
[編集] 紅家の人間
- 紅 秀麗(こう しゅうれい)
- 詳細は紅 秀麗の項目を参照。
- 紅 邵可(こう しょうか)
- 詳細は紅 邵可の項目を参照。
- 紅 黎深(こう れいしん)
- 詳細は紅 黎深の項目を参照。
- 李 絳攸(り こうゆう)
- 詳細は李 絳攸の項目を参照。
- 紅 玖琅(こう くろう)(声:置鮎龍太郎)
- 邵可と黎深の弟で、邵可を紅家から追い出して黎深を紅家当主にした張本人。紅家当主名代。普段は紅州の紅本家にいる。邵可のことを嫌っているような素振りを見せているが、本心では兄二人とも慕っている。絳攸を秀麗と結婚させて、紅家を継がせようとしている。兄たちが原因で、何でも器用にできる。伯邑(はくゆう)・世羅姫(せらひめ)という二人の子供がいる。息子の伯邑を最初から絳攸の補佐として教育している、手際の良すぎる末弟。絳攸のことは、最初から紅一族と認め、絳攸にも慕われている。
- 百合姫(ゆりひめ)
- 黎深の妻。奇人を「その顔の隣で奥さんなんてやってられません」という理由で振り、これが奇人の仮面装着の直接的な原因となった。実子はなく、養い子に絳攸がいる。邵可曰く、絳攸がまともに育ったのは百合姫のお陰。悠舜曰く、黎深を任せられるのは百合姫くらいしかいない、ということからも出来た人らしい。本人は未登場。
- 薔薇姫(ばらひめ)(声:園崎未恵)
- 秀麗の母で、薔君(しょうくん)とも呼ばれる。本名未詳。黒狼として活動していた当時、邵可は薔薇姫を殺す任務にあったが、一目惚れをして縹家から奪った。かなりの美女。邵可の求婚を長年断り続けたが、最終的には受け入れた。酒には相当強い。秀麗のために効き目抜群の薬湯を作るが、爆発したり一騒動になるため静蘭に怒られる。秀麗は自分の病気を治すために母は死んだのだと長い間、自分を責め続けていた。現在は故人。物語が始まる半月前に幽霊として絳攸・楸瑛に会っていたり、八仙と知り合いらしかったりする謎の人。
- 紅 玉環(こう ぎょくかん)
- 邵可たちの大叔母。碧家・藍家をも凌ぐ琵琶の腕から、琵琶姫と呼ばれた。弟達を家取り潰しによる被害から守ろうとした邵可に毒殺される。
[編集] 藍州組
[編集] 藍家の人間
- 藍 楸瑛(らん しゅうえい)
- 詳細は藍 楸瑛の項目を参照。
- 藍 龍蓮(らん りゅうれん)(声:木内秀信)
- 秀麗と同じ年に国試を受けた、榜眼及第者。楸瑛の弟で、彼を「愚兄其の四」と呼ぶ。風流と美を愛し、武術にも長ける。奇抜な格好をし、札勝負をしながら旅をしている。勝ったら必ず吹いていく「慰めの笛」故に、「龍笛賭博師」と呼ばれる知る人ぞ知る名賭博師でもある。天才は何もしないでも何でもできるから天才なのだ、という言葉を実証するかのように、寝てばかりいても榜眼及第するが、兄達との約束のために受けただけなので進士式をすっぽかし、官吏になる意思もない。彼の横笛の音は聞いた者がノイローゼになるほど酷いものであり、国試の際にも甚大な被害をもたらしたが、自身ではそれを風雅であると信じきっている。しかし、縦笛を始め、他の楽器は完璧にこなす。秀麗、影月、珀明は龍蓮に耐性があったため、秀麗を「心の友・其の一」、影月を「心の友・其の二」、珀明を「心の友・其の三」と呼ぶ。この三人は龍蓮にとって、生まれて初めて出来た友人。茶州にいる頃は、克洵夫婦の家に厄介になっていた。龍蓮の笛を心から喜んでくれるので、克洵を「親しき友其の一」と呼ぼうとしている。州牧邸周辺では龍蓮の笛は怪奇音扱いされていた。普通の服装をすると、楸瑛によく似た正統派美青年。龍蓮は元々の名ではなく、その天つ才を認められ、四歳の時に襲名した名前。「藍龍蓮」とは藍家の象徴であり、最後の切り札。過去、その名を承継したほとんどの者が当主になっているが、当代の龍蓮は当主になる気はない。
- 藍 雪那(らん せつな)
- 藍家直系五人兄弟の長男で、三つ子の弟二人と共に藍家当主を務める。当主になる前は朝廷にいた。黎深と同い年で、また同じ時期に当主になり、当主就任と同時に藍姓の官吏を一斉退官させた。妻の名は玉華(ぎょくか)。十三姫を後宮に送り、楸瑛を朝廷から藍本家に帰らせようと計画する。黎深のことは嫌っているが、邵可のことは慕っており、折々に便りを交わす。
- 十三姫(じゅうさんひめ)
- 秀麗と同じ年で性格もよく似ている。容姿も似たような感じなので秀麗が影武者となった。藍家直系五人兄弟の異母妹。楸瑛とは仲がいい。司馬迅とは恋仲だった。司馬迅のことで三つ子当主と約束をして後宮に来た。武芸を嗜んでいて馬術は男顔負け。後宮に来る前、秀麗に似せるため饅頭作りをマスターした。劉輝に自分を殺してもいいと言った。
- 藍 玉華(らん ぎょくか)
- 雪那の妻。もともとは前藍家当主の妾になるところを雪那に求愛され結婚。心から雪那を愛していて、三つ子の弟二人に「時が止まったように仲がいい」と言われている。楸瑛の初恋の相手。雪那・楸瑛の二人に「お日様の色をしたふわふわの玉子焼き」と表現される。顔は平凡らしい。
[編集] 碧州組
[編集] 碧家の人間
- 碧 珀明(へき はくめい)
- 詳細は碧 珀明の項目を参照。
- 碧 歌梨(へき かりん)
- 珀明の姉。「碧宝(碧家の至宝)」とまで言われる、千年に一度の天才画家。雅号は碧幽谷(へき ゆうこく)。男名の雅号を拒んだために碧家から監禁されたのが原因で、才能が一気に目覚める。またその為に極度の男嫌いになる。女の子が好きで、妓楼に通っている(仕事場兼宿屋代わり)。姮娥楼にもたまに滞在する。高飛車でわがままだが、息子の万里が贋作・贋金の真犯人だと分かると、万里の身代わりに刑罰を受けようとする母親らしい人でもある。基本的に男性の肖像画は描かないが、劉輝のように例外はいる。今まで当主は男性が勤めることは常識であったが(縹家のような女系一族もあるし、玖琅が絳攸が夫なら秀麗が当主でも構わないと言っていたので、女性の地位が低く見られているだけで女性の当主就任が許されないわけではないと思われる)、秀麗という女性官吏が朝廷に誕生したことから女性でもいいかな、という動きがあり、碧家当主候補となる。劉輝に翰林院図画局の長官に請われるが、女性官吏がいないため断った。珀明によると(可愛過ぎない、美人過ぎない、胸が大き過ぎないという理由で)秀麗が好みらしい。胡蝶とは古なじみ。目利きであるため、万里を探す間に貴陽の画店の絵の真贋鑑定をしていた。観相や骨相も出来る。実際に、骨格から劉輝が名乗っていないのに王と見抜く。
- 欧陽 純(おうよう じゅん)
- 歌梨の夫。万里の父。絵は下手だが、歌は上手い。歌梨が碧姓、純が欧陽姓であることから、工部侍郎の欧陽玉とは直接、親戚関係にあると思われる。歌梨に全く頭が上がらない。
- 碧 万里(へき ばんり)
- 歌梨と欧陽 純夫妻の息子。わずか五歳にして絵画・彫刻に優れた才を現す。それ故、囚われて榛 淵西邸で贋作及び、贋金の極印を製作させられていた。才を認められ、歌梨からは雅号・「碧幽山」(へき ゆうざん)を与えられるが、万里は「碧歌梨」の雅号を希望。一番嫌いなことは歌梨に捨てられること。
[編集] 黒州組
- 杜 影月(と えいげつ)
- 詳細は杜 影月の項目を参照。
- 華 眞(か しん)
- 黒州西華村水鏡道寺堂主である医者。故人。影月の師。華 娜の末裔。医仙の寵児と呼ばれる名医、十代にして華家に伝わる医術のことごとくを習得した神童として知られる。王家や大貴族のお抱えになるのを避けて放浪していた。性格は影月を越えるお人よしで騙されることが多い。自分が書いた医学書を櫂 瑜に渡していた。
- 櫂 瑜(かい ゆ)
- 詳細は櫂 瑜の項目を参照。
- 黒 燿世(こく ようせい)
- 詳細は黒 燿世の項目を参照。
- 村長(むらおさ)
- 名前は不明。西華村の女村長。村で一番最後に奇病にかかり、死亡した。国試を受ける影月のためにお金を集めていた。
- 源(げん)
- 西華村の老人。村一番で体力があったが、最後から2番目に死んだ。影月、陽月に「チビだから牛の乳飲め」と言っていた。
[編集] 白州組
- 白 雷炎(はく らいえん)
- 詳細は白 雷炎の項目を参照。
- 白州州牧(はくしゅうしゅうぼく)(声:星野光昭)
- アニメのみしか登場していないキャラ。原作では未登場なためアニメと同一人物か不明。名前も不明。秀麗と劉輝に酒を勧めるが、劉輝に酒を注いだらちょうど空っぽになったため、秀麗だけ香鈴が用意した毒入りの酒を知らずに勧めてしまう。
[編集] その他
- 二匹の黒い鞠
- 詳細は一切不明。宋 隼凱がシロ、クロと名づけ気に入っている。たまに秀麗のところに遊びに行っている。秀麗の怪我の止血をしてくれた。礼儀正しい。宋 隼凱は「何かの小動物だ」と説明している。
[編集] 蒼家の人間
紫家、縹家、葵家の祖先にあたる一族。
- 蒼玄王(そうげんおう)
- 詳細は蒼玄王の項目を参照。
- 蒼瑤姫(そうようき)
- 蒼玄王の妹。初代縹家の当主。
- 蒼周王(そうしゅうおう)
- 蒼玄王の後を継いで王になった。彼の治世中一度も戦は起こらなかった。
[編集] 縹家の人間
神祇、異能の家系。璃桜とその父は例外らしいが、歴代当主のほとんどは女。
- 縹 璃桜(ひょう りおう)
- 縹家の当主、満月の月下彩雲紋をつけている。若い姿で何十年も生きている。リオウ曰く、年は80才ぐらいで不老長命、髪の毛だけ年相応で白髪(銀髪)らしい。薔薇姫と珠翠を奪った邵可とは憎み合っている。秋祭りのときに占い師に化け、春姫を襲った。ひたすら薔薇姫だけを思い続け、現在は娘の秀麗を狙っている。
- 縹 漣(ひょう れん)
- 縹家当主・璃桜の姉の息子で、息子のリオウとはいとこにあたる。奇病事件のときに華眞の体を使い、影月を襲う。首を切られた後、リオウに諭され自分が死んだことを認め、華眞の体を手放す。
- 縹 瑠花(ひょう るか)
- 璃桜の姉。璃桜のことをずっと見ている。邪仙教の陰の黒幕。西華村が奇病で二人を除いて全滅したことにも係わっているらしい。
- リオウ(りおう)
- 仙洞令君。茶州ではいつの間にか石榮村にいた。奇病事件のときに漣の首を持ってくる。その後、茶州から姿を消す。実は縹家当主・璃桜の息子で、名前の漢字表記は父と同じ、縹璃桜。父の命令で貴陽に行き、劉輝と茶飲み友達になる。読書(かなり本を読むのが速い)と父親の話し相手と占いが趣味。劉輝は彼が幽霊だと思っていた。羽羽を一寸じぃさんと呼んでいる。よく羽羽を背負って歩いている。
- 蒼瑤姫
- 詳細は蒼瑤姫の項目を参照。
[編集] 華家の人間
医師の家系。華娜の遺言を葉 棕庚に伝えるため、華家には放浪者が多い。
- 華 娜(か だ)
- 葉棕庚の弟子の名医。医術の一族・華家の人間。華家に伝わる人体切開術の祖。王の病を治そうとして刃物を出したら殺害を企てたと疑いを掛けられ、処刑された。葉棕庚に惚れていたようで、「あなたの子供が生みたかったわ。」、又、「あなたから言ってくれるのをずーっと期待してた私が馬鹿だったわ。」という言葉を遺言としている。華 眞は子孫である。故人。名前の由来は三国志や三国志演義に登場する名医華佗より。
- 華 眞(か しん)
- 詳細は華 眞の項目を参照。
[編集] 司馬家の人間
- 司馬迅(しば じん)
- 藍門筆頭出身。十三姫の元婚約者。司馬迅の名を捨て隼と名乗っている。「牢の中の幽霊」の一人。地方官吏殺害事件の兇手の頭領。十三姫のことを螢と呼んでいる。隻眼で額に焼きゴテがある。十三姫(と秀麗)を殺そうとしたが楸瑛に阻まれる。邵可曰く、元婚約者を殺すことに迷いを覚えていたため、楸瑛が来るよう仕向けたらしい。秀麗たちが駆けつけたのと秀麗の声で珠翠の暗示が解けたことにより逃げる。結果、珠翠を連れて逃げた。ついでに黒狼が誰か探るよう命じられていたが、断念する。
[編集] 関連項目
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