星雲仮面マシンマン
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『星雲仮面マシンマン』(せいうんかめんマシンマン)は、1984年(昭和59年)1月13日から同年9月28日まで日本テレビ系(一部地域を除く)で毎週金曜日17:30 - 18:00に全36話(本編35話 + 総集編1話)が放送された、東映製作の特撮テレビ番組、および作品内に登場する架空のヒーローの名称。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
アイビー星人ニックは、大学の卒業論文で他惑星のレポートを書くために地球に訪れた。ところが地球では、大の子供嫌いの天才科学者プロフェッサーKが、子供をいじめるために様々な悪事を働いていた。偶然知り合った女性カメラマン・葉山真紀に一目惚れしたニックは、彼女がプロフェッサーK率いる組織「テンタクル」に襲われたところを助ける。それ以来ニックは地球に留まり、高瀬健として、またある時は素性を隠しつつ正義と子供たちの味方「星雲仮面マシンマン」としてテンタクルと戦い続ける。
[編集] スタッフ
- 原作:石森章太郎(石ノ森章太郎)
- プロデューサー:吉川進、阿部征司、日笠淳、堀越徹
- 監督:小笠原猛、東條昭平、小西通雄、奥中惇夫
- 脚本:上原正三(※ 泉崎敬太、木原光)、高久進、細谷敦子、松本功、杉村のぼる、永井達郎
- 撮影:松村文雄
- 助監督:松井昇、木村信樹、伊藤寿浩
- アクション監督:横山稔
- 特撮監督:矢島信男
- 音楽:大野雄二
※ 泉崎敬太、木原光は上原正三のペンネームである。
[編集] 主題歌
- OP「星雲仮面マシンマン」
- 作詞:石森章太郎 / 作、編曲:大野雄二 / 歌:MoJo、コロムビアゆりかご会
- ED「おれの名はマシンマン」
- 作詞:八手三郎 / 作、編曲:大野雄二 / 歌:MoJo、コロムビアゆりかご会
[編集] 主な登場人物
- 高瀬健(たかせ けん)
- マシンマンに変身する主人公。実は彼は太陽系の惑星に関する卒業論文作成のために地球にやって来た、プレアデス星団アイビー星の大学生、ニック。最初に出会った地球人である葉山真紀をはじめは異星人のサンプルのつもりで接していたが、徐々に好意を抱き、彼女の用心棒として長期滞在を決意する(滞在中、卒業論文を書いている)。当初来訪予定だった残りの星々に行かなかったのは愛の深さゆえ。子供に優しく、いざという時に頼りになる好青年だが、地球の常識には疎くいささか天然ボケに見える。アイビー星人である彼は、平常時でも地球人以上の腕力や感覚を持ち、水面を走ったり、数分間だけ呼吸を止める事も可能だが、その並外れた能力は秘密にしている。普段は伊達眼鏡をかけており、変身前にはこれを外し、ワープスロットルでドルフィンを呼び出す。乗っているオートバイ(地上に出たらすぐに乗っていた)はスズキ・カタナに酷似しているが、健曰く「アイビー星から持ってきて組み立てたオートバイに似た乗り物」だそうである。
- ボールボーイ
- 健と共に地球にやってきた野球ボール状の小型ロボット。飛行能力があり敵の尾行などは大抵ボールボーイが行う。目に見える部分は記憶装置になっていて、情報収集・処理能力に優れている。また、豊かな感情を持ち、健のパートナー的存在。テレパシーも使用可能。
- 葉山真紀(はやま まき)
- マシンマンの名付け親で、週刊ヒット社の美人カメラウーマン。性格は勝気でお転婆、そして涙もろい。好奇心も旺盛なためにすぐに事件に巻き込まれピンチに陥ったところを毎回健に助けられていた。用心棒としてつきまとっている健の正体を知らないまま、徐々に惹かれていくようになる。
- 葉山勝(はやま まさる)
- 真紀の弟。姉と同じく好奇心旺盛で、活発な小学4年生。
- 編集長
- 真紀の上司。いつも無理な業務命令を押し付け、真紀を悩ませる。ケン玉と入れ歯型マジックハンドを大切にしている。
- ルミ子
- 真紀の後輩の編集部員。お茶くみなどの雑用もこなすが、いつも編集長の気まぐれに悩まされている。
- 亀太(かめた)
- 葉山家に出入りしている八百屋。真紀に好意を寄せているが、慌て者で、いつも良いところを見せられない。一度マシンマン (?) になったことがある。
- 浩(ひろし)、三郎(さぶろう)、豊(ゆたか)、美佐(みさ)
- 勝のクラスメイト。テンタクルやオクトパスの起こす事件によく巻き込まれる。
[編集] マシンマンの能力
マシンマンはアイビー星から来た宇宙人、ニックこと高瀬健が、専用マシン・ドルフィンの中でイクシードコンバートされて変身するヒーローである。彼が着用しているウォーリアスーツは、強大な跳躍力を生み、弾丸にも耐える。真紀が名付けた「マシンマン」という名前を気に入り、以後そう名乗る。そのため1話ではマシンマンとは名乗っていない。右利きであるが、17話で右手を負傷した際、特訓によって左手でも武器を使いこなせるようになった。 マントを装着しているが、アクションの邪魔だったのか初期の時点で既に、戦闘時にはマントを外すようになっていた。
[編集] 武装・技
- ワープスロットル
- ドルフィンを召還する装置。戦闘時は空に放り投げるとスロットルガンに変形する。スロットルガンは攻撃用ビームだけでなく、牽引ビームや、溶解泡(11話で使用。「タイプゼロ!」と叫んで発射する)等も発射可能。
- レーザーサーベル
- マシンマンが愛用する細身の剣。斬りつける他に、柄のナックルガードで敵を殴りつける事もある。対象を防御幕で覆ったり壁を作ることができる、マシンバリヤーを張り巡らせる機能もある。刀身に光をまとわせ、必殺技・マシンサンダーを繰り出す。
- マシンサンダー
- レーザーサーベルに電撃を集め、敵を切り裂く必殺技。8話以降のマシンサンダーは「Z」字に敵を斬りつけるようになった。通常人間相手には、実剣の状態で「M」字に斬りつける(この場合、斬り付けられた人間は気を失う)。35話では「Z」と初期のバンクシーンのバージョン両方を連続で使用し、最強の敵・ゴールデンモンスにとどめをさした。
- カタルシスウェーブ
- 掌から発射される、人間の悪い心を善に変える光線。敵アンドロイドを上述のマシンサンダーで倒した後、敵の作戦に協力した悪人にはサーベルで「M」の字に斬りつけて昏倒させた後にカタルシスウェーブを用いるのがパターンとなっていた。カタルシスウェーブを浴びて息を吹き返した悪人がマシンマンに悪行を窘められて改心するシーンはこの番組ならではのハイライトとなっていた。[1]また、敵の作戦に直接加担していない人間に使用することもあった。
- ファイティングボール
- ボールボーイを投げつけ、体当たりさせる攻撃。1度は命中するが、ボールボーイがさらに追い討ちをかけようとすると反撃され、ボールボーイが「痛て~!」と叫んで撤退するのがパターンとなっていた。
- イクシードパンチ
- ジャンプしながら放つ、光るパンチ。
- サーチライトビーム
- 透視能力。シースルーと呼称される事もある。
- ダブルボンバー
- 敵の周囲を飛び回り、敵にパンチとキックを同時に浴びせる。26話でトンチンカンとマリオンにダメージを与えた。
[編集] 登場マシン
- ドルフィン
- マシンマンの乗る時速400キロの小型スーパーカー。地上走行形態のマシンドルフィンから、マッハ3.4で飛行するドルフィンジェットに変形できる。マシン空間ハイウェイで健に電送され、健は、ドルフィンの中でマシンマンに変身する。ゴールデンモンス戦では、体当たり技のドルフィンフルパワーを使用した。なお、マシンマンはドルフィン内では常に下を向いているが、目の前にモニターがあるのでそれを見て操縦していると質問コーナーにて説明していた。真紀はこのドルフィンを見て、ウォリアースーツを纏ったニックを「凄いマシンに乗っているからマシンマン」と名付けた。
- スペースコロニー
- マシンマンが乗ってきた大型宇宙船で、日本のある湖底に着地し、地球での生活の場となっている。光速の10万倍で宇宙を航行する。特殊金属製でレーダーにも映らない。
[編集] 犯罪組織
プロフェッサーKが結成したテンタクルと、Kの姪レディーMが結成したオクトパスの2つの組織が登場した。どちらも、首領が子供アレルギー体質のために、その科学力を、子供をいじめたり、泥棒のために使用するのが特徴である。また、彼らの差し向けるアンドロイドは、その殆どが、腕の形状だけが異なって他の部分は使いまわしである。
[編集] テンタクル
- プロフェッサーK
- 犯罪組織テンタクルの首領。子供を見るとクシャミが止まらなくなる子供アレルギー体質のため、自らの卓越した頭脳を子供を悲しませることに使う老科学者。高層ビルに本拠地を構え、普段は油絵を描いている。17話で鉄人モンスを失い、戦いで疲れた心を癒すためスペインへ渡ったが(明らかに、この役を演じた天本英世の趣味と一致する。天本の気まぐれな性分を理解したうえでこの設定を作ったという説がある)、33話で帰国、レディーMに協力して再度マシンマン打倒を狙う。最終話でレディーMと共に物質分解装置で自らを原子分解して蒸発(消滅)した。
- 鉄人モンス
- テンタクルの最高幹部を務めるロボット。一瞬にしてビルを倒壊させる怪力を持つ。テンタクルの科学力を、世界征服に使うべきと考えており、子供いじめにしか興味を示さないKに不満を露にすることもある。17話で強化改造されるもマシンマンに倒された。34話で3倍のパワーを持つゴールデンモンスとなって復活するも、35話で再び敗れる。
- メカオウム
- プロフェッサーKが製作した、流暢に話すオウム。KやMに助言を与えるが、必ずしも主人に忠実ではなく、KやMを冷やかす事も多い。
[編集] オクトパス
- レディーM
- 20話でスペインより来日した、プロフェッサーKの姪。テンタクル本部を改装し、新組織オクトパスを結成する。世界中の犯罪組織に学んだ美貌の才媛だが、子供の笑顔を見ると鼻が赤くなる体質のため、親交のある世界の犯罪者を招いて、子供を悲しませる事件を起こす。また、美しい物に執着を見せ、強奪を企む事もある。最終話でプロフェッサーKと共に物質分解装置で自らを原子分解して蒸発(消滅)した。
- トンチンカン
- 「ミスタートンチンカン」とも呼ばれる。レディーMと共にスペインより来日したレディーMの部下で、執事・召使の役割も果たす。格闘術に長け、スキンヘッドから繰り出す頭突きは、コンクリートも砕く。カッターが仕込まれた山高帽子やイヤリング爆弾等の武器で戦う。最終話でカタルシスウェーブを浴びて更生する。
[編集] キャスト
- マシンマン / 高瀬健:佐久田脩
- 葉山真紀:塚田聖見
- 編集長:江藤漢
- ルミ子:村越裕子
- わかば先生:村野博子
- 勝:大原和彦
- 美佐:秦暎花
- ボールボーイの声:曽我町子
- 婆ちゃん:星美智子
- 亀太:小野寺丈
- ナレーター:小林修
- マシンマン変身シリーズのCMではナレーターが別人。
[編集] 放送リスト
話数 | サブタイトル | 登場怪人 |
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1 | 教科書真っ白事件 |
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2 | 涙は虹色のダイヤ |
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3 | アイドルをつぶせ |
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4 | 魔法の石焼きイモ |
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5 | 三億円の切手泥棒 |
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6 | 私、ママの子供? |
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7 | 香港空手危うし健 |
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8 | 野球少年の秘密 |
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9 | 髭のはえた女の子 |
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10 | テレパシー大作戦 |
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11 | とんだアルバイト |
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12 | 子供が消えていく |
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13 | Kのそっくりさん |
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14 | ボールボーイ家出 |
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15 | 悪魔のプレゼント |
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16 | 真紀はネズミ嫌い |
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17 | 鉄人モンスの最後 |
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18 | のっぺらぼうだ! |
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19 | 野良犬コロの冒険 |
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20 | オクトパスの女王 |
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21 | 雨雨降れ降れ! |
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22 | ピエロの秘密指令 |
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23 | おもしろおかし銃 |
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24 | 対決! 忍者泥棒 |
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25 | ミイラ男の挑戦 |
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26 | こわい! 笑う人形 |
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27 | 海を泳ぐ怪物の手 |
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28 | 好き好き! 真紀 |
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29 | 海賊の宝を探せ! |
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30 | 赤い鬼のすむ村 |
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31 | 危険なひょうたん |
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32 | 争いを呼ぶ鳥の声 |
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33 | 時限爆弾を抱く犬 |
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34 | KとMの必勝作戦 |
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35 | さようなら今日は | |
36 | 戦いの名場面 | (総集編) |
[編集] 註
- ^ 後年、マシンマン=高瀬健を演じていた佐久田修はインタビュー記事の中で「マシンマンをみていた子供たちには、カタルシスウェーブというマシンマンの能力をいつまでも忘れないでいてほしいですね」とのコメントを残している。(「メーキング・オブ・東映ヒーロー」より)
[編集] ゲーム
日本テレビ系 金曜17:30枠 | ||
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前番組 | 星雲仮面マシンマン | 次番組 |
ピュア島の仲間たち | 機甲界ガリアン |
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