時をかける少女
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『時をかける少女』(ときをかけるしょうじょ) は、筒井康隆のジュブナイル小説 (1967年刊)と、それを原作とする映画・ドラマ・コミック・アニメなどの作品。
目次 |
[編集] 概要
- 原作概要
本来“スラップスティックな展開とブラックユーモアに満ちた”(wikipedia・筒井康隆の項より)ものが多い筒井の作品では珍しく王道を行く少年少女向けのジュブナイルとして、文字通り“時をかけ”、現在でも広く親しまれている。
- 1965年、「中学三年コース」の1965年11月号から「時をかける少女」の連載が始まり、「高一コース」1966年5月号まで掲載された(全7回)。当時の挿画(イラスト)は石井治による。
- 1972年、鶴書房盛光社のジュニアSFシリーズから刊行、後に鶴書房のSFベストセラーズとして刊行された。
- 1976年、角川書店から文庫版が刊行された(ISBN 4041305101)。
- 2006年、角川書店から新装文庫版が刊行された(ISBN 4041305217)。
- 1997年にはハルキ文庫からも刊行されている(ISBN 4894563061)。
- 映像作品概要
何度もテレビや映画でリメイクされている。劇中に於いてラベンダーがキーワードとなり効果的に使われた事で、当時はあまり一般的な花では無かったラベンダーの知名度を一気にメジャー化する事にも貢献したとされる。名作も多いが評判が宜しく無いものもいくつか見受けられ、また「“時をかける少女”は“xxx(※)”でなくてはならない」という確固たる信念を熱く語るコアなファンも多く、リメイクの難しい作品ではある。
- (※) “xxx”には、主に主役を演じる女優・監督などが入る。(例:時をかける少女は“原田知世”でなくてはならない」)
- 1972年 NHKの少年少女向けテレビドラマ枠・“少年ドラマシリーズ”第一弾として初映像化。題名は『タイムトラベラー』に改題。注目を集めた。
- 1983年 大林宣彦監督、原田知世主演による実写映画が大ヒット。監督の代表作“尾道三部作”の一つと数えられる。
- 1997年 かつて大林版をプロデュースした元角川書店社長・角川春樹が自ら監督となり映画を制作(当時角川は書店を退任しており、制作には角川書店は一切関わっていない)。大々的な宣伝を打つ事も無く公開された為、存在自体を知らない人も多い“幻の作品”。
- 2002年 TBSがモーニング娘。をフィーチャーしたオムニバスドラマ3部作『モーニング娘。新春!LOVEストーリーズ』の一作品としてドラマ化。“アイドル主演のドラマ”以上でも以下でも無いといった評価が多く、あまり省みられることは無い。
- 2006年 7月に劇場アニメ版公開。監督は細田守。キャラクターデザインは「新世紀エヴァンゲリオン」も手がけた貞本義行が担当。主題歌は奥華子。小説版の映画化ではなく小説の約20年後を舞台にした続編である。
詳細は『時をかける少女 (アニメ映画)』を参照の事。
- ポップミュージック・“時をかける少女”
- 1983年には前述した原田知世が主演する映画の主題歌“時をかける少女”を原田が歌い、映画同様に大ヒットした。(作詞・作曲:松任谷由実) 松任谷も1983年のアルバム「VOYAGER」でセルフカバーした。また1997年には歌詞が同じで全く別の曲を当てた「時のカンツォーネ」という楽曲を発表した(アルバム「スユアの波」に収録、1997年版映画の主題歌)。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
ある日、中学3年生の少女・芳山和子は、同級生の深町一夫や浅倉吾朗と一緒に理科室の掃除を行っていた時に、実験室でラベンダーの香りを嗅いで意識を失う。その3日後、和子の周囲にはいくつかの事件が起こる。深夜に起こった地震により、吾郎の隣の家が火事になる。そして、その翌日に吾朗と共に交通事故に巻き込まれそうになった瞬間、和子は前日の朝に時間を遡行する。もう1度同じ1日を繰り返した和子は、一夫と吾朗にこの奇妙な体験を打ち明ける。最初は信じなかった2人も、和子が地震と火事を予言した事で、和子の話を受け入れる。3人の話を聞いた理科の担任である福島先生は、和子の能力は、テレポーテーションとタイム・リープと呼ばれるものであることを説明し、事件の真相を知るためには、4日前の理科室に戻らなければならないことを指摘する。
やがて、自分の意思でタイム・リープを行えるようになった和子は、4日前の理科実験室で正体不明の訪問者を待ち受ける。そこへ訪れたのは、深町一夫であった。一夫は自分が西暦2660年の未来で暮らしていた未来人ケン・ソゴルであると語り、ラベンダーの香りを利用して人間のタイム・リープ能力を引き出す薬品の実験中に、誤ってこの時代にやってきたのだと説明する。さらに、和子や周囲の人間が持っている一夫の記憶は催眠術によるものであり、実際に和子が一夫と過ごした時間は、1ヶ月程度であることも打ち明ける。しかし、その1ヶ月の間に、一夫は和子に好意を抱くようになっていた。タイム・リープのための薬品を完成させた一夫は、再び未来へ帰還するが、その直前に、和子の前に、いつか、再び別の人間として現れることを約束する。
タイム・リープの秘密を守るために、和子や他の人々から一夫の記憶は消されてしまうが、和子は心の底に残る、いつか再び自分の前に現れると約束した誰かを待ち続けるのだった。
※2006年公開のアニメーション映画版はこの約20年後の世界が舞台であり、芳山和子の姪である紺野真琴が主人公。
[編集] 映像化リスト
- 1972年 『タイムトラベラー』『続 タイムトラベラー』 (NHK少年ドラマシリーズ) 主演:島田淳子
- 続編は正編の脚色を担当した石山透の作品。1978年、鶴書房盛光社刊。
- 1983年 『時をかける少女』 ((旧)角川春樹事務所) 主演:原田知世、監督:大林宣彦
- 原作者・筒井康隆が住職役で出演。
- 1997年 『時をかける少女』 ((新)角川春樹事務所) 主演:中本奈奈、監督:角川春樹
- 原田知世がナレーションを担当している。白黒作品。
- 2002年 『時をかける少女』 (TBS単発オムニバス)主演:安倍なつみ
- 2006年 『時をかける少女』 (マッドハウス製作、角川ヘラルド映画配給のアニメ映画)監督:細田守 声の出演:仲里依紗、石田卓也、板倉光隆、原沙知絵
[編集] 漫画化作品
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2004年に『月刊少年エース』(角川書店)で連載。作画・ツガノガク。
ストーリーは原作にほぼ忠実だが、時代設定は21世紀初頭に置き換えられている。
- 2004年4月30日初版 ISBN 4047136204
- 2004年6月30日初版 ISBN 4047136409
[編集] その他
- バンダイから1998年秋頃にプレイステーション用ソフトとして発売される予定であったが、今では発売中止となっている。なおキャラクターデザインは桜野みねね、シナリオは山口宏であった。
- Matthew南が司会を務めるMatthew's Best Hit TV+の深夜枠移動のお知らせで原田知世版の映画のラストシーンを使用。マシューに時間移動を知らせるADの名前が「深町」と、マシューのこの映画へのオマージュが感じられる内容となった。
- この作品のパロディには筒井康隆自身による『シナリオ・時をかける少女』がある。これは映画『時をかける少女』(1983年版)を演じる役者の作る虚構の世界と、現実に学校社会で起こる生徒の問題を絡ませ、役者たちの虚構の世界が現実世界に飲み込まれていく様を描く。当時むしろ現実世界を皮肉りドタバタ化する作風であった筒井は、本作を「書きたくて書いた作品ではない」と公言する。本作が自身の代表作のように紹介されることへの不満をこの作品に表し、本作を当時の自身の世界である、パロディーとドタバタとブラックユーモアの世界に取り込んだものであると言える。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- TIME TRAVELERs (歴代ドラマ化作品のファンサイト)
- アニメ映画 時をかける少女 公式サイト(角川)