水酸化ナトリウム
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水酸化ナトリウム | |
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一般情報 | |
IUPAC名 | 水酸化ナトリウム |
別名 | 苛性ソーダ |
分子式 | |
分子量 | g/mol |
組成式 | NaOH |
式量 | 40.00 g/mol |
形状 | 白色固体 |
CAS登録番号 | 1310-73-2 |
SMILES | |
性質 | |
密度と相 | 2.1 g/cm3, 固体 |
相対蒸気密度 | (空気 = 1) |
水への溶解度 | 109 g/100 mL (20 ℃) |
への溶解度 | g/100 mL ( ℃) |
への溶解度 | g/100 mL ( ℃) |
融点 | 318 ℃ |
沸点 | 1390 ℃ |
昇華点 | ℃ |
pKa | |
pKb | 0.2 |
比旋光度 [α]D | |
比旋光度 [α]D | |
粘度 | |
屈折率 | |
出典 | ICSC |
水酸化ナトリウム(すいさんかナトリウム、sodium hydroxide)は、化学式 NaOH で表される無機化合物。苛性ソーダ(かせいソーダ、caustic soda)と呼ばれることも多い。CAS登録番号は1310-73-2。工業的に非常に重要な基礎化学品の1つである。毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。
目次 |
[編集] 性質
常温では無色無臭の固体。試薬としては白色の米粒状やフレーク状であるものが多い。融点約 318 ℃、沸点約 1390 ℃、密度2.1g/cm3。潮解性が強く、空気中に放置すると徐々に吸湿して溶液となる。
水に易溶(20 ℃ での溶解度は 109 g/100 mL)。水中で完全に電離し水酸化物イオンを放出するため、強いアルカリ性を示す。また、水に溶かす際に激しく発熱する (44.5 kJ/mol)。
工業用には通常、48%水溶液(工場出荷時)が流通しており、凝固点約 10 ℃、沸点約 138 ℃。性状は無色透明からやや灰色。比重は約 1.5。空気中の二酸化炭素を吸収し炭酸ナトリウムを生じるため密栓して保存する必要があるが、ガラスを徐々に侵し固着するため、ガラス瓶、特にすり合わせの栓は使用しない。
また、アルミニウムと反応して水酸化アルミニウムと水素を発生する。その後にアルミン酸ができる。
なお、強いアルカリはアミド結合を加水分解するので、タンパク質を腐食する作用を持つ。したがって、皮膚等に付着したまま放置すると火傷のような(ぬるぬるする)症状を起こすので、付着した場合は即座に水で、きれいに洗い流す。特に、眼に入った場合失明のおそれがあるので、取扱いには注意を要する。万が一身体に付着した場合はこすらずによく水で洗い、医師の治療を受ける。
[編集] 製法
工業的には塩化ナトリウムをイオン交換と電気分解を併用するイオン交換膜法で製造される。したがって、塩素と水酸化ナトリウムは併産関係にあり、どちらか一方だけを選択的に得ることはできない。このため、需要バランスが崩れた場合、一方は在庫あるいは廃棄となる。
[編集] 用途
基礎工業薬品の1つとして多様な方面で用いられる。水酸化ナトリウムの2004年度日本国内生産量は4,492,947トン、消費量は986,123トン(固体+液状97%相当)であり、2005年における日本国内での生産能力は5,117,945トン/年である。(日本国 経済産業省・化学工業統計月報・平成17年度8月分、生産能力統計)。2001年時点の世界生産量は4218万トンであり、アメリカが1/4強と首位を占めた。これに中国、日本を加えた3カ国で全生産量の過半数を占める。
代表的な用途としては、単純なアルカリとして上水道・下水道や工業廃水の中和剤とされる他、強力な鹸化作用のため石鹸や洗剤の製造に使われる。また、ボーキサイトからアルミニウムの原料であるアルミナ(酸化アルミニウム)を取り出すのにも使用される。 また珍しいところでは、パン、スナック菓子のプレッツェルの生地を水溶液に浸けて、表面のつや出しと食感改善に利用されている。