沢村竜平
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沢村 竜平(さわむら りゅうへい)は、森川ジョージの漫画作品及びそれを原作とするアニメ『はじめの一歩』に登場する架空の人物。モデルは、自ら「名古屋の粗大ごみ」と言っている事から、「広島の粗大ごみ」とあだ名された竹原慎二と思われる。
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[編集] 人物
元日本Jr.ライト級チャンピオン。鬼槍留(キャリル)ボクシングジム所属。
「閃光使い」「尾張の竜」の異名を持つ稀代のカウンター・パンチャー。ことカウンターに限って言えば鷹村でさえ「宮田を超える天賦の才」と認めざるを得ないほどの実力の持ち主。しかし人間的に捻じ曲がった性格から、死神と呼ばれる間柴以上に凶悪残忍なボクシングスタイルを貫き、試合中の反則行為は当たり前。相手に勝つことよりも倒れない程度になぶり殺しにして痛めつけることに最高の快感を感じている。これは家庭内暴力を振るう父を刺した後、守ったはずの母にも捨てられたという幼少期に負ったトラウマに起因するもので、人を殴ることを「肉を食う」と表現する所にその歪んだ精神の一端がうかがえる(弱い相手=まずい肉、一歩=特上肉、相手を弱らせる=肉を柔らかくする、グロッキーになった相手を痛めつける=食い頃の肉を味わう、など)。それ故長期の試合出場停止や対戦拒否が続き、実力はあれど日本ランク上位になかなか上がってこなかった経緯がある。動体視力と相手の攻撃に対する予期能力が異常に優れ、間柴との日本Jr.ライト級タイトルマッチでは最初の2Rに渡りハイレベルな技術戦を展開。実況アナウンサーが思わず実況を忘れてしまうほどの華麗なテクニックを持ち合わせる(尚この際にフリッカーの小回りが利かない弱点を突いて、木村のサンデーパンチ「ドラゴンフィッシュ・ブロー」まで披露している当たり、戦術眼も極めて優れていることが解かる)。
元より拳の質が硬く、それ故「弾丸(バレット)」と呼ばれるノーモーションで繰り出される高速ジャブは、貫通力があり極めて殺傷能力が高く、間柴をして「人を殺せる凶器」と言わしめた。それを女性である間柴久美に対して振るったことが一歩を激怒させた(温厚な彼を本気で怒らせた数少ない事例である。またこれは当然ながら間柴の激怒をも買い、後の対戦のきっかけになった)。一歩との日本フェザー級タイトルマッチでは得意の「弾丸」とカウンター、高い地力と反則、計算された試合運びで一歩を絶体絶命の窮地に追い詰める(後に「遊ばなければ勝っていた」と鷹村は断言している)が、いつものように止めを刺さなかった詰めの甘さから一歩の反撃を許し、ストップ・アンド・ゴーを加えた改良型デンプシー・ロールの前に壮絶なKO負け(しかし二度目を喰らう前に改良型デンプシー破りを披露しかけた)。この試合で眼底骨折などの重傷を負い病院送りになる。このとき見舞いに訪れた千堂の口から恩師である河辺が自分と同じ養護施設で育った孤児である事実を知り、またチャンピオンになるという明確な目標を得たこともあって極々僅かではあるがその心境に変化が現れる。退院後に就職し、普段は鳶職として真面目に働いていたようである(「高いところから下を見る景色が気に入った」らしい)。
後にJr.ライト級に転向(間柴戦時には3位にランク)。久美の一件を忘れていなかった間柴との遺恨から挑戦者に指名され、死闘の末に念願だったチャンピオン(=一歩の見ている風景)を手に入れるが、その直後帰宅する為に高速道路をバイクで疾走中、交通事故を起こしボクサー生命を絶たれてしまう。生涯戦績は14戦11勝(5KO)3敗(単行本72巻126ページ・対間柴戦のポスター画より算出。ハードパンチャーにもかかわらずKOが少ないのは、前述の相手をなぶり殺しにする癖のためと思われる)。リング外での暴れぶりや交通事故に遭ってボクサー生命を絶たれたところなど、おそらくモデルは元WBA世界フライ級王者大場政夫(王座を5回防衛した後に首都高速で交通事故死した悲運の天才ボクサー)。
恩師である河辺以外には心を開かないが、千堂とは不良時代の縁(殺し合いになりかけた)から決して馬は合わぬものの、プロボクサーになってからは同じ匂いのする者同士、互いの力量を認め合う仲である。沢村の孤独を理解できた唯一の友人と言ってよいかもしれない。またその実力に見合う練習相手として互いがスパーリングパートナーを勤めることがある。
ちなみに沢村の名前と所属ジムの名前は、バスフィッシングのプロ、沢村幸弘と幸弘が営む釣具店「Karil(キャリル)」にちなみ、弾丸(バレット)は幸弘が設計したソフトルアー(あるいは釣りのオモリの一種)、閃光(センコー)も当時流行していたソフトルアー「センコー」にちなむ(作者の森川ジョージはバス釣りを初めとした大の釣り好きである)。
[編集] 得意技
- 弾丸(バレット - 予備動作無しに手首と肩のひねりのみでコークスクリュー気味に打ち出す左ジャブ)
- 閃光(神速の右ストレート)
- カウンター
[編集] 反則
- 耳塞ぎ(沢村の得意技で観衆のブーイングもこれでシャットアウトできる)
- エルボー
- キック(膝を突いた間柴の顔面に膝を喰らわせた)
- 足払い(一歩戦では二度は奏功したものの、三度目は一歩にかわされた)
- テーピングはずし(一歩戦で使用。わざとテーピングを外し、巻きなおす時間で回復を図る)
- 裏拳