海底谷
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海底谷(かいていこく)は、大陸から海底に伸びる大陸棚斜面にある両側が険しい渓谷である。海底谷は一般に大きな河川の延長として、深度1kmまで伸びるまで形で見られる。その距離は、数百キロに及ぶ。
[編集] 海底谷の形成(仮説)
特に深い海にある谷は、なぜ、どのようにして形成されのかは、正確なところわかっていない。その成因は、2通りあると考えられている。もちろん、これら2つの現象が同時に発生するのかもしれない。
- 海底谷は、海面が現在よりも低く、河川が大陸棚の端に流れ出ることができた時代、すなわち地上にあるときに河の流れによって削られていたのかもしれない。この理論は、氷河期の海面が低い時代に地表であった地域(多くの渓谷が大河の沿岸部に発見される)に海底谷を見ることができることから支持されている。一方、海面下3000mの斜面にも海底谷が確認でき、地上での水による浸食による形成としか考えにくい地形も多い。しかし海面の高さは、地球の大陸形成史において数千メートルも上昇したとは考えられていないことから、このような深海の谷の形成については、地表での浸食を考えるこの理論では説明が難しい。(なお白亜紀以降に地球膨張し、結果的に海面も数千メートル上昇したという仮設「地球膨張説」もある。詳しくは下記の外部リンク参照のこと。)
- 海底谷は、河川からの濁流(タービタイト)により削られているのかもしれない。つまり、密度が濃い堆積物が、例えば地震などのきっかけにより、浸食しながら大陸棚を流れ落ち、谷を形成すると考えられる。しかしながら、海水中のこのような流れでは、急峻な谷地形を形成できないとの考えもある。