猫田銀八
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
猫田 銀八(ねこた ぎんぱち)は、森川ジョージの漫画作品及びそれを原作とするアニメ『はじめの一歩』に登場する架空の人物。アニメ版での声優は永井一郎。
[編集] 人物
鴨川源二会長の現役時代のライバルであり拳友。語尾に「~だニ」付けてしゃべるのが口癖。
とある山奥でペンション経営をしており、鴨川ジムの面々が強化合宿をする為に訪れた。普段は犬のハチ(一歩の愛犬・ワンポの親)やその子供達と暮らしているが、一歩や鷹村の試合には必ず遠方から試合開場に駆けつけて応援するのが常。山奥での一人暮らしが寂しいのか、たまに鴨川ジムに遊びに来てはジムの若手を指導したりしているようだ(単行本73巻巻末にある鴨川ジムの練習生募集広告で”アドバイザー?”の記述で顔写真が載っており、実際にも臨時の客員トレーナーとなっているような描写になっている)。ボクシング指導は的確で上手らしく、鴨川ジム生の評価も高い。特に鴨川会長が自分の後継者として鍛えこんでいる一歩には大きな期待を寄せていて、自分たちが果たせなかった世界の頂点に立つという夢を、どことなく自分等の世代と同じ愚直で前時代的な空気を持った一歩が叶える日を楽しみにしている。また一人暮らしを慮ってか、最近は試合後に一人旅をするのを趣味にしている鷹村が近況を報告しがてら、ちょくちょくペンションに顔見せで訪れていたり、一歩も時々手紙で色々な報告をしているようだ。猫田も時々山の風情を箱に詰めて自作の詩を添えて送ったり、なかなかにロマンティックな交流を続けている。
鴨川会長とは普段仲がいいがライバル心は未だに健在で、裏で鴨川会長の噂話を流して姑息な人気取りをしたり、現役時代の対戦戦績の話になるとすぐ殴り合いの喧嘩になる。今でも日々の薪割りで後背筋が異常に鍛えられており、鴨川会長同様に70過ぎとは思えない元気な老人である。
普段の稼ぎが思わしくないのか、ペンション経営だけではなく「ボクサー人生」という自家製のすごろくを作ってふもとの子供たちに売りさばこうとしているが、あまりにリアルに作りすぎて「ふりだしに戻る」ばかりの為、この計画は失敗すると思われる(それで無くともテレビゲーム世代にアピールできない商品である)。
現役時代は天性のボクシング感のみを頼りにした「肉を切らせて骨を断つ」野性味溢れる攻撃的なファイトスタイルで「電光石火」と称された。鴨川が初めてKO負けを喫した相手でもあり、浜団吉がKOされ、鴨川も大苦戦することになる米兵の強豪・アンダーソンからあっさりダウンを奪ってみせたり、アンダーソンと対戦中の鴨川の前に試合後の負傷にもかかわらず現れ「臆病者!目をしっかり開けて右をもらえ」と的確なアドバイスを送ったことでも判るとおり、その格闘センスは当時としてはずば抜けていたと言ってもよいだろう。だがあまりに攻撃偏重なスタイルだけに相手に打たれることも多く、蓄積したダメージからパンチドランカー症状を患ってしまう(当時は1日のうちに複数試合をするのが当たり前で、ごく短期間で身体を酷使し続けた結果だと思われる)。現在もその後遺症が残っているが幸い日常生活には支障がない程度のようだ。またその当時は輪タク(自転車タクシー)で日々の稼ぎを得ていた描写がなされている。
作者曰く「小判みたいな顔で見るからに嘘だらけ」な人物とし、最初はこのリアリティーのまるでないキャラクターを作品に出すことを危ぶんでいたが、思った以上にハマってくれて安心している、とインタビューで語っている。
特攻的に突き進むボクシングスタイルとパンチドランカーの経験者であることから、現役時代の姿には戦前~戦後を通してボクシング界のカリスマ的な存在であったピストン堀口のそれが投影されている可能性がある(一方でライバルの鴨川会長には科学的ボクシングを追求した日本人初の世界王者白井義男の姿が投影され、対比されている)。