薮助治
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藪 助治(やぶ すけはる)は、アニメ宇宙戦艦ヤマトに登場する、架空の人物。ヤマト機関室勤務の乗組員。徳川彦左衛門機関長の片腕的存在だった。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
これと言って目立った活躍はないが、イスカンダルへの航海の成功を一毫も疑わず、全員一丸となって目的に向かって邁進しているかのようなヤマトクルーの中で、何度となくアンチテーゼを提示する奇特な人物。オクトパス原始星団で長期足止めを食っていたときには機関長に航海の中止を進言、そしてイスカンダルへ到着後には「地球を救うことだけが人類を救うことではない」と脱走と言う反乱行為に至る。
地球に帰っても、ヤマトが人類の生存している期間中には、間に合わないかもしれない可能性に不安を覚え、徳川機関長に「イスカンダルに残りたい。」とこぼしたりしていた。やがて、よこしまな欲をだして、森雪を人質に幾人かの乗組員とイスカンダルのダイヤモンド大陸に居残りを宣言する。
スターシャからは、私が好きでない種類の人がいる、と地球に行きたくない理由に挙げられてしまった人物。艦に戻れ、地震で大陸が1日で沈む、という主人公古代進の命令や警告を嘲笑し、結局、地殻変動によってダイヤモンド大陸が引き裂かれた割れ目に落ちて死亡した。徳川機関長は、わしのかわいい部下だった、赦してやってください、とスターシャに述懐した。
悪人とまでは言わないにせよ、臆病に近いほど慎重であることと、悲観主義的なマイナス思考が彼の人間性の弱い部分を突き動かし、無残な結果に導いたと言えよう。
映画版の『宇宙戦艦ヤマト』では、イスカンダルでの藪の反乱は描かれていないためか、地球を前にして歓喜するヤマト乗組員の中に藪の姿もある。
企画段階のプロットでは、「反乱」の首謀者は真田志郎になる予定だったが、脚本家が反乱予定人物を徳川彦左衛門と誤認、その伏線として徳川を焚きつける人物として藪を置いた。結果的にシナリオの間違いに気づいたものの、徳川は反乱を起こす人物としては性格上無理がありすぎるということで、先の伏線を「叛意の前兆」と読み替えて生かし、反乱者のお鉢は藪に回ってきた。脚本家のミスにより不名誉な最期を遂げた悲運のキャラクターである。