警務官
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警務官(けいむかん)とは、自衛隊で部内の秩序維持の職務に専従する者であって、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の規定による司法警察員として職務を行う3等陸曹、3等海曹又は3等空曹以上の自衛官をいう(特別司法警察職員)。
陸士長、海士長又は空士長以下の者は警務官補(けいむかんぽ)と呼称し、司法巡査とされる。陸上自衛隊では警務科の職種に指定されている。
旧陸軍及び諸外国軍隊の憲兵に相当する。憲兵一般については憲兵を参照。
目次 |
[編集] 警務隊の編成
自衛隊においては、警務官からなる警務隊が編成されている。
[編集] 陸上自衛隊
[編集] 沿革
- 1952年(昭和27年)7月に、松戸で第400保安大隊が編成された。
- 1953年(昭和28年)6月15日に、司法警察職務の任務を付与された。
- 1973年(昭和48年)3月に、「地区警務隊」の単位が採用された。
[編集] 現在の体制
陸上自衛隊の警務隊は、警務隊本部及び本部付警務隊並びに方面警務隊からなる。警務隊長は陸将補が充てられる。
方面警務隊は、方面隊毎に置かれており、方面警務隊本部及び地区警務隊からなる。方面警務隊長には1等陸佐が充てられる。
の5つが置かれている。
地区警務隊は、概ね師団・旅団毎に置かれており、地区警務隊長には陸佐(1等陸佐、2等陸佐又は3等陸佐)が充てられる。なお、富士教導団等を担当するため第104地区警務隊(山梨県・静岡県担当)が、第1空挺団等を担当するため第112地区警務隊(茨城県・千葉県担当)が、防衛大学校や少年工科学校等を担当するため第113地区警務隊(神奈川県担当)が、それぞれ置かれている。
また、地区警務隊の警務職務を分担させるため、所要の駐屯地等に警務派遣隊又は警務連絡班を置くことができる。警務派遣隊長には幹部自衛官が充てられる。
なお、海外派遣された陸上自衛隊の部隊には、警務班が随行していた。イラク派遣部隊では、部隊の規模が大きいことから、警務連絡班ではなく、警務派遣隊が随行した。なお、これらの警務班又は警務派遣隊は原則的には派遣部隊指揮官の指揮を受けるが、司法警察職務は刑事訴訟法に基づく権限であって、司法警察職務については派遣部隊指揮官の指揮を受けることはない。
陸上自衛隊の警務隊では、3年に1度、「警務隊戦技競技会」を実施している。種目は、鑑識、逮捕術、持続走の3種目である。平成18年度は中部方面警務隊が総合優勝した。
[編集] 海上自衛隊
幕僚機関 |
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海上自衛隊の警務隊は、警務隊本部及び地方警務隊を以て編成する。警務隊司令は1等海佐が充てられる。また、地方警務隊には警務分遣隊又は警務連絡班を置くことができる。
[編集] 部隊編成
地方警務隊は、東京及び各地方隊毎に設けられている。
- 海上自衛隊警務隊本部(市ヶ谷基地)
- 東京地方警務隊(市ヶ谷基地)
- 十条警務分遣隊(十条基地)
- 横須賀地方警務隊(横須賀基地)
- 呉地方警務隊(呉基地)
- 佐世保地方警務隊(佐世保基地)
- 舞鶴地方警務隊(舞鶴基地)
- 大湊地方警務隊(大湊基地)
- 函館警務分遣隊(函館基地)
- 八戸警務分遣隊(八戸航空基地)
[編集] 本部
- 司令
- 副長
- 総務科
- 企画科
- 捜査科
[編集] 司令
代数 | 氏名 | 在任期間 | 出身校・期 | 前職 | 後職 |
---|---|---|---|---|---|
高橋弘道 | - 2005.8.1 | 退職 | |||
高田博幸 | 2005.8.1 - | 防衛大学校教授 |
[編集] 航空自衛隊
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航空自衛隊の警務隊は、中央に航空警務隊が、主要基地に22個の地方警務隊が置かれている。航空警務隊の長は航空警務隊司令で、地方警務隊の長は地方警務隊長である。また、地方警務隊から基地及び分屯基地に警務連絡班が派遣されている。
[編集] 部隊編成
- 航空警務隊本部(市ヶ谷基地)
- 千歳地方警務隊(千歳基地)
- 三沢地方警務隊(三沢基地)
- 松島地方警務隊(松島基地)
- 百里地方警務隊(百里基地)
- 熊谷地方警務隊(熊谷基地)
- 木更津地方警務隊(木更津基地)
- 東京地方警務隊(市ヶ谷基地)
- 入間地方警務隊(入間基地)
- 府中地方警務隊(府中基地)
- 静浜地方警務隊(静浜基地)
- 浜松地方警務隊(浜松基地)
- 小牧地方警務隊(小牧基地)
- 岐阜地方警務隊(岐阜基地)
- 小松地方警務隊(小松基地)
- 奈良地方警務隊(奈良基地)
- 美保地方警務隊(美保基地)
- 防府地方警務隊(防府南基地)
- 築城地方警務隊(築城基地)
- 芦屋地方警務隊(芦屋基地)
- 春日地方警務隊(春日基地)
- 新田原地方警務隊(新田原基地)
- 那覇地方警務隊(那覇基地)
[編集] 司令
代数 | 氏名 | 在任期間 | 出身校・期 | 前職 | 後職 |
---|---|---|---|---|---|
津久井建美 | 防大13期 | ||||
田口千秋 | 2004.8.1 - |
[編集] 警務隊の任務
[編集] 司法警察職務及び保安職務の意義
警務隊の組織及び運用に関する訓令(昭和34年12月16日陸上自衛隊訓令第61号)第2条、海上自衛隊警務隊の編制及び運用に関する訓令(昭和37年5月1日海上自衛隊訓令第9号)第2条及び航空警務隊の任務及び運用に関する訓令(昭和36年6月30日航空自衛隊訓令第3号)第2条は、それぞれ陸海空の警務隊の任務たる司法警察職務(海空では司法警察業務)及び保安職務(海空では保安業務)の意味を定めている。司法警察職務とは、司法権の行使であり、一般司法警察職員における司法警察活動に相当する。保安職務とは、自衛隊の行政権の行使の一部として行われるものであり、一般司法警察職員における行政警察活動に相当する。
- 陸上自衛隊
- 海上自衛隊
- 司法警察業務:刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の規定による司法警察職員としての職務を内容とする業務。
- 保安業務:巡察、先導、警護、交通統制及び所在不明隊員の捜索等犯罪の予防及び規律違反の防止のための業務。
- 航空自衛隊
- 司法警察業務:犯罪の捜査及び被疑者の逮捕。
- 保安業務:交通の統制、警護並びに規律違反の防止等。
なお、保安業務の一部は陸上自衛隊の輸送科部隊や駐屯地司令、海空の基地司令、陸海空の各部隊長なども担っている。
[編集] 警務官が職務を行う犯罪
自衛隊法により下記の犯罪についてのみ職務を行う。
- 自衛官並びに陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部及び部隊等に所属する自衛官以外の隊員並びに学生、訓練招集に応じている予備自衛官及び即応予備自衛官並びに教育訓練招集に応じている予備自衛官補の犯した犯罪又は職務に従事中の隊員に対する犯罪その他隊員の職務に関し隊員以外の者の犯した犯罪
- 自衛隊の使用する船舶、庁舎、営舎その他の施設内における犯罪
- 自衛隊の所有し、又は使用する施設又は物に対する犯罪
[編集] 制服
「自衛官服装規則」(昭和32年2月6日防衛庁訓令第4号)第15条等により、警務官及び警務官補である自衛官は、警務職務に従事する場合には、必要に応じ、所定の制服等のほか、次の各号に掲げるものを着用することとなっている。概ね平成6年の服制改正前の警察官の装備に準じている。
- 帯革(ガンベルトの事 本革、負革、警棒吊り、手錠入れ及び拳銃弾倉入れ)
- 警棒
- 拳銃吊り
- 拳銃吊り紐(ランヤード)
- 警笛
- 警笛吊り鎖
- 警務腕章(「警務」という文字が入る。)
- 手錠及び捕縄
- 半脚絆(海上自衛官に限る。)
また、正帽に代えて白色の鉄帽や鉄帽中帽を着用できる等の特殊の定めも置かれている。
[編集] 任用資格
警務官等の指定については、「警務官及び警務官補の指定並びに権限の行使及び調整に関する訓令」(昭和30年防衛庁訓令第33号)第1条が定めている。
(1) 陸上自衛隊小平学校(警察予備隊総隊学校、保安隊業務学校及び陸上自衛隊業務学校を含む。)において司法警察職員の職務に関する基礎教育の課程を終了した者
(2) 旧裁判所構成法(明治23年法律第6号)による検事又は検察庁法(昭和22年法律第61号)による検察官若しくは検察事務官であった者
(3) 旧刑事訴訟法(大正11年法律第75号)による司法警察官吏又は刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)による司法警察職員であった者
(4) 3等陸佐、3等海佐又は3等空佐以上の自衛官であつて、旧大学令(大正7年勅令第388号)による大学若しくは学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学又は旧専門学校令(明治36年勅令第61号)による専門学校の法科系統の教育を終了した者又はこれらと同等の学識経験があると認められる者
警務官等はこれらの資格を有する者のうちから、防衛大臣又はその指定する者が命ずる。
[編集] 関連法令
- 自衛隊法
- 自衛隊法施行令(昭和29年政令第179号)第32条
- 警務隊の組織及び運用に関する訓令(昭和34年12月16日陸上自衛隊訓令第61号)
- 海上自衛隊警務隊の編制及び運用に関する訓令(昭和37年5月1日海上自衛隊訓令第9号)
- 航空警務隊の任務及び運用に関する訓令(昭和36年6月30日航空自衛隊訓令第3号)
- 自衛隊犯罪捜査服務規則(昭和34年12月21日防衛庁訓令第72号)
[編集] 関連項目
なお、警視正以上の階級の警察官で都道府県警察に所属している者を地方警務官というが、自衛隊の警務官とは関係ない。
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