逆格子ベクトル
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逆格子ベクトル (ぎゃくこうしべくとる Reciprocal lattice vector) とは、物性物理における問題の数学的表記、特に結晶構造の解析やバンド計算等に用いる数学的な概念の一つで、波数の概念の一般化である。逆格子ベクトル[1]の定義は以下の通りである。
構造を調べたい結晶の実空間における基本並進ベクトル(基本単位ベクトル)を{a1,a2,a3}とする。
このとき、この結晶の逆格子空間での基本並進ベクトル(基本単位ベクトル、基本逆格子ベクトル、単に基本ベクトルとも言う){b1,b2,b3}は、以下のように定義される。
ここで、・は内積、×は外積である。以上において、a, bには、
という関係がある。{b1,b2,b3}と任意の整数の組m = (m1, m2, m3)によって構成されるベクトルGmが逆格子ベクトルである。
逆格子ベクトルGmで表現されるベクトルの終点((m1, m2, m3)で表される)の集まりが逆格子、そしてそのそれぞれの終点が逆格子点である。
ここで、任意の実格子ベクトルRnと逆格子ベクトルGmには、
という関係がある。Nmnは適当な整数。
尚、基本並進ベクトルがつくる平行六面体(=単位胞)の体積は、
となる。Ω:実空間での単位胞の体積。ΩG:逆格子空間での単位胞の体積。