那由他 (漫画)
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那由他 | |
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ジャンル | SF漫画 |
漫画 | |
作者 | 佐々木淳子 |
出版社 | 小学館 |
掲載誌 | 週刊少女コミック |
レーベル | フラワーコミックス |
発表期間 | 1981年45号 - 1982年19号 |
巻数 | 3巻 |
OVA | |
監督 | 波多正美 |
キャラクターデザイン | 杉野昭夫 |
メカニックデザイン | 泉口薫 |
アニメーション制作 | サーカス・プロダクション |
製作 | 宇佐美廉 |
発売日 | 1986年7月31日 |
話数 | 1話 |
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『那由他』(なゆた)は、佐々木淳子作による少女漫画作品。およびそれを原作としたOVA。
漫画は小学館の漫画雑誌「週刊少女コミック」に1981年45号から1982年19号まで連載された。単行本は全3巻。また、OVAは1986年7月31日に発売された。
後に同じく佐々木の作品である『ダークグリーン』の続編『リュオン』が執筆された際、本作『那由他』の外伝も書き下ろしとして単行本に同時収録され、ソズやターンたちの本来の時代である三千年前の真実が明らかにされている。
目次 |
[編集] 物語
ごく普通の高校生の少女・那由他は、不思議な少年キロに出会ったことで、超能力を発現させる「輪(ジャルン)」を手に入れる。やがて彼女は、秘密裏に行なわれていた超能力者たちと宇宙人「アザドー」たちとの戦いを知り、「輪」所有者であるリョータローたちに仲間に迎え入れられる。最初は戦いを拒むものの、アザドーの側についたキロに両親を殺されたことから、リョータローたちのもとへ身を寄せ、やむなく戦いに身を投じていく。やがて彼女は、次第にこの戦いの核心へと近づいていく。
アザドーとは何者か? 輪とは何か? キロはなぜ人間でありながら、アザドーの側についたのか? そして、この戦いの意味とは!?
[編集] 登場人物
- 柳原那由他(やなぎはら なゆた)
- 高校1年生の少女。偶然キロに出会ったことで、超能力を巡る人類と宇宙人との戦いに巻き込まれていく。「輪」により発揮できる超能力は、過去の出来事を疑似体験できる「過去見(かこみ)」。この能力を失った後、自分の意思で制御できない肉体部分を自在に制御できる新能力に覚醒する(銃撃で撃ち抜かれた傷を数分で回復させる、意図的に心臓を止める、等)。
- キロ
- ある雨の日に那由他が偶然出会った外国人の少年。元遊牧民で、八千年ほど前のUFOの遺跡から「輪」を手に入れた。輪による超能力を持つ上、輪の効果か一晩で日本語を話せるようになり、凄まじい速さで様々な知識を身につけ、超能力も日に日に増す。そしてある日を境に那由他のもとから消える。1週間後に再会した時には青年風にまで成長を遂げ、その能力は人類最強と呼んでも良いほどだった。しかし人間でありながら、なぜかアザドーの側について輪所有者たちを敵に回す。その真意は……?
- ソズ
- ソズ・テリトリーの中心人物(テリトリーについては後述の「作品用語」を参照)。三千年前の古代文明でのアザドーたちとの戦いの際、偶然岩に閉じ込められて仮死状態となり、「輪」の効力か若い風貌のままで現代まで生き残っていた。強力なテレパシー能力者で、他のテリトリーの戦闘時にはソズ・テリトリーに居ながらにしてテレパシー補助を行なう。三千歳。
- リョータロー
- ソズ・テリトリーの一員。テレポーター。まだ「輪」の意味もアザドーの存在も知らない那由他をソズ・テリトリーへ導き、以来、共にアザドーと戦う。
- ディー
- ソズ・テリトリー壊滅後、リョータローたちとはぐれて浮浪者同然となった那由他を助けた少女。元は孤児で、那由他たちよりずっと幼いが、「輪」を入手する以前から超能力を持っており、「輪」の入手後の能力は屈強。孤児たちを集めて輪所有者の集団を結成し、テリトリーとは別個にアザドーとの戦いの準備を進めていた。ただ幼いだけに性格はかなり我がままで、特にソズとの仲は犬猿。キロに負けそうになった為、仲間を裏切るが、結局、キロの欠点を口にした故に、キロに殺されてしまう。
- ターン
- かつてソズが生きていた三千年前の古代文明の少年。アザドーたちとの戦いにおいて、子供の方が「輪」の効果が高いと判明し、ターンを含む5人の子供が戦士に選ばれたが、なぜかターンは現在のキロのようにアザドーの側についた。彼はキロには劣るものの、当時最強の力を持ってしまい、やがて三千年前の古代文明は消滅に至った。ソズはターンとアザドーたちが当時の文明を滅ぼしたと語るが……?
[編集] 作品用語
作中で登場する主な専門用語を以下に記載する。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
- アザドー
- 三千年以上前から地球上に潜み、人間の行動を監視していた者たち。その風貌は明らかに人間とは異なり、一般的には「宇宙人」と認識されているが、本当に地球外生命体なのか、地球の生命体なのかは不明。自分たちの正体を知られるのを嫌い、また輪所有者の抹殺を任務とする。さらに事実が残らないよう、一親等(両親)までも抹殺する。産まれる前から「輪」を付けているため、その超能力は凄まじいが、逆に「輪」を奪われてしまうと消滅してしまう。
- 正体は五千年以上前の超古代文明時代、人類自身が造り出した合成生命体で、当時は人類と共存していた。現在では冥王星に基地が置かれ、アザドー製造工場が築かれている。
- 意志(オーン)
- 百数十億年前、宇宙に物質も何もなく、すべてが「無」であった頃、唯一存在していたもの。ふとした宇宙への接触によりビッグバンを引き起こし、これにより「物質」が生成されて現在のような宇宙が形成された。やがて恒星や惑星が誕生すると、意志(オーン)は惑星上の物質の中に入り込み、生命を誕生させた。
- やがてセナルザイラーや地球人類など、完全に近い生命体を誕生させることに成功するが、地球人はセナルザイラーと異なり、精神が物質(肉体)なしでは存在できない状態となり、物質に固執するあまり、領土の奪い合いや生命の破壊し合い等を行なう恐るべき存在と化していた。そのため意志(オーン)は、太陽系を「場」で閉じ込めた。これにより地球文明は一旦消滅し、原始から文明を築き上げることとなる。人類自身が生命や宇宙など、すべての秘密を解明しない限り、太陽系を閉じた空間は開放されることはない。
- 現在より二千年前、再び物理現象に干渉し、新たなビッグバンを引き起こしたとされ、辛くも太陽系のみが「場」によって守られ、唯一宇宙に存在しているとされるが……?
- 輪所有者(ジャルナー)
- 輪(ジャルン)を頭に装着した者のこと。これを使用すれば最低でもテレパシー、加えて2~3種類の超能力を発揮できる。キロのように、何種類もの強力な超能力に開眼するものは極めて稀。
- 輪(ジャルン)
- アザドーたちが頭に装着している「輪」。人間もこれを頭に装着することにより、いくつかの超能力を発揮することができる。その効果は頭の柔らかい子供ほど効果的で、大人には何の影響ももたらさない(子供の頃から使用していれば別)。但し子供でもその効果は完全ではなく、生まれる前から「輪」をはめていない限り、「輪」の効果が100%に及ぶことはない。
- 本来は意志(オーン)が太陽系を閉じた後、閉じられた空間の中で外界と同じ状態を保つための、「目覚めの輪」としての道具。地球外生命体が輪をつけずに太陽系に入ると、内部の空間の圧力に耐え切れずに消滅してしまう。そのためにアザドーは常に「輪」を着用しているのである。従って「輪所有者」が発揮する超能力とは、「輪」によって発揮されるものではなく、人間本来が持っている能力が解放されたものであった。
- セナルザイラー
- 全宇宙のあらゆる生命体の進化の末に誕生した、最も完全に近い生命体。大宇宙を統合し、巨大な文明を築き上げており、全宇宙の生命体の代表格である。宇宙、物質、生命、自分自身など、あらゆる知識を備えている。物質はおろか精神をも自由に支配し、全知全能と言っても良い。
- アザドーを操り、人類を監視させている張本人。二千年前に再びビッグバンが起きたことにより、既に死滅しているとされるが……?
- ダミー
- 輪所有者が超能力により作り出す下僕。過去に死滅した生物(動物、植物、人間を問わない)のコピーとして造られ、その生物同様に行動するが、造り主には従順に従う。人間のダミーの場合、その人間の生前の記憶も所持している。しばしばキロたちが人間のダミーを人間世界へ下僕として侵入させているようだ。那由他も過去見の応用でダミーを作る能力を得るが、知識不足からか「過去の生物」というと恐竜くらいしかイメージできず、しばしば恐竜のダミーを作り出している。ある程度強い衝撃を受けると消滅してしまう。
- OVAでは設定が変更され、アザドーが人間社会に潜入するために人間に変身した姿とされている。
- テリトリー
- 輪所有者たちの隠れ家。古びたアパートの25m地下に築かれたソズ・テリトリーを始め、中心人物の名を冠したテリトリーが世界中にある。かつては29箇所あったが、キロがアザドーに力を貸した後、4ヶ月で12箇所まで減り、さらにキロが那由他の心を読むことでソズ・テリトリーの位置がアザドーに知られたのを始めとし、全テリトリーは全滅に追いやられた。
以上で、作品の核心的な内容についての記述は終わりです。
[編集] OVA
1986年7月31日、東芝EMIから発売。基本的には単行本全3巻の内容に準じているが、尺の都合から省略された箇所や設定変更も多少あり、那由他の「過去見」能力、登場人物のディー、ターンは登場しない。
[編集] キャスト
[編集] スタッフ
[編集] 出典元
[編集] 書籍
[編集] OVA
- 『那由他』全1巻 東芝EMI、1986年。