郵便事故
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郵便事故(ゆうびんじこ)とは、一般的には、誤配(誤配達)・不着・遅延・亡失落失・毀損汚損(雨ぬれ等)等、郵便物取り扱い中に発生した様々な不測の事態をいう。また、郵便配達職員にとっては、事故郵便とは、誤配等のことよりもむしろ、転送や還付対象の郵便物をいう。
ここでは、一般的な意味での郵便事故について解説する。
[編集] 概要
郵便事故とはいっても郵便事業に従事する職員の故意または過失によるもので発生する事故のほか、郵便物の送達における輸送機関による原因が少なくない。たとえば台風などによる延着のように気象現象によるものの他、鉄道事故や航空事故による郵便事故が発生することがある。そうした事故によって毀損汚損した郵便物には郵便事業者によって原因を説明した付箋ないしスタンプが押されることがある。
日本において有名なケースでは1954年の洞爺丸台風で沈没した青函連絡船「洞爺丸」には、鉄道郵便列車が搬入されていたため、北海道から本州に輸送する郵便物が多数破損したが、引き上げ後に宛名ないし送り主が判明した郵便物については前述の措置がとられており、事故を証言するものとなっている。
また1970年発生の「よど号ハイジャック事件」では当該便に搭載された九州宛の郵便物は大幅に配達が遅れたため、「よど号搭載のため」といった付箋がつけられ配達されたそうである。また世界各国ではこういった郵便事故を説明がなされた郵便物のことを「クラッシュカバー」といい、蒐集対象物になっており、特に有名な事故によるものには高値で取引されている。