金印勅書
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金印勅書(きんいんちょくしょ、ラテン語:bulla aurea)とは、皇帝の命令が記され、黄金製の印章が付された公文書。黄金文書(おうごんもんじょ)とも。中世からルネサンス期の中・西ヨーロッパやビザンティン帝国において発布された。
[編集] カール4世の金印勅書
最も有名なものは1356年の金印勅書であり、ニュルンベルクで開催された帝国議会において神聖ローマ皇帝カール4世によって発布された。この金印勅書はその後約400年にわたって神聖ローマ帝国の基本的な体制を規定した。主な内容として、「ローマ人の王」(通常、ローマ教皇によって戴冠されて神聖ローマ皇帝となる)を選定する7人の選帝侯を規定している。
[編集] 主な規定
一、選帝侯はマインツ、トリーア、ケルンの3聖職諸侯、プファルツ、ザクセン、ブランデンブルク、ボヘミアの4世俗諸侯の計7侯に定める。
一、選挙はフランクフルト市で行い、戴冠式はアーヘン市で行う。
一、選挙は単純過半数にて行う。選挙結果に従わない選帝侯は選帝侯位そのものを失う。
一、選挙結果は教皇の承認を必要としない。
一、選帝侯は諸侯の最上位を占め、領内における完全な裁判権、鉱山採掘権、関税徴収権、貨幣鋳造権、ユダヤ人保護権を有する。
一、選帝侯領は分割を禁止し、長子単独相続とする。
一、選帝侯は、「呼び出されることなき権と召喚せられることなき権」を有する。選帝侯への反乱は大逆罪として処罰される。
一、皇帝が空位の場合には、プファルツ選帝侯がシュヴァーベン地方とフランケン法の及ぶ地域を統治する。
一、諸侯間の同盟は禁止する。
一、私闘は禁止する。
一、選帝侯をはじめとする諸侯の領邦主権の法的確定をする。
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[編集] 外部リンク
- 1356年の金印勅書 (ドイツ語)
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