限定受信システム
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限定受信システム(げんていじゅしんしすてむ)は、デジタル放送のコンテンツ管理方法の一つ。コンディショナルアクセスシステム(CAS:Conditional Access System)とも言う。
CASプラットフォームは、暗号化技術により契約者以外の視聴を防止する、サーバ型放送の核となる技術でもある。
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[編集] B-CAS
日本における、BSデジタル放送・地上デジタル放送・110度CSデジタル放送のCASとしては、B-CASがある。B-CASの項目を参照。
[編集] C-CAS
日本における、デジタル化ケーブルテレビ(デジタルケーブルテレビ)のCASとしては、C-CASがある。
デジタルケーブルテレビの視聴(B-CASカードの対象となる、BSデジタル放送、地上デジタル放送および東経110度CSデジタル放送の再放送を除く)には、C-CASカードが使用される。C-CASカードはICカードであり、チューナー(セットトップボックス)に挿入すると番組サービスを視聴できる仕組みになっている。
また、PPVに対応しているシステムでは、C-CASにより課金管理も行われている。
また、C-CASによりコピー制御(コピーワンス等)を行っているシステムでは、B-CASと同様に、その放送の録画に対して、コピー制御により様々な制限が掛かる場合がある。B-CASの項、DVDレコーダー#DVDレコーダーとコピー制御の関係の項などを参照。
C-CASカードの運用業務は「有限責任中間法人日本ケーブルキャスセンター」が行っている。
C-CASの仕様には、松下電器産業、パイオニア、日立製作所の3つがあり、メーカー間での互換性確保が課題になっている。
[編集] 統合デジタルCATVシステムとの関係
なお、B-CASとC-CASは直接の関連性は無く、デジタルケーブルテレビにおいて再放送される各種デジタル放送(※)の視聴には、B-CASカードが別途必要である。
- (※):一般のB-CASカードの対象となるような、BSデジタル放送、地上デジタル放送および110度CSデジタル放送の再放送
また、当該デジタル放送のチューナーとして、一般市販のパススルー方式の物でなくケーブルテレビ提供の物を使用する場合においては、B-CASカードも、一般のカードではなくデジタルケーブルテレビ専用のB-CASカードが使われる。(なお、ケーブルテレビ提供のチューナーを使用する場合、当該システムは通常「統合デジタルCATVシステム」となる。)統合デジタルCATVシステムでは、「デジタルケーブルテレビ専用のB-CASカード」および「C-CASカード」の2枚のCASカードを使用する物が多い。
統合デジタルCATVシステムについてはケーブルテレビの項目を参照。
[編集] SKY PerfecTV!
SKY PerfecTV!(スカイパーフェクTV)のサービスでも、視聴制御用にICカードが使われ、「スカイパーフェクカード」または「パーフェクカード」がある。ペイ・パー・ビューの視聴制御にも使われる。
[編集] パソコンでの限定受信システム
パソコンにチューナー機能を装備して、地上デジタルテレビジョン放送を受信する場合の限定受信システムについては、以下の様な諸事情がある。
近年、ブロードバンドの普及や、映像圧縮技術の進歩により、テレビ視聴・録画機能を持ったパソコンで録画した映像がインターネットで不法に送信されることが増えたことから、これを防ぐため日本においては受信機器にコピーワンス規制とB-CASカードによる認証が導入された。
これにより、地上デジタルテレビジョン放送の視聴や録画、再生には機器に添付されるB-CASカードを機器にセットして認証を行う必要があり、さらに録画した内容は「ムーブ」と呼ばれる移動のみ可能で、複数の外部メディアへの書き込みを抑制する仕組みとなっている。 これに加え、これらを徹底する趣旨からPCIやUSB、DVI等、ユーザーがアクセスできる汎用バスやインターフェースを平文の映像データが通過しないこともB-CASカード発行の条件としている。
ただし、これまでオープンアーキテクチャの元で進化してきたインターフェースやアーキテクチャが基本となっているパソコンで実現するには、これらの根本的な変革が必要であるため、2005年12月31日までの経過措置として、解像度をSD相当に制限し、スクランブルを掛けて、録画されたパソコン(あるいは拡張ボード)以外で再生できないように認証する、と言う条件付で、平文の映像データが汎用バスを通過する機器にもB-CASカードを発行しており、これに対応した機器が国内メーカーより販売されている。
しかし、海外を中心としたパソコンを構成する各コンポーネントを製造している企業にとっては、以下の理由からB-CASカード対応には消極的な姿勢をとっている。
- パソコン関連機器の最大の市場であるアメリカでは消費者側の激しい反発で導入が見送られ、日本だけで実施される形になったために、特に多くのコストを負担せざるを得ないGPUメーカーを中心として、激しい競争の中で日本市場のためだけに余計なコストをかけられないという意識がある。
- システム根幹部分への著作権保護機能(DRM)の副作用として、B-CASカード発行のための認証を受けられないようなOS・アプリケーションソフト等(オープンソースソフトやオンラインソフト等の認証を受けていない物や、費用の面や、GPL等のフリーソフトウェア系やオープンソース系のライセンスとの矛盾から、認証を受けることのできない物)の利用に制約が加わる等、オープンアーキテクチャの汎用機械としてのメリットを失うことが懸念されており、特にパソコン関連機器の最大の市場であり消費者の権利意識の強いアメリカを中心として、顧客の反発や売り上げ減少のリスクがある。
また、パソコン上に著作権保護機能ハードウェアを実装するとしても、パソコン市場において独占力を持つマイクロソフトの提唱する「NGSCB」やインテルの提唱する「LaGrande」となる可能性が高いが、アメリカを中心として消費者の反発が根強い上に、まだ技術面でも未確定要素が多く、仮に実現したとしても数年先であり、これらがB-CASカード発行の条件を満たすか否かは不透明である。
このため、日本独自仕様のGPUやCPU、OS、インターフェースを開発すれば理論上はB-CASカード対応を実現できないことはないが、あまりにも莫大なコストがかかること、またB-CASカードに対応することは、日本市場でパソコン自体を販売するための必須項目ではなく、あくまでもパソコンに地上デジタルテレビジョン放送受信・録画機能を搭載するためのものであり、またパソコンにはテレビの視聴や録画以外にも様々な用途があることから、多くのパソコン関連メーカーは、莫大なコストをかけてB-CASカードに対応するよりも地上デジタルテレビジョン放送に対応しないという選択をすることが一部で予想されていた。 それにより、日本においては、前述の経過措置が終了するとともに、地上デジタルテレビジョン放送視聴や録画機能を持ったパソコンや、その機能を実現するための拡張カードは事実上姿を消すことも一部では予想されていた。
しかし結局2005年ごろより、富士通、NEC、日立製作所は、それぞれ独自開発によるB-CASカード対応パソコンを販売するようになった。富士通から技術供与を受けたピクセラ製モジュールを搭載することで、シャープ、東芝、ソニーからも同様のパソコンが相次いで発売された。これらはいずれも、なんらかの専用ハードウェアを追加搭載することでB-CASカードに対応したものであり、2006年現在では、海外系PCベンダからは対応製品の発売は行なわれていない。
このような状況について、テレビ受像機やDVDレコーダー、HDDレコーダー、セットトップボックス、家庭用ゲーム機など家電機器を家庭のAVや情報の中心にすることを志向する日本メーカーは概ね静観の構えである。一方、パソコンを中心とすることを目指す海外IT系企業、特にマイクロソフトは、「不明瞭な認証プロセス」「標準化機構が複数併存」などと具体事例をあげて指弾している。
[編集] 1セグメント放送の場合
1セグメント放送(ワンセグ)における限定受信システムについては、2006年現在、ARIB運用規定によりB-CASカードは不要となっている。