電人ザボーガー
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『電人ザボーガー』(でんじンザボーガー)は、特撮テレビ番組、および作品内に登場する架空のロボットの名称。
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[編集] 概要
1974年(昭和49年)4月6日から1975年(昭和50年)6月29日までフジテレビ系で全52話が放送された(放送時間は変更あり)。ピー・プロダクション製作。ただし正確に言うとピー・プロダクションが直接制作したわけではなく、ピー・プロダクションから友映に制作が委託されていた。「電人ザボーガー」DVD-BOX付属のブックレットに載っているフジテレビ側プロデューサーの別所孝治の談話によると、この当時のピー・プロダクションは新作を作るごとに赤字が増える状態にあり、このような形にしなければ制作が難しいところまで来ていたと言う。そのためか予算も潤沢とは言えず、試写会の度に現場スタッフとプロデューサーとの間に険悪なやり取りがあったらしい。
第40話より副題に『電人ザボーガー対恐竜軍団シリーズ』がつく。
Σ団編の終了後に傑作選として39話中13話が3ヵ月にわたり再放送されたが、その間掲載雑誌では揃って恐竜軍団編に突入していったため、テレビで恐竜軍団シリーズがOAされる頃にはすでに雑誌の掲載は終了していたという事態が起こった。
なお、本作は鷺巣富雄(うしおそうじ)と彼の率いるピープロの企画・制作によるものであるが、当時多くの子供番組で主題歌を担当していた子門真人が主題歌を担当していた事や「仮面ライダーV3」でライダーマンを演じた山口暁が主演を演じている事等といった同時期の東映の特撮作品との共通点が見られたこともあり、この当時に多くの子供向け特撮ドラマの原作を手掛けた石森章太郎の原作と勘違いされている事が少なくない。
[編集] 放送時間
- 第1話 - 26話:毎週土曜日19:00 - 19:30
- 第27話 - 39話:毎週金曜日19:00 - 19:30
- 第40話 - 52話:毎週日曜日11:00 - 11:30
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
警視庁の秘密刑事である大門豊は、父である大門博士が開発した新エネルギー「ダイモニウム」を狙う犯罪組織Σ(シグマ)団によって、博士もろとも殺害されてしまった。しかし豊は、父によって埋め込まれていた特殊なペースメーカーの力で甦った。電極回路(ペースメーカー)の発する「怒りの電流」で大門のオートバイ「マシンザボーガー」から変形して起動するパートナーロボット「ザボーガー」(等身大)と共に、大門豊はΣ団とそれを率いる悪之宮博士に対し、敢然と戦いを挑む。
第40話以降は新たな敵が現れ、ザボーガーもパワーアップする。
[編集] スタッフ
- 企画:別所孝治、鷺巣富雄
- プロデューサー:松原久晴、石黒光一、篠原茂
- 原案:小池一雄
- 企画協力:スタジオ・シップ
- 監督:奥中惇夫、岡屋竜一、山田健、村石宏美、中西源四郎、湯浅憲明、鈴木俊継
- 脚本:しのだとみお、まつしまとしあき、安藤豊弘、高階完二、高久進、高橋二三、山崎晴哉、祝雅治、上原正三、新井光、森田太郎、藤川桂介、鈴木二郎
- 操演:中島徹郎
- 造形:アルファ企画
- 技斗:菊池英一
- 音楽:菊池俊輔
- 主題歌:「戦え! 電人ザボーガー」(作詞:上原正三/作曲:菊池俊輔/歌:子門真人)
[編集] キャスト
- 大門豊(だいもん ゆたか):山口暁
- 地中海コルタ島で訓練を受けた「秘密刑事」と呼ばれる警視庁所属の特命捜査官。素性は警視総監と、大門博士の知己である新田刑事しか知らない。少年時代に心臓虚弱への対抗策として大門博士が開発した電極回路を埋め込まれ、この電極回路から発生される「怒りの電流」で犯罪捜査用ロボット・ザボーガーを起動させる。感情を露にすることが多い非常に熱い青年。
- その身体能力は、少年時代に虚弱だったと言うのが冗談としか思えないほど常人離れ(数十メートルのジャンプ力や、倉庫の壁を貫通するパンチ力など)しており、中国拳法なども生かした格闘技で、Σ団サイボーグ戦闘員をはるかに上回る戦闘力を見せる。必殺技は飛龍三段蹴り。
- 大門勇博士:細川俊夫(第1話、第2話、第4話、第27話、第52話)
- 電人ザボーガーの開発者でダイモニウムの発明者。悪之宮への協力を拒んだ為に殺され、ダイモニウム発生機を奪われた。
- 新田大五郎:根上淳(第1話~第16話、第18話~第24話、第28話、第29話)
- かつて大門博士との交友があった警視庁の警部で、その縁で大門豊の後見人でもある。大門や中野の良き上司で「勉強が足らんよ」が口癖である。第29話の最後でインターポールの研修のため、パリへ旅立った。
- 新田美代:星野みどり(第1話~第24話、第28話~第36話、第38話)
- 新田警部の娘で高校生。母親に先立たれたため、家事も担当している。新田警部が旅立った後はザボーガー基地で通信係を担当した。第40話で外国へ留学した.
- 新田浩:神谷正浩(第1話~第24話、第28話~第36話、第38話、第40話~第52話)
- 新田警部の息子で小学校三年生。第51話で瀕死の重傷を負い、第52話で一旦息を引き取るが電極回路を埋め込まれた事により復活した。
- 中野刑事:きくち英一(第1話~第24話、第27話~第47話、第49話~第52話)
- 新田警部の部下。当初は大門を敵視していたようだが、後に大門を信頼するようになる。落語が得意(第16話)。水虫を患っており緊張すると足が痒くなる(第20話)。好物はでんろく豆(第37話)。
- 悪之宮博士:岡部健(第1話~第25話、第28話~第35話、第37話~第39話)
- Σ団のボスで科学者。足が不自由で機銃などを仕込んだ車椅子を常用。また左足の義足にはナイフを仕込んでいる。皮肉な事にチェーンパンチを受けて車椅子から落ちたところを、その車椅子の機銃で撃たれてしまい最期を迎えた。
- ミスボーグ:藤山律子(第1話~第22話、第24話~第27話、第30話~第33話、第35話)
- Σ団の幹部の一人。前線指揮を担当するが大門の前に失敗を重ね、第31話で小型爆弾を飲まされた。最期は悪之宮によって爆弾を作動させられ、爆死した.サイボーグ体になって活動する事も可能だが、第1話で飛龍三段蹴りを受けて敗退し、第2話を最後にサイボーグ体になる事はなくなった。
- レディボーグ:吉田多永子(第37話~第39話)
- ミスボーグの後任。Σ団前線基地で指揮を執った。だが大した活躍も見せられないまま竜面隊の襲撃の前に敗れ去った。
- 秋月玄(あきづき げん):風戸拳(第22話~第30話、第34話~第38話)
- 高性能バイク・マシーンホークを駆る男。孤児で悪之宮によって育てられ、彼の恩義に報いる為にΣ団の一員に。大門を敵視して何度も挑戦してきた。必殺技はサンダーパンチ。再登場後はハリケーンパンチ。彼の頭の中にあるのは大門を自分が倒す事のみで卑怯な事を嫌うため、悪之宮の指令に背く事も多々あった。そのため、頭に鉄の輪をはめられ、悪之宮によって鉄の輪を締められる事が多々あった。一旦は飛龍三段蹴りの前に敗れ、鉄の輪も壊され、姿を消したが、大門を倒すために再登場。再登場直後に孤児の冬子と知り合い、彼女と仲良くなった。だが皮肉な事に、冬子から貰った腕輪が第二の鉄の輪となってしまった。第38話で大門との勝負に敗れて重傷を負い、冬子のいる太陽の家へ去って行った。その後の生死は不明。なお当初はマシーンホークがロボットに変形する事も考えられていたが、予算の関係のためか映像化されずに終わっている。
- 冬子:戸川京子(第34話、第37話、第38話)
- ふとしたきっかけで秋月と知り合った少女。孤児院の太陽の家でずっと育った。母のかたみの腕輪を秋月に渡したが、皮肉な事に腕輪と冬子自身の存在が第二の鉄の輪になってしまう。
- 松江健(まつえ けん):坂大龍也(第40話~第52話)
- 浅尾由紀の幼馴染。企画書では浅尾博士の弟子であり、マシーンバッハの開発も担当したという設定があった。当初はテントで暮らしていたが、第46話からザボーガー基地に住み込むようになった。大門よりも若いためか血気にはやって失敗する事が多い。ストロングザボーガーは大門の指令だけでなく、彼の指令でも活動可能(第42話~第45話)。
- 武田博士:田中力(第25話、第41話)
- 大門博士の親友。大門博士の依頼でザボーガー基地を設計した。またマシーンザボーガーとマシーンバッハの合体を考案。
- 浅尾由起:本木紀子(第40話~第47話、第49話~第52話)
- 三ツ首の秘密を知る浅尾博士の一人娘。そのため恐竜軍団に命を狙われた。大門と出会ってからはザボーガー基地に住み込むようになった。第49話では健の発案で大門の身代わりになってマシーンザボーガーに乗った。
- 悪魔ハット:遠矢孝信(第39話~第52話)
- 恐竜軍団に服従する科学者。三ツ首伝説を探る浅尾博士に無理矢理着いていき、三ツ首竜を蘇らせた。その後、竜面隊を率いてΣ大魔城を襲撃。ダイモニウム発生機を悪之宮から奪った。頭にかぶる帽子の鐔には刃が仕込まれており、何でも切り裂いてしまう。最期は柱の下敷きになって死亡した。
- 王女メザ:堤光子(第39話~第52話)
- 三ツ首竜の部下。三ツ首竜同様、永い眠りについていた。不気味な女の首をかたどった紋章をつけた杖を常用し、武器として使用。竜面隊を率いる他、自ら変装して諜報活動も行なう。最期は三ツ首竜と悪魔ハットともども、柱の下敷きになって死亡した。
- 魔神三つ首:声丸山詠二
- 恐竜軍団の首領。神奈川県龍虎村にある魔神山の魔神窟に潜んでいる。下半身は化石化しており、自ら動き回る事はできない。最終的な目的は世界の6大陸を沈め恐竜帝国を作る事だった。 最期はストロングバズーカファイアーの連射を受け、ストロングザボーガーと相撃ちとなった。
- ザボーガー:田尻陽一郎
- 敵ロボット:宋晃
[編集] 登場メカ
- ザボーガー
- 大門博士が製作した犯罪捜査用ロボット。動力源はダイモニウム。博士の息子で警視庁の秘密刑事である大門豊が操縦する。
- 普段はオートバイ形態(マシーン・ザボーガーと呼ばれる)をとっており、操縦者の命令で人型に変形することが可能。大門豊に埋め込まれた電極回路から発せられる「怒りの電流」がロボット形態時の起動キーになっている。彼のヘルメットに内蔵されたマイクの他、携帯型のマイクからの指示に従うが、大門が共に戦闘することが多いため、受けた命令からある程度の自律判断が出来るようになっている描写が見られる。
- マシーン・ザボーガーは地上では時速300キロで水上では時速130キロで走行可能。
- 武器はチェーンパンチ、ブーメランカッターなど。必殺武器は口部に装備された速射破壊銃。他にも頭部に偵察用のヘリキャット(リモコンヘリ)、両足部にマウスカー(小型リモコンカー・両方の足から右半分と左半分の半分ずつに分かれて出た後、一体化する)、背中にシーシャーク(小型ジェット機)を内蔵し、潜入捜査や情報収集に使用する。なおマシーン・ザボーガーの形態でも小型メカやチェーンパンチや速射破壊銃を使用可能。
- メカアニマルやメカボーグの前では無敵を誇ったが、Σメカやメカアーミー(ガラキとギラリ)の前には苦戦を余儀なくされた。
- 全長2メートル。重量500キロ。対価重量35トン。出力5000馬力。
- ストロング・ザボーガー(第41話~第52話)
- 松江健が操るバズーカ砲搭載オートバイ「マシーン・バッハ」とザボーガーが合体した姿。
- 武器はジェットブーメラン、ロケットチェーンパンチなど。必殺技は腰部に装備されたストロング・バズーカ。
- 全長2メートル。重量800キロ。対価重量80トン。出力は電人ザボーガーの2倍。大門だけではなく健の指令でも活動可能。
- 第51話でダイモニウムエネルギーが枯渇したが、第52話で怒りの電流により復活。だが対三ツ首竜戦で、ストロングバズーカファイアー連射によってオーバーヒートを起こして自爆してしまった。
[編集] 放送リスト
話数 | サブタイトル | 登場ロボット、怪人、幹部 |
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1 | たたかえ! 電人ザボーガー |
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2 | これが秘密殺人強盗機関Σだ |
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3 | 大暴れ! 水爆ゴリコング |
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4 | Σ殺人基地へ殴りこめ |
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5 | Ω地獄計画開始! |
|
6 | 鉄骨ビルが消えた! |
|
7 | 危機一髪! 燃える秘密刑事 |
|
8 | 標的はあのダイヤ |
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9 | 謎の男・ドルマン9 |
|
10 | Σ団・恐怖の地獄計画 |
|
11 | ジャンボメカ東京破壊作戦! |
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12 | 驚異の人間長距離砲 |
|
13 | 秘密刑事 死の一騎打ち |
|
14 | 不死身の殺し屋ギルコンフー |
|
15 | 死斗! 謎のΣ大魔城 |
|
16 | 恐怖メカボーグ誕生!! |
|
17 | 殺人キック! メカボーム・チーム |
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18 | 必殺アームガン・グリーンベレー |
|
19 | キリマンジャロの赤い豹 |
|
20 | 死を呼ぶ合体ロボット・ゴーゴン |
|
21 | 処刑ロボット大作戦 |
|
22 | 謎のマシーンホーク 秋月玄登場 |
|
23 | 破壊! 魔のΣメカ・デスガンダー | |
24 | ファイト! ザボーガー 倒せ! デスガンダー | |
25 | 怪奇・忍者ロボット・ジャニン |
|
26 | 強奪! 狂犬ロボット・ブルガンダー |
|
27 | 激突! ザボーガー対ブルガンダー | |
28 | 動く爆弾! ヘルガンダー |
|
29 | 爆死! 死のヘルガンダー | |
30 | 飛竜三段蹴り対サンダーパンチ |
|
31 | 空飛ぶ鉄拳!! アイ・ロボッター!! |
|
32 | 恐るべきハンマー投げカイザー! |
|
33 | 襲激!! 動くテトラポット!! |
|
34 | ゴールド・ジャッカー! 首を捜せ! |
|
35 | 爆弾フラワーを巨大化せよ |
|
36 | 空飛ぶ巨砲ドルカノン |
|
37 | 秘密指令!! 邪魔者は消せ!! |
|
38 | 決戦!! ザボーガー対悪之宮博士!! |
|
39 | 大滅亡! 悪之宮博士の死 |
|
40 | 甦えった魔神三ッ首!! |
|
41 | 出来た!! ストロング・ザボーガー | |
42 | 魔神三ッ首 その謎をあばけ |
|
43 | 恐るべき恐竜軍団の野望 |
|
44 | 危うし!! ザボーガー基地 |
|
45 | ゴーストタウンの決闘 |
|
46 | マシン・バッハを取り返せ! |
|
47 | ザボーガー基地爆破作戦!! |
|
48 | 毒ガス作戦をぶっとばせ! |
|
49 | 急げ大門! ザボーガー基地を救え! |
|
50 | 大爆発!! ザボーガー基地 |
|
51 | ストロング・ザボーガー作動停止! |
|
52 | ストロング・ザボーガーよいつまでも |
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[編集] 前後番組の変遷
フジテレビ系 土曜19時台前半(1974年4月 - 1974年9月) | ||
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前番組 | 電人ザボーガー | 次番組 |
鉄人タイガーセブン | 動物家族 | |
フジテレビ系 金曜19時台前半(1974年10月 - 1974年12月) | ||
ボクは恋人 | 第2シリーズ | 電人ザボーガー(再放送) |
フジテレビ系 金曜19時台前半(1975年1月 - 1975年3月) | ||
電人ザボーガー | 電人ザボーガー (再放送) |
ラ・セーヌの星 |
フジテレビ系 日曜11時台前半(1975年4月 - 1975年6月) | ||
NYPD特捜刑事 | 電人ザボーガー(恐竜軍団シリーズ) | 電人ザボーガー(恐竜軍団シリーズ)(再放送) |
フジテレビ系 日曜11時台前半(1975年7月 - 1975年9月) | ||
電人ザボーガー(恐竜軍団シリーズ) | 電人ザボーガー(恐竜軍団シリーズ) (再放送) |
世界の広場 ※9:00から移動 |
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