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利用者:青鴉/人工言語 - Wikipedia

利用者:青鴉/人工言語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

人工言語(constructed languageまたはartificial language、通称conlang)は、文化の一部として 自然的に進化する代わりに、個人または集団によって音韻論文法語彙が考案された言語である。人間のコミュニケーションを容易にすること(国際補助語符号参照)、小説や人工世界に命を吹き込むため、言語学的実験、言語における個々の美的指向の実行、言語ゲームなどの人工言語を作るための多くの適した理由がある。

同義語計画言語(planned language)は、より共通の用語「人工」"artificial"に異議があるかもしれない人によって、時折国際補助語(nternational auxiliary language, IAL)を示すのに使われる。例えば、国際補助語インターリングアの話者は、エスペラントとある範囲でのイド語と異なり、発明されたものを持たないため、これが人工的であるとみなす者はほとんどいない。いくらかのイド語とエスペラントの話者も、彼らが人間コミュニケーションにおけるその用法について「不自然な」ものの存在を否定しているので、"artificial language"という用語を避ける。

エスペラント共同体の外で、言語計画という用語は、自然言語に関してとられる模範的処置を示す。このことに関して「自然言語」さえいくつかの点で人工的であるかもしれない。模範文法の場合、全く人工的な規則が存在しているので線引きは難しい。例えば、分離分詞を禁止する英語の規則は人工的である。J・R・R・トールキンに作られた「グロッソポエイア」(Glossopoeia、言葉作り)も、言語構築を示すのに使われる。

目次

[編集] 概要

人工言語は、大半において(著者の発想と自動計算的手段を用いて)ゼロから作られた文法と語彙をもつアプリオリ言語(a priori languages)と、一つまたは複数の自然言語から由来する文法と語彙を持つアポステリオリ言語(a posteriori languages)によく分けられる。

次にアポステリオリ言語は、自然的か部分的に自然な語彙があらかじめ定められた規則に適応するよう変形される図式派言語(schematic languages)と、自然的語彙がその通常の音声と外見を保持する自然派言語(naturalistic languages)に分けられる。エスペラントが一般的に図式派とみなされる一方、インターリングアは自然派と見られる。イド語は、図式派言語として、または2つのタイプ間の中間物として様々に示される。

架空言語または実験的言語も、それらが自然に聞こえるよう意図され、もしアポステリオリ言語由来なら、それらが 音韻的、語彙的、 文法的変化の自然的規則に従おうとするという感覚において自然派でありうる。インターリングアと対照的に、通常これら言語は容易な学習またはコミュニケーションを目的としない。このように自然的架空の言語は、易しく簡単でなく、より難しく複雑である傾向がある。インターリングアが単純な文法、統語、綴りを持つ一方、いくつかの自然的架空の言語は、不規則な動詞や名詞、複雑化した音韻規則など、自然言語のそのような性質を模倣しようとする。

目的に関して、多くの人工言語は概して次のように分けられる。

  • 工学言語(Engineered language, engelangs [/ˈendʒlæŋz/])は、論理学哲学の実験を目的に作られる。工学言語はさらに哲学的言語(philosophical languages)と論理的言語(logical languages, loglangs)に分けられる。
  • 国際補助語(International Auxiliary languages, auxlangs, IALs) — 国際的コミュニケーションのため。
  • 芸術言語 (Artistic languages, artlangs) — 美的楽しみのため。

しかしこれら分類間の境界は、決して明瞭ではない。例えば、いくつかの架空の国際補助語といくつかの人工言語にとって、それらが「芸術言語」と「工学言語」のいずれであるか決めることは難しい。

人工言語は、もしその言語を学んだ両親から子供が早い年齢でその言語を学んだ場合、母語話者を持つことができる。エスペラントは、コミュニケーション媒体としての言語の提唱者により200人から2000人の間で様々に推測された、かなりの数の母語話者を持つといわれている。現在数は不明だが、インターリングアとイド語も母語話者を持つ。ダルマン・スピアーズのクリンゴン語学会のメンバーは、彼の息子を(英語とバイリンガルの)クリンゴン語母語話者にしようとした。モスロの作者エヴァン・ロバートソンは、彼の四人の幼い子供たちに教えることに成功した。

しかし、人工言語が何人かの母語話者を持つと、まもなく進化し始め、そして時間とともにその人工という地位を失う。例えば、近代ヘブライ語は、ゼロから設計されたというよりむしろ聖書のヘブライ語を基に作られ、1948年にイスラエルが建国されて以降、かなりの変化を被った。 [要出典]

特定の人工言語の支持者は、しばしばその言語を使うための多くの理由をもつ。これらの間で、有名だが反論された、人が話す言語が人の考え方に影響を及ぼすと主張するサピア=ウォーフの仮説が時々引用された。このように、「よりよい」言語は、話者が数レベル高い知性に到達しするか、余地多様な見解を成し遂げることを許容するするはずである。人工言語は、この仮説によってジョージ・オーウェルニュースピークでのように思考を制限することにも用いることができた。対照的に、スティーブン・ピンカーのような一部の言語学者は、子供が各世代で俗語、そして文法さえも自発的に再発明するように、観念は言語から独立した心の中に存在すると主張する。(言語本能参照。)もしこの主張が真実であれば、言語を通して人間の思考の範囲を制御する試みは、「自由」のような概念が、古い語が消えたとしても新しい語で再登場するであろうため、失敗する運命である。

ISO 639-2標準は、人工言語(artificial languages)を意味する言語コード"art"を保有する。しかし、一部人工言語は、それら自身のISO 639言語コードを持つ(例えば"eo"と"epo"はエスペラント、また"ia"と"ina"はインターリングアである)。

翻訳リレー(translation relay)のような固有の習慣を持つ、メーリングリストCONLANGにおいて、コンランガー(conlanger)たちのコミュニティーが発達した。

[編集] 歴史

文法的考察は、プラトンクラテュロスで古典古代より文章化されている。しかしながら提唱された文法構造は、新しい文法を作ることよりむしろ既存言語(ラテン語ギリシャ語サンスクリット)を説明するために設計された。プラトンとおおよそ同時代、パーニニは、彼のサンスクリットの記述文法において、言語を説明するための一組の規則を作ったので、彼の文法書は、自然言語と人工言語の混合物が作られたかもしれない。

最初期の非自然言語は、「人工的」ではなくむしろ「超常的」または神話的とみなされた。12世紀ヒルデガルト・フォン・ビンゲンにより記録されたリングア・イグノタはその例である。明らかにそれは個人的神秘的隠語の形である(天使の言語をも見よ)。カバラ的文法的考察は、言語混乱により失われた、エデンの園アダムとイヴにより話された最初の言語の復元に向けられた。最初のキリスト教徒の理想言語のための計画は、ダンテ・アリギエーリ俗語論で概説され、それにおいて彼は文学に適した理想的イタリア方言を探している。ライムンドゥス・ルッルスのArs magnaは、不信心な者がキリスト教信仰の真実を確信させうる完全な言語の企画であった。それは基本的に所定の概念の組み合わせにおける組合せ数学の応用であった。ルネサンスを通してルッルスとカバラ学のアイディアは、隠語利用に終わった、魔法的文脈において、背理法的にもたらされた。

ルネサンスの古代エジプトへの関心、特にホラポロヒエログリュピカの発見、そして漢字との初の遭遇は、努力を文字による完全な言語へ向けた。ヨハネス・トリテミウスは、彼の作品SteganographiaPolygraphiaにおいて、どのように全ての言語が一つに減少できるか示そうとした。17世紀、魔法的言語は、薔薇十字団ジョン・ディーのような錬金術師により続けられた。1623年、ヤーコプ・ベーメが「自然言語」(Natursprache)という言葉を用いた。

ルネサンスより音楽的言語は、神秘主義、魔法、錬金術に結び付けられ、ときどき鳥の言語とも称された。1817年のソルレソル計画は、より実用的文脈で、その概念を再発明した。

17世紀も「哲学的」または「アプリオリ」言語への計画の高まりが見られた。口頭と筆記表現両方における結果を目的とした階層的分類法システムを作ることは、フランシス・ロドウィックの『共通の文字』(A Common Writing, 1647年)と『新しき完全言語と普遍的あるいは共通の書字の形成のために用意される(あるいはそのように意図された)基礎あるいは基盤』(The Groundwork or Foundation laid (or So Intended) for the Framing of a New Perfect Language and a Universal Common Writing, 1652年)、トマス・アーカートの『ロゴパンデクテイション』(Logopandecteision, 1653年)、ジョージ・ダルガーノ『記号術』(Ars signorum, 1661年) 、そしてジョン・ウィルキンス『真性の文字と哲学的言語にむけての試論』(Essay towards a Real Character, and a Philosophical Language, 1668年)で創始された。ゴットフリート・ライプニッツの『一般言語』(lingua generalis, 1678年)は、類似した目的、つまり真の命題を自動的に生ずる演算をするだろう性格の語彙を作ることを狙うことを続けた。その副産物として彼は二進記数法を開発した。これらプロジェクトは、縮小や模範文法だけでなく、全ての人類の知識を「文字」や階層へ配列する事も狙った。このアイディアは、最終的に啓蒙時代における『百科全書』に繋がった。

ライプニッツと百科全書派は、人間の知識を樹形図のように明瞭に組織化することは不可能であり、ゆえにこのような概念の分類に基づくアプリオリ言語を作ることは不可能であると理解した。ダランベールは、Charactèreで批判的に前世紀の哲学的言語計画を概説した。『百科全書』後、アプリオリ言語のための計画は、ますます過激派へ移った。このアイディアの歴史を知らない個々の著者は、20世紀前半まで分類学的哲学的言語を提案し続けた(例: Ro (言語))が、多くの最近の工学言語はより穏当な目的を持った。いくつかは数学的形式主義と計算法のような特定分野に限られ(例: リンコスとプログラミング言語)、他は統語的曖昧性を除去するため(例: ログランロジバン)または簡潔さの最大化のため(例: イスクイルYgyde)に設計される。

すでに『百科全書』において、注目はアポステリオリな補助言語に集中し始めた。ジョアシム・フェーギュ(Joachim Faiguet)は、既にLangueの記事においてフランス語の「簡潔」または規則的文法の短い提案を書いた。19世紀の間、当惑するほど多数のそのような国際補助語(IALs)が提案されたので、ルイス・クチュラとレオポルド・リューは、『普遍言語の歴史』(Histoire de la langue universelle, 1903)で38件のプロジェクトを概説した。

国際的衝撃を与えた最初のものは、1879年ヨハン・シュライヤーによって提案されたヴォラピュクであった。十年以内に283のヴォラピュキストクラブが世界中で作られた。しかしその甚だしい成功のため、この言語はその統一をその失って数年で無名状態に陥り、1887年ルドヴィコ・ザメンホフに提唱された、今日までに最も成功した国際補助語であるエスペラントに道を譲った。1907年に公式となったイド語は、エスペラントの改作である。最終的にインターリングアが1951年にに現れ、同年国際補助語協会がインターリングア英語辞典と同封の文法書を出版した。

ログラン(1955年)とその子孫は、国際補助語の使いやすさの要求により緩和されたアプリオリ言語への目標へ実際的回帰を続けている。今までのところ、これら近代アプリオリ言語は小さな話者集団しか得ていない。

いかなる有用性の主張なしの文学的楽しみと美的理由のために作られた芸術言語は、(パンタグリュエルユートピア関係において)近世文学に現れ始めるが、それらは20世紀から真剣なプロジェクトとして著名さを得たとみなされる。エドガー・ライス・バローズの『火星のプリンセス』は、おそらく人工言語を特徴とする最初の20世紀の小説である。トールキンは、関連した架空の言語の語族を開発した第一人者であり、1930年のエスペラント会議における彼のA Secret Viceに見られるように、芸術言語を公的に議論した最初の研究者であった。(オーウェルのニュースピークは、本来芸術言語よりむしろ国際補助語のパロディーであると考えられるべきである。)

21世紀において、それは人工言語を特徴とする異世界を舞台としたSFやファンタジー作品にとって一般的になり、人工言語は、スターウォーズスタートレックスターゲイト SG-1アトランティス 失われた帝国を含むこのジャンルの映画の定番の部分である。

[編集] 共同制作の人工言語

大半の人工言語が一個人により作られた一方、少数は集団協力の結果である。その例は、国際補助語協会に開発されたインターリングアとログラン使用者の分離集団により開発されたロジバンである。

集団協力は、人工言語設計者が、作品の調整・設計にインターネットツールを使い始めたので、近年において明らかにより一般的になった。新世代言語トクチル(Tokcir)[1]は、文法的語彙的な設計問題を議論・投票するのにメーリングリストを使う設計者たちによる、初期インターネット共作の工学言語である。さらに近年、The Demos IAL Projectが、類似した協力方法により国際補助語を開発している。

いくつかの芸術言語は、通常、音韻論・文法規則その他への議論と投票を含む、異なった人工言語ウィキ上で開発された。興味深いものは、Madjalとより最近ではカルサ(Kalusa)に例証されたコーパスアプローチであり、そこでは、訪問者はただ既存文章のコーパスを読み、恐らく既存の傾向を強化するか新しい語と構造を加えた彼ら自身の文を加える。カルサ機関は、訪問者が文が許容できるか否か判断する能力を加える。このコーパスアプローチにおいて、露骨な文法規則の宣言や露骨な語の定義は存在しない。語の意味は、恐らく異なる読者と投稿者により異なった用法であるコーパスの様々な文におけるその使われ方から推測され、そして文法規則は、投稿者や他の訪問者により最も高く評価された文の構造から推測されうる。

[編集] 参照

  • 人工言語のリスト
  • 普遍言語
  • 言語構築
    • CONLANG, コンランガー
    • 言語標準化
    • 言語作成キット
    • 言語ゲーム
    • 人工文字
  • モデル化と翻訳
  • 模範文法
    • 言語計画
    • 言語純粋主義
    • 言語標準化の一覧
    • 綴字改革
    • パーニニ
    • ドゥーデン, 1996年のドイツ綴字改革
  • 文法の自然発生
    • 言語の起源
    • ピジン
    • ポトとカベンゴ
    • ジュンとジェニファー・ギボンズ
  • 神話的言語
    • グロッソラリア
    • 鳥の言語
  • 人工言語作品
    • 人工言語を含む文学
    • 人工言語を含む映画
    • 人工言語を含む歌

[編集] 参考文献

  • Alan Libert, A Priori Artificial Languages. Lincom Europa, Munich, 2000. ISBN 3-89586-667-9
  • Umberto Eco, The search for the perfect language, 1993.

[編集] 外部リンク

Wikibooks
ウィキブックス人工言語関連の教科書や解説書があります。

[編集] 学問

[編集] 人工言語の本当の生講義とイベント

[編集] コミュニティー

[編集] 作り方

[編集] リンク集

[編集] 人工言語についてのウィキ

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