香港政庁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
香港政庁は香港が1997年7月1日に中華人民共和国へ返還されるまで用いられた香港政府に対する呼称である。中国語では主に香港左派の間や中国本土において「港英政府」と呼ばれていた。英語には相当する固有名詞が無く、必要に応じて「植民地政府」(Colonial Government)などと呼ばれている。
目次 |
[編集] 概要
香港政庁のトップは香港総督であった。返還後は行政長官に取って代わった。以下、香港政庁の主な機関および役職と、返還後の香港特別行政区政府における名称を示す。
なお、香港政庁の役職・組織名には近代以前の用語を反映したものも見受けられた。例えば、布政司や按察司などである。元々の意味については中国語の項目(「布政使」「按察使」)を参照。
[編集] 司法府、立法府
- 香港最高法院→組織自体は高等法院へ格下げ。別途、高等法院の上位に終審法院が設置された。また、裁判官(判事)の名称も「按察司」から「法官」となった。
- 上訴法院→高等法院上訴法庭
- 原訟法院→高等法院原訟法庭
- 地方法院→區域法院
- 立法局→立法会
[編集] 行政府
返還前の「司」は役職であったが、返還後は組織の名称となった。役職の「司」は現在「司長」とされている。また、返還前は「布政司」と「財政司」「律政司」は上下関係であった。返還後も「司長」3名の序列自体は変わらないが、上下関係ではなく、並立する地位となった。
また、現在の「局」(決策局)は布政司署に所属する「科」(決策科)であった。「科」の首長も「司」であった。
- 行政局→行政会議
- 布政司(1976年以前は「輔政司」)→政務司司長。
- 布政司署→政府総部。別途、「政務司司長辦公室」が設けられたが、これは以前の布政司署のように香港政府全体を統括するものではない。
- 憲制事務科→政制事務局
- 政務科→民政事務局
- 公務員事務科→公務員事務局
- 教育統籌科→教育統籌局
- 運輸科→運輸局
- 工務科→工務局
- 衛生福利科→衛生福利局
- 規劃環境地政科→規画環境地政局
- 保安科→保安局
- 工商司→工商局
- 文康廣播司→文康廣播局
- 経済科→経済局
- 金融司、財経事務司→財経事務局へ統合
- 庫務司→庫務局
- 布政司署→政府総部。別途、「政務司司長辦公室」が設けられたが、これは以前の布政司署のように香港政府全体を統括するものではない。
- 財政司(1939年以前は「庫政司」)→財政司長。
- 律政司→律政司司長。
- 律政署→律政司。
- 駐香港イギリス軍→撤退。代わりに人民解放軍駐香港部隊が進駐。
- 陸軍の中国本土との境界監視業務→香港警察に移管。
- (皇家香港輔助空軍)→返還前(1993年)に政府飛行服務隊に改組。