I号戦車
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ムンスター戦車博物館のI号戦車A型 |
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I号戦車A型 | |
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性能諸元 | |
全長 | 4.02 m |
車体長 | m |
全幅 | 2.06 m |
全高 | 1.72 m |
重量 | 5.4 t |
懸架方式 | リーフスプリング方式 |
速度 | 37 km/h |
行動距離 | 145 km |
主砲 | 7.92mm MG13 機関銃×2 |
副武装 | |
装甲 | 13 mm |
エンジン | 空冷水平対向4気筒 3460cc Krupp M305 57 HP/2500 rpm |
乗員 | 2名(車長、操縦手) |
I号戦車(いちごうせんしゃ、Panzerkampfwagen I)はドイツが第一次世界大戦後、初めて開発・生産した軽戦車である。なおベルサイユ条約によって戦車の開発を禁じられていたため、農業用トラクター (独:Landwirtschaftlicher Schlepper, 略号:LaS) の偽装名目で開発された。訓練と戦車生産技術の習得を目的としており、武装は 7.92mm 機関銃 2 挺のみであった。このため時をおかず II号戦車の開発に移ることとなるが、本来の実戦用主力戦車であるIII号戦車、IV号戦車の数が揃わず、大戦初期においてII号戦車と共に実戦参加することとなる。
目次 |
[編集] バリエーション
- I号戦車A型
- Panzerkampfwagen I(MG) Ausf A, (Sd.Kfz.101)
- 初期型。スペイン戦争で実戦参加するが、共和国派の装備するT-26軽戦車に歯が立たたず、一部はイタリア製ブレダ20mm機関砲を搭載するように改造された。1934年から約500輛が生産された。
- I号戦車B型
- Panzerkampfwagen I(MG) Ausf B, (Sd.Kfz.101)
- 出力不足であったクルップ社製空冷エンジンからマイバッハ製のMaybach NL38 TR(水冷直列6気筒100馬力)に換装した。エンジン換装に伴い機関室が40cm延長され、転輪もA型の4組から5組に増やされた。地上に接地していた後方の誘導輪もこれ以降の戦車と同様に上に移動された。1935年から約2000輛が生産された。
- I号戦車C型
- Panzerkampfwagen I(MG) Ausf C, VK601
- 偵察型。エンジンが強化され、トーションバー・サスペンションとクロスドライブ式変速装置を持ち、路上最大速度78km/hと高速化された。一見、II号戦車同様の20mm機関砲を装備しているように見えるが、あまり砲身にテーパーがかかっていないことからわかるように別物であり、長銃身のEW141機銃である。A・B型とは全くの別設計で40輌が生産され、実戦を経験した後、訓練用に回された。
- I号戦車F型
- Panzerkampfwagen I Ausf F, VK1801
- 前面80mmの装甲強化型。これも全くの別設計で、フランスのマジノ線を攻略する際の、砲撃をひきつける囮役として開発された。30輌が作られ、フランス戦には間に合わなかったが、半数は東部戦線で使用された。現在もユーゴスラヴィアの博物館に実車が残っている。
[編集] 派生型
- 弾薬運搬車用Ia及びIb号戦車
- Munitionsschlepper
- 砲塔を撤去し、代わりに鋼製の箱型上部構造物を載せ、キャンバス製カバーで上面を覆った装甲弾薬運搬車。このような改造はその後、旧式化した戦車や捕獲した軽戦車でも行われるようになる。同様にA型から砲塔を撤去しタンカを載せた野戦救急車型もあった。
- I号戦車A型架橋車
- Bruckenleger
- A型ベースだが、サスペンションが貧弱なため実用性に劣り、後にII号戦車ベースのものに発展。
- I号戦車B型爆薬設置車
- Ladungsleger
- 車体後部にスロープを付けて後方に爆薬を落としていくタイプと、後方に突き出した車内からワイヤーで操作できるアームの先の箱から爆薬50kgを投下できるものがあった。
- 整備作業車I号
- Instandsetzungskraftwagen
- 上部構造物を撤去したI号戦車B型で、整備中隊用。
- I号指揮戦車
- Kleine Panzerbefehlswagen, (Sd.Kfz.265)
- 旋回砲塔を撤去し、新たに設けた戦闘室に無線送信設備を搭載したもの。乗員も3名に増やされた。B型の延長型車台は元々本車用に作成された。
- I号自走重歩兵砲
- 15cm sIG33(Sf) auf Panzerkampfwagen I Ausf B
- B型に15cm sIG33重歩兵砲を搭載したもの。
- I号対戦車自走砲
- 4.7cm PaK(t) (Sf) auf Panzerkampfwagen I Ausf B
- B型にチェコ製47mm対戦車砲を搭載したもの。
- I号対空戦車
- 2cm Flak38 auf Panzerkampfwagen I Ausf A
- A型の砲塔を撤去し車体上部を改造、2cm Flak38対空機関砲を搭載したもの。24輌が生産され第614対空大隊を編成したが、配備された当時の東部戦線では制空権がドイツ側にあったため、むしろ水平射撃による歩兵支援に活躍した。
[編集] 戦史
スペイン内戦やドイツ軍のポーランド・フランス・デンマーク・ノルウェー侵攻、北アフリカ戦線にて活躍した。
中国国民党軍に輸出されたA型は日中戦争で旧日本陸軍に捕獲され、「ソビエト製の鹵獲戦車」として昭和14年頃に靖国神社で展示された。捕獲した日本陸軍が運用した記録もある。
[編集] 関連事項
第二次世界大戦のドイツの装甲戦闘車両 | |||
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戦車 | |||
I号戦車 | II号戦車 | III号戦車 | IV号戦車 | パンター | VI号戦車 (ティーガーI, ティーガーII) | 35(t)戦車 | 38(t)戦車 | |||
突撃砲 | |||
III号突撃砲 | IV号突撃砲 | ブルムベア | シュトルムティーガー | |||
駆逐戦車 | |||
I号対戦車自走砲 | マルダーI , II , III | ヘッツアー | IV号駆逐戦車 | ナースホルン | ヤークトパンター | ヤークトティーガー | エレファント | |||
自走砲 | |||
I号自走重歩兵砲 | II号自走重歩兵砲 | ヴェスペ | フンメル | グリーレ | パンツァーヴェルファー | カール自走臼砲 | |||
対空戦車 | |||
38(t)対空戦車 | メーベルワーゲン | ヴィルベルヴィント | オストヴィント | クーゲルブリッツ | |||
装甲ハーフトラック | 装甲車 | ||
Sd Kfz 4 | 250 | 251 | 252 | 253 | Sd Kfz 221/22/23 | Sd kfz 231/32/34/63 | ADGZ | ||
試作戦車 | |||
NbFz | マウス | E-10 | E-25 | E-50 | E-75 | E-100 | ラーテ | |||
特殊車輌番号 |