ISEE-3/ICE
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ISEE-3/ICE (International Sun-Earth/Cometary Explorer 3)(アイシースリー/アイス)は、アメリカ航空宇宙局 (NASA)・ヨーロッパ宇宙機関 (ESA) の太陽風探査機・彗星探査機。当初、太陽風探査機ISEE-3 (International Sun-Earth Explorer-3) またはISEE-Cとして打ち上げ・運用され、その後、彗星探査機ICE (International Cometary Explorer) として運用された。国際標識番号は1978-079A。
[編集] 経過
ISEE (International Sun-Earth Explorer)(国際太陽-地球探査機)プログラムは、ISEE-1/2/3の3機の探査機からなり、3機が共同して
- 地球磁気圏の外縁での太陽-地球相互作用の調査
- 太陽風と地球磁気圏の間の境界をなす、衝撃波と地球近くの太陽風の詳細な構造の調査
- プラズマシートを操るメカニズムの動きの調査
- 1 AU付近の惑星間空間での宇宙線と太陽フレアの調査
をする計画だった。ISEE-1とISEE-2は1977年10月22日に打ち上げられた。
ISEE-3は1978年8月12日、NASAとESAが共同で打ち上げ(実際の打ち上げはNASAのデルタロケット)、NASAが運用した。1978年11月20日、太陽-地球のラグランジュ点 (L-1) を回る秤動軌道(ハロ軌道)にのり、太陽風と地球磁気圏の相互作用などを調査した。1982年、当初のミッションを終了した。なお、ISEE-3は、ハロ軌道に乗った最初の人工天体である。
1982年6月10日、ISEE-3は新しいミッションのための軌道変更を始めた。4回の月スウィングバイと15回のエンジン噴射からなる軌道変更をし、L-2点で地球の磁気圏尾部 (magnetotail) などを観測した。1983年12月22日の5回目の月スウィングバイで地球重力圏脱出軌道に乗り、ICEと改名された。
ICEは1985年11月11日にジャコビニ・ツィナー彗星から7862 kmの距離でプラズマテイルを通過し、水と一酸化炭素イオンを検出した。その後、1986年3月28日に、ハレー彗星に接近した。
1991年にはさらにミッションが延長され、ユリシーズと共同で宇宙線などを調査した。1997年5月5日、運用停止。
最終的な軌道は、近日点距離0.93 AU、遠日点距離1.03 AU、軌道傾斜角0.1°、公転周期355日の太陽中心軌道だった(軌道要素は1990年)。2014年8月、地球に再接近する。