えちぜん鉄道MC6001形電車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
MC6001形は、えちぜん鉄道が保有する電車。愛知環状鉄道が保有していた100形・300形を譲渡されたものである。本項目では同社より同様に譲渡された、MC6101形についても記す。
目次 |
[編集] 概要
これらの車両は、もともと愛知環状鉄道がJR東海岡多線を引き継いで1988年に営業を開始した際、国鉄101系電車の廃車電動機を流用して台車と車体を新造した19m車であったが、乗降扉が片開き3扉であることなど運行に不都合な面があり、2005年日本国際博覧会(愛・地球博)の準備が始まった2002年頃より順次投入された2000系に置き換えられ、博覧会輸送を持って全車が廃車となった。
一方、2001年の列車衝突事故(この項目を参照)を契機に保有路線の全廃を決めた京福電気鉄道福井支社であるが、2003年に永平寺線を除く各線は第三セクター鉄道会社のえちぜん鉄道が引き継いで運行を始める事が決定した。その際、保有していた車両のなかに老朽化が進んでいたものがいくらかあったため、前述した愛知環状鉄道の廃車を譲渡してその代替に当てる事にした。これがMC6000形・MC6101形である。
2003年8月25日にMC6001形2両が、2004年~2006年にMC6101形12両が岡崎市や大阪市からトレーラーにより福井口駅まで運ばれ、試運転の後に順次運行についた。
なお、100形・200形・300形は愛知環状鉄道時代からワンマン運転対応のための設計が施されていたが、実際に使用が開始されたのはえちぜん鉄道への譲渡後であった。
[編集] 改造
譲渡された車両は制御電動車の100形と300形であったが、後者はもともと両運転台車両であったものの、前者は付随制御車の200形とペアを組んで2両編成で使用されていた関係で、片運転台車両であった。そのため譲渡の前に、200形の運転台を100形の片側に接合して、両運転台車にする改造が施された。
また愛知環状鉄道は直流1500V電化であったが、えちぜん鉄道は直流600V電化を採用していたため、それまで使用していたMT46型電動機では回路の都合上、従来性能の半分も発揮できない事が明らかになった。そのため力行時には4個ある電動機の内、3個のみを使用するように回路を変更した。それでも性能的に問題が大きかったため、後にはJR東日本からMT54型電動機を購入し、2003年11月19日までに交換した。出力が約2割向上したが、そこまでしても京福時代の車両より加速性能の面で劣っている。
その他にはMGを廃止して新たにSIVを搭載し、更にエアコンユニット器の交換やスカート・スノープロウ個別化などの工事が施されたが、塗装は変更されたものの愛知環状鉄道時代と外観上の大きな変化はない。室内では、電光表示板とMC6101形6103以降は液晶ディスプレイ式アドムーブの設置と座席のモールド変更などの動きがあった。
座席配置には大きな変化がなく、そのためそれまでの同社線では珍しくセミクロスシートの室内となった。
[編集] 主要諸元
- 車長:19000mm
- 車幅:2850mm
- 車高:4100mm
- 自重:40.6t(空車時)
- 定員:123名(うち、座席52名)
- 台車:日車ND-708型軽量エアサス式ボルスタレス台車
- 歯車比(ギア比):4.82
- 電動機:直流直巻MT-54(96kw)×4(1500V下では120kw)
- 制御方式:永久直列電動カム軸式抵抗制御(ES-791-A) 但し、3・4ノッチ弱め界磁制御付(空転検出器付)
- 駆動方式:中空軸平行カルダン駆動方式
- 制動方式:電制付電磁直通空気ブレーキ(応荷重制御器、保安ブレーキ、自動ブレーキ付)
- 冷房装置:交流式ユニットクーラー(屋根上に設置)
[編集] 個々車両について
- MC6001形 - 6001(旧100形103)、6002(旧100形108)
- MC6101形 - 6101(旧100形101)、6102(旧100形102)、6103(旧100形104)、6104(旧300形302)、6105(旧300形301)、6106(旧300形303)、6107(旧100形107)、6108(旧100形109)、6109(旧100形105)、6110(旧100形106)、6111(旧300形304)、6112(旧300形305)