こべっこ号
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こべっこ号(こべっこごう)は、神戸市交通局(神戸市営バス)が保存しているボンネットバスの愛称である。
本項では、1993年より動態保存されているこべっこII世号(こべっこにせいごう)についても述べる。
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[編集] こべっこ号
「こべっこ号」は、1956年に神戸市営バスが、狭隘路線向けに導入した3台のボンネットバスのうちの1台である。1972年に廃車となるまで、オーバーホール等の更新を3度行ない、営業運行での累計走行距離は38万kmだった。走行条件に対応し、フロントフェンダー部が左右非対称になっているのが特徴であった。
廃車後、3台のうち、最も古い1台は、市営バスのマスコット車両として保存される事になった。当初は静態保存であったが、1988年6月に永久保存のために自走可能な状態で整備する事になり、再塗装された。翌年の1989年3月には動態保存を行なうため、4度目のオーバーホールを行ない、再登録された(営業用には使用しない事になっていたので、自家用登録であった)。この時に「こべっこ号」と命名されている。
神戸まつりなどのイベント時には、展示走行も行なっていたが、製造後37年が経過し、部品確保が困難になってきた事に加え、排出ガス規制の強化により車検の更新が不可能になった。このため、1993年に新たなマスコット車両を製造する事になったのである。
新たなマスコット車両は、排出ガス規制に適合した、いすゞの中型トラック「フォワード」(U-FTR32FB改、7t級)のシャーシを利用し、車体は「こべっこ号」のレプリカとして新造する事になり、製造は京成自動車工業に発注する事になった。ボンネットバスのイメージを完全に引き継ぐべく、実際に製造作業を行なう担当者がイメージを掴み易いようにとの配慮から「こべっこ号」が京成自動車工業の工場へ回送され、後継車の完成まで常駐する事になった。これは「こべっこ号」としては最初で最後の関東遠征であった。
後継車の完成に伴い「こべっこ号」は交通局車両工場にて保存される事になった。通常は非公開である。
[編集] こべっこII世号
レプリカ車両は、現代のバスと違い平面部分が少なく、車体外板の殆どが鈑金叩き出しとなったという。
ベースとなったシャーシの関係から、フロント部分の幅が若干広くなっている他、全体的に若干サイズが大きくなっている。又、ベースシャーシはトラックであったため、ステアリング機構の位置変更には苦労したといい、どうにか収まったものの、回転半径に制約を受け、12mの大型観光バス並みとなったという。現代においては冷房装置は必須と考えられた事から、車内の運転席上の天井に冷房装置を設置した。
それらの相違点はあるものの、全体的な印象は「こべっこ号」のイメージを最大限引き継いでいる。
こうして、ボンネットバスのレプリカは1993年に完成。「こべっこII世号」と命名された。
「こべっこII世号」は、新たな市営バスのマスコットカーとして中央営業所に配置され、各種イベント時には展示や走行を行なった。当初は自家用登録であったが、2000年秋以降は季節限定運行の観光路線バスとして運行される事になり、正式に営業用車両として登録された。
しかし、毎年のように強化される排出ガス規制は「こべっこII世号」にも及ぶことになり、2006年3月以降の運行や車検の更新が不可能になる事が判明した。しかし、市営バスにとっては「こべっこII世号」は貴重な財産という位置付けとなっているため、引き続き「こべっこII世号」を動態保存するべく、2006年1月にCNGエンジンへの改造を行なっている。
[編集] 諸元
- こべっこ号
- こべっこII世号(CNGバスへの改造後)
[編集] 参考文献
- 神戸市交通局パンフレット「ボンネットバスについて」
- バスラマ・インターナショナル22号「生まれ変わったBX、こべっこⅡ世号」
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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