どんぐりの家
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「どんぐりの家」(どんぐりのいえ)は、山本おさむによる漫画作品。小学館のビッグコミックに連載。
目次 |
[編集] 概要
埼玉県大宮市(現・さいたま市)でろうの重複障害を抱えた子どもを持つ親の話から始まり、聾学校の教師たちなど、ろうの重複障害の子どもを取り巻く人々を多層的にさまざまな角度から描いて、社会的に大きな反響を呼んだ話題作。
重複障害とは、ろう障害があるだけでなく、それに加えて知的障害やその他の精神障害をもつような子どもたちのことをいう。作品は、1993年から単行本として刊行され、第7巻までが刊行されている。
ビッグコミックでの連載は2期に分かれており、1993年度連載分が単行本第1巻、1995年度以降連載分が単行本第2-7巻となっている。その為、物語は第1巻で一度完結しており、第2巻以降では話の舞台が変わっている。
作者は、これまでにも継続して障害者を扱ったコミック作品を執筆してきている。
執筆の背景などについて、作者自身が『小説どんぐりの家』(汐文社 1997年)、『「どんぐりの家」のスケッチ 漫画で障害者を描くということ』(岩波書店 1998年)を書いている。また1997年には彼自身が監督してアニメ映画も製作された。
社会福祉の分野でのこの作品の反響の大きさの余波として、全国の福祉作業所、通所授産施設などには、この作品の名前をとった施設が多数ある。
[編集] 登場人物
[編集] 障害者
- 田崎 圭子(たさき けいこ)
- 聴覚障害と知的障害を併せ持つ重複障害児。
- 幼少時には自傷行為を含め問題行動が多く、
- 両親も圭子の将来について希望を持つ事ができなかったが
- 次第に(身体的、精神的にも)成長してゆく圭子の姿に勇気付けられるようになった。
- 柏木 清(かしわぎ きよし)
- 聴覚障害と知的障害を併せ持つ重複障害児。
- 自閉傾向が強く、体調が悪くなるたびに自傷行為を行っていた。
- また、石に対する固執心があり、自宅であるパン屋の店頭に石を並べるなどの問題行動を起こした事もあった。
- 母親は清を障害者施設に入れようと考えたり、また清を引き連れて自殺しようとも考えたが
- 清がその「問題行動」を通じて何かを伝えようとしている事に気付き、考えを改めることにした。
- 芝山 努(しばやま つとむ)
- 聴覚障害と知的障害を併せ持つ重複障害児。
- 聾学校を卒業して地域の福祉作業所に通うようになった努だが、
- 耳が聞こえない事が原因で他人に怪我を負わせてしまい
- そのショックから他人との交流を避けるようになり、徘徊などの問題行動を起こすようになった。
- さらにその後交通事故に遭い、歩行困難となり家に閉じこもっていた。
- 尚、実在の人物に同姓同名の芝山努がいるが、一切関係ない。
- 信夫(のぶお)
- 聴覚障害と知的障害を併せ持つ重複障害児。
- 自閉傾向が強く、激しい自傷行為を行っていた。
- また他の児童よりも発達が遅く、親や教師に焦りや苛立ちを感じさせた。
- 母親が怪我で入院した際に聾学校の寄宿舎に入ることとなるが、
- 知的障害を持たない他の生徒との間でたびたび不和を起こした。
- みどり
- 聴覚障害と知的障害を併せ持つ重複障害児。
- 味覚が鋭敏なためか偏食が激しかったが、母親の努力によって偏食は軽減された。
- 山田 翔(やまだ しょう)
- 聴覚障害と知的障害を併せ持つ重複障害児。
- 翔の家族は団地に住んでおり、翔が起こす問題行動のために近所との関係は良くなかったが、
- 子供会のキャンプの際、初めて見る海に喜ぶ翔の姿を見て近所の人々も心を改めるようになった。
- 村中 織江(むらなか おりえ)
- 筋ジストロフィーと知的障害を併せ持つ重複障害児。
- 早野先生が初めて出会った重度の障害児であった。
- 殆ど言葉の通じない織江に対して早野先生のストレスは溜まる一方であったが、
- 織江が高熱を出している事に気付かずその命を危険に晒した自分に後悔し、
- それ以降は織江のわずかな成長にも喜びを感じるようになった。
- 斉藤 ゆり子(さいとう ゆりこ)
- 聴覚障害と知的障害を併せ持つ重複障害児。
- 自閉傾向が強く、ドラえもんの絵以外には興味を示さなかった。
- 早野先生はゆり子の興味を引こうと自らのエプロンにドラえもんのアップリケを何枚も貼り付けた。
- 島 祐太(しま ゆうた)
- 聴覚障害児。
- 最初は健常者とともに草野球に参加するなど明るい子供であったが、
- クラクションの音が聞こえず交通事故に遭い、左足が不自由になる。
- それ以降は聾学校でも他の児童との間で不和を起こす事があった。
[編集] ろう学校の教師
- 安田先生
- 当初は境ろう学校、後に大平ろう学校で働いていた。
- 鈴木先生
- 当初は境ろう学校、後に大平ろう学校で働いていた。
- 三田先生
- 境ろう学校で働いていた。
- 早野先生
- 境ろう学校で働いていた。
- 野中先生
- 境ろう学校で働いていた。
- 彼女には知的障害者の兄がいたが、山奥の施設に隔離されており
- 兄の存在を知らされたのは彼女が8歳の時であった。