ひてん
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- ひてん(飛天)は、仏教に登場する天女で、羽衣を纏って空を舞う。仏教芸術の題材等に使われており、法隆寺金堂の壁画に描かれているもの等が有名。
- ひてん(批点)は、評価や訂正をするべき箇所、またはそこを示すためにつけられる点。もしくは批評の評価成績を表す点数。
- ひてんは、日本の宇宙工学実験探査機。惑星探査などに必要な技術を習得するために打上げられた人工衛星。名称は仏教に登場する天女にちなむ。Celestial Maidenと英訳される。本項で詳述する。
ひてん | |
所属 | ISAS |
軌道 | 略円軌道 |
近地点 | 262 km |
遠地点 | 28,600 km |
軌道傾斜角 | 30.6° |
軌道周期 | 6.7日 |
打上げ | 1990年1月24日 |
運用終了 | 1993年4月11日(月面衝突) |
質量 | 196 kg |
Web | JAXA |
物理的特徴 | |
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直径 | 1.4m |
高さ | 79cm |
ひてん(第13号科学衛星 MUSES-A )は、当時の宇宙科学研究所が、1990年1月24日に鹿児島県内之浦の宇宙空間観測所から M-3SII-5 ロケットによって打上げた宇宙工学実験探査機。孫衛星のはごろもを装着しており、後に分離している。
目次 |
概要
月や惑星探査などに必要なスイングバイ等の軌道制御技術を習得するために使われた。宇宙塵の観測機器や、天体を観測して自機の姿勢や軌道の情報を知るための光学航法センサ実験装置なども備えている他、新しいデータ送信や処理の実験も行われた。
活動内容
打上げ後、1990年3月19日に月を利用した最初のスイングバイを行い、孫衛星はごろもを分離して月の周回軌道に投入した。装置の故障で軌道投入の確認ができなかったが、周回軌道にのる時のロケットの光を国立天文台木曽観測所がとらえたことで、成功したと推定されている。
その後1991年10月にかけて、加減速を伴うスイングバイを合計10回行っている。1991年3月には世界初の試みとして、地球大気を使って減速し軌道を変更するエアロブレーキの実験を2回行った。
この後ひてんは月と地球とのラグランジュ点 L4 、L5 を巡る軌道にのって宇宙塵の観測を行い、1992年2月15日に月の周回軌道にはいったあと、1993年4月10日に月のフレネリウス・クレータ付近に衝突させ、計画は終了した。
ひてんの運用によって得られた技術は、この後打上げられた磁気圏観測衛星GEOTAIL(ジオテイル)、火星探査機のぞみ、工学実験探査機はやぶさ等の運用に活かされている。
データ
ひてん
- 高さ… 0.79m
- 直径… 1.4m(円筒形)
- 重量… 185kg
はごろも
- 高さ… 0.365m
- 対辺寸法… 0.4m(26面体)
- 重量… 11kg
関連項目
外部リンク
- 月・惑星探査・ひてん:JAXA 宇宙情報センター
- 月・惑星探査・はごろも:JAXA 宇宙情報センター
- MUSES-A/1990.1.24-1993.4.10/M-3SII-5関連年譜:ISASニュース No.200