わらしべ長者
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わらしべ長者(わらしべちょうじゃ)は日本のおとぎ話のひとつ。
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[編集] 概要
ある一人の貧乏人が最初に持っていたワラを物々交換を経ていくにつれて、最後には大金持ちになった話。
今日では、わずかな物から物々交換を経ていき最後に高価な物を手に入れることに対する比喩表現にも使われる例が多いが、作品の舞台である近代以前の一物一価の法則が成立しなかった段階においては、主人公の取引行為はいずれも高価なものを入手する動機はなく、需要と供給の均衡の上に成り立った等価交換を繰り返した結果として富の上昇がもたらされているという点に注目をする必要がある。
また、この物語は大きく分けて今日広く知られている「観音祈願型」の他に「三年味噌型」と呼ばれるものがある。物語の大筋はほぼ同じだが、後者は婿取婚を巡る話となっている。
[編集] あらすじ(観音祈願型)
昔、ある一人の貧乏人がいました。ある日、「この後、初めに触ったものを、大事に持って旅に出ろ」とおつげをもらいました。祈った後、歩くとすぐに石につまずいて転び、1本のわらしべをつかみました。わらしべを手に持って歩いていると、飛び回っているアブがわらの先に止まりました。
さらに歩くと、大泣きをしている男の子がアブが止まっているワラを欲しがります。男は観音様のおつげを信じ、ワラを譲ろうとしませんでしたが、男の子の母親は「みかんと換えましょう」と言うので、男はワラとミカンを交換しました。
さらに歩くと、のどが渇いている人がいました。その人は男が持っているミカンを欲しがり、持っていた布と交換を持ちかけてきました。男はミカンと布を交換しました。
さらに歩くと、侍の傍で倒れている馬がいました。侍は急いでいるため、馬を見捨てなければならなくなりました。侍は家来に馬の始末を命じ、先を急ぎました。男は侍の家来に布と馬の交換に迫ります。家来は承諾し、布を受け取ると侍の後を追っていきました。男は川から水をくんできて、馬に飲ませました。倒れていた馬は回復し、立ち上がりました。男は馬に乗りながら進んでいきました。
さらに進んでいくと、大きな屋敷が見えました。屋敷の中に声をかけると、中から主人が出てきました。主人はちょうど旅に出かけようとしており、男に屋敷の留守を頼み、代わりに馬を借りたいと言ってきました。主人は留守中に自分が帰ってこなかったら、この屋敷は男のものだと言いました。男は承諾し、主人は馬に乗りながら旅に出かけました。
何年待っても主人が旅から帰ってくることはありませんでした。男は屋敷に住みながら、裕福に暮らしていきました。
[編集] 男の持っている物の変化
わら→ミカン→布→馬→長者
[編集] 三年味噌型
基本的に話の筋は上記の「観音祈願型」の他に「三年味噌型」と呼ばれる形式の物語がある。
貧乏人が大金持ちの娘の婿になる条件として「わら3本を千両に変えてみよ」という難題を大金持ちから押し付けられる。貧乏人は旅の過程でわら→蓮の葉→三年味噌→名刀→千両と姿を変え、最終的に約束を果たして大金持ちの婿になるという物語である。