アイススレッジホッケー
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アイススレッジホッケーは、下半身に障害を持つ者がアイスホッケーを行なえるように改良された球技である。アイスホッケーとともに氷上の格闘技と呼ばれる。
発祥の地はスウェーデンであるとされる。
1994年リレハンメルパラリンピックで正式競技となり1998年長野パラリンピックでは日本代表が初出場を果たした。2006年現在冬季パラリンピック唯一の球技である。かつては唯一の団体競技でもあったがトリノパラリンピックで車椅子カーリングが正式種目となったためこの点では唯一ではなくなった。
[編集] ルール
基本的にアイスホッケーと同一だがその性質上若干の差異がある。1ピリオドはアイスホッケーの正味20分に対しアイススレッジホッケーでは正味15分となっている。時間の短さにはアイススレッジホッケー独特の事情(後述)も関与していると思われる。3ピリオドを行ない決着がつかない場合は1ピリオド正味10分の延長戦を行なうかペナルティショットによって決着をつける。メンバーはゴールキーパーを含めて15名までとなっている。
防具は基本的にアイスホッケーと同じ物を用いる。当然靴は使えないが代わりに2枚のブレードを持つスレッジと呼ばれる専用の橇に座る。ゴールキーパーは他の選手とは異なるスレッジを用い座り方も異なる。スレッジは真下にパックを通せる隙間がある。スティックはアイスホッケーより短いものを2本持つがこの先端(ブレードとは反対側)にはアイスピックが取り付けられておりこれを氷に引っ掛けて滑走する。ゴールキーパーはアイスホッケーのゴールキーパー用スティックをスケールダウンしたような形をした専用のスティックを1本持つ。
障害者スポーツであるため負傷を防ぐ性質はアイスホッケーより強い。例えばヘルメットはアイスホッケーではゴールキーパー以外は顔面を防護しないものでもよいがアイススレッジホッケーではポジションに関係なく顔面を防護できるものに限られる。
ホッケーリンクはアイスホッケーと共通だがベンチ及ペナルティボックスは選手からリンクが見えるように透明なフェンスを用い出入りが容易となるためにリンクとの段差をなくし床には氷またはアクリル等を敷くことが義務付けられている。
[編集] ペナルティ
アイスホッケーと完全に共通するものは略す
- インクリーズ
- ゴールクリーズにパックがない時に攻撃側の選手がここへ入る、もしくはクリーズの中にいるGKを妨害する。偶発的に入ってしまった場合は即座に出れば反則は取られないが入っている間は得点が無効になる。
- フィリングオンザパック
- 故意に倒れ込むなどしてパックを隠す。GKだけは許される。
アイススレッジホッケーの性質上スティックにアイスピックがありこれによる負傷などの危険があるためスティックに関する反則はアイスホッケーより厳しい。
[編集] 問題点
アイスピックで氷を引っ掻くためリンクがすぐに荒れてしまう。